読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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SFが読みたい!ラノベ・ライト文芸+ハヤカワ文庫26選

 なんか皆さんが面白いブログ記事作っていたので自分も便乗して作ってみました(ぇ


SFの範囲はもう議論するのも不毛なので、とりあえずそれっぽい作品を自分の読んだ作品の中から選びました。特に「WORLD END ECONOMiCA」は個人的に大好きな作品なんですが、なかなか推す機会がないのでこの機会に大プッシュしておきます(最近興味深い作品をいろいろ出しているハヤカワ文庫も)。こういうのってあ、これも良かったんだみたいなのが後から出てきて、人の記事見て悔しい思いしたりしますよね(ありがち)。興味を持った作品があったらぜひ手にとって見てください。

WORLD END ECONOMiCA (1) (電撃文庫)
 

 夢を叶えるため株式市場に活路を見出す月生まれ月育ちの家出少年ハルが、ふとしたきっかけから数学の天才少女ハガナと出会い、コンテスト優勝と周囲の人々の危機打開を目指す物語。夢のために孤高だったハルが彼女たちに出会い触発され、自分に自信を持てなかったハガナもハルへの協力をきっかけに変わっていく、そんな不器用な二人の距離感の変化。そんな存在に葛藤しながら、二人が夢やその思いを語れるようになるまでに近づいたからこそ、終盤の喪失感、そして絶望が切なかったです。一度は全て失ってしまったけれど、それを取り度戻すために立ち上がる展開にぐっとくる物語です。全3巻。

ストライクフォール (ガガガ文庫)

ストライクフォール (ガガガ文庫)

 

 代理戦争として発展した宇宙競技ストライクフォール。そんなストライクフォールに魅せられたひとり鷹森雄星が、ストライクシェルに身をつつみ広大な宇宙のフィールドに挑む物語。はるか先を行く若き天才な弟・英俊と雄星を見守る幼馴染・環という定まらない三角関係。雄星に変化をもたらしたアデーレとの出会い。アデーレや英俊との戦いの中からようやく力の片鱗を見出しつつあった雄星が思わぬ事態に遭遇し、あえて無謀な戦いに挑むことを決意する熱くスピード感溢れる展開はとても面白かったです。今後の困難をどう乗り越えてゆくのか期待のシリーズ。現在3巻まで刊行。

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

 

 連合王国より先に人類を宇宙へ到達させるべく、共和国の最高指導者はロケットで人間を軌道上に送り込む計画を発令。実験体として選ばれた吸血鬼の少女・イリナと監視係に任じられた候補生レフの物語。蔑まれる境遇から自由を得るため実験体として志願したイリナ。そんな彼女に最初は戸惑いながらも、共に過ごし訓練するうちに大切な存在として思うようになってゆくレフ。あくまで実験体としてか扱われない彼女の境遇には厳しいものがありましたが、乗り越えて見せた彼女たちの未来が明るいものであることを信じたくなる素敵な物語ですね。現在3巻まで刊行。

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

 

 ほぼ全ての人工衛星が落下した大流星群から三年。たった一人の犠牲者・天野河星乃を救うため、全てを諦めかけていた平野大地が希望を見出し運命に抗う物語。宇宙飛行士だった両親の夢を追いかけていた星乃。コスパ重視だった人生も彼女を失いやる気をなくしていた大地。希望を見出すものの思うようにうまく行かなくて、それでも大切なものを取り戻すという熱い決意を胸に、危機になりふり構わず奔走して、醒めていた大地自身もまた変わってゆく展開はテンポも良くて、変化したことがこれからどう影響していくのか、非常に楽しみな新シリーズですね。

君と僕との世界再変 (角川スニーカー文庫)

君と僕との世界再変 (角川スニーカー文庫)

 

 人の価値が数値化された2184年のディストピア的な世界。働かずとも衣食住が保障された「庭国」で私掠官として働く数値が0の少年・アオが、負傷していた謎の少女・モアと出会い日常が激変していく近未来SF。数値化された価値が全ての世界で特殊な立ち位置にいるアオと、庭国崩壊阻止のために20年後の未来からやってきたモア。二人が出会い共闘することで加速していく展開の中、始まってしまう庭国崩壊とその鍵を握るアオの秘密。自称恋人のレイを加えた三角関係もあったりで、ここからどうなるのか楽しみな続巻に期待の新シリーズですね。

インスタント・ビジョン 3分間の未来視宣告 (角川スニーカー文庫)

インスタント・ビジョン 3分間の未来視宣告 (角川スニーカー文庫)

 

