読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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2015年9月のおすすめライトノベル

9月は冊数的にもわりとたくさん読めましたが、新作も良さそうな作品がわりとあった一ヶ月でした。いつもより紹介点数多めですが、新作を中心に紹介していきたいと思います。

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

 

  一冊目はやはりこれ。「のうりん」白鳥士郎さんの新シリーズですね。

 16歳で将棋界の最強タイトル『竜王』となった九頭竜八一の自宅に、小学三年生の雛鶴あいが弟子にしてもらうため押しかける物語。姉弟子の銀子とともに将棋漬けの生活を送ってきた八一と、驚異的な博覧強記と負けず嫌いな気持ちの強さで急速に成長していくあい。冒頭にインパクトのある師弟関係が描写されていた分、お互い刺激を受けて成長していく二人の関係がとても好ましく思えました。

 

 熱い想いを乗せた勝負もありとても面白かったですが、終盤あいの母親との話し合いでこの歳で早くも人生詰んだような気も?次巻では銀子の反撃にも期待です。最初ヒロインが小学生かーと思っていったんスルーしましたが、読んでみて良かったなと思える一冊でした。

七日の喰い神 (ガガガ文庫)

七日の喰い神 (ガガガ文庫)

 

  人間に害を為す禍々しい神々マガツガミと祈祷師が戦う世界。元祈祷師の古川七日と喰い神の少女ラティメリアが、依頼を受けて神々を葬っていくダークファンタジー。目的のため彼女の力を必要とする七日と、彼が死んだら喰らう約束をするラティメリア。相棒と呼ぶには微妙な関係の二人ですが、その繊細な距離感の描写がとてもいいですね。世界観や登場人物たちも魅力的で、特に可愛らしさと残酷さを兼ね備えたラティメリアがよく動き、素晴らしいイラストともマッチして存在感がありました。二人と宿敵の因縁も明らかになって次巻がとても楽しみです。

北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし

北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし

 

  北欧の雪国貧乏伯爵リツハルドが、退役することになった男前の女性軍人ジークリンデに夜会で一目惚れし告白、一年のお試し婚を条件に一緒に暮らし始める物語。読んでみて表紙を見比べてあれ?と思ったのは私だけじゃなかったみたいで(苦笑)率直で飾らないジークとの一緒の生活を楽しいと思うリツと、きちんと女の子扱いしてくれて対等に見てくれるリツの優しさを好ましく思うようになっていくジーク。不器用な二人がお互いの様子を伺いながら少しずつ距離を縮めていく奥ゆかしさがとてもいいですね。大変そうな生活ですが今後の展開が楽しみです。

夜桜ヴァンパネルラ (電撃文庫)

夜桜ヴァンパネルラ (電撃文庫)

 

  吸血鬼が科学的に認められた近未来。人々を吸血種から護る『捜査第九課』に所属する真祖の少女・櫻夜倫子と、何も知らされないまま配属された新人・桐崎紅朗がコンビを組んで吸血鬼に挑む物語。業を背負って孤独に戦い続けてきた倫子と、辛い過去がありながら底抜けにバカで前向きな紅朗。どうしても凄惨なバトルに繋がりがちな展開で、著者さんらしい二人のボケツッコミが癒やしになっていましたね。敵味方の多くに忌避される倫子の終わりの見えない戦いがどこに向かうのか、紅朗の存在が重要なキーマンになっていきそうな予感。次巻も楽しみです。

  異世界召喚された先で魔王に助けられ、腹心の大元帥として名を馳せていた平凡な中学生・ケータが、人と魔族の和睦後に今度は元の世界に戻る方法を探すために召喚学院に通う物語。与えられた強大な魔力は封じていて精霊召喚術はうまく使えないケータが、その正体を隠しながら人類や魔王軍の思惑に巻き込まれていくストーリーになりそうで、最初は仲違いしていたヒロインたち同級生との絆を深めていった今後、どういう展開が待っているのか楽しみですね。人に変身するミケも可愛くて、今回は冒頭登場しただけの美しい魔王の思惑や再登場にも期待です。

銀炎の七ツ姫と七禍の王子 (一迅社文庫)

銀炎の七ツ姫と七禍の王子 (一迅社文庫)

 

  王国第二王子シオンが王国を支える魔術師「七ツ姫」の一人・七歌と婚約を果たした日、七歌から突如七日後に死ぬ呪いを掛けられ、その呪いを解くために七歌を追う物語。しっかり者の侍女カティに支えられつつも放蕩王子と呼ばれ庶民に慕われるシオンと、彼を倒すためだけに育てられた真っ直ぐで不器用な七歌。命を賭けた戦いを重ねながらお互いを知り、心を通わせていく悲劇的な運命の二人でしたが、紆余曲折の末に迎えたこの物語らしい決着はとても良かったです。これから他の七ツ姫も登場しそうで、どのような形で絡んでくるのか次巻が楽しみです。

彼女が捕手になった理由 (一迅社文庫)

彼女が捕手になった理由 (一迅社文庫)

 

  ポテンシャルはあるのにどこかちぐはぐで万年二回戦止まりの白倉柏シニアに、名門シニアにいたキャッチャーの女の子が入部し全国を目指す青春野球小説。ストーリーとしては最初は各ポジションのコンバートを始めチームを良くしようとする沙月と衝突したり反発したりしながら、その采配と情熱に引っ張られ徐々にまとまって成長するチーム、沙月の古巣対決と王道展開で、頑張り抜いた沙月のために皆が優勝をプレゼントしようと一丸となる姿はベタでもいいですね。突っ込みどころはありますが、沙月がだんだんヒロインっぽくなっていく展開がこの物語の肝なのかなと思いました。

WEB小説家になろうよ。 (ダッシュエックス文庫)
 

  Web投稿サイトの作品が書籍化したもののスランプで更新停止中の高校生東山静司が、アカウントを乗っ取り続きを書いてみせたクラスメイトの西園海玲とコンビを組み一緒に小説を書く物語。なし崩し的に引きずり込まれたネット文芸部で、抜群の構想力がありながら文章が壊滅的な海玲と共にコンビ存続を賭けランキング一位を目指す日々。チョロイン気味な海玲やヒロインたちとのラブコメはベタでしたが、創作へのこだわりや熱量も感じられたりしてなかなか良かったですね。キリの良い所で終わりましたが、もし続刊出るようならまた読んでみたいです。

 

ではまた。