読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

3月の購入検討&気になる本ほかピックアップ

忙しくてなかなかブログを更新する時間を作れない状況が続いていますが、とりあえず3月の購入検討&気になる本ほかピックアップです。今月はざっと見た感じ毎月いろいろ集中するガガガ文庫/ファンタジア文庫あたりに読みたい本が多いので、そのあたりをどう乗り越えるのかがひとつのポイントになりそうですね。

 

シリーズものの注目としてはヒーロー文庫薬屋のひとりごと」のほか、小学館文庫キャラブン「蟲愛づる姫君の蜜月」、富士見L文庫メイデーア転生物語」「浅草鬼嫁日記 八」(また同時刊行ですかw)、Mノベルスf「どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。」、ガガガ文庫月とライカと吸血姫 星町編」「プロペラオペラ2」、MF文庫J14歳とイラストレータ」、角川文庫は「わが家は祇園の拝み屋さん」のほか、太田紫織さんの「昨日の僕が僕を殺す」の続巻、また「マツリカ・マトリョシカ」が文庫化されますね。

 

新作の中ではスニーカー文庫が試し読みを読んだ印象では粒が揃っていて気になるところですが、その中で個人的に期待したいのは「隣の女のおかげでいつの間にか大学生活が楽しくなっていた」、GA文庫の「お前らどれだけ俺のこと好きだったんだよ!」、そしてやはりガガガ文庫の「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 アンソロジー」2冊、第32回ファンタジア大賞<金賞>の「嘘嘘嘘、でも愛してる」あたりは気になるところですね。 斜線堂有紀さんのメディアワークス文庫恋に至る病」も要注目です。

お前らどれだけ俺のこと好きだったんだよ! (GA文庫)

お前らどれだけ俺のこと好きだったんだよ! (GA文庫)

 
恋に至る病 (メディアワークス文庫)

恋に至る病 (メディアワークス文庫)

 

 

ヒーロー文庫(2/28発売)
薬屋のひとりごと日向夏/しのとうこ

スニーカー文庫(3/1発売)
・【新】隣の女のおかげでいつの間にか大学生活が楽しくなっていた エパンテリアス/パルプピロシ
・【新】侯爵令嬢の借金執事 許嫁になったお嬢様との同居生活がはじまりました 七野りく/mmu
・【新】幼馴染が引きこもり美少女なので、放課後は彼女の部屋で過ごしている(が、恋人ではない!) 永菜葉一/茨乃
・俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件2 紫ユウ/木なこ

TO文庫(3/2発売)
・小指物語 二宮敦人/大前壽生

小学館文庫キャラブン!(3/6発売)
・裏世界旅行 二宮敦人/飴村
蟲愛づる姫君の蜜月 宮野美嘉/碧風羽

電撃文庫(3/10発売)
・【新】豚のレバーは加熱しろ 逆井卓馬/遠坂あさぎ
・魔王学院の不適合者6 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~ 秋/しずまよしのり
やがて君になる 佐伯沙弥香について (3) 入間人間 原作・監修:仲谷鳰/仲谷鳰
・蒼空はるかな最果て図書館 光の勇者と愛した歌姫 冬月いろり/Namie

TOブックス単行本(3/10発売)
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部 「女神の化身 I」 香月美夜/椎名優

GA文庫(3/13発売)
【新】お前らどれだけ俺のこと好きだったんだよ! 明月千里/シソ
・友達の妹が俺にだけウザい4 三河ごーすと/トマリ

小学館単行本(3/13発売)
・十字架のカルテ 東野圭吾

富士見L文庫(3/14発売)
・メイデーア転生物語2 この世界に怖いものなどない救世主 友麻碧/雨壱絵穹
浅草鬼嫁日記 八 あやかし夫婦は吸血鬼と踊る。 友麻碧/あやとき
・王妃ベルタの肖像 西野向日葵/今井喬裕

Mノベルスf(3/14発売)
どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。2 六つ花えいこ

ビーズログ文庫(3/15発売)
茉莉花官吏伝 八 三司の奴は詩をうたう 石田リンネ/Izumi

電撃の新文芸(3/17発売)
・異修羅 II 殺界微塵嵐 珪素/クレタ

実業之日本社単行本(3/17発売)
クスノキの番人 東野圭吾

ガガガ文庫(3/18発売)
銀河鉄道の夜を越えて ー月とライカと吸血姫 星町編ー 牧野圭祐/かれい
・プロペラオペラ2 犬村小六/雫綺一生
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 アンソロジー1 雪乃side 渡航石川博品さがら総、天津向、水沢夢裕時悠示/ぽんかん(8)、うかみ、春日歩、切符、ももこ
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 アンソロジー2 オンパレード 渡航白鳥士郎、伊達康、田中ロミオ、天津向、丸戸史明/ぽんかん(8)、しらび、戸部淑、紅緒、うかみ

ハヤカワ文庫JA(3/18発売)
・人間たちの話 柞刈湯葉

双葉社単行本(3/18発売)
・図書室のバシラドール 竹内真

ファンタジア文庫(3/19発売)
・【新】嘘嘘嘘、でも愛してる 川田戯曲/アシマ
[第32回ファンタジア大賞<金賞>]
・お隣さんと始める節約生活。2 電気代のために一緒の部屋で過ごしませんか? くろい/U35
・公女殿下の家庭教師5 雷狼の妹君と王国動乱 七野りく/cura
・ロクでなし魔術講師と追想日誌6 羊太郎/三嶋くろね
デート・ア・ライブ22 十香グッドエンド 下 橘公司/つなこ
ゲーマーズ!DLC3 葵せきな/仙人掌

オレンジ文庫(3/19発売)
・うちの中学二年の弟が 我鳥彩子/Amit
・カフェ古街のウソつきな魔法使い 新樫樹/甲斐千鶴
・星名くんは甘くない ~いちごサンドは初恋の味~ 夜野せせり/星谷かおり

集英社文庫(3/19発売)
・パラ・スター <side 宝良> 阿部暁子

中公文庫(3/19発売)
・死香探偵 哀しき死たちは儚く香る 喜多喜久
・【文】夢の上 夜を統べる王と六つの輝晶2 多崎礼

HJ NOVELS(3/21発売)
・ウォルテニア戦記 XV 保利亮太

河出書房新社(3/23発売)
・スガリさんの感想文はいつだって斜め上 3 平田 駒

角川文庫(3/24発売)
・わが家は祇園の拝み屋さん12 望月麻衣
【文】マツリカ・マトリョシカ 相沢沙呼
・【再】宮廷神官物語 十 榎田ユウリ
・君がオーロラを見る夜に いぬじゅん
・海棠弁護士の事件記録 雨宮周
・昨日の僕が僕を殺す 壊された少女たち 太田紫織

MF文庫J(3/25発売)
・何故か学校一の美少女が休み時間の度に、ぼっちの俺に話しかけてくるんだが?5 出井愛/西沢5ミリ
・14歳とイラストレーター8 むらさきゆきや 企画:溝口ケージ/溝口ケージ
Re:ゼロから始める異世界生活22 長月達平/大塚真一郎

メディアワークス文庫(3/25発売)
就業規則に書いてあります! 桑野一弘
・破滅の刑死者3 特務捜査CIRO-S 死線の到達点 吹井賢/カズキヨネ
・恋に至る病 斜線堂有紀

集英社単行本(3/26発売)
・できない男 額賀澪

KADOKAWA単行本(3/28発売)
・同じクラスに何かの主人公がいる 昆布山葵
・次期風紀委員長の深見先輩は間違いなく病気 稲井田そう

 

20年1~2月の注目新作ライトノベル11選

2020年に入っても面白い作品がたくさん出てきていますが、何でこんなにたくさん出すのかというか、各レーベル刊行が集中していてどれを読むのか悩ましい状態が続きますね(苦笑)そこで今年刊行になった新作のうちおススメ11作品を紹介したいと思います。ラブコメに絞ればちょうど10作品でキリが良かったのですが、「竜と祭礼」もまた注目のファンタジー作品です。是非読んでみて下さい。

 

1.今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 (MF文庫J)

丘の上の七河公園で再会した幼馴染の妹・双原灯火。「流宮の氷点下男」と呼ばれる冬月伊織と、「自称・先輩を慕う美少女」の灯火の大切な人を取り戻そうと願う不器用な二人の物語。住む町に伝わる星の涙の都市伝説と、翌日からあざとく伊織に付きまとうようになった灯火の真意。幼馴染の妹とのあざといラブコメ展開はものの見事に裏切られて、伊織の苦い過去を絡めながら明らかになる不穏な状況があって、大切なものを諦められない灯火に真正面からぶつかってみせた伊織の想いと、二人で乗り越えた先に迎えた結末にはぐっと来るものがありました。今後に期待の新シリーズ。

2.俺の女友達が最高に可愛い。 (GA文庫)

俺の女友達が最高に可愛い。 (GA文庫)

俺の女友達が最高に可愛い。 (GA文庫)

 

高校入学時に知り合った趣味ピッタリ相性バッチリな中村カイと学年一の美少女・御屋川ジュン。ゲームに漫画トーク、アニソンカラオケ、楽しすぎていくらでも一緒に遊んでいられる二人の関係を描くピュアフレンド・ラブコメ。放課後はカイの家に入り浸って多趣味を全力で楽しむとか、傍から見たらイチャイチャしてるようにしか見えなくても、堂々と友達宣言しちゃう二人の強固な関係には誰も入り込めなくて、けれど何かあるとお互い真っ赤になってしまう二人の関係は一体何なのか?(苦笑)そんな盤石な二人に波紋を投げかけそうな最後の展開に期待。

3.声優ラジオのウラオモテ(電撃文庫)

声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない? (電撃文庫)

声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない? (電撃文庫)

  • 作者:二月 公
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: 文庫
 

高校のクラス内では相性最悪なギャルと根暗地味子。そんな二人が実は声優で、同じ高校に通う仲良し声優コンビとしてほんわかラジオ番組をスタートさせる青春小説。声以外の仕事は苦手でも意識は高い千佳と、なかなか芽が出ない境遇に自信喪失気味の由美子。お互い正体を知らないままコンビを組んだ、ないものねだりの複雑な二人の関係や距離感が絶妙で、けれど真摯に仕事に向き合う姿を知るからこそ、相手の逆境に奔走できるんですよね...熱い想いで危機的な炎上を乗り切ったからこそ、そんな彼女たちのこれからをまた読んでみたいと思いました。

4.小鳥遊さんはラブコメ勉強中! (LINE文庫エッジ)

小鳥遊さんはラブコメ勉強中! (LINE文庫エッジ)

小鳥遊さんはラブコメ勉強中! (LINE文庫エッジ)

  • 作者:高橋徹
  • 出版社/メーカー: LINE
  • 発売日: 2020/01/08
  • メディア: 文庫
 

普段は仕事ができるクールな小鳥遊璃子に意外な場所で出会った同期の鞘野直春が、流れで擬似恋人として一緒に恋愛を学ぶラブコメ。女子校育ちで実は恋愛に興味津々、天然で小動物っぽい可愛さ全開な璃子との彼氏彼女ごっこで繰り広げられる、名前呼びや猫カフェデート、大人の恋愛小説解説、手を繋ぐ、ハグ、看病...といったイベントの数々。着実に甘えんぼになってゆく璃子と直春の甘い距離感の破壊力には凄まじいものがありましたね。なのに分かり切った答えにいったん距離を置かないと気づかない彼女にはツッコミを入れたくなりました(苦笑)

5.痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった (GA文庫)

満員電車で疎遠になっていた幼馴染の伏見姫奈を助けた高校二年生の高森諒。それをきっかけに学校ではすっかり人気者になっていた彼女と、少しずつ幼馴染としての関係を取り戻してゆく青春小説。ずっと同じクラスだったけど中高では疎遠になっていた二人の距離感。それがきっかけを得て、今までとはまた変わってゆくことに戸惑いを感じながらも、二人が絆を再び育んでいく展開はなかなか良かったですね。鳥越さんの存在も物語の構図として効いてましたけど、どこか詰めが甘い二人の関係がこれからどうなってゆくのか、今後が楽しみな新シリーズです。

6.クラスで一番の彼女、実はボッチの俺の彼女です (角川スニーカー文庫)

クラスで一番の彼女、実はボッチの俺の彼女です (角川スニーカー文庫)

クラスで一番の彼女、実はボッチの俺の彼女です (角川スニーカー文庫)

  • 作者:七星 蛍
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/02/01
  • メディア: 文庫
 

自称・選択ボッチの篠宮誠司と、学年トップの成績で現役モデルの高嶺の花・神崎琴音。教室の中では絶対に交わらない2人による内緒の甘酸っぱいドキドキ青春ラブコメディ。今はまだ周囲には秘密だけど意外に甘えたがりな神崎と、そんな彼女に戸惑いながらも何だかんだでベタぼれな篠宮。これまでどんな積み重ねがあったのかとても気になるところですが、秘密な関係ならではのもどかしい距離感がポイントで、お互い相手を想う気持ち自体は揺るぎないだけに、彼を慕う後輩や会長を絡めて物語をどう展開していくのか、今後に期待したい新シリーズです。

7.隣の席になった美少女が惚れさせようとからかってくるがいつの間にか返り討ちにしていた (モンスター文庫)

成戸悠己が席替えで隣になったのは、隣になった男子は告白して玉砕してしまうと噂される「隣の席キラー」鷹月唯李。しかし悠己のつれない対応に、むしろ唯李の方が気になりだす青春ラブコメディ。噂を信じて彼女に騙されないぞという態度を崩さない悠己と、いつもと勝手の違う展開で空回りするうちに実は不器用なその本性がどんどん露わになってゆく唯李に、やたらとテンションが高い悠己の妹たちも絡めて、勘違いやすれ違いが積み重なってドツボにはまるカオスな展開でしたけど、ここからどうやって軌道修正するのか、著者さんの手腕に期待です。

8.結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)

結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)

結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)

 

母親から継いだ結婚相談所で婚活女子のサポートに奔走する「結婚できない人を結婚させる仲人」縁太郎。とある婚活パーティーで結衣と出会う婚活ラブコメ。エロ漫画家・牡丹、玉の輿を狙う元令嬢・カレン、究極のダメンズほいほいな保育士・まひるといった会員とも出会い、結婚に向き合えていなかったワケありな結衣も少しずつ変化してゆく展開で、単なる仲人と関係という関係にとどまらない、彼女たちのために奔走する縁太郎とヒロインたちの絆にはぐっと来るものがあって、縁太郎が応援する彼女たちの婚活の結末を最後まで見届けたいと思えました。

9.ヤンキーやめろ。メイドにしてやる (講談社ラノベ文庫)

ヤンキーやめろ。メイドにしてやる (講談社ラノベ文庫)

ヤンキーやめろ。メイドにしてやる (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:秀章
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/02/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

代々執事の家系で日本有数の名家・鶴ヶ島家の次女麻白に仕える久世太一郎。麻白お嬢様から新たな専属メイドを探すよう申しつけを受けた彼が、買い出しに出かけた先で出会ったヤンキー少女ハナをメイドとして勧誘する物語。仕事をスマホで動画を撮って覚えるあたりがハナらしいですが、事あるごとに衝突するヤンキー気質のハナとお嬢様麻白の相性は最悪でも、テンポよく進むドタバタ展開の中でお互いいろいろ見えてくるものがあって、そんな二人が育んでゆく不器用な主従関係の結末には、またこの物語の続きを読んでみたいと思えるものがありました。