 未来に3分間だけ自分の意識が飛ばされる奇病「夢現譜症候群」のパンデミックで大混乱に陥りがちな世界。殺人鬼になる未来視を見たレオが相棒の少女・ティアと出会う物語。未来視を知られているがゆえに難しい立場にあるレオと謎めいた立ち位置のティア。パンデミックを発生させる犯人を追う中で異能を用いた熱く勢いのあるバトルと、それぞれの立ち位置での正義が対立するシリアスな世界観はなかなか面白くて、そんな中で揺れる相棒・ティアとの信頼関係を再構築してゆく過程が著者さんの真骨頂なのかなと(苦笑)

 

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

 

 有機素子コンピュータによる会話プログラムの共同研究者を失い何も手につかなくなった南雲助教と、列車に轢かれて亡くなった元恋人の会話を再現しようとする学部生の佐伯衣理奈。そんな前に進めない二人が巡り合う連作短編集。会話プログラムとのやりとりを交えつつ繰り広げられる、共同研究者、契約社員、元恋人、そして南雲と衣理奈のエピソード。概念自体はやや難解でしたが、理系らしい合理思考と割り切れない情念のせめぎ合いの中で変化してゆく不器用な人間模様はとても優しくて、そんな彼らが迎えた結末はなかなか心に響くものがありました。

 並行世界間が実証された世界。両親の離婚を経て父親と暮らす少年・日高暦が、父の勤務する虚質科学研究所で佐藤栞という少女に出会う物語。親同士が離婚した研究者という共通点から、共に過ごすうちにほのかな恋心を育んできた暦と栞。全てを一変させるきっかけとなった親同士の再婚話と二人を襲った悲劇。諦めきれずに彼女を取り戻すために生きることを決意した暦の執念は凄まじいと感じましたが、そんな彼に寄り添うように支え続けた同僚の研究者・和音の献身ぶりにも思うところが多かったです。同時刊行のどちらを先に読むのかは悩ましいですね。

並行世界間が実証された世界。両親の離婚を経て母親と暮らす高崎暦が、地元の進学校で85番目の世界から移動してきたというクラスメイト・瀧川和音と出会う物語。入学時の因縁をきっかけに運命的な出会いを果たした、暦と和音の一見腐れ縁のようにも思える関係。同時刊行作品の出来事との関連性を織り交ぜつつ、並行世界が実在する世界ならではの問題に悩まされながらも、それを力を合わせて乗り越えてゆく二人はとても幸せだったんだろうなと思わせるものがありました。二つ読んで比べてみるといろいろ思うところが出てきてとても面白かったです。

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)

 

 裏側で「くねくね」を目にして死にかけていた時、仁科鳥子と運命的な出会いを果たした女子大生の紙越空魚。危険と隣合わせで謎だらけの裏世界に二人で足を踏み入れる怪異探検サバイバル。研究とお金稼ぎを目的とする空魚と、姿を消した大切な人を探すために非日常へと足を踏み入れる鳥子。始まりと出会いはやや唐突にも思えましたが、成り行きから何となくコンビを組んだ感もあった二人に絆めいたものが生まれて、相手のために奔走する展開は悪くなかったですね。タイトルにあるようなピクニックとはとても言えない怖いテイストでしたが(苦笑)現在2巻まで刊行。

星を墜とすボクに降る、ましろの雨 (ハヤカワ文庫JA)
 

人造の眼球と巨砲トニトゥルスで、地球圏に迫る星々を軌道庭園から撃ち墜とす子どもたちの一人である霧原。寡黙な担当整備工の神条の傍らにいることに満足していた彼女が、自らの無慈悲な宿命に直面する小さな恋の物語。突然現れた神条の元妻を名乗るハヤトの存在、そして空前の規模の流星群が飛来する中でようやく不器用な想いを自覚し、自分がどうあるべきか戸惑ってしまう霧原。最期までスナイパーであるべきか、気付いてしまった想いに向き合うべきか、心揺れた先にあった衝撃の結末でしたけど、これもまたひとつの愛の形なのかもしれませんね。

地球人類は国籍の区別なく商連と呼ばれる異星の民の隷属階級に落ちた未来世界。閉塞した日本から抜け出すため、アキラは募兵官の調理師パプキンの誘いで商連の惑星機動歩兵―通称ヤキトリに志願する近未来SF。国籍も違う癖の強いメンバー四人と実験ユニットK-321に配属され、火星に向かうアキラ。その過程で嫌というほど思い知らされるヤキトリの過酷な待遇。どれだけ屈辱的な扱いを受けたり凹まされても反骨心を失わないアキラたちには凄いなと感心しきりでしたが、だからこそ見出した活路が変革の兆しになるか今後に期待のシリーズ。現在2巻まで刊行。

