読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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2019年6月に読んだ本 #読書メーターより

6月は何となく忙しかったり体調崩したりで全体では92冊でしたけど、書籍は58冊とやや少なめ。新作がわりと豊作だったので充実度は高かったですが、後半増えた積読を消化しきれずに積み増しして翌月に持ち越し…orz 7月はいつもより忙しくなりそうで厳しい状況はしばらく続きそうです(苦笑)

 

6月の読書メーター
読んだ本の数:92
読んだページ数:22754
ナイス数:5761

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)感想
師匠が倒れ3年間勤めたパン屋さんをやむなく離職したパン職人の紗良。旧家の子女ゆえ祖父からお見合いを勧められるも、きっぱりと断って横浜・山手の「ホテル猫番館」で働き始める物語。紗良に仕事を紹介した叔父の誠、気難しいシェフの隼介や人なつっこいコンシェルジュの要に囲まれ、職場に溶け込んでゆく紗良。働く人たちそれぞれの事情や、彼らの意外な一面も明らかになっていって、師匠にその成長した姿を見せる展開にはぐっと来るものがありました。紗良たちのこれからを温かく見守りたい、続きが読みたいと思わせてくれる素敵な作品でした。
読了日:06月01日 著者:小湊 悠貴
天命の巫女は紫雲に輝く 彩蓮景国記 (角川文庫)天命の巫女は紫雲に輝く 彩蓮景国記 (角川文庫)感想
景国の祭祀を司る貞家の一人娘なのに、宮廷の華やかな儀式には参加させてもらえない貞彩蓮が、護衛の皇甫珪と宦官殺人事件を調べるうちに第三公子・騎遼と出会い、宮廷内の争いに巻き込まれてゆく中華風ファンタジー。野心家の騎遼と出会い興味を持たれ、蠱毒や息壌を用いた巫覡を阻止するために関わってゆく彩蓮と皇甫珪。護衛として凸凹コンビを組む三十路男・皇甫珪に加えて、騎遼もまた彩蓮に興味津々で、彩蓮自身がどうありたいのかを問われる展開でしたが、座して待つのではなく自ら立ち向かう彩蓮の決断はなかなか悪くなかったと思いました。
読了日:06月02日 著者:朝田小夏
宮廷神官物語 六 (角川文庫)宮廷神官物語 六 (角川文庫)感想
現国王は藍晶王子の王位継承権を明らかにすべく、立太子礼を行うと決定。しかし世継の証となる宝剣は行方知れずで、藍晶は代わりの証を得るため、天青らを連れて神秘の孤島を目指す第六弾。天青、鶏冠や曹鉄らを連れて神秘の孤島を目指し、荒れる海を超え霧の島へ辿り着いた一行。いかにもなアレの存在がどういう意味を持つのか気になっていましたが、戻ってきて無事立太子が終わると思っていた矢先のまさかの急展開には驚きました。いろいろ構図も変わってきて…ここから王位継承権がどうなるのか、ちょっと展開が読めないですね~。続巻に期待。 
読了日:06月03日 著者:榎田 ユウリ
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?7 (ファンタジア文庫)通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?7 (ファンタジア文庫)感想