10.隣のキミであたまがいっぱい。 (MF文庫J)

隣のキミであたまがいっぱい。 (MF文庫J)

隣のキミであたまがいっぱい。 (MF文庫J)

  • 作者:城崎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/01/24
  • メディア: 文庫
 

『他人の思考が読めてしまう』特殊能力を持つ美少女・如月那緒が、隣にいれば宇佐美北斗だけに限定されると気づき共に過ごすようになる青春ラブコメ。常に他人の考えていることが聞こえてしまう彼女がようやく見出した安住の居場所。そんな如月を忌避することもなく、思考がだだ洩れ前提の会話が当たり前になってゆく北斗は彼女にとってかけがえのない存在で、普段は感情が乏しそうに見える彼女が時折北斗にだけ見せる表情には凄まじい破壊力がありますね。今は無自覚でも日々の積み重ねでお互い唯一無二の存在と化してゆく二人の今後が楽しみです。

11.竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

 

師の遺言により少女ユーイの杖を修理することになった、半人前の魔法杖職人・イクス。姉弟子たちの助けも借りてどうにか破損していた芯材を特定した彼が、1000年以上前に絶滅した竜の心臓を求めて旅する物語。夏の終わりまでを期限とした竜の伝承を求めての探索、ユーイが抱える過去と杖が壊れた理由、明らかになってゆく竜が絶滅した真相。戦えない二人が主人公であるがために、派手な展開とは無縁でインパクトには欠けますが、しっかりとした世界観の中で動く登場人物の描写は繊細で、明かされた真実とその結末は心に響くものがありました。今後に期待のシリーズ。

世界観が魅力的な近未来を舞台とした小説10作品

近未来のテクノロジーを背景とした作品は密かに自分の好きなジャンルのひとつで、面白い本がないかいつも気になって探していたりします。たまたまTwitterで個人的に注目している作家さんの一人である逸木裕さんの話題が出たので、この機会に近未来を舞台とした小説を10作品紹介してみようと思いました。どれもおススメできる面白い作品です。

 

1.電気じかけのクジラは歌う

電気じかけのクジラは歌う

電気じかけのクジラは歌う

  • 作者:逸木 裕
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/08/08
  • メディア: 単行本
 

人工知能が作曲をするアプリ「Jing」が普及し、作曲家の仕事が激減した近未来。「Jing」専属検査員になった元作曲家・岡部の元に、自殺した現役作曲家で親友の名塚から未完の新曲と指紋が送られてくる近未来ミステリ。名塚から託されたものの意味と、事故で右手が不自由になった名塚の従妹・梨紗の苦悩、そして「Jing」を作り出した霜野の野望。「Jing」で気軽に音楽を作れてしまう中、あえて自分の手で音楽を作り出す意味に葛藤しながらも、秘められた名塚の想いに気づいてゆく展開は著者さんらしさがよく出ていて面白かったです。

2.ベーシックインカム

ベーシックインカム

ベーシックインカム

 

AI、遺伝子操作、VR、人間強化、ベーシックインカム。未来で技術・制度が実現したとき何が起こるのか、そのひとつの可能性を描いた近未来SFミステリ短編集。日本語を学ぶために幼稚園で働くエレナが気になった言葉、豪雪地帯に残された家族と父親の奇妙な遺体、VR映画を観た妻が突然失踪した理由、視覚障害の娘が人工視覚手術で知る真実、ベーシックインカムを肯定する教授の預金通帳が盗まれた理由。確かにこれはそんな未来が実現したからこそ起きた事件で、けれどその鍵を握るのが人の複雑で繊細な心理だったりするのが面白かったですね。

3.忘られのリメメント

忘られのリメメント

忘られのリメメント

  • 作者:三雲岳斗
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/08/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

擬憶素子「MEM」を額に張るだけで、他者の記憶を擬憶体験できるようになった近未来。「憶え手」である歌手・宵野深菜が、リギウス社CEOの迫間影巌から脱法MEMの調査を依頼されるSFサスペンス。調べてゆく上で浮かび上がる深菜の生い立ちに深く関わる稀代の殺人鬼・朝来野と模倣犯の存在、そして殺されてしまった同居人・三崎真白。記憶を追体験できるという技術を物語のベースに据え、虚実織り交ぜた体験をしながら朝来野の行方を追ううちに特異だった自らのありようとも向き合い、しっかりと決着をつける展開はなかなか良かったですね。

4.虹を待つ彼女(角川文庫)

虹を待つ彼女 (角川文庫)

虹を待つ彼女 (角川文庫)

  • 作者:逸木 裕
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/05/24
  • メディア: 文庫
 

優秀で予想できてしまう限界に虚しさを覚えていた研究者・工藤が、死者を人工知能化するプロジェクトに参加して、衝撃的な自殺でカルト的な人気のゲームクリエイター・水科晴を知る物語。過去の事件や水科晴のことを調べてゆくうちに、彼女に共鳴し惹かれてゆく工藤。重要なキーパーソン「雨」の存在と調査中止を警告する謎の脅迫。我が身が危険に晒されながらも諦めず、晴を人工知能で再現することに妄執する工藤の姿には鬼気迫るものがありましたが、真相を知った彼のほろ苦くも粋な決断は少なからず心に響くものがありました。

5.エンド オブ スカイ

エンド オブ スカイ

エンド オブ スカイ

  • 作者:雪乃 紗衣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

ゲノム編集技術によって老いや病から緩やかに遠ざかりつつある23世紀。謎の突然死「霧の病」を研究する遺伝子工学の権威ヒナコ・神崎博士が海から現れた少年・ハルと出会う近未来SF。ゲノム編集が推奨された香港に現れたオリジナルゲノムを持つハルと、どこか不安定なヒナコの交流の日々。「霧の病」が急速に拡大してゆく中でその原因が見えてきて、何が正常で異常なのかわからなくなる皮肉な展開でしたけど、周囲の人たちに支えられながらハルと向き合ったかけがえのない日々と、いくつもの伏線が回収された先にある結末が印象的な物語でした。

6.君の話

君の話

君の話

 

記憶改変技術「義憶」が普及した世界。二十歳の夏、天谷千尋が一度も出会ったことのない、存在しないはずの幼馴染・夏凪灯火と再会し動き出す物語。何もない過去を消したかったはずが、植え付けられたたった一人の幼馴染の鮮明な記憶。あまりにも運命的な再会から突如目の前に現れた灯花の存在を疑いながらも、どうしようもなく惹かれてゆく千尋。そこにはもうひとつの物語があって、不器用でお互い遠回りせざるをえなかった二人がきちんと向き合って、儚く切ないけれど優しさが感じられる物語の結末に著者さんらしさがよく出ていると思いました。

7.未来職安

未来職安

未来職安

  • 作者:柞刈 湯葉
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2018/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

国民が99%の働かない消費者と、働く1%のエリート生産者に分類された平成よりちょっと先の未来。運悪く県庁勤めを退職しなければならなくなった目黒が、少し変わった大塚を所長とする職安に転職し、仕事を求めて訪れる様々な人々と出会う近未来小説。財源的な部分をどう解決するのかは気になりましたが、仕事が機械に置き換えられてゆく中であえて人がする仕事とは何か?確かにそんな状況になったら消費者と生産者との間の微妙な距離感とか、仕事に対する本末転倒的な発想とか、いかにも起こりそうな興味深いエピソードがなかなか良かったです。

8.know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)

 

電子葉の接続が義務付けられてるような高度情報化社会を舞台に、全ての情報を手に入れることができる少女知ルを恩師に託された連レルが、約束を果たすまでの四日間を共に過ごすお話。小説ではありますが「知っている」ということの定義が変わった世界で、では「知る」ということがどういうことか、文中で語られる考察はとても興味深く読めました。知ることを突き詰めていくと、最終的に死とは何かに行き着くというのはなるほどと思いましたが、最後の言葉から示唆されるように、この世界ではそれすらも乗り越えてしまったということなんでしょうね。

9.終わらない夏のハローグッバイ (講談社タイガ)

終わらない夏のハローグッバイ (講談社タイガ)

終わらない夏のハローグッバイ (講談社タイガ)

 

あらゆる感覚を五感に再現する端末・サードアイを手に入れたことで装いを変えた世界。そのきっかけとなりながらも二年前から眠り続ける幼馴染・結日を救うため、日々原周が仲間とともに立ち上がるひと夏の物語。サードアイの開発者で鍵を握る結日の姉・沙月の存在と、計画に手を貸す同級生・先崎との邂逅。打開する方法を模索するうちに見出したひとつの真相。立ち位置が変わっても何かを引き起こす彼女と、そんな彼女のために奔走する周という二人の関係は変わらなくて、可能性を信じて諦めず何度でもチャレンジし続ける周を応援したくなりました。

10.僕が愛したすべての君へ/君を愛したひとりの僕へ(ハヤカワ文庫)

僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1)

僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1)

 

並行世界間が実証された世界。両親の離婚を経て母親と暮らす高崎暦が、地元の進学校で85番目の世界から移動してきたというクラスメイト・瀧川和音と出会う物語。入学時の因縁をきっかけに運命的な出会いを果たした、暦と和音の一見腐れ縁のようにも思える関係。同時刊行作品の出来事との関連性を織り交ぜつつ、並行世界が実在する世界ならではの問題に悩まされながらも、それを力を合わせて乗り越えてゆく二人はとても幸せだったんだろうなと思わせるものがありました。二つ読んで比べてみるといろいろ思うところが出てきてとても面白かったです。

君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2)

君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2)

 

並行世界間が実証された世界。両親の離婚を経て父親と暮らす少年・日高暦が、父の勤務する虚質科学研究所で佐藤栞という少女に出会う物語。親同士が離婚した研究者という共通点から、共に過ごすうちにほのかな恋心を育んできた暦と栞。全てを一変させるきっかけとなった親同士の再婚話と二人を襲った悲劇。諦めきれずに彼女を取り戻すために生きることを決意した暦の執念は凄まじいと感じましたが、そんな彼に寄り添うように支え続けた同僚の研究者・和音の献身ぶりにも思うところが多かったです。同時刊行のどちらを先に読むのかは悩ましいですね。

 

以上です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。

2020年1月に読んだ新作おすすめ本

 2020年1月に読んだ新作おすすめ本です。

振り返ってみるとあまり意識してなかったですが、ラノベは意外と新作読んでたんですね。押さえておきたいオススメとしては強烈なインパクトを残したMF文庫Jの「今はまだ『幼馴染の妹』ですけど。」、第32回ファンタジア大賞《大賞》受賞受賞作ファンタジア文庫スパイ教室」、ガガ文庫「結婚が前提のラブコメ」あたりですか。GA文庫竜と祭礼」も派手さはありませんがしっかりとした作りのファンタジーです。 講談社ラノベ文庫のヤンキーメイドもの「ヤンキーやめろ。メイドにしてやる」、ヒロイン二人が中心のファンタジア文庫転生王女と天才令嬢の魔法革命」なども意外と楽しめました。

 

それ以外はむしろシリーズものの消化中心で新作まで手が回ってなくて点数が少ないですが、オレンジ文庫の「流転の貴妃 或いは塞外の女王」は中華風ファンタジー好きなら押さえておきたい一冊。少し変わった青春ミステリとして角川文庫「僕と彼女の嘘つきなアルバム」、そして「流浪の月」が注目を集めている凪良ゆうさんの「わたしの美しい庭」あたりですか。「プルースト効果の実験と結果」の佐々木愛さんも今後注目したい作家さんの一人です。

 

丘の上の七河公園で再会した幼馴染の妹・双原灯火。「流宮の氷点下男」と呼ばれる冬月伊織と、「自称・先輩を慕う美少女」の灯火の大切な人を取り戻そうと願う不器用な二人の物語。住む町に伝わる星の涙の都市伝説と、翌日からあざとく伊織に付きまとうようになった灯火の真意。幼馴染の妹とのあざといラブコメ展開はものの見事に裏切られて、伊織の苦い過去を絡めながら明らかになる不穏な状況があって、大切なものを諦められない灯火に真正面からぶつかってみせた伊織の想いと、二人で乗り越えた先に迎えた結末にはぐっと来るものがありました。

スパイ教室01 《花園》のリリィ (ファンタジア文庫)

スパイ教室01 《花園》のリリィ (ファンタジア文庫)

  • 作者:竹町
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/01/18
  • メディア: 文庫
 

各国スパイが「影の戦争」を繰り広げる世界。落ちこぼれのメンバーばかり7人が集められ、凄腕スパイ・クラウスの指導の下、死亡率九割を超える『不可能任務』に挑むスパイファンタジー。凄腕だけど説明できない教えベタの教師役相手に、騙しあいで打ち勝つ実地訓練に挑む不器用な少女たち。チームとして挑んだ過酷なスパイ任務にも最後まで諦めない少女たちの想いに、ともに戦ったクラウスも少なからず感化されていって、普段の日常からスパイらしい仕掛けを感じさせる展開と、そんな絆を育んでいった彼らの物語をまた読んでみたいと思いました。

竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

 

師の遺言により少女ユーイの杖を修理することになった、半人前の魔法杖職人・イクス。姉弟子たちの助けも借りてどうにか破損していた芯材を特定した彼が、1000年以上前に絶滅した竜の心臓を求めて旅する物語。夏の終わりまでを期限とした竜の伝承を求めての探索、ユーイが抱える過去と杖が壊れた理由、明らかになってゆく竜が絶滅した真相。戦えない二人が主人公であるがために、派手な展開とは無縁でインパクトには欠けますが、しっかりとした世界観の中で動く登場人物の描写は繊細で、明かされた真実とその結末は心に響くものがありました。

結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)

結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)

 

母親から継いだ結婚相談所で婚活女子のサポートに奔走する「結婚できない人を結婚させる仲人」縁太郎。とある婚活パーティーで結衣と出会う婚活ラブコメ。エロ漫画家・牡丹、玉の輿を狙う元令嬢・カレン、究極のダメンズほいほいな保育士・まひるといった会員とも出会い、結婚に向き合えていなかったワケありな結衣も少しずつ変化してゆく展開で、単なる仲人と関係という関係にとどまらない、彼女たちのために奔走する縁太郎とヒロインたちの絆にはぐっと来るものがあって、縁太郎が応援する彼女たちの婚活の結末を最後まで見届けたいと思えました。

ヤンキーやめろ。メイドにしてやる (講談社ラノベ文庫)

ヤンキーやめろ。メイドにしてやる (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:秀章
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/02/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

代々執事の家系で日本有数の名家・鶴ヶ島家の次女麻白に仕える久世太一郎。麻白お嬢様から新たな専属メイドを探すよう申しつけを受けた彼が、買い出しに出かけた先で出会ったヤンキー少女ハナをメイドとして勧誘する物語。仕事をスマホで動画を撮って覚えるあたりがハナらしいですが、事あるごとに衝突するヤンキー気質のハナとお嬢様麻白の相性は最悪でも、テンポよく進むドタバタ展開の中でお互いいろいろ見えてくるものがあって、そんな二人が育んでゆく不器用な主従関係の結末には、またこの物語の続きを読んでみたいと思えるものがありました。

