読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

※弊サイト上の商品紹介にはプロモーションが使用されています。

3月に読んだ本 #読書メーターより

というわけで3月に読んだ本です。隙間時間に読んでいるマンガが1日1冊以上のペースで読んだので結果的にこんな冊数になっていますが、活字の本としては1日2冊ペースを割っているので実感としてはむしろ読めてない感じです。ただ分量的にブログ更新が結構重くなってきていて、読んだ本全部だと文字数制限オーバーしてしまったので今回コミック分は削りました。コミックは別エントリするほどでもないかなと個人的に思わなくもないですが、どうするのかちょっと考えています。

 

3月の読書メーター
読んだ本の数:97冊
読んだページ数:25125
ナイス数:6503

白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)感想
人々が陸地のほとんどを失い、いくつかの巨大な船に都市国家を作ってわずかな資源を争う世界。船国を行き来して荷物を運ぶスワローの少年・シエルが、無人島に流れ着いた謎の少女・ステラと巡り合うボーイミーツガール。空を飛ぶことにしか生きる意味を見出だせないシエル。理由を明かさないまま自分を荷物として運んで欲しいと依頼するステラ。その飛行は息苦しかった彼らにとって新鮮だけれど危険の連続でもあって、たびたび衝突しすれ違った彼らが力を合わせて乗り越えようと挑んだそのとても爽やかな結末は、次回作も期待したくなるものでした。
読了日:03月31日 著者:阿部 藍樹
終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#04 (角川スニーカー文庫)終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#04 (角川スニーカー文庫)感想
手負いのフェオドールとラキシュが目指すのはかつての戦場コリナディルーチェ市。ティアットは朱髪の先輩妖精兵らと邂逅を果たし、妖精倉庫の管理人喰人鬼もまた旧き知人を訪ねてその地を訪れる第四弾。護翼軍や貴翼帝国など様々な思惑による争いに巻き込まれてゆくフェオドールたち。ラキシュの身に起こった変化と、フェオドールの姉により画策された密かな再会。第一部の登場人物たちもまたここで徐々に集結し舞台は整いつつあるように思えますが、ラキシュとの繋がりや未だ気づかないままの彼女との関係が今後どうなるのか、続巻が楽しみですね。
読了日:03月31日 著者:枯野 瑛
<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 3.超級激突 (HJ文庫)<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 3.超級激突 (HJ文庫)感想
決闘都市ギデオンの闘技場で開催のイベント『超級激突』に町中がお祭り騒ぎで、アルター王国の「無限連鎖」フィガロ黄河帝国の「応龍」迅羽が激突する第三弾。レイは前回の戦後処理があったくらいで、また懲りずにちょっとやらかしそうな場面はありましたが、大食いエピソードのネメシス含めて今回はイベントの観戦者の立ち位置。本編としては次の展開に向けた繋の回でしたけど、ルークとマリーのエピソードを収録した短編は彼らの意外な素顔と秘めた力の一端が垣間見えて興味深かったです。それが今後にどう繋がってゆくのか続巻に期待します。
読了日:03月31日 著者:海道左近
精霊幻想記 7.夜明けの輪舞曲 (HJ文庫)精霊幻想記 7.夜明けの輪舞曲 (HJ文庫)感想
レイスが操る魔物の大群に襲われたリーゼロッテの一団に加勢したリオ。その圧倒的な力にその場にいた誰もが興味を持ち、またリオも勇者召喚の情報を求め貴族たちと関係を築こうと動き出す第七弾。襲撃を助けて強烈なインパクトを残したリオと、強烈なインパクトを残した救援をきっかけとした貴族たちとの交流と、密かに進行するレイスの襲撃計画。どうにも小物っぽいうざい勇者には苦笑いするしかなくて、過去の因縁の相手との決着はつけ損ないましたが、リオを気にかけるヒロインたちがさらに増えて、その関係や今後の展開も気になるところですね。
読了日:03月30日 著者:北山結莉
仕事の問題地図 ~「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方仕事の問題地図 ~「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方感想
「計画がない」「進捗が分からない」「バラバラなモチベーション」「抵抗勢力」「なぜ失敗を繰り返すのか」など仕事が思うように進まない要因を明らかにしてその解決策を提案する第二弾。どうしてよくあるムダな仕事や問題が発生してしまうのか。その原因やありがちな事例を地図として明確化し、分かりやすく分解して地に足付いた解決策を提示する本書。難しい言葉を使わずとても読みやすく書かれていて、問題解決の基本的な考え方を学ぶことができるとてもいい一冊だと思いました。同じ著者さんの「職場の問題地図」も併せて読むのがオススメです。
読了日:03月30日 著者:沢渡 あまね
飛べない鍵姫と解けない飛行士 その箱、開けるべからず (コバルト文庫)飛べない鍵姫と解けない飛行士 その箱、開けるべからず (コバルト文庫)感想
天才錠前師・トマスの養女として育てられた少女・マージ。トマス亡きあと錠前店を継いだマージの元に伯爵家の若き当主・アレックスが破格の報酬で解錠依頼を持ってくるスチームパンクミステリ。複雑な事情を抱えた侯爵家の遺産相続を巡る解錠依頼。なぜか伯爵家で丁重な対応を受けて困惑するマージ。侯爵家の過去の事件の真相と明らかになる真実。物語の筋としては分かりやすいシンプルなものでしたが、ハッキリとした性格のマージや軽そうで意外と真摯なアレックスなど登場人物たちも魅力的に描かれていて、最後まで気持ちよく読めた物語でした。
読了日:03月30日 著者:山本 瑤
(P[あ]6-3)水沢文具店: あなただけの物語つづります (ポプラ文庫ピュアフル)(P[あ]6-3)水沢文具店: あなただけの物語つづります (ポプラ文庫ピュアフル)感想
ペンとノートを買えば店主が自分のためだけに物語を書いてくれる小さな文房具店「水沢文具店」。その謎めいた店主・龍臣と悩める小学校教師・栞、訪れるお客たちのエピソードが綴られる物語。教師を続けてゆくことに自信を持てない栞。彼女や元店主だった祖父の友人、書けなくなった作家といった店を訪れる悩める人たちの話を聞いて物語を書く龍臣。彼自身も抱える過去があって、物語の提示によって明確な解決方法が提示されるわけではないものの、辛い時に共感して背中を押してくれる、前を向けるきっかけの大切さをこの物語から改めて感じました。