景品に当たってリゾート観光のはずが飛行機が無人島に墜落、装備も失ったけれど真々子の母なる力でリゾート開発に着手する第七弾。四天王の新キャラ・フラテロが登場。無人島サバイバルかと思ったらなぜかリゾート開発になっていて、母の力を制限された状態でも子供たちのために頑張ってしまう真々子さんでしたけど、ヒロインたちに茶化されながらも母の状態に気づいてちゃんと配慮できる真人がいろいろ成長してますね。なんか要所要所で登場するHAHAKOさんがやたらと存在感ありました(苦笑)ポータの抱える謎がちょっと気になるところです。
読了日:06月03日 著者:井中 だちま
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?8 (ファンタジア文庫)通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?8 (ファンタジア文庫)感想
リベーレ四天王を操る黒幕ハハーデスの計画によってゲーム世界での急速な子供たちの親離れから始まり、母を想うポータが突如パーティを離脱してしまう第八弾。反抗組織リベーレの四天王の一人となったポータを説得するためハハーデス城へと向かう真人たち。そして親離れが加速する世界の危機を救うため和乃、メディママとアイドルユニットを結成する真々子。真々子さんは要所要所で流石の存在感を見せつつも、今回はこれまでのエピソードの集大成として成長した真人たちにも見せ場があって。そろそろ物語の終わりも見えてきたようですが続巻に期待。
読了日:06月04日 著者:井中 だちま
エンド オブ スカイエンド オブ スカイ感想
ゲノム編集技術によって老いや病から緩やかに遠ざかりつつある23世紀。謎の突然死「霧の病」を研究する遺伝子工学の権威ヒナコ・神崎博士が海から現れた少年・ハルと出会う近未来SF。ゲノム編集が推奨された香港に現れたオリジナルゲノムを持つハルと、どこか不安定なヒナコの交流の日々。「霧の病」が急速に拡大してゆく中でその原因が見えてきて、何が正常で異常なのかわからなくなる皮肉な展開でしたけど、周囲の人たちに支えられながらハルと向き合ったかけがえのない日々と、いくつもの伏線が回収された先にある結末が印象的な物語でした。
読了日:06月05日 著者:雪乃 紗衣
黄昏出張所 歴史修復官は時を駆ける (角川文庫)黄昏出張所 歴史修復官は時を駆ける (角川文庫)感想
ある日の黄昏時。不遇の青年・遠野ハジメの目の前に、時の蟲から歴史を守る蟲番だと名乗る眼鏡をかけた不思議な男が現れ、一攫千金を夢見てハジメが奮闘するダークファンタジー。主君に逆らい切腹待ちの武士、男と心中を遂げる予定の遊女、関東大震災での父の死の回避。蟲によって意識を喰われた歴史上の人物の行動を修復してゆく中で、葛藤しながらも自分のことより周りの大切な人たちのために奔走してしまうのがハジメで、小さな幸せを掴みかけていた彼の願った報酬はとてもらしくて切なくもなりましたけど、そんな物語の結末がまた印象的でした。
読了日:06月05日 著者:中村 ふみ
弁当屋さんのおもてなし まかないちらしと春待ちの君 (角川文庫)弁当屋さんのおもてなし まかないちらしと春待ちの君 (角川文庫)感想
お互いの思いを再確認した千春とユウ。一方で千春の帰任期限はあと半年と迫り、札幌で転職して一緒に暮らすか遠距離恋愛か悩む千春に、ユウがお弁当にメッセージを込める第五弾。くま弁のアクシデントに再来した将平とともに奮闘する千春、かつてくま弁で食べた餃子の味、ラワンブキを通じて明らかになった真相、そしてサクラマスに託したユウの想い。仕事もユウも大事で思い悩む千春もようやくユウに相談できて、いろいろ案も出ていい感じにまとまりそうな結末でしたが、落とし所は見つかりそうな気がするんですけどね。物語はもう少し続くのかな?