転生王女と天才令嬢の魔法革命 (ファンタジア文庫)

転生王女と天才令嬢の魔法革命 (ファンタジア文庫)

 

幼い時に前世の記憶を取り戻してからは、魔法研究に邁進していた王女・アニス。そんな彼女が天才公爵令嬢・ユフィが次期王妃の座から外される場面に遭遇し、彼女をパートナーとしてスカウトするファンタジー。アニスの弟王子がユフィに突然突き付けた婚約破棄。そんな窮地に陥った彼女を颯爽と救ってみせたアニスは破格な存在で、その奇行や斜め上の発想に戸惑い振り回されながらも、彼女の示す道に新たな可能性を見出してゆくユフィは果たして幸せになれるんでしょうか(苦笑)けれど状況的に弟王子とは対立必至で、今後の展開が気になりますね。

クラスで一番の彼女、実はボッチの俺の彼女です (角川スニーカー文庫)

クラスで一番の彼女、実はボッチの俺の彼女です (角川スニーカー文庫)

  • 作者:七星 蛍
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/02/01
  • メディア: 文庫
 

自称・選択ボッチの篠宮誠司と、学年トップの成績で現役モデルの高嶺の花・神崎琴音。教室の中では絶対に交わらない2人による内緒の甘酸っぱいドキドキ青春ラブコメディ。今はまだ周囲には秘密だけど意外に甘えたがりな神崎と、そんな彼女に戸惑いながらも何だかんだでベタぼれな篠宮。これまでどんな積み重ねがあったのかとても気になるところですが、秘密な関係ならではのもどかしい距離感がポイントで、お互い相手を想う気持ち自体は揺るぎないだけに、彼を慕う後輩や会長を絡めて物語をどう展開していくのか、今後に期待したい新シリーズです。

隣のキミであたまがいっぱい。 (MF文庫J)

隣のキミであたまがいっぱい。 (MF文庫J)

  • 作者:城崎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/01/24
  • メディア: 文庫
 

『他人の思考が読めてしまう』特殊能力を持つ美少女・如月那緒が、隣にいれば宇佐美北斗だけに限定されると気づき共に過ごすようになる青春ラブコメ。常に他人の考えていることが聞こえてしまう彼女がようやく見出した安住の居場所。そんな如月を忌避することもなく、思考がだだ洩れ前提の会話が当たり前になってゆく北斗は彼女にとってかけがえのない存在で、普段は感情が乏しそうに見える彼女が時折北斗にだけ見せる表情には凄まじい破壊力がありますね。今は無自覚でも日々の積み重ねでお互い唯一無二の存在と化してゆく二人の今後が楽しみです。

完全無欠な主人公体質の親友に巻き込まれがちで、やる気ゼロのクロムウェル。ゆるく生きるつもりだったのに、魔王軍からの襲撃でその日常は一変。戦った魔王に指揮官としてスカウトされる物語。魔王のフェルによって魔王軍の司令官に任命されてからが本当のスタートで、秘書セリスといがみ合ったりサポートされながら、魔族の子供・アルカを助けたり、コミュ障なデュラハンたちの仕事環境を改善していく展開はなかなか面白かったです。それにしても彼が死んだと思っている親友やマリアあたりは救いがないので、それをどう救済するのか続巻に期待。

 

流転の貴妃 或いは塞外の女王 (集英社オレンジ文庫)

流転の貴妃 或いは塞外の女王 (集英社オレンジ文庫)

 

商人の娘として生まれ、後宮の貴妃になった柴紅玉。それが勢力を拡大しつつある北方の遊牧民族の盟主へと嫁がされることになり、さらにその途上で嫁ぎ先の敵対部族による襲撃で攫われてしまう中華風浪漫譚。帝の寵愛はなくとも後宮謳歌していた生活から、二転三転する運命に翻弄され激変する紅玉の人生は大変だなあと思わずにいられませんでしたが、族長の末子アマルの妻となった彼女があるべき姿を見定めて覚悟を決め、遊牧民族の妻としては型破りな、けれど自分らしいやり方でアマルを支えるようになってゆく姿にはぐっと来るものがありました。

この声が、きみに届くなら (集英社オレンジ文庫)

この声が、きみに届くなら (集英社オレンジ文庫)

 

中学のときから片想いしている本城先輩に、バスケ部で再会した高1のゆめ。過去にトラウマがあり、声のコンプレックスのせいでうまく話せなかった彼女が、先輩のピンチに頑張る青春小説。話すのが苦手でも地道にやるべきことを頑張る彼女の姿があって、友人の沙月や新田先輩のおかげもあって先輩との距離が少しずつ近くなっていった矢先の突然の急変。でも先輩に後悔だけはして欲しくないと、どうするのが一番いいのか、ゆめは生懸命に考えて頑張っていましたし、そんな彼女のことをきちんと見てくれていた先輩との関係を応援したくなる二人でした。

思い出とひきかえに、君を (集英社オレンジ文庫)

思い出とひきかえに、君を (集英社オレンジ文庫)

 

約束の場所に現れなかった片想い中の陸斗が事故に遭ったことを知った高1のひまり。思い出とひきかえに願いを1つ叶えてくれる不思議なお店に迷いこんだ彼女が、陸斗を助けるため彼との大切な思い出を手放してゆく物語。中学時代に知り合い、電車の中でたまに言葉を交わす中で少しずつ積み重ねてきた彼への想い。彼が直面する困難から救おうとしたことで、かえってすれ違ってしまう切ない展開でしたけど、そんな彼女の想いを神様も見守ってくれてたんでしょうかね。一緒に新たな思い出を紡いでいってほしいと二人を応援したくなるそんな物語でした。

 

僕と彼女の嘘つきなアルバム (角川文庫)

僕と彼女の嘘つきなアルバム (角川文庫)

 

田舎に息苦しさを感じて、大好きな写真家・渡引クロエが通っていた大学に入学し上京した可瀬理玖。クロエが立ち上げた創作サークルで、不思議な力を持つ女の子・渡引真白と出会う青春ミステリ。部室で消失した写真の謎を解いたことをきっかけに、真白のいなくなった父を探す協力をすることになった理玖と仲間たち。特異な存在の母・クロエとの複雑な関係を抱える真白を、かけがえのない彼らの存在が少しずつ変えていって、明らかになってゆく父のことから垣間見えた母の真意と、ようやく向き合えた先にあった苦笑いの結末がとても素敵な物語でした。

北鎌倉の嘉風堂 裏路地神社の扇子屋さん (宝島社文庫)

北鎌倉の嘉風堂 裏路地神社の扇子屋さん (宝島社文庫)

  • 作者:千早 朔
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 文庫
 

北鎌倉の細い裏路地にあつ「嘉風神社」。そこの片隅で青年・嘉染葵燕が作る「神様の声を授ける扇子」が目立たないながら密かに評判を呼び、悩める参拝客が次々と訪れる物語。転職に迷う女性の真意、転校してゆく女の子との友情、父親が嫌いな女子高生の複雑な心情、恋人を亡くした青年が十五年後に知った彼女の想い、助手の充晴が手伝うようになった事情。二人で補い合いながら迷える参拝客の複雑な想いに寄り添い、前向きになれるようそっと手伝うエピソードはとても優しくて、心温まる読後感が良かったですね。続巻あるならまた読んでみたいです。

 

わたしの美しい庭

わたしの美しい庭

 

マンションの屋上庭園の奥にある「縁切り神社」。そこを訪れる生きづらさを抱えた人たちと、統理とふたり暮らしの小学生の百音、同じマンションに住む路有たちの物語。元妻の血の繋がらない娘・百音と同居する統理、ゲイの路有や同じマンションに住む桃子、仕事でうつになってしまった基らの視点から、その生きづらさが語られるエピソードで構成されていて、失ってしまった人やものへのままならなさを抱えながらも、それを簡単に忘れられるものでもないし、抱えながら生きてゆくしかないことを受け入れる彼らのありようがとても印象的な物語でした。

プルースト効果の実験と結果

プルースト効果の実験と結果

 

痛々しい自意識過剰、空回る都会への憧れ、思い通りにいかない初恋。思春期の苦くて甘い心情を鮮やかに描き出す四篇の連作短編集。プルースト効果という言葉を教えてくれた男の子との初恋、仲良くなった文芸部の女の子との関係、仲良くなった友達と気になる彼のエピソード、そして帰省の新幹線で出会った彼との関係。大人になる過程の多感な少女たちが出会う友人たちとの関係や淡い恋模様の繊細な描写に心揺さぶられて、著者さんの書いた物語をまた読んでみたくなる印象的な一冊でした。個人的には「プルースト効果の実験と結果」が良かったですね。

熊本くんの本棚 ゲイ彼と私とカレーライス

熊本くんの本棚 ゲイ彼と私とカレーライス

  • 作者:キタハラ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: 単行本
 

顔よし体よし性格よし。そのうえ読書家。なんだか現実味のないイケメン熊本くん。彼と何となくつるんでいる大学生のみのりが同級生から彼の意外な噂を聞く不器用な人々の物語。何となく居心地が良かった熊本くんの意外な秘密。明らかになってゆく絡み合う因縁と意外な繋がり、そして生々しく描写される突き付けられた呪いと閉塞感が強烈で、底なし沼に引きずり込まれるような感覚を覚えましたが、知りたいと思ったがゆえに失ってしまった居場所をいつまでも忘れられないみのりが、紆余曲折の末に巡り会った一冊の本がとても印象に残る結末でした。

2020年1月に読んだ本 #読書メーターより

正月休みとか連休もあってあんまり読めてないな…と個人的には思っていたのですが、終わってみればコミック除いても69冊読めていたので意外と読めていたみたいです。シリーズ続巻がたくさん被って消化には苦労しましたが、新作もなかなかおもしろい作品が多かったです。

 

