読書する日々と備忘録

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2015年に刊行・完結した注目の恋愛小説 ライトノベル編23選

 昨年末に2015年のまとめ記事として以下の記事を作成しましたが、

同様にそれなりの数を読んでいる恋愛小説についても、ちょっと基準を緩めて「2015年に刊行・完結した注目の恋愛小説」という形で、今回のライトノベル編と次回更新予定のライトノベル以外編の2つに分けて紹介したいと思います(個人的に恋愛小説的展開を期待して選んでいる作品もあります)。

 

 ゲーム好きのぼっち高校生雨野景太が、学園一の美少女でゲーム部長の天道花憐に声をかけられたことから始まるラブコメ。序盤はなかなか煮え切らない雨野ですが、天道からの入部の誘いを断り千秋ら気の合う仲間と出会って話も動き出します。そこからそれぞれ言葉足らずで踏み込めないゆえにすれ違いが続いて、彼らの仲を取り持とうとした上原まで巻き込まれてしまうドタバタラブコメぶりが面白いですね。現在3巻まで刊行。

 どんな作品も面白いと感じるラノベ新人賞の下読み高校生アルバイト・青と、厳しい祖母との生活や投稿作への酷評から自信をなくしかけていた同級生の美少女・氷ノ宮氷雪。本来出会うはずのない二人が出会い、二人で協力しながら投稿作品を作り上げていく二ヶ月間。お互いに影響を受けて強く惹かれていきながらも、あと一歩を踏み出す勇気を持てないもどかしい二人の迷いや、それを乗り越えようとする真摯な想いが心に響く、素敵な青春創作物語です。

 ご落胤として庶民から一転して王となったルドヴィークと大陸で一番高貴な血筋のお妃様・カテリナ皇女との結婚から始まるファンタジー・ハーレム(予定)コメディ。明るく周囲に優しい金髪の美少年ルディと、なぜかそんな彼を毛嫌いして距離を置こうとする王妃。二人の不仲が噂になって周囲の女性陣が不遇に見える彼を気にかけてゆく展開で、もどかしく甘酸っぱいすれ違いを重ねてしまう、不器用で頑なな王女と彼女を思いやるルディの今後が気になりますね。1月末に2巻目刊行予定。

WORLD END ECONOMiCA (3) (電撃文庫)
 

 夢を叶えるため株式市場に活路を見出す月生まれ月育ちの家出少年ハルが、数学の天才少女ハガナと出会い、コンテスト優勝と周囲の人々の危機打開を目指す物語。夢のために孤高だったハルが彼女たちに出会い触発され、自分に自信を持てなかったハガナもハルへの協力をきっかけに変わっていく、そんな不器用な二人の出会いと別れ、成長して再会する壮大なスケールの物語は圧巻です。全3巻。

 「恋愛を放棄せよ! すべての恋愛感情は幻想である! 」同じクラスの目立たない少女、領家薫の言説に同調した高砂が「反恋愛主義青年同盟部」の活動に参加してゆく物語。仲間を募ってリア充撲滅活動を広げていく一方で、行動を共にしていく過程で接近してゆく二人の距離感。地球外侵略生命体まで絡めた、どう見てもラブコメですありがとうございますな展開は予想外の結末。二人の行く末が気になる物語です。現在3巻まで刊行で3月に4巻刊行予定。

マンガの神様 (3) (電撃文庫)

マンガの神様 (3) (電撃文庫)

 

 なかなか長編を連載させてもらえない高校生兼新人漫画家の伊織が、「マンガの神様」に憑かれていると自称する、実は人気漫画家の楪葉と出会ったことをきっかけに運命が変わっていく物語。出会って以降はマンガの神様の影響で幼馴染と再会したり、ベタな王道ともいえるマンガ的展開が続きますが、ラブコメ展開だけでなく、仲間のために奔走する姿やマンガに賭ける熱い想いや創作話も描かれる期待のシリーズです。現在3巻まで刊行。

妹さえいればいい。3 (ガガガ文庫)

妹さえいればいい。3 (ガガガ文庫)

 

 妹がヒロインの小説しか書けないラノベ作家・羽島伊月と、彼のもとに集まる残念天才美少女作家・那由、イケメン作家・春斗、元同級生・京、そして通いで家事をする義弟・千尋たち。ラノベ作家ものとはいえわりとゆるめの日常描写で、一見気ままにお気楽に生活しているように見える彼らも、一方でそれぞれが悩みや葛藤を抱えていて、未だ明かされていない秘密もあり、それぞれの想いがどういう形で結実するのかとても気になりますね。現在3巻まで刊行。

