読書する日々と備忘録

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2017年下半期注目のオススメ新作ライトノベルファンタジー13選

そろそろ年末も近づいて下半期のオススメ企画の時期になりました。とりあえず今回も上半期と合わせてラノベファンタジー、恋愛・青春小説、ライト文芸、一般文庫の4回に分け、新作読み終わったところから更新していきたいと思います。

 

まず第一弾としてラノベファンタジーです。今回は13点セレクトということで、新作という基準から見ると、一時期よりは何となくこれだ!と思える自分好みの作品は少し減ってきているのかなとは思わなくもないです。今回4つに分けたうちのどこに入れるかはざっくりと分けた区分なので、どこに入っているかは紹介する上での便宜上なものとして考えていただければ幸いです。

群青の竜騎士 1 (ヒーロー文庫)

群青の竜騎士 1 (ヒーロー文庫)

 

 科学とファンタジーが混じり合う世界。テルミア空軍第一航空隊の結城文洋が交戦中に邂逅した少女・レオナ。策謀に巻き込まれた異国の少女を若き飛行士たちが救う航空戦記。母国に残されたレオナの弟を救出するため密かに協力を惜しまないフミや男たちはカッコよくて、機を逃さずしっかり妻の座に収まったエルフで大家のローラを軸に、養女となったレオナやダークエルフで戦場では相棒のラディアといったヒロインたちもまた魅力的で、絶妙な世界観を舞台に繰り広げられる躍動感のある展開もとても良かったです。これは続巻も期待の新シリーズですね。

赫光の護法枢機卿 (ファミ通文庫)

赫光の護法枢機卿 (ファミ通文庫)

 

  マラークに抗う唯一の武器・プレロマを突如授けられ、思わぬ形で護法枢機卿となったアルゾラ。初陣を何とか切り抜けた彼女が、仲間と輿入れの最中に行方不明となった法王の妹君救出の密命を受けるファンタジーアクション。訓練も不十分で覚悟も定まらないままに戦場へ放り込まれたアルゾラが出会った、黒の巡礼者と呼ばれ戦うことしか知らない最強の枢機卿キュリアロス。いきなりギリギリの状況が続く中で各人の思惑がせめぎ合う展開でしたが、緻密な世界観とキャラたちの掛け合いには著者さんらしさがよく出ていて、今後に期待の新シリーズですね。現在2巻まで刊行。

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 運命の剣 (MF文庫J)

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 運命の剣 (MF文庫J)

 

 地上の覇権を争う五種族大戦が英雄シド率いる人類の勝利に終わった時代を生きていたはずの少年カイ。突如人間が五種族大戦に敗れた世界に飛ばされ謎の少女リンネと巡り合う物語。自分を知らない世界で友人や幼馴染たちと再会し、手に入れたシドの剣と囚われていた少女リンネとの出会い。劣勢の人間族の窮地にあえて強敵に挑む展開はテンポも良くて読みやすく、物語の方向性も今回できちんと提示されましたね。リンネや幼馴染との関係や謎めいた花琳さんとか、世界がどうなっているのかも含めて気になるところもいろいろあったりで、今後が楽しみなシリーズですね、現在2巻まで刊行。

スクールジャック=ガンスモーク (ガガガ文庫)

スクールジャック=ガンスモーク (ガガガ文庫)

 

  戦勝国・葦原皇国に創設された新兵器・機巧外骨格のパイロット育成学校。そこで戦時中の遺恨からテロが発生し、運命的な因果に絡め取られた二人の手に人質たちの命運が託される物語。戦時中の虐殺という事実無根の糾弾から貶められ爆発した元情報部。かつて情報部に助けられたヤンキー風のウブなヒロイン・連理と、整備士として学園を訪れた元情報部の凛児が力を合わせその阻止に動く展開は、いくつもの悲しい因縁にAIやロボットも絡めたギリギリの緊張感があって、何よりその結末が自分好みでとてもいいですね。もっと早く読めば良かったです。