読了日:03月29日 著者:安澄 加奈
きみがすべてを忘れる前に (宝島社文庫)きみがすべてを忘れる前に (宝島社文庫)感想
放課後の教室で同級生だった長谷川紫音の幽霊と出会った霊感体質の結城クロ。そんな彼が紫音と一緒に学内にいる幽霊たちの心残りを解消してゆく切ない青春ラブストーリー。想い人で幽霊になってしまっている紫音とずっと彼女を支えてきた志郎、クロの複雑な三角関係。幽霊に対してそれぞれ異なる力を行使できるクロの三姉妹の力を借りて校内の幽霊問題を解決しながら、徐々に明かされる紫音の事情とその核心。明かされた真実はそれまでの流れからするとやや意外でしたけど、残された希望がどういう結末を迎えるのか最後まで読めることを期待します。
読了日:03月29日 著者:喜多 南
ケーキ王子の名推理2 (新潮文庫nex)ケーキ王子の名推理2 (新潮文庫nex)感想
世界一のパティシエ・青山から店のケーキバイキングに招待された未羽。そこで青山とただならぬ因縁があるらしい外国人の美女が現れ、彼の秘められた過去が明らかになる第二弾。進級し新しい友達もできて、青山のお店でアルバイトをすることになった未羽。リベンジするためにコンクールに挑む颯人。ややページ少なめの今回は青山さんのエピソードが中心でしたけど、相変わらずケーキが大好きな未羽の熱い語りは美味しそうで、一緒の時間を過ごすことで少しずつ変わり始めた颯人との関係も今後に期待というところですか。早めの続刊を期待しています。
読了日:03月28日 著者:七月 隆文
愛原そよぎのなやみごと 時を止める能力者にどうやったら勝てると思う? (ファミ通文庫)愛原そよぎのなやみごと 時を止める能力者にどうやったら勝てると思う? (ファミ通文庫)感想
好意を寄せるクラスメイト・愛原そよぎの悩み事は想像を遥かに超えるもの。本気とも冗談ともつかない相談に真剣にアドバイスを送る二人による非日常系お悩み相談日常ラブコメ。秘密のはずなのにバレバレな質問をする天然娘・そよぎと、彼女に惹かれ気づかないふりをして真摯に答えてあげる幸助。そよぎだけでなく彼女の友人や弟・雪弥にも振り回されるドタバタ展開で、けれどそよぎが抱える秘密と次々と明らかになってゆく切ない過去や複雑な事情は切なくて、それでも周囲の人たちがいたからこそ迎えられたほっとする結末はなかなか良かったです。
読了日:03月28日 著者:雪瀬 ひうろ
イスラーム入門 文明の共存を考えるための99の扉 (集英社新書)イスラーム入門 文明の共存を考えるための99の扉 (集英社新書)感想
世界のムスリムの人口16億人を超えると言われる今、日本人イスラーム法学者が「ムハンマド」「スンナ派」など99のトピックでイスラームの教えと歴史、多様性を解説した一冊。本書は宗教としてのイスラームの基本教義やその宗派とそれが成立した経緯、イスラーム教徒の信仰生活や社会の仕組みといったイスラームを理解するためのキーワードを取り上げつつ極力分かりやすい言葉で解説していて、全体像や関連性を把握するにはもうひと工夫あると良かったかな?とも感じましたが、イスラームの現況を知るには参考になる部分も多かったと思いました。
読了日:03月28日 著者:中田 考
君と星の話をしよう 降織天文館とオリオン座の少年 (集英社オレンジ文庫)君と星の話をしよう 降織天文館とオリオン座の少年 (集英社オレンジ文庫)感想
幼少時に負った顔の傷が原因で周囲と馴染めず、高校を中退した直哉。そんな彼が星好きな不思議な青年・蒼史と出会い、その小学生の妹・桜月と営む天文館に通うようになる物語。根も葉もない噂に振り回され、親ともわだかまりを抱えていた直哉。複雑な事情があってお互いに少し遠慮のある蒼史と桜月。少しずつ足りない部分があった彼らが補い合うような関係を築いてゆくことで少しずつ周囲との交流も増えてゆき、誤解から危機的状況に陥りかけたりもしましたが、それを乗り越え未来へ向けて一歩踏み出すことを予感させる結末はとても心に響きました。
読了日:03月28日 著者:相川 真
あなたのこども、そのままだと近視になります。 (ディスカヴァー携書)あなたのこども、そのままだと近視になります。 (ディスカヴァー携書)感想
最近娘の視力がやや不安定ということもあって、ちょっと気になってみて読んだ1冊。小学生の30%、高校生の65%が近視という状況の一方で、そういう子どもが急増している本当の原因は明らかになっていない現状。どうして近視になるのかという原因の解説や書かれている一部の内容は何とも評価が難しかったですが、詳しいメカニズムこそ明らかでないもののバイオレットライトを浴びることは近視防止に効果があるらしく「外で遊ぶことで近視になりにくい」のは確かなようです。それならすぐにできることですし、改めて意識してみようと思いました。
読了日:03月28日 著者:坪田 一男
裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)感想
裏側で「くねくね」を目にして死にかけていた時、仁科鳥子と運命的な出会いを果たした女子大生の紙越空魚。危険と隣合わせで謎だらけの裏世界に二人で足を踏み入れる怪異探検サバイバル。研究とお金稼ぎを目的とする空魚と、姿を消した大切な人を探すために非日常へと足を踏み入れる鳥子。始まりと出会いはやや唐突にも思えましたが、成り行きから何となくコンビを組んだ感もあった二人に絆めいたものが生まれて、相手のために奔走する展開は悪くなかったですね。タイトルにあるようなピクニックとはとても言えない怖いテイストでしたが続巻に期待。
読了日:03月27日 著者:宮澤 伊織
ハッピー・レボリューション (メディアワークス文庫)ハッピー・レボリューション (メディアワークス文庫)感想
ゆるい部署に馴れきってしまい、気づけば20代最後の日を目前に焦りだした流され体質のOL夢子。空回り続きだった彼女がふとしたきっかけから一念発起して奮闘する物語。これまで共に受験や就活を乗り切ってきた脳内軍曹と自己変革に挑むも、うまくいかないことだらけで夢子に突き刺さる厳しい現実。前作の二人も甘々な恋人同士として登場したりで、ストーリーとしても分かりやすいベタな展開でしたけど、彼女を助けてくれる周囲の人たちにいい意味で感化され、彼女の頑張りによって周囲も変わってゆく好循環は読んでいて気持ちいい読後感でした。
読了日:03月27日 著者:星奏 なつめ
繰り返されるタイムリープの果てに、きみの瞳に映る人は (メディアワークス文庫)繰り返されるタイムリープの果てに、きみの瞳に映る人は (メディアワークス文庫)感想