1月の読書メーター
読んだ本の数:91
読んだページ数:24698
ナイス数:6254

高校事変 IV (角川文庫)高校事変 IV (角川文庫)感想
スキー場に向かう中学生たちを乗せたバスが新潟県の山中で起こした転落事故。そこで起きた弟の汚名をそそぐため、かつて父の組織と敵対していた半グレ集団「パグェ」のアジトに乗り込む第四弾。相変わらず話を聞いた中から導き出す結衣の洞察力が凄まじいことになっていますが、今回は父親が率いた半グレ集団の過去の因縁も絡めて、間抜けな公安の監視員も巻き込んだド派手な戦いでしたね…これあの二人はどうごまかしたんでしょうか(苦笑)一巻からの流れを踏まえた全体の構図も明らかになりましたが、この物語がどこに向かうのか気になるところ。
読了日:01月01日 著者:松岡 圭祐
データの世紀データの世紀感想
データが主導する新たな経済「データエコノミー」の最前線を追う日本経済新聞の大型連載「データの世紀」を同連載の取材班が加筆再構成して書籍化。就職活動に衝撃を与えた「リクナビ問題」の経緯、記者が身体を張って調査するGAFAを巡る利便性と収集される個人情報、個人情報の価値、最適な広告が表示されることの意味、デジタル貧困やレビュー社会の危うさ、共有される個人情報、遅れを取る日本社会や企業の現状などを取り上げつつ、利便性と引き換えに新たな支配が構築されつつある現状で自分がどうあるべきか、考えることも多い一冊でした。
読了日:01月02日 著者: 
思い出とひきかえに、君を (集英社オレンジ文庫)思い出とひきかえに、君を (集英社オレンジ文庫)感想
約束の場所に現れなかった片想い中の陸斗が事故に遭ったことを知った高1のひまり。思い出とひきかえに願いを1つ叶えてくれる不思議なお店に迷いこんだ彼女が、陸斗を助けるため彼との大切な思い出を手放してゆく物語。中学時代に知り合い、電車の中でたまに言葉を交わす中で少しずつ積み重ねてきた彼への想い。彼が直面する困難から救おうとしたことで、かえってすれ違ってしまう切ない展開でしたけど、そんな彼女の想いを神様も見守ってくれてたんでしょうかね。一緒に新たな思い出を紡いでいってほしいと二人を応援したくなるそんな物語でした。
読了日:01月02日 著者:柴野 理奈子
僕と彼女の嘘つきなアルバム (角川文庫)僕と彼女の嘘つきなアルバム (角川文庫)感想
田舎に息苦しさを感じて、大好きな写真家・渡引クロエが通っていた大学に入学し上京した可瀬理玖。クロエが立ち上げた創作サークルで、不思議な力を持つ女の子・渡引真白と出会う青春ミステリ。部室で消失した写真の謎を解いたことをきっかけに、真白のいなくなった父を探す協力をすることになった理玖と仲間たち。特異な存在の母・クロエとの複雑な関係を抱える真白を、かけがえのない彼らの存在が少しずつ変えていって、明らかになってゆく父のことから垣間見えた母の真意と、ようやく向き合えた先にあった苦笑いの結末がとても素敵な物語でした。
読了日:01月03日 著者:高木 敦史
弁当屋さんのおもてなし 夢に続くコロッケサンド (角川文庫)弁当屋さんのおもてなし 夢に続くコロッケサンド (角川文庫)感想
晴れてユウと結婚の約束をした千春は彼との未来について考え始め、一緒に働く未来への想いを伝えたものの、ユウからの予想外の反応に戸惑う第六弾。会社を辞めてユウと一緒に働きたいと思った千春と、「自分の人生に巻き込みたくない」というユウ。根が深いユウの複雑な想いがあって、千春もまたこれまでのキャリアとの兼ね合いを迷いながら、バイトの桂の想いや上司と息子のエピソード、ユウ不在の総力戦を乗り越えた先にようやくいろいろ吹っ切れましたかね。補い合えるいい夫婦になりそうな二人を予感させるエピローグがとても素敵な結末でした。
読了日:01月04日 著者:喜多 みどり
たとえば、謙虚に愚直なことを継続するという習慣たとえば、謙虚に愚直なことを継続するという習慣感想
不動産業界史上最年少で上場を果たした著者が経営破綻を経て、あえぎながらたどり着いた二度と失敗しないための18の行動指針を明かした1冊。どちらかというと経営者目線での語りが多い内容でしたが、日頃から倹約を心がければ経費削減など必要ない、分からない事を分かるふりをする事は最も愚行、人こそがもっとも大切な資産、最高と最悪を常に予測する、目的と目標を見誤らない、軸足はぶれないようにする、人と比べない見栄を張らない、恥ずべき行動を取らないなど、失敗を経験した著者の言葉はいろいろ考えさせられることが多かったですね。
読了日:01月05日 著者:杉本 宏之
これからの図書館: まちとひとが豊かになるしかけこれからの図書館: まちとひとが豊かになるしかけ感想
図書館司書として働き始め、図書館流通センターの会長のまま、神奈川県の真ん中に位置する人口10万人都市の中央図書館長に就任した著者が、図書館業務や過去と未来、その可能性について語った一冊。システム化が進んだ図書館が民間への業務委託や指定管理を転換期として、昔とは図書館の目指すべきところや司書の在り方もだいぶ変わってきているのは間違いなくて、それを踏まえてどうするのがいいのかいろいろ考えることがあるように感じました。遠隔地は行こうと思わないとなかなか行く機会がないですが、おすすめ図書館はいつか見てみたいです。
読了日:01月05日 著者:谷一 文子
活版印刷三日月堂 小さな折り紙 (ポプラ文庫)活版印刷三日月堂 小さな折り紙 (ポプラ文庫)感想
日月堂が軌道に乗り始めた一方、金子や柚原など関わった人たち…そして弓子達のその後、三日月堂の「未来」が描かれる番外編第二弾。前巻は三日月堂を巡る過去が描かれた短編集でしたが、今回は川越観光案内所のマドンナ・柚原の葛藤や、小枝と有伽たちが作った卒業文集、ファースト名刺を作った広太のその後、三日月堂を手伝う楓の進路、金子の将来に対する迷い、弓子のその後とそれぞれの未来へ向けたエピソードが綴られていて、三日月堂を拠り所として広がってゆく暖かな物語がとても素敵で、このシリーズを読んで本当に良かったと思えました。
読了日:01月06日 著者:ほしお さなえ
古くてあたらしい仕事古くてあたらしい仕事感想
吉祥寺でひとり出版社「夏葉社」をはじめて10年。作家志望だった著者が、従兄を事故死を機に転職活動をはじめるも50社連続不採用、33歳で夏葉社を起業し、手探りの本づくりの日々を綴ったノンフィクション。編集も未経験で営業も苦手という島田さんによる、大量消費以前のやり方をよみがえらせるこだわりの本づくりがなかなか印象的でしたが、ちいさくひとりで始めるとはいっても、ひとりで何でもやる出版活動を続けるのは誰にでも真似できることではないですね。大変なこともいろいろあろうかとは思いますが、これからも頑張って欲しいです。
読了日:01月06日 著者:島田 潤一郎
一華後宮料理帖 第十品 (角川ビーンズ文庫)一華後宮料理帖 第十品 (角川ビーンズ文庫)感想
ついに蜂起し皇帝・祥飛へ退位を迫る朱西。戦か退位か与えられた猶予は十日。禁軍すら敵に回る状況で祥飛が決断を迫られる第十弾。悩みながらも民を思い国のために戦う道を選ぶ祥飛。一方初秋の庭で聞いた珠ちゃんの言葉の意味を考える理美。できる手を打ってゆく祥飛もいろいろ考えているんだなとは思いましたけど、着々と追い詰めてゆく朱西の本意は見えないままでしたね…。五龍の真意はどこにあるのか、どちらが勝つのか、理美はどうなるのか、そして最終決戦の先にどんな結末が待っているのか、次巻が最終巻のようですので楽しみにしています。
読了日:01月07日 著者:三川 みり
アルバート家の令嬢は没落をご所望です 7 (角川ビーンズ文庫)アルバート家の令嬢は没落をご所望です 7 (角川ビーンズ文庫)感想
次期当主争いも落ち着き、おめでたも発覚したメアリたち。しかしアディと同じ髪色の女の子・アンナが現れ、アディのことを「お父さん」と呼び始める第七弾。ついにメアリもおめでたですか…と感慨深いものを覚えましたが、妊婦なのに仲間たちとアンナの親を探しに行くメアリ(苦笑)メアリ大好きなアリシアパルフェットは相変わらずだなあとも思いましたけど、お兄ちゃんたちも当主の座を争うどころかほんとサポート体制万全で、王女なのに乳母の座を狙うアリシアには思わず笑ってしまいました。二人の子供も気になるけど周囲もそろそろですかね。
読了日:01月07日 著者:さき
陰に隠れてた俺が魔王軍に入って本当の幸せを掴むまで (角川スニーカー文庫)陰に隠れてた俺が魔王軍に入って本当の幸せを掴むまで (角川スニーカー文庫)感想
完全無欠な主人公体質の親友に巻き込まれがちで、やる気ゼロのクロムウェル。ゆるく生きるつもりだったのに、魔王軍からの襲撃でその日常は一変。戦った魔王に指揮官としてスカウトされる物語。魔王のフェルによって魔王軍の司令官に任命されてからが本当のスタートで、秘書セリスといがみ合ったりサポートされながら、魔族の子供・アルカを助けたり、コミュ障なデュラハンたちの仕事環境を改善していく展開はなかなか面白かったです。それにしても彼が死んだと思っている親友やマリアあたりは救いがないので、それをどう救済するのか続巻に期待。
読了日:01月07日 著者:松尾 からすけ
マージナル・オペレーション改 08 (星海社FICTIONS)マージナル・オペレーション改 08 (星海社FICTIONS)感想
米中全面対決の様相を呈してきたミャンマー北東部をめぐる紛争。最大の後援者・米国は朝鮮半島情勢の対応に追われ、ミャンマー方面の制空権は徐々に中国に奪われて孤立してゆく新章第八弾。いや何というか...中国軍が愚直というか無謀というか、まめたん無双し過ぎというか、近未来の戦争って今後こういう風になってゆくのかなとか思いつつ、でも局地的にはこれだけ勝っている状況なのに、戦略的に劣勢に追い込まれてゆくあたりは難しい。相変わらずどこか胡散臭いけど、イトウさんの交渉力というか豪腕はもはや欠かせなくなりつつありますね…。
読了日:01月07日 著者:芝村 裕吏,しずま よしのり
どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。(1) (女性向けMノベルス)どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。(1) (女性向けMノベルス)感想
人間と離れてひっそりと暮らす湖の善き魔女・ロゼ。彼女が4年間秘かに片思いをしていた王宮騎士のハリージュから惚れ薬作成を依頼される物語。絶望的な依頼をきっかけに、これまで無自覚だった彼女の孤独な世界を広げ、かけがえのない存在となってゆくハリージュとの日々。彼の方も最初は放っておけない危なっかしいだけの存在だったはずが、いつの間にか自分だけが知っていると思っていた優越感を刺激され、臆病で優しい彼女を意識するようになってゆく姿がとても印象的で、そんな二人が紆余曲折の末に迎えた幸せな結末がとても素敵な物語でした。
読了日:01月08日 著者:六つ花 えいこ
PSYCHO‐PASSサイコパス3〈A〉 (集英社文庫)PSYCHO‐PASSサイコパス3〈A〉 (集英社文庫)感想
シビュラシステムが人々の治安を維持している近未来。難民輸送中のドローン墜落事故を調査する新人監視官・灼と炯が、捜査を進めるうちに事故の背後にある巧妙な犯罪の影を感知するTVアニメ3期のノベライズ第一弾。メンバーの大部分が刷新された訳ありな刑事課一係の監視官と執行官たち。彼らを統率する霜月課長を振り回しながら、その特異な能力を活かしてシステムの間隙を突くような犯罪の真相に迫る展開で、かつての懐かしい面々も登場して、立場こそ変わっても失われていない絆が感じられるやりとりに、これからの展開が楽しみになりました。
読了日:01月08日 著者:吉上 亮,サイコパス製作委員会
准教授・高槻彰良の推察3 呪いと祝いの語りごと (角川文庫)准教授・高槻彰良の推察3 呪いと祝いの語りごと (角川文庫)感想
尚哉の友人・難波の元に届いた不幸の手紙。時を同じくして、高槻と尚哉は「図書館のマリエさん」という聞き慣れない都市伝説を知る第三弾。メールで届いた不幸の手紙と学校に広まる「図書館のマリエさん」という聞き慣れない都市伝説、鬼神伝説が残る村に調査に出向いた一行が遭遇する思いがけない受難。確かに伝わっていくうちに都市伝説っていろいろ変容して派生していきますね…とか思いながら読んでましたけど、高槻と出会ったことで尚哉のありようは確実に変わってきているのを感じますね。高槻と佐々倉の幼い頃を描いた番外編も良かったです。
読了日:01月09日 著者:澤村 御影
ストライク・ザ・ブラッド21 十二眷獣と血の従者たち (電撃文庫)ストライク・ザ・ブラッド21 十二眷獣と血の従者たち (電撃文庫)感想
死闘の末に吸血王を倒すもシャフリヤル・レンの策謀によって、異境へと墜ちたアヴローラ。ただの人間に戻り救う手段のなくなった古城に、第一真祖キイが意外な取引きを持ちかける第二十一弾。キイより古城に与えられた新たな漆黒の眷獣と、制御するために必要な十二人の『血の伴侶』を集めるべく奔走する雪菜たち。今回は古城を慕う面倒くさいヒロインたちが大集合して、ツンデレだったり挑発したり覚悟を決めたりと彼女たちの魅力が満載の展開でしたが、やはり美味しいところを持っていくのは彼女でしたか(苦笑)舞台も整って次巻が楽しみですね。
読了日:01月10日 著者:三雲 岳斗
魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画(3) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画(3) (電撃文庫)感想
黒羽文弥の直下で殺し屋を生業とする榛有希に舞い込んできた新たな依頼。用心深く警戒を重ねる標的の懐になんとか潜り込んだ有希が、謎の乱入者に標的の命を奪われてしまう第三弾。今回達也は名前のみの登場で、自らの手で国防軍への復讐を完遂すべく標的を付け狙い、立ちはだかる有希たちへも牙を向ける調整体『鉄シリーズ』の青年・若宮との遭遇。因縁の出会いから紆余曲折の末にチームとしてコンビを組むようになってゆく展開はなかなか良かったですが、若宮が特訓で別人のようになっていて苦笑いでした。ここからの新シリーズも期待しています。
読了日:01月10日 著者:佐島 勤
29とJK8 ~そして社畜は今日も働く~ (GA文庫)29とJK8 ~そして社畜は今日も働く~ (GA文庫)感想
尊敬していた編集者、御旗と訣別し、自社のサイトでお仕事小説の連載を発表した槍羽。執筆を担当の花恋は、取材のため変装してコールセンターの現場で働く第八弾。御旗の影響力で様々な妨害を受ける槍羽。思わぬ周囲の助けもあり準備を進めた先にあった意外な展開と、損害賠償を訴えた御旗と直接対決する鋭二。関係者の想いやいつからか変容してしまっていた御旗の真意を見事見抜いた槍羽は流石でしたけど、決着のあとに描かれたそれぞれのリスタートがまた印象的でした。ここが物語の終着点だったのはやや意外でしたが、次回作も期待しています。
読了日:01月10日 著者:裕時 悠示
竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)感想
師の遺言により少女ユーイの杖を修理することになった、半人前の魔法杖職人・イクス。姉弟子たちの助けも借りてどうにか破損していた芯材を特定した彼が、1000年以上前に絶滅した竜の心臓を求めて旅する物語。夏の終わりまでを期限とした竜の伝承を求めての探索、ユーイが抱える過去と杖が壊れた理由、明らかになってゆく竜が絶滅した真相。戦えない二人が主人公であるがために、派手な展開とは無縁でインパクトには欠けますが、しっかりとした世界観の中で動く登場人物の描写は繊細で、明かされた真実とその結末は心に響くものがありました。
読了日:01月11日 著者:筑紫一明
つるぎのかなた(3) (電撃文庫)つるぎのかなた(3) (電撃文庫)感想
「辿り着きたい場所があるから」立ち塞がるのは『剣姫』吹雪を擁する強豪・桐桜学院。勝つためにはどうすべきか、それぞれ道を選んだ少女たちの百花繚乱の女子団体戦を描く第三弾。今回は秋水大付属戦の裏側にあった少女たちの熱い桐桜学院戦がそれぞれのエピソード付きで描かれていて、何とも複雑に絡まった想いや因縁もエピソードとして交えつつ、これまで積み上げてきたもの、抱えてきたものが語られた先にあるからこそ、今回のそれぞれの戦いの重みが感じられて、力を出し切った激闘の結末がまた美しかったです。続巻の決着もまた楽しみですね。
読了日:01月11日 著者:渋谷 瑞也
<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 11.栄光の選別者 (HJ文庫)<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 11.栄光の選別者 (HJ文庫)感想
かつてアルター王国を襲った災害【三極竜グローリア】。打つ手のない絶望的な相手に、そんな中、それぞれの闘う理由を胸にフィガロ、月夜、シュウの超級3人が立ち上がるアルター王国三巨頭誕生秘話。今回はレイが参戦する前にあった過去エピソードで、近づけば死があふれ、遠くからの攻撃は効かない強敵相手に立ち向かったフィガロのライバル・剣王のエピソードも絡めながら、3人それぞれが見せた熱い激闘にはぐっと来るものがあって、その裏にあったもうひとつの結末が今に繋がっていて、これまでの物語がまた少し違って見えるようになりました。
読了日:01月12日 著者:海道左近
【Amazon.co.jp 限定】JKハルは異世界で娼婦になったsummer (ハヤカワ文庫JA)【Amazon.co.jp 限定】JKハルは異世界で娼婦になったsummer (ハヤカワ文庫JA)感想
本編後も続くハルたちの異世界ライフを描くシリーズ短編集。転送前の出来事を千葉視点から綴った前日譚、娼館に現れた下着泥棒の正体、最強の冒険者の仲間イーゴとシスター・キヨリの物語、ハルのその後とルぺの選択など、千葉も基本的に悪いやつではないんだけど、感覚がズレてるというか言葉が足りないというか、残念な感じが拭えなかったですが、後に明かされた真相はちょっと意外でしたね(苦笑)ハルを含めた女性陣たちもまたそれぞれに複雑な思いを抱えていたりで、彼女たちのそうそううまくは行かない異世界での日常が印象的な短編集でした。