 吸血鬼ハンターの顔も持つ池袋の横町で小さなバーを営む神谷誠一郎。ある夜、彼のもとに世界で唯一の自称生まれつきの吸血鬼綾瀬真が訪ねてくる物語。吸血鬼になってしまった妹を追う誠一郎。かつての恋人・綾瀬泉の娘をかくまうことにした彼と、自らの目で見極めた誠一郎を信頼し押しかけ女房気取りで振る舞う真。可憐でしたたかな真が見せる可愛らしいギャップと、ストイックでルーチンを大事にしていたはずなのにいつの間にかそれを受け入れ始めている誠一郎の距離感が素敵で、複雑に絡み合う因縁が何をもたらすのか、続巻がとても楽しみですね。

魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。 (GA文庫)

魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。 (GA文庫)

 

 魔王軍の紅蓮の騎士カズキ(人間)は魔王の娘で幼馴染のアストリッドのコミュ障を治すため、魔王の命で人間の田舎町に二人一緒に暮らすスローライフ幼馴染ラブコメ。魔王に間違いがあったら死罪と言われながら、その配慮でかいがいしく世話をするアストリッドにたびたび理性が崩壊寸前のカズキ。そんな彼らの前に現れる宿敵でバカップルな勇者アスマと女神官ミラ。安心安定の甘々な展開にカズキの秘密や魔王の思惑も絡めた展開は、ハッピーエンドのために立ち上がったアストリッドの決意もあって面白くなりそうですね。続巻に期待の新シリーズです。

叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士 (電撃文庫)

叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士 (電撃文庫)

 

  邪神カを降臨させたランドール王国の野望を挫いた六人の英雄の一人・ギュネイ。平凡なその後の人生を選ぼうとしていた彼が、ふとしたきっかけから王国の現状を探るうちに、窮状を見捨てられず巻き込まれてゆく物語。戦勝国による身勝手な戦後処理で荒廃する国土と苦しむ民衆の姿に疑念を覚えてゆくギュネイ。苦悩しながらも巻き込まれ続けて救世主に登りつめてゆく彼と、したたかな王女ミネルバや彼を監視するディドー、初恋の王女といったヒロインをうまく絡めて物語を盛り上げてほしいですね。思わぬ方向へ向かう今後が楽しみな新シリーズです。

デュシア・クロニクル 十二騎士団の反逆軍師〈リヴェンジャー〉 (ファンタジア文庫)

デュシア・クロニクル 十二騎士団の反逆軍師〈リヴェンジャー〉 (ファンタジア文庫)

 

  帝国に家族を殺されて黒天十二騎士団の座も追われ、今は反帝国派の希望・軍師アートルム卿として活動する少年シオン。辺境の王国騎士セレインとの出会いから、西方大陸の歴史を変える復讐の戦いが始まる戦記ファンタジー。帝国の対応を巡って王女派と宰相派に分かれるエルザイムを舞台に、王女派として旅の剣士シオンとアートルム卿の二役を演じつつ戦いを主導する展開。野心を胸に秘めた王女やツンデレなセレインといったヒロインたちを魅力的に描きつつ複雑な因縁も絡めてゆく構成は、戦記物として見るとこれからですけど期待の新シリーズですね。

聖王国の笑わないヒロイン 1 (ヒーロー文庫)

聖王国の笑わないヒロイン 1 (ヒーロー文庫)

 

 美人なのに無愛想で同僚からは鉄仮面と揶揄される王国魔法騎士団の女騎士・ニア。立ち寄った魔法具店で店員の男に捨てたはずの過去を看破され、そこから動き出す元伯爵令嬢の物語。魔法具店の店員で自らを転生者と語るアルンバートによって明かされる前世の彼女をゲームのヒロインとする物語。明かされた内容に半信半疑で、ありようもシナリオからも外れてゆく彼女が遭遇する事件。ルートとしてはやや意外に思った方向へ向かいそうですけど、彼と仲間たちに出会ってから少しずつ変わってゆく彼女の変化は好ましくて、これはこれで今後に期待ですね。