順風満帆だったはずの慶介と亜子の関係。しかし突然亜子に別れを告げられた慶介に数か月前にタイムリープするという機会が与えられ、別れを回避すべく試行錯誤するファンタジー・ラブストーリー。突如態度が豹変した亜子の取り付く島もない別れの謎。代償を払いながらもタイムリープを繰り返す慶介の奔走がことごとく空振りに終わる回避の手立て。半ばで迎えた思わぬ真相と展開から今度は亜子がタイムリープに挑むことになり、ギリギリの綱渡りでも懸命にしたたかに乗り越えようとする彼女が引き寄せた結末に、お互いの強い想いを改めて感じました。
読了日:03月26日 著者:青葉 優一
ひきこもりの弟だった (メディアワークス文庫)ひきこもりの弟だった (メディアワークス文庫)感想
突然見知らぬ女性に三つの質問を問いかけられた雪の日。誰も好いたことがない掛橋啓太が問いかけた大野千草と夫婦になり、平穏な彼女との生活の中で過ぎ去った過去の日々を追憶させてゆく物語。お互いの過去を知らないまま三つの質問という契約によって夫婦になった二人。引きこもりの兄と共依存関係にあった母との辛い過去。徐々に惹かれ合っているのを自覚するがゆえに、じわじわと重くのしかかってゆく三つ目の質問。それぞれが抱える壮絶な過去も二人でなら乗り越えられると思えただけに、淡々と綴られたその不器用な結末には衝撃を受けました。
読了日:03月25日 著者:葦舟 ナツ
ホーンテッド・キャンパス 白い椿と落ちにけり (角川ホラー文庫)ホーンテッド・キャンパス 白い椿と落ちにけり (角川ホラー文庫)感想
こよみとの初デート以降森司がデート以降彼女と会うと頭が真っ白になって逃げ出したくなる怪現象に。一方で悪魔祓い系の映画がダメな学生から地縛霊、呪いまで様々な依頼者が訪れる第十一弾。今回の依頼は家族や近親者との複雑な関係をベースとした人の執念深い一面が垣間見えるお話でしたが、その怖さがある分違う意味での森司の重症ぶりが際立つというか。本人にとっては深刻でもこよみもあんなんだし、周囲が呆れて生温かい目で見守りたくなる気持ちはわかりますね(苦笑)付き合ってもいないのにお互いの両親公認って凄いw 続巻も楽しみです。
読了日:03月25日 著者:櫛木 理宇
君に恋をするなんて、ありえないはずだった (宝島社文庫)君に恋をするなんて、ありえないはずだった (宝島社文庫)感想
勉強合宿の夜に困っていた同級生の北岡恵麻を助けた地味で冴えない飯島靖貴。それをきっかけに密かな交流が生まれてゆく地味系眼鏡男子と人気者ギャルのすれ違いラブストーリー。入学直後の出来事で恵麻に苦手意識を持っていた靖貴と、助けてくれた靖貴が気になってゆく恵麻。学校では知らんぷりだけれど予備校帰りのわずかな時間で育まれてゆく二人の交流。少しずつ想いが積み重なってゆくのに、繊細で不器用な二人が距離を詰め切れないうちに起きる様々なすれ違いがとても切なかったです。気になるところで終わってしまったので早めの続巻を期待。
読了日:03月24日 著者:筏田 かつら
ナイツ&マジック 7 (ヒーロー文庫)ナイツ&マジック 7 (ヒーロー文庫)感想
未知なる魔獣との遭遇により森へと墜ちてしまったエルとイカルガ。追いかけてきたアディも一緒に森を捜索するうちに巨人族と遭遇し、その争いに巻き込まれゆく第七弾。多眼の巨人族との遭遇と彼らの王位を巡る争いに巻き込まれてゆくエルたち。その過程で出会った巨人族の下につく小鬼族の意外な繋がり。わりと危機的状況にも物資が足りないなりに幻晶騎士を何とかしようとしたり、巨人族に魔法を指導したりと、環境が変わってもエルはエルなんだなあとしみじみと思ってしまいました(苦笑)小鬼族の思惑も絡む中での転機に今後の展開が楽しみです。
読了日:03月24日 著者:天酒之瓢
灰と幻想のグリムガル level.10 ラブソングは届かない (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.10 ラブソングは届かない (オーバーラップ文庫)感想
千の峡谷を抜けオルタナを目指し東へ進む道中の森でモンスター・グォレラたちの襲撃を受けたハルヒロたち。辛うじて執拗な追撃を振り払い逃げ込んだ先の村で意外な住人たちと出会う第十弾。今回はいろいろ言い訳をしながらセトラに振り回されるハルヒロ、という構図が気になって仕方がないメリィの挙動がクザクも読者も気になりまくりの展開でしたけど、彼らが出会った意外なジェシーは物語の確信に迫る鍵を握っていそうでしたね。しかし難敵を相手にした苦戦の先にある衝撃の結末には絶望感しかなくて、予告読んだら続きが早く読みたくなりました。
読了日:03月23日 著者:十文字青
ぼくたちのリメイク 十年前に戻ってクリエイターになろう! (MF文庫J)ぼくたちのリメイク 十年前に戻ってクリエイターになろう! (MF文庫J)感想
しがないゲームディレクターで会社は倒産、企画も頓挫して実家に帰ることになった橋場恭也。輝かしいクリエイターの活躍を横目にふて寝して目覚めると、なぜか十年前の大学入学時に巻き戻っていた青春リメイクストーリー。落ちたはずの大学に受かっていて憧れの芸大ライフ、さらにはシェアハウスで男女四人の共同生活。とはいえ同居人はそれぞれキラリと光るものを持っているのが垣間見えてしまう厳しい現実。今回はこれまでの経験を活かして存在感を出せましたけど、まだまだ試される状況は続きそうで、気になる人間模様も含めて続巻が楽しみです。
読了日:03月23日 著者:木緒 なち
14歳とイラストレーター2 (MF文庫J)14歳とイラストレーター2 (MF文庫J)感想
自分が挿絵を担当するラノベ作家・マリィが担当と揉めて逃亡を図り、気分転換に彼女や14歳コスプレイヤー・乃ノ香まで連れて長崎へ旅行することになる第二弾。相変わらず不用意にやらかしてしまう神絵とか、事案的に大丈夫なのかついつい心配してしまう乃々香との無自覚でスレスレな距離感には苦笑いでしたが、仕事の依頼をきっかけにユウトが抱える複雑な想いも明らかになったり新キャラも登場しつつ、一方で楽しそうに長崎旅行を堪能していたりで面白かったです。変化の兆しを見せ始めた人間模様や、最後の急展開が今後どうなるのか続巻に期待。
読了日:03月22日 著者:むらさき ゆきや
律儀なひと律儀なひと感想
姿は見えないものの亡くなったばかりのおばあちゃんの声が聴こえるようになった貴雅が、おばあちゃんの叱咤激励に振り回されながらも悩める仕事や恋への向き合い方を変えてゆく物語。仕事では歳下の社員や上司に言いたいことも言えず、気にかけてくれている武田さんにも優柔不断な貴雅。心理としてすごくよく分かるけれど、これじゃおばあちゃんも成仏できないよねと思ってしまうような状況でしたが、自分らしく相手にきちんと向き合えるように努力するようになってゆく貴雅の頑張りはとても好ましいもので、切ないけれど心に響く素敵な物語でした。