 機械知性により過保護過ぎるほど守られた宇宙世界。中央星域の商家を勘当されたお人好しな若旦那マルスが、辺境の宇宙港でかつての奉公人・祖父の食堂〈このみ屋〉を再開させようと頑張る少女コノミと再会する物語。宇宙グルメを期待して読むと、計算され過ぎた調整食や厳しい辺境の食糧事情に面食らいますが、どんどん厄介事に巻き込まれてゆく若旦那に、バイタリティあふれるコノミや若旦那の妹、異星人まで絡むカオスな展開には勢いがあって、あれ?と思うようなところも散見されますが、荒削りながらもなかなか面白いものを読めたと思いました。 現在2巻まで刊行。

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

 

 会いに来る新世代のアイドルを描いた「最後にして最初のアイドル」ガチャに取り憑かれたフレンズたちが宇宙創世の真理へ驀進する「エヴォリューションがーるず」異能の声優たちが銀河を大暴れする「暗黒声優」の三編が収録された作品集。何か凄いらしい…とは聞いてましたが、オタクの心を掴むキーワードのはずが全く別の何かに成り果てていて、一方でSFとしては壮大なスケールの物語だったりで、そんなギャップがこの本を読む前提としてあるために、その強烈なインパクトをどう評価すればいいのかちょっとよく分からなくなった一冊でした(苦笑)

 電撃文庫版の改版。鏡状門開発で世界が数時間で結ばれる鉄道網が実用化された時代。東京駅上空に浮かぶ幻の第11番ホームに勤務する少女TBの物語。11番ホームを訪れる人たちとTB、仲間の義経・AIを交えたやりとりを中心とした物語で構成されていますが、話の中で徐々に明らかになっていくTBの乗り越えた過去があり、その上で彼女の前向きな姿勢や行動を見ると、周囲の人がその人柄に感化されていくのも納得ですね。ベースとしては明るいテイストではないですけれど、最後は悪くない読後感のお話が多かったです。現在2巻まで刊行。

楽園追放―Expelled from Paradise― (ハヤカワ文庫JA)

楽園追放―Expelled from Paradise― (ハヤカワ文庫JA)

 

 水島精二監督、虚淵玄脚本による映画の公式ノベライズ版。映画未視聴。人類の多くがデータとなって電脳世界ディーヴァで暮らしている世界。保安要員アンジェラが地球に降り立ち、地上捜査員ディンゴとともにハッキングを仕掛けてきたフロンティアセッターの謎を追う物語。映画に準拠した構成とのことですが、ビジュアルで見たら映えそうな描写が多く映画版が見てみたくなりますね。クリスティアンがアンジェラとの良い比較対象となっていて、ページ数が少ない割に物語をうまくまとめていると思いましたが、もう少しボリュームあっても良かったかも?

捜査官アンジェラの助けで外宇宙に旅だったフロンティアセッターに対して、アンジェラ自身の複製体が下級市民の少年少女三人とともに追撃を命じられる公式続編小説。本人に成り代わることを目論みながら、徐々に保安局の判断に疑問を感じるようになっていくアンジェラの複製体。そしてジェネシスアーク号への移住を目論むユーリとライカ、ブラウンの三人の関係。持たざる彼女らが複雑な生々しい嫉妬や葛藤を抱えながらも助けるためにと奮闘し、それをアンジェラが助ける展開には盛り上がりましたね。スピンオフとしてなかなか楽しめた後日談でした。

 ミドリムシの変異体・エルグレナが生態環境を支配し、海面上昇により地表の大半を水に覆われた25世紀の地球。その調査に宇宙コロニーからやってきた研究者ケンガセンが、島嶼部で暮らす巫女ヨルと出逢う近未来SF。彼女と出会い数奇な運命に巻き込まれてゆくケンガセン。SF的な設定や立ち位置でガラリと変わる倫理観や考え方なども興味深かったですが、研究バカだった彼が価値観の違いに戸惑いながら交渉したり政治に振り回されたりしながら、人類が迎える新たな局面と、そんな中で育まれてきた二人の絆を感じる結末はなかなか良かったですね。

know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)

 

 電子葉の接続が義務付けられてるような高度情報化社会を舞台に、全ての情報を手に入れることができる少女知ルを恩師に託された連レルが、約束を果たすまでの四日間を共に過ごすお話。小説ではありますが「知っている」ということの定義が変わった世界で、では「知る」ということがどういうことか、文中で語られる考察はとても興味深く読めました。知ることを突き詰めていくと、最終的に死とは何かに行き着くというのはなるほどと思いましたが、最後の言葉から示唆されるように、この世界ではそれすらも乗り越えてしまったということなんでしょうね。

バビロン 1 ―女― (講談社タイガ)

バビロン 1 ―女― (講談社タイガ)

 