読了日:01月13日 著者:平鳥コウ
居酒屋ぼったくり〈8〉 (アルファポリス文庫)居酒屋ぼったくり〈8〉 (アルファポリス文庫)感想
ついに美音にプロポーズした要。しかしそのどうにもやり方がまずかったそのプロポーズがたまたま要の母の知るところとなり、思わぬ騒動に発展してゆく第八弾。うーん、知れば知るほど佐島家の男たちのプロポーズの歴史が残念すぎて、いやこれは怒りが再燃するのも分からなくはないんですが、そんな強権発動でもお兄ちゃんは意外と要に甘かったりするんですね(苦笑)介護とか家族内の因縁とか下が生まれた女児の複雑な想いとか、すれ違う家族関係がエピソードとして描かれましたけど、二人が結婚までたどり着くにはまだまだいろいろありそうですね。
読了日:01月14日 著者:秋川 滝美
魔眼の匣の殺人魔眼の匣の殺人感想
班目機関関係の人里離れた施設の孤独な主は予言者と恐れられる老女。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする訪れた九人に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げ、外界と唯一繋がる橋が燃え落ちる第二弾。状況ができあがってゆくまでの過程はやや強引かな…という印象はありましたが、不気味な予言通りに次々と死者が増えてゆく中で、極限状態に置かれた人々の心理が今回の事件のポイントだったのかなと。そこで自らは葉村のホームズにはなれないという比留子の優先順位が、必ずしも事件解決に向いていなかった点はなかなか印象的でした。
読了日:01月14日 著者:今村 昌弘
あやかしに迷惑してますが、一緒に占いカフェやってます (集英社オレンジ文庫)あやかしに迷惑してますが、一緒に占いカフェやってます (集英社オレンジ文庫)感想
占い付きドリンク専門のキッチンカーを経営する五百城圭寿。五百城家を代々守護してきたあやかしの白蓮とともに霊絡みのお悩みを解決する物語。失踪した父を探す手がかりを得るためキッチンカーを始めた二人。公園に居続ける女子高生の霊や引っ越してきたアパートにいる戦前の子どもの霊、事故死した資産家の祖母の霊など、その心残りを解決して成仏へ導く中で、残された人たちの関係も改善に向かう展開はなかなか良かったです。スマホ大好きな白蓮との関係も微笑ましかったですが、肝心の父親探しはほんとんど進展なしで続き出るんでしょうかね…。
読了日:01月15日 著者:瀬王 みかる
Unnamed Memory IV 白紙よりもう一度 (DENGEKI)Unnamed Memory IV 白紙よりもう一度 (DENGEKI)感想
四百年前に彼女を救ったことで作り変えられた世界。呪いの打破を願い魔法大国トゥルダールを訪れたオスカーが、四百年ぶりに目覚めて呪いの解呪を申し出た少女・ティナーシャを連れ帰るもうひとつの物語。ようやく再会した彼女の感無量な想いにはぐっと来ましたけどそう簡単に行くわけもなくて、でも以前ともまた違う二人の距離感が新鮮でした。様々な構成が変わった世界でも変わらないものがあって、相変わらずお互い巻き込まれまくりで私人の前に公人という建前を崩せない前途多難な状況ですが、二人ならきっと乗り越えてくれると信じています。
読了日:01月15日 著者:古宮 九時
京都寺町三条のホームズ(13)-麗しの上海楼 (双葉文庫)京都寺町三条のホームズ(13)-麗しの上海楼 (双葉文庫)感想
ジウ・イーリンに請われ、美術展での鑑定のために円生、小松とともに上海を訪れた清貴。優雅な上海滞在のはずが、突然、因縁の相手・菊川史郎からニューヨークにいる葵の隠し撮り写真が送られてくる第十三弾。今回はセレブな環境でもさらっとスマートに対応する清貴のセクシーな描写もありましたけど(苦笑)相手のためを思う対応が取れて、葵の危機やオーナーの汚名を晴らすために立ち上がる彼のありようはカッコ良かったです。思わぬ形で新たな道が見えてきた円生の新たな縁もちょっと気になりましたが、二か月連続刊行の次はNY編が楽しみです。
読了日:01月15日 著者:望月 麻衣
神さま気どりの客はどこかでそっと死んでください (集英社オレンジ文庫)神さま気どりの客はどこかでそっと死んでください (集英社オレンジ文庫)感想
あなたの傍にもいるかもしれないモンスタークレーマーたち。主人公たちにまとわりついた彼らが辿る結末を描く縁切り神社シリーズ第二弾。まさかの続編刊行で、今回は結婚相談所に現れた独善的で粘着質な男性に悩まされる仲人の冴、クレーマーに悩まされるコールセンター勤務の久美子、そして深夜コンビニの業務妨害の迷惑客に怯えるバイトを続ける佳奈が主人公。前作に出てきた縁切り神社に祈ってしまった当事者からしたら、因果応報というにはぞっとするような締めくくりばかりで、いなくなったからといってスッキリしたとはならない結末ですよね。
読了日:01月16日 著者:夕鷺 かのう
結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)感想
母親から継いだ結婚相談所で婚活女子のサポートに奔走する「結婚できない人を結婚させる仲人」縁太郎。とある婚活パーティーで結衣と出会う婚活ラブコメ。エロ漫画家・牡丹、玉の輿を狙う元令嬢・カレン、究極のダメンズほいほいな保育士・まひるといった会員とも出会い、結婚に向き合えていなかったワケありな結衣も少しずつ変化してゆく展開で、単なる仲人と関係という関係にとどまらない、彼女たちのために奔走する縁太郎とヒロインたちの絆にはぐっと来るものがあって、縁太郎が応援する彼女たちの婚活の結末を最後まで見届けたいと思えました。
読了日:01月16日 著者:栗ノ原 草介
ゆきうさぎのお品書き 風花舞う日にみぞれ鍋 (集英社オレンジ文庫)ゆきうさぎのお品書き 風花舞う日にみぞれ鍋 (集英社オレンジ文庫)感想
季節は冬。年末年始、それぞれの時間を過ごす「ゆきうさぎ」の常連客たち。一方、もうすぐ勤務先の学校研修が始まる碧は、大樹と一緒に彼の実家である箱根の温泉旅館・風花館を訪問する第九弾。彰三や八尾谷夫妻、花嶋、都築の想いの決着、すっかりカップルなミケさんや星花のその後といった登場人物たちの近況が丁寧に綴られていく展開はこの物語も終わりに近づいているのかなと感じて少し切なくなりましたけど、ついに訪れた大樹の実家エピソードもタマらしさが出ていて良かったです。でも彼女のゆきうさぎでのバイトももう終わりなんですね…。
読了日:01月16日 著者:小湊 悠貴,イシヤマアズサ
威風堂々惡女 3 (集英社オレンジ文庫)威風堂々惡女 3 (集英社オレンジ文庫)感想
皇帝・碧成との間に唯一子をなし、後宮で威勢を誇った寵姫・芙蓉に皇后暗殺の濡れ衣を着せ追い落とした雪媛。しかし芙蓉は自らを慕う潼雲を使い、雪媛を陥れようと画策し始める第三弾。未来を知るがゆえに、雪媛が潼雲を自らの護衛のひとりに任じたことに警戒を強める青嘉。不穏な事件が続く状況に、増長し始めた尹族も彼女の足を引っ張る展開で、そんな状況でも惑わずに苦境を見事打開してみせた雪媛が鮮烈でしたけど、一方で複雑な想いを抱える青嘉や潼雲のこれからも気になりますし、何より諦めが悪い芙蓉はこのままでは終わらなそうですね…。
読了日:01月17日 著者:白洲 梓,蔀 シャロン
流転の貴妃 或いは塞外の女王 (集英社オレンジ文庫)流転の貴妃 或いは塞外の女王 (集英社オレンジ文庫)感想
商人の娘として生まれ、後宮の貴妃になった柴紅玉。それが勢力を拡大しつつある北方の遊牧民族の盟主へと嫁がされることになり、さらにその途上で嫁ぎ先の敵対部族による襲撃で攫われてしまう中華風浪漫譚。帝の寵愛はなくとも後宮謳歌していた生活から、二転三転する運命に翻弄され激変する紅玉の人生は大変だなあと思わずにいられませんでしたが、族長の末子アマルの妻となった彼女があるべき姿を見定めて覚悟を決め、遊牧民族の妻としては型破りな、けれど自分らしいやり方でアマルを支えるようになってゆく姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月17日 著者:喜咲 冬子,巖本 英利
ロクでなし魔術講師と禁忌教典16 (ファンタジア文庫)ロクでなし魔術講師と禁忌教典16 (ファンタジア文庫)感想
魔術祭典の準決勝へと駒を進めたアルザーノ帝国代表選手団。日輪の国のメイン・ウィザード、サクヤとの出会いにより、システィーナは魔術師としての在り方を問われ、グレンは禁忌教典の謎に至ろうとする第十六弾。急激な成長に覚悟が追い付かない白猫の葛藤はとても彼女らしいなと思いましたけど、アリシア三世の手記でグレンが追体験する過去でここまでのいろいろな断片が繋がってきましたね。重要な局面へのジャスティス介入に加えて、魔術祭典決勝でも異変が起きて次巻もまた波乱は必至。キーマンになりそうなグレンや彼女たちの活躍に期待です。
読了日:01月18日 著者:羊太郎
ラストラウンド・アーサーズ5 過去の王と未来の王 (ファンタジア文庫)ラストラウンド・アーサーズ5 過去の王と未来の王 (ファンタジア文庫)感想
聖杯探索から現界へ戻ってきた瑠奈たちを襲う世界の危機。蘇った伝説時代のアーサー王によって引き起こされる人理の崩壊にアーサー王候補者たちが圧倒的な力の差を見せつけられ絶望する中、諦めない瑠奈が仲間を叱咤して立ち向かう第五弾。最後に立ちはだかる蘇った伝説時代のアーサー王。凛太朗不在のまま、それぞれの負けられない想いを胸に繰り広げる熱い戦いの連続に、絶体絶命の局面に真打ちが登場してからの逆転劇と、最終巻はまさに王道展開でしたけど、その勢いのまま最後まで描き切ってみせた作品でした。ロクでなしも新作も期待してます。
読了日:01月19日 著者:羊太郎
スパイ教室01 《花園》のリリィ (ファンタジア文庫)スパイ教室01 《花園》のリリィ (ファンタジア文庫)感想
各国スパイが「影の戦争」を繰り広げる世界。落ちこぼれのメンバーばかり7人が集められ、凄腕スパイ・クラウスの指導の下、死亡率九割を超える『不可能任務』に挑むスパイファンタジー。凄腕だけど説明できない教えベタの教師役相手に、騙しあいで打ち勝つ実地訓練に挑む不器用な少女たち。チームとして挑んだ過酷なスパイ任務にも最後まで諦めない少女たちの想いに、ともに戦ったクラウスも少なからず感化されていって、普段の日常からスパイらしい仕掛けを感じさせる展開と、そんな絆を育んでいった彼らの物語をまた読んでみたいと思いました。
読了日:01月19日 著者:竹町
北鎌倉の嘉風堂 裏路地神社の扇子屋さん (宝島社文庫)北鎌倉の嘉風堂 裏路地神社の扇子屋さん (宝島社文庫)感想
北鎌倉の細い裏路地にあつ「嘉風神社」。そこの片隅で青年・嘉染葵燕が作る「神様の声を授ける扇子」が目立たないながら密かに評判を呼び、悩める参拝客が次々と訪れる物語。転職に迷う女性の真意、転校してゆく女の子との友情、父親が嫌いな女子高生の複雑な心情、恋人を亡くした青年が十五年後に知った彼女の想い、助手の充晴が手伝うようになった事情。二人で補い合いながら迷える参拝客の複雑な想いに寄り添い、前向きになれるようそっと手伝うエピソードはとても優しくて、心温まる読後感が良かったですね。続巻あるならまた読んでみたいです。
読了日:01月20日 著者:千早 朔
転生王女と天才令嬢の魔法革命 (ファンタジア文庫)転生王女と天才令嬢の魔法革命 (ファンタジア文庫)感想
幼い時に前世の記憶を取り戻してからは、魔法研究に邁進していた王女・アニス。そんな彼女が天才公爵令嬢・ユフィが次期王妃の座から外される場面に遭遇し、彼女をパートナーとしてスカウトするファンタジー。アニスの弟王子がユフィに突然突き付けた婚約破棄。そんな窮地に陥った彼女を颯爽と救ってみせたアニスは破格な存在で、その奇行や斜め上の発想に戸惑い振り回されながらも、彼女の示す道に新たな可能性を見出してゆくユフィは果たして幸せになれるんでしょうか(苦笑)けれど状況的に弟王子とは対立必至で、今後の展開が気になりますね。
読了日:01月20日 著者:鴉 ぴえろ
タテ社会と現代日本 (講談社現代新書)タテ社会と現代日本 (講談社現代新書)感想
「資格よりも場」「序列意識」「ウチとソト」など、日本社会独自の構造を鮮やかに解き明かした「タテ」の理論。現代日本の抱える問題を「タテ」の理論を使って読み解いた一冊。長時間労働をもたらす小集団の封鎖性や非正規・正規雇用問題、新参者へのいじめやタテ社会のなかの女性の社会進出といった現代日本の問題を、本質的なところでは変わらない日本固有の「タテ社会」の構図から解説ししつつ、それが世界のグローバル化の影響によって変容したことで様々な齟齬が生じ、問題が表面化するようになったという説には説得力があるように感じました。
読了日:01月20日 著者:中根 千枝,現代新書編集部
プルースト効果の実験と結果プルースト効果の実験と結果感想
痛々しい自意識過剰、空回る都会への憧れ、思い通りにいかない初恋。思春期の苦くて甘い心情を鮮やかに描き出す四篇の連作短編集。プルースト効果という言葉を教えてくれた男の子との初恋、仲良くなった文芸部の女の子との関係、仲良くなった友達と気になる彼のエピソード、そして帰省の新幹線で出会った彼との関係。大人になる過程の多感な少女たちが出会う友人たちとの関係や淡い恋模様の繊細な描写に心揺さぶられて、著者さんの書いた物語をまた読んでみたくなる印象的な一冊でした。個人的には「プルースト効果の実験と結果」が良かったですね。
読了日:01月21日 著者:佐々木 愛
熊本くんの本棚 ゲイ彼と私とカレーライス熊本くんの本棚 ゲイ彼と私とカレーライス感想
顔よし体よし性格よし。そのうえ読書家。なんだか現実味のないイケメン熊本くん。彼と何となくつるんでいる大学生のみのりが同級生から彼の意外な噂を聞く不器用な人々の物語。何となく居心地が良かった熊本くんの意外な秘密。明らかになってゆく絡み合う因縁と意外な繋がり、そして生々しく描写される突き付けられた呪いと閉塞感が強烈で、底なし沼に引きずり込まれるような感覚を覚えましたが、知りたいと思ったがゆえに失ってしまった居場所をいつまでも忘れられないみのりが、紆余曲折の末に巡り会った一冊の本がとても印象に残る結末でした。
読了日:01月21日 著者:キタハラ
錆喰いビスコ5 大海獣北海道、食陸す (電撃文庫)錆喰いビスコ5 大海獣北海道、食陸す (電撃文庫)感想
大地を呑み込まんとする生物兵器・北海道。その前に立ちはだかったのは目つきの悪い赤髪の子供姿の赤星ビスコ。そんな彼らの前にビスコを子供に変えた愛弟子、紅菱の王・シシが立ちはだかる第五弾。まさかの生物兵器・北海道という発想にはびっくりしましたが(苦笑)、現地で出会ったチャイカや北のキノコ守たちとも共闘しつつ、紅菱の王・シシたちの一党や立ちはだかった寒椿の野望を打ち砕く展開は勢いもあってなかなか良かったですね。ここまで強敵が続いた中で再登場したかつての敵はちょっと意外でしたけど、続巻の展開に期待ということで。
読了日:01月22日 著者:瘤久保 慎司
この声が、きみに届くなら (集英社オレンジ文庫)この声が、きみに届くなら (集英社オレンジ文庫)感想
中学のときから片想いしている本城先輩に、バスケ部で再会した高1のゆめ。過去にトラウマがあり、声のコンプレックスのせいでうまく話せなかった彼女が、先輩のピンチに頑張る青春小説。話すのが苦手でも地道にやるべきことを頑張る彼女の姿があって、友人の沙月や新田先輩のおかげもあって先輩との距離が少しずつ近くなっていった矢先の突然の急変。でも先輩に後悔だけはして欲しくないと、どうするのが一番いいのか、ゆめは生懸命に考えて頑張っていましたし、そんな彼女のことをきちんと見てくれていた先輩との関係を応援したくなる二人でした。
読了日:01月22日 著者:菊川 あすか
裏世界ピクニック4 裏世界夜行 (ハヤカワ文庫JA)裏世界ピクニック4 裏世界夜行 (ハヤカワ文庫JA)感想
季節は、やがて冬へ。閏間冴月を信仰する団体による襲撃ののち、拠点の山の牧場を調査する空魚と鳥子たち。探検のため準備を進めていく中で過去最も恐ろしい脅威が静かに迫る第四弾。前回の事後処理を進める中で出てきた小桜を含めた三人での温泉旅行と、探索のための準備や試行錯誤を続ける中で明らかになってゆく鳥子の心境の変化。これまでの経緯からしたら別に不思議でもなかったですけど、いくらかけがえのない相手でも突然距離感変わったら戸惑うのも無理はないというか。二人の関係がどういう感じに落ち着くのか気になるところではあります。
読了日:01月22日 著者:宮澤 伊織
ぼくたちは勉強ができない 未体験の時間割 (JUMP j BOOKS)ぼくたちは勉強ができない 未体験の時間割 (JUMP j BOOKS)感想
文乃・理珠・うるかがアイドルユニット結成したり、文乃が犬になったり、旅館に勉強合宿に行ったり、田舎で起こった難事件に成幸たちが推理で挑んだり、本編とはひと味違うエピソードをたっぷり収録した小説第二弾。今回もまたヒロインたちそれぞれの特徴を活かしたシチュエーションでエピソードを楽しむ展開でしたけど、三人組にあしゅみー先輩や真冬先生を絡めたキャラたちがとてもいきいきと動いていてこれはこれで楽しかったです。前巻に続いて今度は犬にさせられた文乃でしたけど、真冬先生と成幸のあの距離感を見たら気になっちゃいますよね。
読了日:01月22日 著者:筒井 大志,はむばね
異世界迷宮の最深部を目指そう 13 (オーバーラップ文庫)異世界迷宮の最深部を目指そう 13 (オーバーラップ文庫)感想
ラスティアラの密命を受け、魔石人間に流れる『ティアラ様の血』の回収に励むジークの騎士・ライナー。そんな彼の前にティアラを名乗る人物が現れ、『ティアラ様の血』を全て受け取って欲しいと言われる第十三弾。『ティアラ様の血』を巡る様々な思惑に巻き込まれてゆくライナー大変だな…と思いながら読んでましたけど、英雄のはずなのになぜか恥ずかしい過去の暴露大会じみた告白で打ちのめされるカナミには思わず笑ってしまいました。何というか千年前の行いがアレだったというか仕方ないような気もしましたけど、業が深いですね…これは(苦笑)
読了日:01月22日 著者:割内タリサ
イダジョ!研修医編 (ハルキ文庫 と)イダジョ!研修医編 (ハルキ文庫 と)感想