読了日:03月22日 著者:上生 ミカ
決断のナポリタン-キッチン・ミクリヤの魔法の料理(2) (双葉文庫)決断のナポリタン-キッチン・ミクリヤの魔法の料理(2) (双葉文庫)感想
幼馴染の御厨陽一が経営する「キッチン・ミクリヤ」で、正社員として働き始めた桜木まどか。お子様ランチのメニュー追加に案を出したり、百瀬に興味がある金髪の白人男性が店を訪れたりする第二弾。相変わらず百瀬にいじられながらも、お店周りで起こる事件に関わったり巻き込まれたりな今回でしたけど、おじいちゃんの影響でサムライとして振る舞う子どもたちお子様ランチのお話は良かったですね。恋愛関係はあんまり進展しなさそうな雰囲気ですが、苦悩していた百瀬が出した結論は、それはそれでひとつのありようだと納得できるものがありました。
読了日:03月21日 著者:吉田 安寿
職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方感想
なぜ残業だらけで休めない働き方になるのか。手戻り(やり直し)の多さや上司と部下の意識がずれる理由。報連相や無駄な会議、仕事の所要時間の見積もり、属人化、過剰サービス、曖昧な状態など問題を分かりやすく解説した一冊。早い段階での意識の摺り合わせや、やるべきことの明確化・数値化、相談する時に報連相のどれをすべきなのか明確にする、属人化を正常化させるための当たり前の仕事と付加価値の部分の明確化、無駄なことの整理など、地に足付いたアプローチがとても実践的で参考になりました。「仕事の問題地図」の方も読んでみたいです。
読了日:03月21日 著者:沢渡 あまね
鎌倉おやつ処の死に神 3 (富士見L文庫)鎌倉おやつ処の死に神 3 (富士見L文庫)感想
柚琉の元に突如現れた長らく失踪していた父。その後の急展開に呆然とする間もなく、和花が倒れて難しい決断を迫られることになる第三弾。最後に父と再会できてよかったなとか、犀川さんのあれは教えた代償なのかなとかいろいろ思うところはありましたが、これまでずっと一人で秘密を抱え、あまりにも重い決断を下すことができなかった柚琉への犀川さんの優しさが印象的でした。ただここで完結なら和花だけでなく津守ですら決断したんだし、深町とはしっかり向き合って欲しかった。収まるところに収まったということなのかもしれませんけどね(苦笑)
読了日:03月21日 著者:谷崎 泉
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第三部「領主の養女III」本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第三部「領主の養女III」感想
冬が近付く中、洗礼式や奉納式等への参加、貴族院入学前の子供の指導など、神殿長ローゼマインが城と神殿を行き来する慌しい毎日が描かれる第九弾。反逆した街への厳しい決断を目の当たりになんてこともありましたが、欲望のままにやりたい放題やっていた以前に比べると、戸惑いはあるもののいろいろと学んで変わったりだいぶ成長した部分もあったりで、同年代という物差しで見ると規格外なレベルにあるんだなあと納得。そんな中で時折年相応らしさや家族に対する変わらぬ想いが垣間見える描写がとてもいいなと思いました。続巻も期待しています。
読了日:03月21日 著者:香月美夜
空戦魔導士候補生の教官12 (ファンタジア文庫)空戦魔導士候補生の教官12 (ファンタジア文庫)感想
ゲート攻略作戦がいよいよ始まり、ミソラたちは切り札となるカナタと別々に戦うことに。最後の戦いを前にそれぞれの想いと葛藤が描かれる第十二弾。厳しい戦いであることが明らかな状況で、秘めた力を使う代償を一部の人だけに告げたカナタ。それを知って苦悩するユーリと、参戦する最後の戦いを前にカナタに会うべきか逡巡する小隊の面々。始まった最終決戦は激戦で、お互いの秘策が激突する駆け引きがとても良かったですが、最終決戦や小隊の面々とのその後がどういう決着に向かうのか、次巻は最終巻と短編集が同時発売とのことなので楽しみです。
読了日:03月20日 著者:諸星 悠
デート・ア・ライブ16 狂三リフレイン (ファンタジア文庫)デート・ア・ライブ16 狂三リフレイン (ファンタジア文庫)感想
来禅高校に復学し士道の前に再び現れた時崎狂三。その霊力を封印したい士道と士道が封印した精霊の霊力を欲する狂三が、バレンタインデーに向けて全てを懸けた二度目の戦争が始まる第十六弾。勝負を仕掛けて士道や他の精霊たちを女子力で圧倒する狂三。精霊たちもまたらしさ全開で突っ走ったりでエピソードとしてなかなか面白かったんですが、その裏で進行していた深刻な事態に対しての狂三の孤軍奮闘ぶりには衝撃でした。明らかになった意外な真実と行き着くところまで行き着いた感のある攻防、そして狂三との決着がどうなるのか次巻が楽しみです。
読了日:03月19日 著者:橘 公司
ゲーマーズ!7 ゲーマーズと口づけデッドエンド (ファンタジア文庫)ゲーマーズ!7 ゲーマーズと口づけデッドエンド (ファンタジア文庫)感想
ぼっちからリア充街道まっしぐらに見えた景太が直面した地獄の修学旅行。千秋との新たな関係へ旅行中に天道と話をつけたい景太と、なぜかそれを許さない花憐たちの様々な思惑が錯綜する第七弾。同じぼっちだったのに花憐に救われた千秋と、友好的でない班に組み込まれることになった景太。わりと悲惨な状況に置かれている景太に対するそれぞれの反応が印象的でしたけど、それぞれの想いを考えたら拗れるところじゃないし密かに頑張ってもいたのに、いろいろ考え過ぎな上原&花憐のまさかの決断には報われないですね。続巻でどうなるのか楽しみです。
読了日:03月19日 著者:葵 せきな
ロクでなし魔術講師と禁忌教典8 (ファンタジア文庫)ロクでなし魔術講師と禁忌教典8 (ファンタジア文庫)感想
成績不振による退学回避のため、聖リリィ魔術女学院に短期留学するリィエル。同行するシスティーナとルミアに加えてグレンも女に変身し臨時講師として赴任する第八弾。今回は環境が変わったことで、グレンの授業が分かりやすいことや修羅場をくぐってきたシスティたちが成長していること、何よりリィエルもまた少しずつ変わりつつあることを実感できたり、システィだけでなくルミアまで珍しく一緒にイライラする展開がちょっと新鮮な感じで楽しかったですね。復活してらしさ全開だったセリカも良かったですし新キャラエルザも再登場期待しています。
読了日:03月18日 著者:羊太郎
冴えない彼女の育てかた 12 (ファンタジア文庫)冴えない彼女の育てかた 12 (ファンタジア文庫)感想