 千年を生きる神・神鳴沢セカイと、様々な形で立場を変えながら出会うゲームを繰り返す高校生・桐島ユウキ。毎巻二人が徐々に距離を縮めていく初々しいやりとりはとてもラブコメしていていい感じなんですが、一方で容赦なく突きつけられるどうにもならないバッドエンドの閉塞感。お互いさえいれば幸せになれる二人が、それすらままならない物語の結末がとても気になりますね。現在5巻まで刊行。

中古でも恋がしたい! 3 (GA文庫)

中古でも恋がしたい! 3 (GA文庫)

 

 二次元にしか興味がない処女厨エロゲオタクの新宮清一が、襲われていた校内一の不良・綾女古都子を偶然救い、新宮に運命を感じてしまう綾女。わりと現実的なオタクな新宮やいかにも不良っぽい綾女といったキャラに格段目新しさはなかったですが、なぜ綾女が新宮に惹かれていったのか、健気に好かれようと頑張ったのか、きちんとその背景を丁寧に描いて積み重ねていったことで、説得力のある物語になっていますね。現在4巻まで刊行。

 花街の薬師だったのをさらわれて後宮で下働きしていた娘・猫猫が、美形の宦官・壬氏に見込まれ、後宮の事件や噂を解決する物語。中華風の後宮にいるものの特に出世を目指すわけでもない猫猫はさっぱりとした性格で、周囲が色めき立つ美貌の壬氏にも醒めた視線を向けるわけですが、そんな猫猫を壬氏が何となく気にかけている構図が面白いですね。そんな二人の今後に期待の作品です。現在4巻まで刊行。

 とある事情をきっかけに引きこもっていた少年朗が、生き別れた父が住む愛媛の小さな港町を訪れ、廃線を裸足で歩く謎の少女アリスと出会う物語。アリスと出会いを重ね、朗が引きこもりに至った理由、そして父やアリスの秘密が明らかになっていくにつれ、迷いながらも逃げ出さずに自ら行動を起こす朗の成長が感じられました。そんな二人の邂逅から始まる物語で、フカヒレさんの繊細な人物描写と雰囲気にマッチしたイラストもまた素晴らしいです。現在2巻まで刊行。

未来/珈琲 彼女の恋。2 (GA文庫)

未来/珈琲 彼女の恋。2 (GA文庫)

 

 高校生・湊遼太郎のもとに、お母さんとの結婚を阻止するために自称遼太郎の娘・雪音が未来からやって来る物語。さらに雪音の双子の妹・鈴音も未来からやってきて事態はややこしくなるものの、遼太郎と幼馴染・阿梨亜の関係は事情が明らかになったり、何かあるたびにそれが強固なものであることを再確認できますね。遼太郎を捕まえて離さない阿梨亜の揺るぎなさというか、幼馴染最強というような安定感を味わえるアットホームな物語です。現在2巻まで刊行。続巻が待たれるシリーズです。

 学園モノアレルギーな高校生の主人公ユウが、最近は疎遠だった声優を真剣に目指す幼馴染のカスガと再び話すようになったり、ふとしたきっかけで知り合ったアニメ脚本家マコトさんにアイドル声優アスカを紹介してもらったり。登場する女の子たちの繊細な心理描写や人間関係の変化、淡々としていて自分の行動の結果に無自覚なユウの何気ない言動の積み重ねが、ひとつの物語に繋がってゆく感じがとても印象的でした。全4巻。

されど僕らの幕は上がる。Scene.2 (角川スニーカー文庫)

されど僕らの幕は上がる。Scene.2 (角川スニーカー文庫)

 

 人生が変わることを夢見て人気番組『シェアハウス』に乗り込んだ香椎涼太が、個性豊かな他のキャストたちと答えのない台本で共同生活する物語。実像がかけ離れたキャストに困惑したり、謎めいた番組の意図に振り回されながらも、踏み込むことを恐れず絆を取り戻そうとするキャストたちの関係性の変化が興味深いですね。全2巻。

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界2 amorosamente (ファミ通文庫)
 