 製薬会社と大学が関与する臨床研究不正事件を追っていた東京地検特捜部検事正崎善が、捜査資料の中にあった謎の血痕や毛髪混じりの書面を発見し、相棒の事務官文緒とともにそれを探るうちに大型選挙の裏に潜む陰謀に巻き込まれていく物語。最初は奇異な事件こそあるものの、全体としては正崎が感じた違和感をきっかけにターゲットを絞り込んでいく、わりとオーソドックなストーリーだと思っていたのですが、後半の怒涛の急展開は予想の斜め上でしたね。一人の女により大きく動かされ、二転三転してゆく物語の行方はどうなるのか楽しみなシリーズですね。現在3巻まで刊行。

 幼いころに出会ったハーフの女の子ユーリヤ。僕をスプートニクと呼ぶ彼女と月を見上げて宇宙飛行士に憧れた夢。そんな二人の成長を描く物語。どんどん成長するスプートニクと生まれつき身体が弱い彼女とのすれ違い。遠く離れ夢に向けて突き進むユーリヤとの再会と、焦燥を覚えつつ遅ればせながら夢を追いかけることを決意したスプートニクの思い。彼女との距離がどんどん遠くなっていっても、お互いかけがえのない存在であることは変わりなくて、素直になれない彼女にきちんと向き合ったスプートニクの覚悟には本当にぐっと来るものがありました。

マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)

マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)

 

 人工海上都市『キヴィタス』のアンドロイド管理局に勤める若きエリート技師エルが、仕事からの帰り道で登録情報のない野良アンドロイドの少年・ワンと出会い不思議な共同生活を始める物語。アンドロイドが貴重な労働力になっている世界で、不器用だけれどアンドロイドには真摯に向き合うエルに、訳ありなアンドロイドのワンは何だかんだ言いながらも振り回されっぱなしで、エルの事情も明らかになってゆく中、二人の関係性がワンの過去を巡る騒動と絡めつつとてもいい感じに描かれていたと思いました。もし続巻あるようならまた読んでみたいですね。

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

 

 2025年の夏休み。双子の高校生・明日子と日々人は突然いとことの同居を父から告げられ、やって来た今日子が実は長い眠りから目覚めた三十年前の女子高生だったという物語。時代のギャップに戸惑いながら徐々に双子と打ち解けてゆく今日子の存在は、バラバラになっていた家族を繋ぐきっかけにもなって、過去との繋がりを感じるがゆえにもう取り戻せないことを痛感する彼女と、どうにもならない現実に直面した双子の対照的な選択、昔の想い人の回想がとても印象に残りました。懐かしい気持ちと切ない気持ちが入り混じる素敵なひと夏の物語ですね。

探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫nex)

探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫nex)

 

 密室で謎の死を遂げた人工知能研究者の父。その死に疑問を持った高校生の息子・輔が、探偵AI・相以とともに父を殺した真犯人を追う過程で、犯人AI・以相を奪い悪用するテロリスト集団「オクタコア」の陰謀を知るミステリ。対となる存在の探偵と犯人という双子AI。明らかになる人工知能による世界統治を目指すオタクコアの存在。分かりやすい解説を加えながら語られる発展途上の存在から深層学習で成長する人工知能たちを軸とする展開は、やや強引かなと感じられる部分もありましたがなかなか興味深くて楽しめました。

断片のアリス (新潮文庫nex)

断片のアリス (新潮文庫nex)

 

 雪と氷に閉ざされた現実世界から離れ、人々が生活のほとんどをVRシステム「ALiS」の中で過ごす近未来。傷つくことのない穏やかで平和な仮想空間で、突如椎葉羽留がVR内に閉じ込められる脱出サバイバル。「ピノッキオの冒険」をモチーフにしたログアウトもできない謎のVR世界で、謎めいた指示に従って危険を乗り越え狂気の館に集まった生き残りの五人。誰かが死ぬ度に次第に状況が明らかになってゆく構図で、生き残るためにお互いが疑心暗鬼になってゆく展開には緊張感があって、こういう世界観ならではの結末はなかなか興味深かったです。

 近未来的な世界で、続発する電脳ウイルスを使った事件に挑むサイバー警察ものといったお話。近未来らしい犯罪描写や数々の因縁もある一方で、人間関係に不器用なエリート隊長伊江村と、彼女に学生時代から惹かれながらアタックもできず、諦めることもできず、他の女に走って同期に「ブス製造機」とか言われる御崎の初々しい関係性がメインに据えられていた感。ライバルの篠木に最後おいしいところを持って行かれたのは残念でしたが、勇気を出した告白で始まってすらいなかった二人の不器用な関係が今後どう変わっていくのかも楽しみなシリーズです。全3巻。

 

今読んでる「忘られリメメント」もなかなか面白い近未来SFですが、これはまだ読み終わっていないのでまた機会を改めてということで。

忘られのリメメント (早川書房)

忘られのリメメント (早川書房)