恵と誕生日デートの約束をしたはずの倫也が当日にまさかのドタキャン。向かった先は病室でそこで状況を聞かされた倫也が大きな決断を下すことになる第十二弾。まさかの入院によって明らかになってしまった、その人頼みの思っていた以上に綱渡りな状況。その才能に惚れ込んだ二人が絡んでなかったら倫也もここまで無理しなかったんでしょうけどね。恵は恵で大きな葛藤があったとは思うんですけど、そういうのを乗り越えちゃうからこそあの結末だったのかなと。面倒な人たちばかりのドタバタ劇もあと2巻と思うと残念ですが、楽しみにしています。
読了日:03月18日 著者:丸戸 史明
七星のスバル 5 (ガガガ文庫)七星のスバル 5 (ガガガ文庫)感想
現実世界で希が失踪し大騒ぎになり、繋がりをたどってリユニオン上空を捜索するうち陽翔たちは空に夢の城を発見。そこで希を捜すスバル一行の前にグノーシスの使徒たちが現れる第四弾。誤解から決別した希との再会。苦い過去を思い出させる場所で再び起きてしまった二人の仲違い。今回は表紙を飾った貴法もなりふりかわまず思いをぶつけ合って奮闘しましたが、絶体絶命の中でチームとしての絆を取り戻したからこそ、敵の首魁が姿を現してからの展開は堪えましたね...でもあの日聞けなかった答えを聞けたからこそ、ここからの巻き返しに期待です。
読了日:03月18日 著者:田尾 典丈
ストライクフォール 2 (ガガガ文庫 は 5-2)ストライクフォール 2 (ガガガ文庫 は 5-2)感想
史上類を見ないルール違反で、契約こそしたものの処分決定を待つ間二軍へと送られる雄星。前代未聞のスキャンダルを起こした異邦人に選手たちはただただ冷たく、無数の敵意にさらされる第二弾。ストライクフォールを別の競技に変えてしまった雄星の慣性制御技術の衝撃。一方で孤立し基本もなっていないがために二軍の中でも活躍できない現実。葛藤しながらも新しい戦いを始める周囲に触発され、もう一度向き合うようになった雄星が出したひとつの答え。競技も転換期を迎えて彼を巡る人間関係を含めて物語としてもここからですね。次巻が楽しみです。
読了日:03月17日 著者:長谷 敏司
鎌倉香房メモリーズ 5 (集英社オレンジ文庫)鎌倉香房メモリーズ 5 (集英社オレンジ文庫)感想
ようやく気持ちを通わせた雪弥と香乃。しかし未だ雪弥の真意を掴みかねて戸惑いながらも、次々と香りに関する謎が持ち込まれる第五弾。姿を消した人から託された香木の真意、行方不明になった仏像の真実、送り主不明の雛人形の謎、源氏香図で書かれた暗号に秘められた想いなど、謎を解いて過去のわだかまりが解消されてゆく中、距離を縮めようと頑張る香乃だったり、過去にきちんと向き合うようになった雪弥だったり、これまでいろいろありましたが、そのひとつひとつに方向性が見えてゆく結末をじっくりと堪能できました。次回作も期待しています。
読了日:03月17日 著者:阿部 暁子
雨の降る日は学校に行かない (集英社文庫)雨の降る日は学校に行かない (集英社文庫)感想
スクールカースト保健室登校…学校生活に息苦しさを感じる女子中学生たちの揺れ動く心を綴った連作短編集。短編の主人公は自分の居場所を見いだせない女の子たち。時が経てば分かることも、今見えている世界だけではなかなか分からないんですよね。誰もが不安を抱えていて閉塞感のある世界は些細なきっかけで変わる。周囲のストレートな悪意に葛藤しながらも向き合い変わっていこうとする少女たちを描いた物語は、雨上がりのようなこれから良くなる期待を予感させる読後感でした。スカートの長さとカーストを対比させてみせる視点もまた秀逸です。
読了日:03月17日 著者:相沢 沙呼
ひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇 (角川文庫)ひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇 (角川文庫)感想
捨て犬をめぐり後藤朱里とカイユが奮闘したり、芹澤と片桐の駄菓子屋での邂逅、謎のアルバイトをしている名越をマレンが危惧したり、成島美代子がかつての吹奏楽部の活動日誌に思いを馳せるシリーズ番外編。今回はハルチカたちでなくその周囲の登場人物に焦点を充てた短編集になっていましたが、個々人の吹奏楽や楽器に対する思いだったり、部員たち同士の繊細な距離感だったり、なんかみんなそれぞれいろいろ考えたり悩んだりしてるんだなあというのが伺えて興味深く読みました。最後に収録されていた「ひとり吹奏楽部」もまたとても良かったです。
読了日:03月17日 著者:初野 晴
少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫)少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫)感想
二浪で中堅私大に入学するも目標を見失っていた十倉和成20歳。そんな彼のボロ下宿の天袋をセーラー服姿の少女・さちが住処としていることが判明し、庇護しようとしたことから物語も動き出す青春小説。十倉が動き出すきっかけとなったさちの出現。停滞の原因となった高校時代の親友・才条の謎の死。やや時代がかった言い回しが多かった停滞の前半はテンポが悪かったですが、そこから親友の死の謎を追い、志を受け継いで映画にのめり込んでいく怒涛の展開は読ませるものがありました。ファンタジーじみた結末も最後で救われてなかなか良かったです。
読了日:03月16日 著者:一 肇
おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱 (講談社タイガ)おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱 (講談社タイガ)感想
山中にある屋敷の座敷牢で出会った少女ツナ。怖い話を聞かせることを条件に週一回会うことを許されたミミズクが十年目に転機を迎える物語。育ての親や友人にもツナのことを隠し続けてきたミミズクこと瑞樹。かつて投稿した怪談記事が縁で多津音一と出会ったことにより徐々に明かされてゆくツナを巡るからくり。丁寧で繊細なことばによって恐怖が描かれる一方で、瑞樹がきちんと向き合ったことで明らかになった真実は思わぬ奇跡にも繋がっていて、どうにか折り合いをつけて迎えたその結末は、これまでの想いが報われたとても素敵なものに思えました。
読了日:03月16日 著者:オキシ タケヒコ
一華後宮料理帖 第三品 (角川ビーンズ文庫)一華後宮料理帖 第三品 (角川ビーンズ文庫)感想