 誰もが気になる存在感がありながら、周囲から隔絶された存在だった黒崎麻由。そんな彼女の世界が些細な会話から一歩踏み出してくれた黒井をきっかけに変わっていく物語。これまで周囲と交流のなかった麻由が、周囲の支えもあって緩やかでも確実に変わってゆく世界。こういう落ち着いた雰囲気の物語もまたとてもいいと思いました。現在2巻まで刊行。

 余命一週間と宣告された「たまらん」が、幼馴染三人の計らいで憧れの美少女月形と最期のキスをするも、なぜか誤診が判明してしまうドタバタ青春ラブコメディ。気がついたら巻き込まれてゆく片思いだらけの複雑な関係。章が変わると新事実が判明して登場人物の印象もまた変わったり、ここから誰がどう動いてどういう結末を迎えるのか、男女六人の恋と友情の行方がとても気になりますね。

たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

 

 何をやっても三日坊主だった雪也がうっかり入部した社交ダンス部で、部の存続を賭けて競技大会に出場することになる物語。最初は何事にも腰が引け気味だった雪也が、社交ダンスの楽しさを知ったり、真摯に取り組む璃子や部長の想いに触発されてパートナーになった璃子とも心を通わせていく王道なストーリーはとても良かったです。

WEB小説家になろうよ。 (ダッシュエックス文庫)
 

 Web投稿サイトの作品が書籍化したもののスランプで更新停止中の高校生東山静司が、なし崩し的に引きずり込まれたネット文芸部で、抜群の構想力がありながら文章が壊滅的な海玲と共にコンビ存続を賭けランキング一位を目指す日々。チョロイン気味な海玲やヒロインたちとのラブコメはベタでしたが、創作へのこだわりや熱量も感じられたりしてなかなか良かったですね。

 不運な事故で男子寮を破壊してしまった高校生春人が、なし崩し的に女子寮で地方から上京してきた美少女4人と同居する物語。本作では大阪、福岡、沖縄といった地方出身の方言を話す可愛い女の子が登場。今巻ではクールな瑞貴がクローズアップされましたが、他の女の子たちもこのままでは終わらなそうな雰囲気があって、今後が楽しみなシリーズ。

二線級ラブストーリー (講談社ラノベ文庫)

二線級ラブストーリー (講談社ラノベ文庫)

 

 生徒会副会長の松尾家之助が片思いする書記の月本紗姫は、親友で会長の一ノ瀬秋にぞっこん。しかし秋の秘密を知ったことから話がややこしいことになっていく物語。斜め上の展開が続くうちにそれぞれの尋常ならぬ思いも明らかになっていきますが、紆余曲折の末に収まるべきところに収まった奇妙な三角関係。あくまで思いを貫こうとする三人のありようが、とても印象的な物語です。

紙透トオルの汚れなき世界 (講談社ラノベ文庫)

紙透トオルの汚れなき世界 (講談社ラノベ文庫)

 

夢を叶えてくれる「夢の木」と超能者「継人」が密かに存在する世界。 やさぐれたくなるような出来事に立て続けに遭遇した里谷リトが、差別と偏見に満ちた世界を変えようとする少女・紙透トオルと出会う物語。好きな女の子への想いとトオルを救いたいと思う気持ちで揺れるリトを中心に描かれる人間模様は、やや錯綜気味ながらも最後はうまくまとめてみせたのかなと。次巻以降の展開も気になりますね。

彼女が捕手になった理由 (一迅社文庫)

彼女が捕手になった理由 (一迅社文庫)

 

 ポテンシャルはあるのに万年二回戦止まりの白倉柏シニアに、名門シニアにいたキャッチャーの女の子沙月が入部し全国を目指す青春野球小説。チームを良くしようとする沙月と衝突したり反発したりしながら、その采配と情熱に引っ張られ成長するチーム、そして沙月の古巣との対決で頑張った沙月のために皆が優勝をプレゼントしようと一丸となる姿がとてもいいですね。沙月がだんだんヒロインっぽくなっていく展開がこの物語の肝なのかなと思いました。

 

企画を考えた頃の候補はもう少し多かったのですが、ある程度認知されているシリーズについては外して、今後に期待したい作品・作家さんを中心に今回紹介しました。気になる作品があったら是非読んでみてください。ライトノベル以外編もピックアップ自体は終わっているので、近日中に公開したいと思います。

てはまた。