読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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2015年10月のおすすめライトノベル

10月はわりと冊数は読んだんですが、既刊・続巻も多くて若干自分の中でも評価がカオス気味でした。その中から振り返って今回5点を紹介したいと思います。

 五公十六王国時代と呼ばれる乱世。弱小国フルミネンセ王国が同盟国の策謀により分割滅亡の憂き目に遭い、爪を隠して生きていた第五王女アリエルが雄飛の機会を得るファンタジー戦記。たまたまアリエルが姉のリリエルとともに避暑地へ向かった時に起きた寝耳に水の侵攻劇。今回は個性的な登場人物たちの紹介や状況説明と危機からの逃亡がメインで、何の力も持たない現状ではどうしようもなかったですね(苦笑)ここで袂を分かった姉もまた数奇な人生を歩むことになりそうですが、次巻以降ゼロからのリスタートになりそうなアリエルたちがどう動くのか今後に期待の作品です。

暁の女王と塵の勇者 (講談社ラノベ文庫)

暁の女王と塵の勇者 (講談社ラノベ文庫)

 

 勇者の血を引きながら魔物の気配にすら傷つく致命的な欠点を抱える少年・サーレが、幼馴染の少女・シムルを勇者の血筋の呪縛から解き放つ方法を探すため旅に出る物語。サーレと初代勇者の仲間でありがなら追放された魔女の子孫・オーリアーナとの出会い。そして勇者として魔王を倒す旅に出ていたシムルとの再会から物語は意外な方向に向かいましたけど、お互いを気にかける幼馴染二人に三千年前からの因縁も絡んで、なかなか面白い展開になっていきそうな可能性を感じました。イラストもわりといい雰囲気で今後に期待のファンタジー。

 落ちこぼれだった魔術師学校を自主退学し、冒険者を目指すジゼルが姉を探す少女の依頼を受け、途上で多くの襲撃者と戦っていた少女・アルミラージを助太刀し、事件に巻き込まれてゆく物語。優しく困った人を見捨てられないジゼルの性格は好みが分かれそうですが、出会ったアルミラージもある組織を追っていて、それらがひとつに繋がってゆくミステリ要素もあるファンタジー。著者さんらしい登場人物たちと緻密に作り込まれた因縁、それらをうまく絡めて作られていくストーリーには大きなポテンシャルを感じました。

バビロン 1 ―女― (講談社タイガ)

バビロン 1 ―女― (講談社タイガ)

 

 新創刊の講談社タイガから一点。製薬会社と大学が関与する臨床研究不正事件を追っていた東京地検特捜部検事正崎善が、捜査資料の中にあった謎の血痕や毛髪混じりの書面を発見し、相棒の事務官文緒とともにそれを探るうちに大型選挙の裏に潜む陰謀に巻き込まれていく物語。最初は奇異な事件こそあるものの、全体としては正崎が感じた違和感をきっかけにターゲットを絞り込んでいく、わりとオーソドックなストーリーだと思っていたのですが、後半の怒涛の急展開に著者さんらしさを感じました。一人の女により大きく動かされ、二転三転してゆく物語の行方が気になる作品です。

ケーキ王子の名推理 (新潮文庫nex)

ケーキ王子の名推理 (新潮文庫nex)

 

 美味しいケーキ大好きな女子高生・未羽が、失恋直後に迷い込んだケーキ屋でパティシエ修行をしている同級生の冷酷イケメン王子・颯人に遭遇する物語。少女漫画のような設定や展開でミステリとして見るとあっさりめですが、出会った当初はお互いあまり印象が良くない二人が、夢に向かって頑張る颯人を徐々に応援する気持ちになっていったり、ケーキであっさり釣られるもののイケメンだからといって特別視しない未羽は信用できると感じたり、飾らない二人の距離感が心地良かったです。お互い特別に感じるような予感もあったりで続編を期待したい作品です。

 

ではまた。