百年もの間ほぼ鎖国状態だった西沙国と崑国の国交樹立話が持ち上がり、交渉を成功させるため朱西は皇帝・祥飛の補佐を命じられ、理美は祥飛専属お夜食係に任命される第三弾。どことなくお互いを意識する朱西と理美、それを気にかける祥飛という危うさのある切ない三角関係の構図。やってきた外交使節団との進まない交渉では、これまた理美がいろいろ繋いだり提案したりといい感じに存在感ありましたね。祥飛も成長したところを見せ三角関係は二転三転しつつも少し風向きが変わってきたと思ったらここで波乱の予感とは…。次巻が早く読みたいです。
読了日:03月15日 著者:三川 みり
後宮幻華伝 奇奇怪怪なる花嫁は謎めく機巧を踊らす (コバルト文庫)後宮幻華伝 奇奇怪怪なる花嫁は謎めく機巧を踊らす (コバルト文庫)感想
12人の妃を一度に娶った凱帝国の崇成帝・高遊宵は、その全てを出自に関係なく貴人に任命。そのうちの一人貴重な科学の本が読めることと復讐を理由に後宮に入った李緋燕が密かに仇を探し始めるシリーズ第五弾。今回は恋い焦がれていた異母姉が結婚したドライな遊宵と、自分の目的のために後宮に入った緋燕の物語で、お互い打算から入った関係が様々な事件を経て想いを通わせてゆく辺りは、これまでの救いのない結末からやや身構えていたので、当人同士に関して言えばいい意味でちょっと意外な展開でした(苦笑)遊宵は幸せになれてよかったですね。
読了日:03月15日 著者:はるおか りの
勇者は、奴隷の君は笑え、と言った (Novel 0)勇者は、奴隷の君は笑え、と言った (Novel 0)感想
烙印の子として奴隷のように育った少年ヴィスとかつて世界を救った伝説の勇者グレン。そんな二人が魔族に奪われたヴィスの恩人を取り戻す旅に出るファンタジー。幼い頃からの虐待で様々なものが欠落したヴィスと彼に目をかけるグレン。そして彼に唯一の正義を教え聖女に選ばれた恩人に起きた事件。魔法使いの少女ニーニらと出会ってからのズレた噛み合わない会話が印象的でしたが、魔王復活を目指す魔族や皇国などの思惑が交錯する展開で、様々な出会いと別れを経て少しずつ変わり始めたヴィスの旅が今後どのようなものになるのか続巻が楽しみです。
読了日:03月14日 著者:内堀 優一
中古でも恋がしたい! 9 (GA文庫)中古でも恋がしたい! 9 (GA文庫)感想
恋愛経験が少なさから古都子への想いがなんなのか分からずにモヤモヤと悩む清一。初詣を経て京都への修学旅行で答えを出すため、古都子と二人だけで『戦百』の聖地巡礼をしようと誘う第九弾。自らが抱えるモヤモヤした思いに加えて、実態と周囲から見た二人の関係のギャップを感じるようになった清一。気持ちを隠さなくなった賢い初芝は効果的にアプローチしてきましたけど、そんな中での二人でのままならない行動をきっかけに、いろいろ思うところがあった清一にとってもようやく転機を迎えることになりそうですね。これは次巻が今から楽しみです。
読了日:03月13日 著者:田尾 典丈
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeリュー (GA文庫)ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeリュー (GA文庫)感想
働く『豊穣の女主人』でとある夫婦の一人娘がさらわれたことを知った腕利きの元冒険者リューが、調査をするうちに迷宮都市の治外法権・大賭博場にたどり着くクロニクル第一弾。リューとシルの二人で乗り込む大賭博場での大活劇や彼女と『豊穣の女主人』の出会い、そして『豊穣の女主人』の背景も少しだけ語られつつ、店で働く女の子たちについても掘り下げられていて、彼女たちがそれぞれの信念のもとに戦うその姿に、この作品に登場するヒロインたちがなぜ魅力的なのか改めて納得する思いでした。こういう外伝は大歓迎なので今後も期待しています。
読了日:03月13日 著者:大森 藤ノ
小説 ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ (角川文庫)小説 ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ (角川文庫)感想
昼寝が得意な女子高生の森川ココネ。東京オリンピックの3日前に岡山でともに暮らす修理工を営む父親が突然警察に東京へ連行され、幼馴染のモリオと東京に向かう道中が夢の世界とリアルをまたいだ不思議な旅となる映画の原作小説。ココネがしばし見る王国と囚われた魔法使いの姫のおとぎ話のような夢。自動運転技術を狙う渡辺一派の暗躍。夢とリアルの世界が交互に進んでゆく中で亡き母の想いとココネの知られざる関係が明らかになり、時を超えて失われかけていた想いが再び紡がれ、そして未来に繋がってゆく爽やかな結末はなかなか良かったですね。
オリンポスの郵便ポスト (電撃文庫)オリンポスの郵便ポスト (電撃文庫)感想
度重なる災害と内乱が続いた火星で長距離郵便配達員として働く少女・エリスが、改造人類・クロを神様がどこへでも誰にでも届けてくれるというオリンポスの郵便ポストまで届ける仕事を依頼される物語。入植時代からの生き残りのクロと、両親を探して郵便配達員を続ける少女の二人による長い旅路。その過程で多くの人に出会い、いくつもの困難に遭遇することで絆が育まれてゆき、それぞれが秘密を抱え意外な縁もあった二人が想いを通わせてゆく物語は、その真実に近づいてゆくたびに切ない気持ちにもなりましたがとても良かったですね。次回作も期待。
読了日:03月12日 著者:藻野 多摩夫
賭博師は祈らない (電撃文庫)賭博師は祈らない (電撃文庫)感想
十八世紀末ロンドン。うっかり大金を得た賭博師ラザルスが仕方なく購入させられたのは、喉を焼かれて声を失った奴隷の少女・リーラ。不器用な二人が戸惑いながらも心通わせてゆく物語。師の教え通り勝たない賭博師としてこれまで生きてきたラザルスの失敗。放り出すわけにもいかず感情に乏しいリーラを教育しながら一緒に生活するようになる日々。徐々に打ち解けてゆく二人の拙い関係の変化が繊細な積み重ねで描写されていて、強奪されたリーラを奪還するため冷静に計算して最後まで完遂してみせたラザルスのありようがとても見事で心に響きました。
読了日:03月11日 著者:周藤 蓮
新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙II (電撃文庫)新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙II (電撃文庫)感想
教皇との戦いに備えハイランド王子から北の群島に住む海賊たちが味方にすべき存在か調べて欲しいと依頼されたコルたち。島に潜入し探るうちに黒聖母信仰の真実を目の当たりにする第二弾。相変わらず理想主義者な一面があるコルと、海賊の海への冒険に胸を躍らせるミューリ。黒聖母像を作る修道院のオータムが語る厳しい現実と、島にやってきた大司教やルウィック同盟が持ちかけたしたたかな取引。重苦しくてコルの信仰心が試される展開でしたが、それでも彼が苦悩しながら現実との折り合いをつけて見つけた光明に救われる思いでした。続巻も期待。