ウォーター&ビスケットのテーマ1 コンビニを巡る戦争 (角川スニーカー文庫)

ウォーター&ビスケットのテーマ1 コンビニを巡る戦争 (角川スニーカー文庫)

 

 臆病であることを誇る高校生・香屋歩と幼馴染秋穂が迷い込んだのは、8月がループする街「架見崎」だった。戦闘の役に立たない能力を希望した二人が、乏しい物資を巡る戦争に巻き込まれてゆく物語。設定されたルールの中で戦うゲームのような世界に飛ばされ弱小「キネマ倶楽部」に所属することになった二人が、いきなり戦闘に巻き込まれてゆく展開でしたけど、ゲームの本質を見極めつつ強者との駆け引きの読み合いで一歩先を行く二人は存在感がありましたね。もう一人の幼馴染がちょっと意外でビックリでしたが、続巻でどうなるか期待ということで。

魔術監獄のマリアンヌ (電撃文庫)

魔術監獄のマリアンヌ (電撃文庫)

 

 魔術師たちの監獄『ヴァッセルヘルム大監獄』に着任した若き刑法官マリアンヌが、数年前に魔術師たちの反乱を扇動して捕らえられた男ギルロアとともに、未だ逃亡を続ける反乱の首謀者レメディオスを捕縛する旅に出る物語。故郷と両親を失って魔術師に複雑な想いを抱えるマリアンヌと、掴みどころがないギルロアの目的。彼女たちが旅先で目にする意外な光景と、王国で反乱と呼ばれていたものの真実。きちんと向き合ったマリアンヌの心情を思うと切なくもありましたけど、そんな彼女の決意とこれからを応援したくなるとても著者さんらしい作品でした。

いつかのレクイエム case.1 少女陰陽師とサウル王の箱 (GA文庫)

いつかのレクイエム case.1 少女陰陽師とサウル王の箱 (GA文庫)

 

 西洋・東洋の魔術師たちが闇に潜みながら生きる現代。陰陽師だった父の後を継いで探偵事務所を経営する女子高生ひよりが、同居人の魔女術使いレイジや女性魔術師・史鳳とともに謎の箱探しと連続殺人件解決に動き出す物語。史鳳が謎の女性から引き受けた詳細が不明な謎の過去探し。ひよりたちが警察から依頼を受けた不審な連続殺人事件の解決。繋がってゆく二つの事件に実力者のレイジと現時点では未熟なひよりのコンビを軸に挑む構図はさすがの安定感で、主人公の成長とレイジとの関係が今後どう変化していくのか、次巻に期待というところですかね。

桜色のレプリカ 1 (HJ文庫)

桜色のレプリカ 1 (HJ文庫)

 
桜色のレプリカ 2 (HJ文庫)

桜色のレプリカ 2 (HJ文庫)

 

 「学校」の文学教師を務めている六方カザネが、ある日理事長の二階堂イツキに呼び出されて奇妙な依頼を受ける物語。同じ教師を務める彼女・メグミがいて、淫乱ピンクの三十刈アイラ、アニメ的お約束好きの四十田ユキ、委員長タイプの五十嵐ヒビキや、無口で小説好きの百合原ハルカといった女生徒たちに振り回される日々。けれどそれも緊急時には全く別の一面があって、急展開の中で明かされてゆく事実はこの物語そのものの意味合いもガラリと変えてしまいましたけど、そこからさらに驚愕の事実を突きつけられ、全く違った様相を見せていく構図には驚かされました。全2巻。

 

以上です。年内新作があと何点か残ってはいますが、これまで読んだ分についてはだいたいセレクトできているので、残りも年内には4つ全て上げたいと思います。

 

ちなみに今年の上半期版はこちら↓ 

 2017年下半期注目のオススメ企画