医大を卒業し栃木にある中堅総合病院・北関東相互病院に研修医として赴任した安月美南。大きな大学病院と違う環境に、忙しい日々の中でぶつかる女性としての壁。差別、出産、医師不足といった問題に直面する第二弾。奨学金の条件として三年間の研修医生活に入った美南でしたけど、大学病院と地方の総合病院だと日々の仕事で取り組むことも変わってくるし、女医だからこそのいろいろ難しいことってあるんでしょうね…日々の仕事に追われると結婚や出産のタイミングも悩ましいんだろうなと感じましたが、美南の勇気ある決断を応援したいと思いました。
読了日:01月23日 著者:史夏ゆみ
今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 せんぱい、ひとつお願いがあります (MF文庫J)今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 せんぱい、ひとつお願いがあります (MF文庫J)感想
丘の上の七河公園で再会した幼馴染の妹・双原灯火。「流宮の氷点下男」と呼ばれる冬月伊織と、「自称・先輩を慕う美少女」の灯火の大切な人を取り戻そうと願う不器用な二人の物語。住む町に伝わる星の涙の都市伝説と、翌日からあざとく伊織に付きまとうようになった灯火の真意。幼馴染の妹とのあざといラブコメ展開はものの見事に裏切られて、伊織の苦い過去を絡めながら明らかになる不穏な状況があって、大切なものを諦められない灯火に真正面からぶつかってみせた伊織の想いと、二人で乗り越えた先に迎えた結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月23日 著者:涼暮 皐
隣のキミであたまがいっぱい。 (MF文庫J)隣のキミであたまがいっぱい。 (MF文庫J)感想
『他人の思考が読めてしまう』特殊能力を持つ美少女・如月那緒が、隣にいれば宇佐美北斗だけに限定されると気づき共に過ごすようになる青春ラブコメ。常に他人の考えていることが聞こえてしまう彼女がようやく見出した安住の居場所。そんな如月を忌避することもなく、思考がだだ洩れ前提の会話が当たり前になってゆく北斗は彼女にとってかけがえのない存在で、普段は感情が乏しそうに見える彼女が時折北斗にだけ見せる表情には凄まじい破壊力がありますね。今は無自覚でも日々の積み重ねでお互い唯一無二の存在と化してゆく二人の今後が楽しみです。
読了日:01月23日 著者:城崎
探偵はもう、死んでいる。2 (MF文庫J)探偵はもう、死んでいる。2 (MF文庫J)感想
シエスタを失い一年が経って夏凪や斎川と出会い、シャルと再会し、彼女たちとともにに誘拐された君塚。そこでシエスタの死の真相が語られる第二弾。前巻に引き続いて語られる超絶可愛い探偵・シエスタとコンビを組む助手・君塚で解決してゆく事件、ヒロインたちも嫉妬を隠せない仲睦まじい二人の阿吽の呼吸っぷりだけですでにおなか一杯な展開でしたけど、でも2巻が終わっても今いるヒロインたちとの物語としてはほとんど進んでないんですよね(苦笑)予想もしなかった流れにビックリしましたが、今度こそここからどう展開してゆくのか続巻に期待。
読了日:01月23日 著者:二語十
聖剣学院の魔剣使い3 (MF文庫J)聖剣学院の魔剣使い3 (MF文庫J)感想
吸血鬼の女王の力に目覚めつつあるリーセリアの活躍もあって、学院の合同演習でも頭角を現しはじめた第十八小隊。そんな中、六年前にヴォイド襲撃で壊滅したはずの第〇三戦術都市が出現し小隊がその調査に向かう第三弾。リーセリアの故郷でもある戦術都市の調査に赴いたレオニスの前に現れた女神・ロゼリアの転生体。そしてレオニスと同じく千年の眠りから目覚めた魔女殺しの少女・アルーレ。複雑な因縁も少しずつ明らかにしながら、花嫁のドレスを贈られたセリアも着実にパワーアップして、新ヒロインも増えて安心安定な今後の展開が楽しみです。
読了日:01月23日 著者:志瑞祐
丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。6 (角川文庫)丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。6 (角川文庫)感想
吉原不動産の子会社となった第六リサーチ。新会社の業績UPのため最近お金にうるさい次郎が、高額報酬目当てに怪しさ満点の男・伊原の依頼を引き受ける第六弾。心機一転始まった子会社勤務は吉原不動産の一部署でなくなった分、高木の依頼も断ることがあるし同行もないし、何ともあれな案件も引き受けることになるわけですね…保養施設に出る幽霊、マンションに出る怪しい霊たちとか、次郎さんやっぱり抜け目ないですね。生暖かく見守りたい二人の関係も少しだけ変化の兆し?腐れ縁になりそうな伊原は怪しいけど、妹さんの問題は解決してよかった。
読了日:01月24日 著者:竹村優希
ミスしても評価が高い人は、何をしているのか?ミスしても評価が高い人は、何をしているのか?感想
「ミス・失敗」はその扱い方を変えるだけで職場の分析力・計画力・学習力・伝達力が上がる。「やばい」「しまった」を最高のチャンスに変える仕組み。ミスをしたときにとっさにどう反応すべきか、効果的に対応するためにどうすべきか、それを将来に生かすためにどうすべきか。どうしてそれが起きたのか問題の本質の見極めと、不足や計画外への対処、組織として問題をどう捉えるのかという視点は確かに重要ですね。認識の擦り合わせや曖昧にしないコミュニケーションといったことはとても大切だけれど、実はそれが一番難しい…と痛感する今日この頃。
読了日:01月25日 著者:飯野 謙次
ネガレアリテの悪魔 黎明の夜想曲 (角川文庫)ネガレアリテの悪魔 黎明の夜想曲 (角川文庫)感想
サミュエルから別れを告げられたものの、女王の覚えもめでたく注目を集める中、エディスに持ち上がった婚約話。18歳年上の侯爵家三男で資産家のヘイズがサミュエルの秘密をネタに取引を持ち掛ける第二弾。婚約者ヘイズもまたネガ・レアリテを知る意外な繋がりを持った訳ありの存在で、若干胡散臭さはあるものの財力と教養も兼ね備えたそのデキる人っぷりは、いろいろ複雑な過去があって巻き込まれがちなエディスとサミュエルの不器用すぎる関係には欠かせない存在になりそうですね(苦笑)二人の物語はまだまだ続きそうで続巻も楽しみにしてます。
読了日:01月26日 著者:大塚 已愛
カカノムモノ3 :呪いを欲しがった者たち (新潮文庫nex)カカノムモノ3 :呪いを欲しがった者たち (新潮文庫nex)感想
生きることに前向きになり始めた碧。一方、相棒の桐島の元に不穏な影が迫り、その目的もわからないまま桐島は追い詰められていく第三弾。桐島からあえて遠ざけられた碧が、従兄の涼から告げられたカカノムモノを呪いから解放するための衝撃的な方法。どこか不穏で不可解な展開は物語の本質に迫るもので、多くの人との出会いからカカノムモノを向き合うようになった碧の決意には成長を感じましたね。それぞれのその後や水琴とのエピローグを読むと、もう少し未来の彼らを読みたかった気もしますが、この作品らしい雰囲気がよく出ていたと思いました。
読了日:01月26日 著者:浅葉 なつ
宝石商リチャード氏の謎鑑定公式ファンブック エトランジェの宝石箱宝石商リチャード氏の謎鑑定公式ファンブック エトランジェの宝石箱感想
「宝石商リチャード氏の謎鑑定」シリーズの文庫カバーイラストや雪広うたこ氏の描き下ろしピンナップ、リチャード&正義の初期設定画、シリーズ紹介、著者の辻村七子さん個人のブログ掲載SSや書店購入者特典SSを全て収録した公式ファンブック。シリーズ紹介は各巻のあらすじや印象的なシーンも掲載されていて振り返ることができましたし、特典SSはほとんど読めていなかったのでこのボリュームがあるならと満足しました。あえて言えばもう少し個々の人物紹介とか二人以外のイラストもあると良かったですけど、その辺はアニメ化に期待ですかね。
読了日:01月27日 著者:辻村 七子
櫻子さんの足下には死体が埋まっている わたしを殺したお人形 (角川文庫)櫻子さんの足下には死体が埋まっている わたしを殺したお人形 (角川文庫)感想
旭川の冬の川で無残な遺体を拾った正太郎と櫻子さん。そこに事件に遭遇しがちな彼らを怪しむ新聞記者の八鍬が現れ、「探偵ごっこを見せてほしい」と言い出す第十五弾。流れで医学部を目指すために鴻上と一緒に勉強することになったのはいいことなんだろうと思いますけど、彼女と正太郎が付き合っていると勘違いしたり、記者が同行していても相変わらず型破りだったり、エキセントリックな櫻子さんを久しぶりに思い出しました(苦笑)でもそんな危うい彼女がどこに向かっているのか、危惧する正太郎ともども今後の展開が気になるところではあります。
読了日:01月27日 著者:太田 紫織
宮廷神官物語 九 (角川文庫)宮廷神官物語 九 (角川文庫)感想
神官書生になるための試験に挑む天青と燕篤の出会い、櫻嵐に仕える紀希に関するあれこれだったり、御膳厨房の見習い女官・明民のこと、収穫祭の宮廷で、舞の競い合いに現れた謎の美姫など、本編の合間に起きていた様々なエピソードを描いた外伝集。本編では緊迫感のある展開が続きますが、今回はわりとのんびりした外伝六編で、天青や同期の神官書生たちが憧れる紀希の存在や、彼らの日常がどんな感じなのかが伺える内容で、身分制度に窮屈な思いをしながらもいかに生きていくのか希望を見出そうとする登場人物たちの姿が印象的なエピソードでした。
読了日:01月27日 著者:榎田 ユウリ
榮国物語 春華とりかえ抄 六 (富士見L文庫)榮国物語 春華とりかえ抄 六 (富士見L文庫)感想
謹慎が解かれ復帰した政敵・羅玄瑞。自分を陥れた海宝の裁定を求めるように動き、真っ当ではない方法で玄瑞を退けた海宝たちは窮地に立たされる第六弾。窮地を打開する方法に悩む春蘭に助言する、敵であるはずの子君の思惑。公主と春蘭の距離が変わったことに気づき思い悩む杏子。海宝と春雷の関係を眺めている李子君もそれだけ複雑な因縁があればいろいろ難儀だよなあ…と思いつつ、信じる気持ちでどうにか乗り越えた窮地からの急展開は時間の問題でしたかね。不器用な二人のもどかしい関係もようやくというべきか、進展に期待したいところですね。
読了日:01月28日 著者:一石月下
後宮妃の管理人 二 ~寵臣夫婦は悩まされる~ (富士見L文庫)後宮妃の管理人 二 ~寵臣夫婦は悩まされる~ (富士見L文庫)感想
健美省長官に就任早々に皇帝から秀女選抜の詔令を賜った優蘭。しかし珀家と犬猿の仲だという郭家の徳妃と秀女選抜を共催することになり、ことあるごとに対立する第二弾。提案にいちいち反対し、まったく話の通じない徳妃に振り回される優蘭。右丞相として女装女官麗月としても働く皓月は酷使され過ぎな感がある中で、優蘭とは何だかんだでお互いをかけがえのない存在と思えるいい夫婦になってきましたね。転んでもただでは起きない、旦那を侮辱されたらキレる優蘭がなかなか素敵でしたけど、抜け目ない恐妻家の郭将軍も面白い存在になりそうですね。
読了日:01月28日 著者:しきみ 彰
わたしの美しい庭わたしの美しい庭感想
マンションの屋上庭園の奥にある「縁切り神社」。そこを訪れる生きづらさを抱えた人たちと、統理とふたり暮らしの小学生の百音、同じマンションに住む路有たちの物語。元妻の血の繋がらない娘・百音と同居する統理、ゲイの路有や同じマンションに住む桃子、仕事でうつになってしまった基らの視点から、その生きづらさが語られるエピソードで構成されていて、失ってしまった人やものへのままならなさを抱えながらも、それを簡単に忘れられるものでもないし、抱えながら生きてゆくしかないことを受け入れる彼らのありようがとても印象的な物語でした。
読了日:01月29日 著者:凪良 ゆう
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員IX」本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員IX」感想
王命を受けたフェルディナンドの旅立ちが近づく中、側近達も交えた餞別の食事会を楽しんだり、贈り物を交換し合ったりして残り時間を過ごす中、謎の侵入者が神殿を襲撃する第四部第九弾。何だかんだで神殿に入ってからローゼマインを支えてくれたフェルディナンドとの別れ。刻一刻と別れが近づく状況にしんみりとしているローゼマインにうっかり感情移入してしまいましたが、エーレンフェストの不穏な状況に加えて、アーレンスバッハ行ってもフェルディナンドを巡る状況はなかなか大変そうですね。第五部でどうなるのか今後の展開が気になりました。
読了日:01月29日 著者:香月美夜
暁花薬殿物語 第三巻 (富士見L文庫)暁花薬殿物語 第三巻 (富士見L文庫)感想
薬師を志し帝との離縁を目指しているのに図らずとも正后となってしまった暁下姫・千古。自害した暁上姫に代わり新たな姫が入内し、女心に無頓着な帝から、妖・都鼠による火災の話を聞かされる第三弾。新しく入内し千古を慕う明子、あくまでしたたかな蛍火、そして孤立を深めてゆく星宿と鮮明になる構図と、少しずつでも確実に深まってゆく千古と帝の絆。そんな中で奔放な千古に振り回されがちな成子の視点やそのありようが印象的でしたけど、それにしても千古と典侍が普通に強すぎて苦笑い。不穏な展開は続きそうですけど、変化の兆しは見えたかな?
読了日:01月30日 著者:佐々木 禎子
<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 12.アイのカタチ (HJ文庫)<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 12.アイのカタチ (HJ文庫)感想
決闘都市ギデオンで街を挙げての大きな祭り「愛闘祭」が開かれることになり、様々な人々の恋模様が咲き乱れる中、最高のタイミングで監獄から出所してきた【狂王】ハンニャがついにフィガロと邂逅する第十二弾。不穏な状況も垣間見える中で、相変わらずファッションセンスゼロなレイの大穴狙いやいろいろな恋模様、駆け引きも描かれる中、やはり今回の焦点は結婚したい最強ヤンデレ・ハンニャと、決闘したいフィガロの邂逅。演出された二人の激突と決着は熱かったですが、向き合った二人が迎えた結末の先はまた不穏な展開になりそうな予感ですね。
読了日:01月30日 著者:海道左近
百錬の覇王と聖約の戦乙女20百錬の覇王と聖約の戦乙女20感想
神都を舞台にした緒戦で、見事《炎》のヴァッサーファルを撃退した勇斗たち。しかしその喜びもつかの間、神算鬼謀の信長による新たな戦術が神都に襲い掛かる第二十弾。シバと決着をつけたルーネも未だ帰還せず、大陸脱出するための時間を稼がなければいけない状況で、現状を打開する最適解を突きつける信長の難敵っぷりが今回も際立っていましたけど、だからこそフヴェズルングの知略や、ここまで培ってきた阿吽の呼吸っぷりが光る展開でしたね。とはいえ苛烈なる復讐鬼と化した厄介な信長相手に予定通り次巻決着となるか、著者さんの奮闘に期待。
読了日:01月30日 著者:鷹山 誠一
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんんだが、どう愛でればいい? 10 (HJ文庫)魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんんだが、どう愛でればいい? 10 (HJ文庫)感想
大きいお風呂が欲しいというリリスからの訴えを受け、部下の慰労やネフィのために城に大浴場を建設することにしたザガン。一方で暗躍するビフロンスの魔の手は忍び寄り、アルシエラが存在をひた隠しにしていたアザゼルがその姿を現す第十弾。大浴場建設だったり、それぞれの不器用な微笑ましい恋模様にほのぼのする一方で忍び寄る魔の手。バルバロスやシャックスはもう少し頑張れ…と言いたくなる展開の中、重要なところで男を見せてくれたシャックスが良かったです。サガンの過去もポイントになりそうですが、不穏な展開はまだまだ続きそうですね。
読了日:01月31日 著者:手島史詞
最強魔法師の隠遁計画 10最強魔法師の隠遁計画 10感想
何者かの手により凍てつく大地に変貌してしまったバナリス。魔力を遮る異常な雪と想定外の新種の魔物が、アルス達を翻弄する第十弾。レティの送り込んだ先遣部隊の行方も分からないまま、強力な魔物同士が連携するという未曾有の事態に直面するアルスたち。今回は想像以上の難敵相手に、ギリギリの戦いを強いられるアルスやレティがド派手な魔法で立ち向かう展開でしたけど、ロキにもまた違った形で見せ場がありましたね。いろいろ気になった結末でしたけど、レティが可能性のひとつを提示したからこそ気づいたアルスの想いもまた印象的でした。
読了日:01月31日 著者:イズシロ
クラスで一番の彼女、実はボッチの俺の彼女です (角川スニーカー文庫)クラスで一番の彼女、実はボッチの俺の彼女です (角川スニーカー文庫)感想
自称・選択ボッチの篠宮誠司と、学年トップの成績で現役モデルの高嶺の花・神崎琴音。教室の中では絶対に交わらない2人による内緒の甘酸っぱいドキドキ青春ラブコメディ。今はまだ周囲には秘密だけど意外に甘えたがりな神崎と、そんな彼女に戸惑いながらも何だかんだでベタぼれな篠宮。これまでどんな積み重ねがあったのかとても気になるところですが、秘密な関係ならではのもどかしい距離感がポイントで、お互い相手を想う気持ち自体は揺るぎないだけに、彼を慕う後輩や会長を絡めて物語をどう展開していくのか、今後に期待したい新シリーズです。
読了日:01月31日 著者:七星 蛍
ヤンキーやめろ。メイドにしてやる (講談社ラノベ文庫)ヤンキーやめろ。メイドにしてやる (講談社ラノベ文庫)感想
代々執事の家系で日本有数の名家・鶴ヶ島家の次女麻白に仕える久世太一郎。麻白お嬢様から新たな専属メイドを探すよう申しつけを受けた彼が、買い出しに出かけた先で出会ったヤンキー少女ハナをメイドとして勧誘する物語。仕事をスマホで動画を撮って覚えるあたりがハナらしいですが、事あるごとに衝突するヤンキー気質のハナとお嬢様麻白の相性は最悪でも、テンポよく進むドタバタ展開の中でお互いいろいろ見えてくるものがあって、そんな二人が育んでゆく不器用な主従関係の結末には、またこの物語の続きを読んでみたいと思えるものがありました。
読了日:01月31日 著者:秀章