読了日:03月11日 著者:支倉 凍砂
ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌 (電撃文庫)ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌 (電撃文庫)感想
密かに朗読配信する高校生の前河響平と幼馴染だった卯城野こぐちが鎌倉のとある高校で偶然再会。こぐちが所属する図書部と旧図書室廃止の危機に二人で書評バトル「ビブリアファイト」に挑むスピンオフ作品。密かにラノベが大好きな響平と、引っ込み思案だけれど児童書が好きで本に関しては人が変わるこぐち。周囲もからかう不器用な二人の距離感や図書部存続を賭けての定番古典を中心とする書評バトルをベースに、ビブリア古書堂のあの人たちもアドバイス役として登場。ラノベらしいテイストをうまく組み合わせた青春小説としても面白かったです。
読了日:03月10日 著者:峰守 ひろかず
古書カフェすみれ屋と悩める書店員 (だいわ文庫)古書カフェすみれ屋と悩める書店員 (だいわ文庫)感想
ほろ酔い姉さんの初デート相手のつれない対応の理由、見つからない問い合わせ本の正体、おばあちゃんが食べたいサンドイッチ、恋人が別れを匂わせた原因をお客様に薦める本で解決する第二弾。相変わらず解決のヒントになる本を薦める紙野の教養や洞察力が凄まじいですが、答えを教えるのではなく本を読んでもらってお客さん自身に解決方法を委ねるスタンスがいいですね。美味しそうな料理を作る古書カフェのパートナーすみれさんとも着実に信頼を育みつつ安直な展開にしないあたりは好感。頼れる店員も増えてまた続巻が出るのを楽しみにしています。
読了日:03月10日 著者:里見 蘭
シネマガール (角川文庫)シネマガール (角川文庫)感想
真琴が勤める廃校寸前の大学総務課にがやってきた前理事長の孫娘・リラ。ハリウッドでストーリー分析家として活動してきた彼女に振り回されながらも、仲間とともに大学存続に動き出すお仕事コメディ。理事長を中心に廃校に動き出した大学を存続させるべく、調査を始める真琴やリラたち。そのアプローチや真琴が密かに憧れる恋の行方にも映画を挙げて示唆するリラは自由奔放で、周囲は彼女の言動に振り回されがちでしたけど、秘密を探るうちに明らかになってゆく意外な真実と、恋に友情にテンポよく進むストーリー展開を楽しく読むことができました。
読了日:03月09日 著者:吉野 万理子
仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?感想
「失敗学」の見地から仕事の効率化や最短ルートを取るための考え方を説いた一冊。全体としては検索や付箋といったすでによく使われているツールをベースに、それをいかに使うのかポイントを押さえた解説はとても分かりやすかったです。自分の記憶力には限界があって、だからこそどうするのかの分かりやすい仕組み作りを考えるのは大事なことですね。いかに1回で終わらせるか、仕事の工数をきちんと見極めらえるようにすること、好奇心を失わないよう考え続けることの重要性。まずは何を考えるべきなのか改めてポイントを整理することができました。
読了日:03月09日 著者:飯野 謙次
君が描く空 - 帝都芸大剣道部 (中公文庫)君が描く空 - 帝都芸大剣道部 (中公文庫)感想
東京藝術大剣道部に事情があって三年生になってから入部してきた唯。それを指導することになった主将の壮介と、剣道部員たちが織りなす青春群像劇。複雑な家庭の事情を抱えながらも、画廊への契約条件として提示された初段を取ることを承諾した唯。割り切った唯の言動に戸惑い心配する一方で、憧れの部員・綾佳への想いにも揺れる壮介。そろそろ進路を意識せざるをえない部員たちが突きつけられる才能とそれに向き合う覚悟はシビアで、各々が直面する状況もまたほろ苦かったですが、それでも変わらない想いが垣間見える結末はとても心に響きました。
読了日:03月09日 著者:里見 蘭
死と呪いの島で、僕らは (角川ホラー文庫)死と呪いの島で、僕らは (角川ホラー文庫)感想
沈没船が漂着した伊豆諸島東端にある須栄島。そこで村八分気味に扱われる美少女・椰々子と彼女が気になる同級生で名家の次男・杜弥たちが、島で起きる異変に巻き込まれてゆく青春ホラー。最初は親友の徹も含めた三人で謎解きするお話かと思って読んでいたのですが、海で死んだ男が甦り、巨大な人喰い鮫が現れ、さらにはブードゥー教などこれでもかと詰め込まれたカオスな状況。結果として終盤思わぬ展開になりましたが、あれだけ広げつつうまくまとめてみせたのは見事で、終わってみれば不思議と爽やかさすら感じさせる青春小説になっていました。
読了日:03月08日 著者:雪富 千晶紀
金曜日の本屋さん―夏とサイダー (ハルキ文庫)金曜日の本屋さん―夏とサイダー (ハルキ文庫)感想
「読みたい本が見つかる」と評判の駅ナカ書店・金曜堂は、倉井以外の三人全員が地元・野原高校出身。「読書同好会」復活を目指す現役野原高生・紗世がやってきたことをきっかけに過去が明らかになる第二弾。パン屋さん夫婦のすれ違いや過去の読書同好会のこと、そして店長の槙乃が大切に思っていた存在。1巻目含めたこれまでのエピソードが覆らない過去としていろいろ繋がって倉井に突きつけられましたけど、苦悩しながらもきちんと向き合って必死に考え思いを伝えた彼はとても素敵でした。これからどうなってゆくのか続巻の刊行を期待しています。
読了日:03月07日 著者:名取 佐和子
鵬藤高校天文部:君が見つけた星座鵬藤高校天文部:君が見つけた星座感想
高校入学直前に事故に巻き込まれた美月。入学が遅れ周囲に取り残されつつあった彼女がクラスメイトの誠に誘われるまま天文部に入部し、様々な出会いといくつかの事件に遭遇する青春ミステリ。入部していきなりの殺人事件には面食らいましたが、意外な結末に繋がってゆく事件の顛末と悪くない読後感、そして難しい状況を乗り越えるのに苦労していた美月が、誠やその幼馴染の村山といった天文部の面々と共に過ごしたり事件解決に関わってゆくうちに、その距離感の難しさを感じさせながらも少しずつ心を開いて行く展開はなかなか良かったと思いました。
読了日:03月07日 著者:千澤 のり子
モノクローム・サイダー あの日の君とレトロゲームへモノクローム・サイダー あの日の君とレトロゲームへ感想