読書メーター

年末年始に刊行されたおススメ新作ライトノベル10選

毎年年末年始は何でこんなに刊行点数多いんだろう...とか思いながら、毎回買うものに悩んでいるわけですが、こういう時にこそ意外と面白い作品が眠っていたりするわけですよ…(ありがち 自分もそんな新作の全てをカバーできているわけではないですが、今回12~1月にかけて刊行された新作のうち、個人的におススメの10作品を紹介したいと思います。

 

1.今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 (MF文庫J)

丘の上の七河公園で再会した幼馴染の妹・双原灯火。「流宮の氷点下男」と呼ばれる冬月伊織と、「自称・先輩を慕う美少女」の灯火の大切な人を取り戻そうと願う不器用な二人の物語。住む町に伝わる星の涙の都市伝説と、翌日からあざとく伊織に付きまとうようになった灯火の真意。幼馴染の妹とのあざといラブコメ展開はものの見事に裏切られて、伊織の苦い過去を絡めながら明らかになる不穏な状況があって、大切なものを諦められない灯火に真正面からぶつかってみせた伊織の想いと、二人で乗り越えた先に迎えた結末にはぐっと来るものがありました。が、まだまだ油断できそうもない今後に期待の新シリーズです。

 

2.塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)

 

高嶺の花で誰に対しても塩対応な佐藤こはると、誰に優しい押尾颯太。初々しくてもどかしい高校生二人の初恋物語。告白されても話しかけられても実はコミュ障で塩対応のこはる。そんな不器用な彼女が想い人に近づきたい一心で頑張って颯太だけに見せる様々な可愛い表情があって、彼女をフォローしようと頑張る颯太もいちいちカッコ良くて、そんなじれじれ初恋両片想いな二人の破壊力がスゴイですね。勘違いからすれ違いかけたり大きな壁が立ちはだかったりしても、勇気を出して前に一歩踏み出した二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。

 

3.スパイ教室 (ファンタジア文庫)

スパイ教室01 《花園》のリリィ (ファンタジア文庫)

スパイ教室01 《花園》のリリィ (ファンタジア文庫)

  • 作者:竹町
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/01/18
  • メディア: 文庫
 

各国スパイが「影の戦争」を繰り広げる世界。落ちこぼれのメンバーばかり7人が集められ、凄腕スパイ・クラウスの指導の下、死亡率九割を超える『不可能任務』に挑むスパイファンタジー。凄腕だけど説明できない教えベタの教師役相手に、騙しあいで打ち勝つ実地訓練に挑む不器用な少女たち。チームとして挑んだ過酷なスパイ任務にも最後まで諦めない少女たちの想いに、ともに戦ったクラウスも少なからず感化されていって、普段の日常からスパイらしい仕掛けを感じさせる意外な展開と、そんな絆を育んでいった彼らの物語をまた読んでみたいと思いました。

 

4.天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫) 

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

 

大好きなフリーゲーム制作者Aに会うため、桜山学園ゲーム制作部に入った水谷湊。しかしAと思しき部長の菖蒲は不登校で、彼女が学校に来るよう部員たちから託される青春小説。仲が良さげなゲーム部員が抱える苦い過去、そして湊のもとに送られてきたひとつのノベルゲームが示唆する過去。部員それぞれの事情が明らかになってゆくたびに彼らの印象も変化して、構図が二転三転した末の決着は新たな違和感に繋がって、確執が残る母とも向き合いつつバットエンドに隠されていた真相を見出して、大切な笑顔を取り戻してみせた結末がとても印象的でした。

 

5.竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

 

師の遺言により少女ユーイの杖を修理することになった、半人前の魔法杖職人・イクス。姉弟子たちの助けも借りてどうにか破損していた芯材を特定した彼が、1000年以上前に絶滅した竜の心臓を求めて旅する物語。夏の終わりまでを期限とした竜の伝承を求めての探索、ユーイが抱える過去と杖が壊れた理由、明らかになってゆく竜が絶滅した真相。戦えない二人が主人公であるがために、派手な展開とは無縁でインパクトには欠けますが、しっかりとした世界観の中で動く登場人物の描写は繊細で、明かされた真実とその結末は心に響くものがありました。続きをまた読んでみたい新シリーズです。

 

6.結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)

結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)

結婚が前提のラブコメ (ガガガ文庫)

 

母親から継いだ結婚相談所で婚活女子のサポートに奔走する「結婚できない人を結婚させる仲人」縁太郎。とある婚活パーティーで結衣と出会う婚活ラブコメ。エロ漫画家・牡丹、玉の輿を狙う元令嬢・カレン、究極のダメンズほいほいな保育士・まひるといった会員とも出会い、結婚に向き合えていなかったワケありな結衣も少しずつ変化してゆく展開で、単なる仲人と関係という関係にとどまらない、彼女たちのために奔走する縁太郎とヒロインたちの絆にはぐっと来るものがあって、縁太郎が応援する彼女たちの婚活の結末を最後まで見届けたいと思えました。

 

7.隣のキミであたまがいっぱい。 (MF文庫J)

隣のキミであたまがいっぱい。 (MF文庫J)

隣のキミであたまがいっぱい。 (MF文庫J)

  • 作者:城崎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/01/24
  • メディア: 文庫
 

『他人の思考が読めてしまう』特殊能力を持つ美少女・如月那緒が、隣にいれば宇佐美北斗だけに限定されると気づき共に過ごすようになる青春ラブコメ。常に他人の考えていることが聞こえてしまう彼女がようやく見出した安住の居場所。そんな如月を忌避することもなく、思考がだだ洩れ前提の会話が当たり前になってゆく北斗は彼女にとってかけがえのない存在で、普段は感情が乏しそうに見える彼女が時折北斗にだけ見せる表情には凄まじい破壊力がありますね。今は無自覚でも日々の積み重ねでお互い唯一無二の存在と化してゆく二人の今後が楽しみです。

 

8.最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ (ダッシュエックス文庫)

 


孤高のゲーマー・古霧坂里央。学校一の完璧美少女、真理峰桜。現実世界では何の関わりもない2人が、VRゲーム「MEO」で最強コンビとして名を馳せる物語。妹の同級生以外は何の接点もない、学校では違う意味で有名人の2人。そんな2人がVRMMOのゲームの中では同棲して、お化け屋敷気分の廃墟探索や混浴イベント、他プレイヤーと協力して超大型ボスと阿吽の呼吸で戦いながら周囲も呆れるいちゃいちゃっぷりで、だけどこの二人付き合ってないんですよ…?(苦笑)こういう関係は邪魔者が出現してこそさらに燃え上がりそうなので次巻に期待。

 

9.転生王女と天才令嬢の魔法革命 (ファンタジア文庫)

転生王女と天才令嬢の魔法革命 (ファンタジア文庫)

転生王女と天才令嬢の魔法革命 (ファンタジア文庫)

 

幼い時に前世の記憶を取り戻してからは、魔法研究に邁進していた王女・アニス。そんな彼女が天才公爵令嬢・ユフィが次期王妃の座から外される場面に遭遇し、彼女をパートナーとしてスカウトするファンタジー。アニスの弟王子がユフィに突然突き付けた婚約破棄。そんな窮地に陥った彼女を颯爽と救ってみせたアニスは破格な存在で、その奇行や斜め上の発想に戸惑い振り回されながらも、彼女の示す道に新たな可能性を見出してゆくユフィは果たして幸せになれるんでしょうか(苦笑)けれど状況的に弟王子とは対立必至で、今後の展開が気になりますね。

 

10.1LDK、そして2JK。 (ファンタジア文庫)

父の頼みで疎遠だったギャルJKの従妹・奏音を預かることになった独身サラリーマン・駒村。そんな帰りに痴漢から助けた家出JK・ひまりも転がり込んでくる同居物語。母親が失踪して行き場をなくした奏音と、夢を諦めたくない一心で家出したひまり。タイプの違う二人にもそれぞれ抱く複雑な想いがあって、それを戸惑いながらも同居を始めた駒村が真摯に支えたいと思う姿がいいですよね。そんな状況で現れた駒村の幼馴染という強力な伏兵出現は物語の重要なポイントになりそうですけど、ここからどう展開していくのか今後が楽しみなシリーズです。

 

以上です。気になる作品があったら是非読んでみてください。

多彩なラインナップが魅力のオレンジ文庫2019年版20選

 2018年にレーベル別企画第一弾として以下の企画を作りました。

これはレーベル創刊してから当時までのものを網羅した紹介でしたが、そこから一年ちょっと経過してちょうど2019年に刊行された本が読み終わったこともあり、前回紹介したものとは別に企画以降から2019年に刊行されたオレンジ文庫の新シリーズ/単巻作品の中から20作品セレクトしています。当時の人気シリーズも完結したり、注目のシリーズに育った作品もありますが、それ以外にもなかなか興味深い作品が出てきています。読みたい本を探す時の参考になれば幸いです。

 

1.リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

 

兜にある命石を砕いて勝敗を競う戦闘競技会が国々の命運を決する世界。優秀な騎士を輩出する村で弓しか扱えず周囲にバカにされてきた少女・ニナを、地方競技会を見たという騎士リヒトが騎士団へ勧誘するファンタジー。優秀な兄の片目を事故で失わせてしまい、自身も非力で自信喪失気味なニナの弓に希望を見出したリヒト。勧誘先がまさかの国家騎士団で最初は怯えて逃げ出しそうになりながらも、自分を認めてくれた大切な人たちのため「赤い猛禽」に立ち向かう構図はとても分かりやすいですが、最後まで期待にしっかり応えてくれた素敵な物語ですね。現在2巻まで刊行。

2.ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)

 

師匠が倒れ3年間勤めたパン屋さんをやむなく離職したパン職人の紗良。旧家の子女ゆえ祖父からお見合いを勧められるも、きっぱりと断って横浜・山手の「ホテル猫番館」で働き始める物語。紗良に仕事を紹介した叔父の誠、気難しいシェフの隼介や人なつっこいコンシェルジュの要に囲まれ、職場に溶け込んでゆく紗良。働く人たちそれぞれの事情や、彼らの意外な一面も明らかになっていって、師匠にその成長した姿を見せる展開にはぐっと来るものがありました。紗良たちのこれからを温かく見守りたい、続きが読みたいと思わせてくれる新シリーズですね。現在2巻まで刊行。

3.谷中びんづめカフェ竹善(集英社オレンジ文庫)

谷中びんづめカフェ竹善 猫とジャムとあなたの話 (集英社オレンジ文庫)
 

大学デビューし損ねた「猫の町」谷中に住む女子大生・紬。故郷から送られてくる大量の野菜を持て余し、こっそり捨てようとして謎の英国人セドリックと出会う物語。コミュ障で趣味の手芸に生きがいを見出していた紬にとって転機となった。「びんづめカフェ」を営むセドリックとの出会い。彼の血の繋がらない息子・武流の家庭教師として関わる過程でいろいろ交流も増えていきましたけど、過去の複雑な事情が明らかになっていったあの親子との関係や距離感がここからどのように変わってゆくのか、これからの展開がちょっと気になる新シリーズですね。現在2巻まで刊行。

4.平安あや解き草紙 (集英社オレンジ文庫)

平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)
 

東宮への入内話が立ち消えになり、婚期を逃したまま実家に居座っている左大臣の娘・藤原伊子。そんな彼女に今は亡き東宮の息子である今上帝が入内を希望してくる平安お仕事ミステリー。十年前に別れた恋人・嵩那との間にあった誤解、そして伊子が初恋の人だったという今上帝という何とも複雑な距離感の関係も交えつつ、帝の熱烈な要請によって尚侍として入った年相応にこなれた感のある伊予が好みで、嵩那とも協力しながら後宮で起こる事件を解決してゆく展開は面白かったです。恋の行方も気になるその後のお話がまた読めたらいいと思えるシリーズですね。現在3巻まで刊行。

5.群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

  • 作者:半田 畔
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/05/17
  • メディア: 文庫
 

引っ越しや進学などで三年ごとに友達が入れ替わってきた三年周期の呪い。高校で映画好きの仲間を得た朝宮陽が、卒業しても友人三人との縁が切れないように、仲間たちで自分たちの映画を撮ろうと思い立つ青春小説。一念発起で仲間に提案した陽に、密かに声優を目指すお嬢様ミーコ、活動的で型破りなナツ、脚本を書くいおり。映画好きという共通項以外は性格も映画の好みもバラバラな少女たち四人が、映画製作に取り組んでいく中で葛藤したり衝突しながら、成長して絆を深めてゆく展開はなかなか良かったですね。結末もまた痛快で素敵な物語でした。

6.きみがその群青、蹴散らすならば (集英社オレンジ文庫)

容姿端麗で成績優秀、非の打ちどころがないのに人と距離を置く月島桜子。苦悩から奇怪な秘密を抱えた彼女が原因を知る転校生・水瀬和葉と出会う青春幻怪鬼譚。桜子と同様に密かに抱える苦悩から鏡に写った自分にツノが生えはじめた、成績上位の美少年・周防紫生、クラス女子の一軍グループでいることに必死な土田知香、ムードメーカー的存在の門倉翔平。彼女たちが和葉と協力して元凶たる鬼を探す展開で、狭い世界で逃げ場もなく追い詰められてゆく彼らには仲間がいて、葛藤を抱えながらも支え合い絶望を乗り越える姿はぐっと来るものがありました。

7.今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います (集英社オレンジ文庫)

些細なきっかけから直属の上司の執拗な嫌がらせを受け疲弊してゆく玲美、上司の主任に不当に厳しく扱われる正社員を目指す契約社員2年目の麻里子、妊娠で異動した奈々が直面するコネをタテに傍若無人に振る舞う豚上司。癖のある上司に目をつけられてしまい、理不尽に追い詰められて余裕を失ってゆく彼女たちの心理描写がリアルで辛かったですが、そんな彼女たちが遭遇する不可思議な出来事と、横暴な上司たちが迎えた因果応報ともいえるどこかホラーじみた結末には薄ら寒さも感じたものの、それでも彼女たちが救いを感じられる結末で良かったです。

関連作品:「神さま気どりの客はどこかでそっと死んでください

8.さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

 

事故の後遺症から記憶を忘却することができなくなり、過去の出来事を何度も追体験してしまう新川慧が、職場の同僚となった日野山空良と運命の出会いを果たす物語。記憶の再生をコントロールする術を見つけ出し、必死に日々をやり過ごしていた慧。彼女に突然告白し付き合うことになった空良がもたらしてくれた幸せな二人の日々と彼が抱えていた秘密。この人と思える存在だからこそ抱いてしまう複雑な想いがあって、その不在を痛感すればするほど相手の存在を意識せずにはいられなくて、そんな不器用で分かち難い運命の恋の結末はとても印象的でした。

9.それってパクリじゃないですか? ~新米知的財産部員のお仕事~ (集英社オレンジ文庫)

群馬の中堅飲料メーカー「月夜野ドリンク」の知的財産部に異動になった亜季が、親会社から出向してきた弁理士資格持ちの上司の北脇とともに、商標乗っ取り、パロディ商品、特許侵害といった知的財産のトラブルを解決するお仕事小説。悪徳企業に訴訟を起こされそうになった服飾ブランドを営む親友、自社製品のロゴを改変したパロディ商品の発覚、イラストレーターとのトラブルや、社運をかけて開発してきたお茶の発売中止の危機と、みんなが努力して開発した汗と涙の結晶の技術を守るために奔走する知的財産の様々な仕事をとても興味深く読めました。

関連作品:「上毛化学工業メロン課」 (集英社オレンジ文庫)

10.拝啓 彼方からあなたへ (集英社オレンジ文庫)

拝啓 彼方からあなたへ (集英社オレンジ文庫)

拝啓 彼方からあなたへ (集英社オレンジ文庫)

 

「自分が死んだらこの手紙を投函してほしい」と中学時代の親友・響子に託されていた手紙雑貨店「おたより庵」店主・詩穂。人づてに彼女の死を知った詩穂が手紙を開封し、その過去にまつわる事件を解き明かしてゆく物語。響子に託された手紙の違和感と周囲で起きる怪文書事件、苦手に感じていた常連客の城山に対する心境の変化と再会した元カレの執着。大人しく見える印象から周囲に振り回されがちだった詩穂でしたけど、それでも彼女には譲れないものや大切にしているものがあって、誠実に向き合う彼女らしさが導いた結末はなかなか良かったですね。

11.君が今夜もごはんを食べますように (集英社オレンジ文庫)

君が今夜もごはんを食べますように (集英社オレンジ文庫)

君が今夜もごはんを食べますように (集英社オレンジ文庫)

  • 作者:山本 瑤
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/11/20
  • メディア: 文庫
 

金沢にある家具工房「ときわ」の職人・楡崎の作るテーブルに一目惚れをし、飛び込みで弟子入り修行に励んでいた倉木相馬と純平の「エプロン男子」の前日譚的物語。今回のエピソードで明らかになっていったかつての相馬や純平の境遇でしたけど、当時相馬が付き合っていた恋人・沙希との何とも複雑な関係や、その後のエデン設立にいたるきっかけとなった出来事など、登場人物たちのままならないほろ苦さが残る結末の中で垣間見える優しさに著者さんらしさを感じました。小梅のその後は気になるので、またどこかで登場してくれるといいなと思いました。

関連シリーズ:「エプロン男子」 (集英社オレンジ文庫)

 

 

 

12.推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

 

外務省のグレーゾーンな仕事を引き受ける外交官として働く桐島に宛てて、東南アジアの国・ビサワンで働く元恋人・亜希から謎めいたメールが届き、失踪した彼女を探すためビサワンへ飛ぶ物語。子供兵士の救済を目的とした国際NGOで働いていた亜希の失踪を探るうちに、ビサワンを巡る政情不安な状況に巻き込まれてゆく桐島。各国間の事情や利害関係に振り回されても諦めずに活路を見出そうとする中で、謎めいた彼女の過去も明らかになっていって、何ともやるせない結末でしたけど、最後まで真摯であろうとした彼女のありようはとても印象的でした。

13.ナイトメアはもう見ない (集英社オレンジ文庫)

ナイトメアはもう見ない 夢視捜査官と顔のない男 (集英社オレンジ文庫)
 

遺体に触れると死の瞬間を追体験できる「夢視者」の能力で事件を解決に導く特殊捜査官・笹川硝子。意味深な言葉を残して突如失踪した先輩捜査官の行方を追ううちに意外な事実が明らかになってゆく物語。失踪を追う中で明らかになってゆく、硝子が生まれ育った研究所の火災で人生が変わってしまった人々、夢視捜査の際に使用される薬品を巡る疑惑。捜査線上に硝子と親しい関係者が次々と浮上する難しい状況で、それでもきちんと向き合おうとした彼女が辿り着いた結末は何ともほろ苦かったですが、硝子に希望も垣間見える最後には救われる思いでした。

14.誰にも言えない (集英社オレンジ文庫)

誰にも言えない (集英社オレンジ文庫)

誰にも言えない (集英社オレンジ文庫)

 

旧財閥で日本有数のセレブ一族の家に生まれた女子大生の葵。大好きな3人の女友達を誘い避暑地に遊びに来ていた彼女たちが、「誰にも打ち明けていない秘密の話」を順番に打ち明けてゆくサイコホラー。招待した葵の友人でモデルの結衣、美人小説家の莉子、有望なアスリートのひまりという目を引く美女たちが明かしてゆく、誰も知らなかった彼女たちの秘密。それぞれの打ち明け話の中で垣間見える彼女たちの生々しい悪意と、真相を明かしながらも平然としている彼女たちには戦慄しましたが、その先にあった思わぬ展開と迎えた結末には驚かされました。

15.雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)

雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)

雛翔記 天上の花、雲下の鳥 (集英社オレンジ文庫)

 

花の郷の王・異花王の妹の身代わりとして黒金の大王のもとへ輿入れ命じられた少女・日奈。輿入れのため身を清めていた川で川彦と名乗る男と運命的な出会いを果たす和風ファンタジー。異花王のために生きてきた日奈と、自分の意思のない結婚に納得いかない川彦が彼女を攫って始めた彼女の見聞を広めるための旅。多くのものを見聞きした日奈は何が正しいのか分からなくなって、川彦にも向き合うべき役割があって、異花王にも彼なりの正義があって。運命に翻弄されつつもそれに向き合う彼女が今後どのように成長してゆくのか期待の新シリーズですね。

16.アリア嬢の誰も知らない結婚 (集英社オレンジ文庫)

アリア嬢の誰も知らない結婚 (集英社オレンジ文庫)

アリア嬢の誰も知らない結婚 (集英社オレンジ文庫)

 

王立学士院魔法学科で落ちこぼれの少女・アリアと、エリート研究者兼教師を務める王族の青年・ラルシェの秘密。男女交際禁止の学士院でとある事情から夫婦になってしまった二人のマリッジラブコメディ。精霊を集めるのは得意だけれど魔法制御が致命的なドジっ子アリアを、密かに愛らしいと可愛がるラルシェ。周囲には内緒の相手の想いになかなか気づけないニブい二人によるもどかしくも甘いやりとりや、誤解からの迷走といった王道展開をベースとした物語で、周囲のいろいろ気になる関係も絡めながらのお約束のストーリーは安心して楽しめました。

17.花嫁レンタル、いかがですか? よろず派遣株式会社 (集英社オレンジ文庫)

早世した有名女優の娘として目立たぬようひっそり生きようとした鵜崎真尋25歳。セクハラに遭い会社を辞めた真尋が少し変わった人材派遣会社の社長杉埜と出会い、挙式直前に逃げた花嫁の身代わりを依頼される物語。自己評価は低いけどお節介でメイクで地味にも美人にもなれる真尋が、同僚の灰谷とも関わり合いつつこなしてゆく花嫁の身代わり、女子会のために見栄を張るOLの後輩役、亡くなった娘の代わりに両親と食べ歩きなど、登場人物たちのエピソードも交えながら進んでいく展開はなかなか良かったですね。

18.青い灯の百物語 (集英社オレンジ文庫)

青い灯の百物語 (集英社オレンジ文庫)

青い灯の百物語 (集英社オレンジ文庫)

 

昔から続く怪異と関わる真魚寺の家に生まれた千歳。幼い頃に青行灯と契約を交わした彼女が、家業を継いだ兄や彼女を守る青行灯とともに様々な家の怪異にまつわる事件を解決してゆく物語。持ち主の元に帰りたかった本、残されたゲドと小さな子との絆、悩める同級生の決断や、神隠しにあった娘といった悲喜こもごものエピソードを重ねていった先に浮き彫りになる、千歳と青行灯の何とも複雑で特殊な関係があって、育んできた絆を大切に思う(けれどなかなか素直になれない)二人の関係が、もうしばらく続けばいいなと願わずにはいられませんでした。

19.告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

 

駅のホームで「人が恋に落ちた瞬間が視える」女子高生・明花と出会ったアラサーリーマン・星川。告白至上主義の明花に振り回されながら他人の恋愛事情に関わってゆく物語。海外転勤を決めた女上司、幼馴染のお兄ちゃんの結婚を受け入れられない明花の親友、悪女と名高い受付嬢の真相、そして明花が告白に異常にこだわる理由。お人好しでおせっかいゆえに周囲の女性の恋愛話に振り回されがちな星川でしたが、その奔走が関わった人たちの新たな一歩を切り出すきっかけにも繋がっていて、過去を乗り越えた二人の今後を応援したくなる素敵な物語でした。

20.虹を蹴る (集英社オレンジ文庫)

虹を蹴る (集英社オレンジ文庫)

虹を蹴る (集英社オレンジ文庫)

 

三十歳を前に同棲していた彼に捨てられた山田瑞希。倒れた母親に代わって央学高校ラグビー部員たちが暮らす代理寮母を任され、そこで天才肌のスタンドオフ・逸哉や人知れず努力を重ねるウィング・龍之介たちと出会う青春小説。ラグビー監督だった父に反発し、ラグビーのことをほとんど知らなかった瑞希。寮母として彼らと付き合ううちに、一見分かりづらいそのひたむきなラグビーに対する思いを知り、だんだん感化されて支えるようになってゆく展開はベタではありましたけど、随所にわかりやすいラグビーの解説もあったりでなかなか良かったですね。

 

以上です。オレンジ文庫はレーベルとして創刊5周年を迎え、20年に入ってからも「流転の貴妃 或いは塞外の女王」など注目の作品が刊行されています。今後も興味深い作品をたくさん刊行してくれることを期待したいですね。

流転の貴妃 或いは塞外の女王 (集英社オレンジ文庫)

流転の貴妃 或いは塞外の女王 (集英社オレンジ文庫)