高校最後の夏を迎えた平凡なゲームオタクの高校生・百式長之介が、昼休みの屋上でゲームをしている女の子・鯨武由美と出会い人生が動き出す自伝的小説。最初は彼女の前を通るくらいで精一杯だった彼が、勇気を出して声を掛けたことで始まった一緒にゲームをするようになる日々。なかなか思うようにいかないことばかりでしたけど、不器用でも諦めずにきちんと向き合おうと奮闘する百式くんと、共に過ごす日々を送るようになった鯨武さんが二人らしい形で積み重ねてきた関係がとても素敵だと思いました。続編もまた書籍で読めること期待しています。
読了日:03月06日 著者:鯨武 長之介
計画結婚 (文芸書)計画結婚 (文芸書)感想
とてつもない美人で頭もいいけど妙なところにこだわる久曽神静香が結婚?幼稚園からの唯一の友人や久曽神に恋をした美容師といった彼女に関わった人たちが、戸惑いながらも招待された結婚式に出席する物語。出席した友人によって語られる過去にあった静香の強烈なエピソード。一方で明かされてゆく新郎側出席者たちの事情と暴かれた新郎の過去。読めば読むほど何でこのような状況になったのかますます分からなくなっていきますが、そんな奇想天外に思える決断にも彼女にとっては確固たる理由があって、テンポよく進むストーリーは面白かったですね。
読了日:03月06日 著者:白河 三兎
ぼくのとなりにきみぼくのとなりにきみ感想
慎重で落ち着いた中学生のサクが、スポーツ万能で天真爛漫なハセや天然気味の同級生のチカとともに地元の古墳にまつわる謎の暗号解明に挑む青春小説。父親や妹との関係にもやもやしたものを抱える一方で、時には言動にイライラしつつチカのことが気になってゆくサク。言いたいことも言えなくて屈折した想いを抱えていた彼が、三人で謎解きを進める過程で事件解決に奔走したり暗号の意外な真実を解き明かしつつ、そんな積み重ねの先に変わるきっかけとなる着実な一歩があって、それを今後に期待感を抱かせる結末に導いてみせた素敵な物語でした。
読了日:03月05日 著者:小嶋 陽太郎
異世界居酒屋「のぶ」三杯目 (宝島社文庫)異世界居酒屋「のぶ」三杯目 (宝島社文庫)感想
相変わらず美味しい料理が提供されてゆく居酒屋のぶで、親子関係の修復や若領主の夫婦喧嘩、皇帝のお見合いも描かれる第三弾。美味しそうな描写とともに来客の中から人間関係の繋がりが広がりを見せる本作ですが、今回は夫婦関係や親子関係のありように触れるエピソードが多かったですね。個人的に良かったのは報告を読んでお忍びでのぶにやってきたセレスと、政略結婚的お見合いを忌避する皇帝コンラートの出会うべくして出会った二人の物語。幼王の粋な計らいも効いていて、それらをきっかけにしのぶもまた一歩踏み出したようで続巻が楽しみです。
読了日:03月04日 著者:蝉川 夏哉
妄想刑事エニグマの執着 (徳間文庫)妄想刑事エニグマの執着 (徳間文庫)感想
女の勘を通り越してオカルトじみた直感力で事件を解決に導く警視庁捜査一課の美女刑事江仁熊氷見子30歳が、相棒の真山刑事とともに難事件を解決に導く警察小説。エニグマって普通に名字かよとか、数学やら美術とか心理学といったすぐには結びつかないようなアプローチから(結果的に)事件解決に結びつけていくあたりが、著者さんらしいちょっと斜め上のアプローチのミステリでした。捜査方法以外はわりとまともなんですけどね。対照的なベテラン刑事とのやりとりもベタだなあと苦笑いしましたけど、真山刑事とのコンビわりと好きです。
読了日:03月03日 著者:七尾 与史
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術7 (講談社ラノベ文庫)異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術7 (講談社ラノベ文庫)感想
レムの中に残る魔王の魂を消すため儀式魔術が伝わっているというダークエルフの里に赴き、父王が死去したシェラのためにエルフの王国にも向かう第七弾。魔王復活が危惧されている状況で抱えている懸念材料を解消するために動いた今回。レムが代々続いてきた因縁から開放される一方で、今度はシェラが窮地に立たされるボリュームのある展開でしたけど、それを何とか乗り切ったと思ったら違う意味での難関に直面したディアブロさんのその後が気になります(苦笑)新キャラやこれまでとはレベルの違う強敵も現れて新展開が今から楽しみです。
読了日:03月03日 著者:むらさき ゆきや
おんみょう紅茶屋らぷさん ~式神のいるお店で、おかわりをどうぞ~ (メディアワークス文庫)おんみょう紅茶屋らぷさん ~式神のいるお店で、おかわりをどうぞ~ (メディアワークス文庫)感想
弟が刑事だった父に入れた紅茶の謎に悩む話、絵を借りようとした公使が紅茶にダメ出しした理由、そして正明と姉、師匠を巡る因縁に英子も巻き込まれてゆく第二弾。少しずつらぷさんの中で英子が認められつつある中で起こった正明と師匠である麿との対決。窮地に追い込まれた英子が知ることになった三人の過去と因縁。紅茶の講釈も多かったですが、それぞれが過去から前に進もうとしてるのを感じた今回、振り返ればヒントは随所にあった姉があの人だということに気づけなくてあとがきで驚きました(苦笑)続巻も広がりにも期待しています。
読了日:03月02日 著者:古野 まほろ
宝石商リチャード氏の謎鑑定 導きのラピスラズリ (集英社オレンジ文庫)宝石商リチャード氏の謎鑑定 導きのラピスラズリ (集英社オレンジ文庫)感想
銀座の店を閉め、正義の前から姿を消してしまったリチャード。リチャードの師匠・シャウルから情報を得た正義はイギリスへと向かい、リチャードを苦しめる過去の因縁に巻き込まれてゆく第四弾。自分の思いがどのようなものか分からないままイギリスに向かう正義と、リチャードの従兄や本人の口から語られる過去の因縁。結果オーライとはいえかなり無謀だった正義でしたけど、実は誤解されていたリチャードには苦笑いでした。一区切りついて因縁も解消されそうですけど、これからの二人の関係や谷本さんとの今後も含めて続巻が楽しみです。
読了日:03月01日 著者:辻村 七子
縛りプレイ英雄記 奇跡の起きない聖女様 (角川スニーカー文庫)縛りプレイ英雄記 奇跡の起きない聖女様 (角川スニーカー文庫)感想
凶悪すぎる見た目の高校生・仁王院陣が、回復魔法の失われた異世界に転移し、回復魔法が使えない聖女と出会って先行き不安な旅をする物語。異世界に来てトラウマのある道具を召喚できるようになった陣と、お人好しで今の状況に責任を感じている聖女・マリー。見た目で誤解されがちですが、誤解されることを恐れずにマリーを気遣い、他人のために奔走する陣を彼女はきちんと見ていて、わりといいコンビな二人でしたね。召喚契約も結んで仲間も増えそうなドタバタの道中がこれからどのようなものになるのか、続巻が楽しみな新シリーズです。
読了日:03月01日 著者:語部 マサユキ

読書メーター