読了日:06月06日 著者:喜多 みどり
准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る (角川文庫)准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る (角川文庫)感想
怪異収集家の准教授・高槻と、その助手で嘘を聞き分ける大学生・深町尚哉のもとに「学校の怪談」調査依頼が舞い込む第二弾。小学校の「コックリさんの呪い」の噂、有名女優からのスタジオに出現した幽霊の調査依頼、奥多摩で崇められている「奇跡の少女」の真相。文中に出てくる高槻の講義内容もなかなか興味深いですが、高熱で倒れた尚哉のために奔走する高槻の想いや、そんな彼の優しさに戸惑う不器用な尚哉の姿が印象的で、エピソードの中で徐々に明らかになってきた高槻の過去もまた壮絶そうですね…そんな二人の今後を温かく見守りたいです。 
読了日:06月06日 著者:澤村 御影
ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 罪を喰らうもの (講談社タイガ)ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 罪を喰らうもの (講談社タイガ)感想
神学校の閉ざされた聖堂に現れた変死体。神学校に編入したオーランドとこの世の怪を蒐める不思議な少年・パトリックが身の回りに起こる怪異に立ち向かう第二弾。日に日に恐るべき速さで成長する彼らのもとを訪れる子供の正体、姿を消した黒猫と死を呼ぶ青い蝶、そして変死体を巡る怪異譚。手回しオルガンや黒猫の話にはまだ救いがありましたけど、貴族を巡るお家事情とか神学校にやって来る生徒たちは何かしら鬱屈を抱えていて、しんみりとした気分になってしまいました。まだぎこちない二人の交友がアイルランド行きで良い方に変わるといいですね。
読了日:06月07日 著者:久賀 理世
友達未遂友達未遂感想
伝統と格式のある全寮制女子高・星華高等学校。その寮で不審な事件が次々と起き、ルームメイト4人が巻き込まれていく青春小説。家に居場所がなかった茜、学校で伝説となっている母を持つ生徒会長の桜子、美工コースの憧れの先輩・千尋、周囲に迎合しない天才肌の真尋。複雑な家の事情や周囲の評価とのギャップに鬱屈を抱えていたりと、一人ひとり語られてゆくそれぞれの過去。けれど今まで見えていたものが全てではなくて、自分をきちんと見て気にかけてくれる人がいて、少しずつ変わってゆく彼女たちが迎えた結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:06月07日 著者:宮西 真冬
幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)感想
脈アリと思っていた片思いの相手・白草に彼氏ができたと知った高校生・丸末晴。失意の彼に以前告白してきた幼馴染・黒羽が復讐を持ちかける青春ラブコメディ。美少女で芥見賞受賞の現役女子高生作家・白草と、陽キャでクラスの人気者、かつ中身は世話焼きお姉系の黒羽。偽恋人として白草を挑発したり、白草の恋人という先輩と勝負したり、だいぶ拗らせたそれぞれの恋愛模様にもう素直になれよ…と思いましたけど、甘酸っぱい青春の先には斜め上の結末が待ってました(苦笑)そんな彼らだからこその新展開もあって、今後に期待大の新シリーズですね。
読了日:06月08日 著者:二丸 修一
魔法科高校の劣等生(29) 追跡編<下> (電撃文庫)魔法科高校の劣等生(29) 追跡編<下> (電撃文庫)感想
富士樹海に潜伏する光宣を追い、張り巡らされた結界『蹟兵八陣』を破る方法を思案する達也。一方、USNA軍非合法魔法師暗殺者小隊『イリーガルMAP』が達也の暗殺に動き出す第二十九弾。米国への脱出に向けて動き出した光宣と追跡する達也、一方で達也暗殺のためにほのかと美月を人質にしようとするイリーガルMAP。エリカやレオたちの活躍も久しぶりに読めましたけど、光宣に関する処遇にはいろいろな思惑も垣間見えて、意外な対決も実現して楽しかったです。舞台を移しての新展開になるのか、最後に出てきた達也の提案も気になりますね。 
読了日:06月08日 著者:佐島 勤
ストライク・ザ・ブラッド20 再会の吸血姫 (電撃文庫)ストライク・ザ・ブラッド20 再会の吸血姫 (電撃文庫)感想
真祖たちの乱入によって混迷を深めていく絃神島の領主選争。事態収拾の切り札である十二番目のアヴローラを連れて、絃神島へと向かう志緒と唯里たちが第二真祖に襲われる第二十弾。原因不明の飢えと渇きに苦しむ古城と、第一真祖が告げた眷獣たちの暴走を防ぐ恐るべき方法、混迷をもたらした吸血王と領主選争いの真の目的。ヒロインたちもそれぞれらしさ全開で奮闘してましたけど、そんな彼女たちが霞んでしまうアヴェローラの圧倒的メインヒロイン感…ここに来て思わぬ急展開でしたけど、二人がどうやってこの混迷を収束させるのか続巻に期待です。
読了日:06月09日 著者:三雲 岳斗
スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居 (電撃文庫)スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居 (電撃文庫)感想
母子家庭で働く母の代わりに双子の弟妹の面倒や家事に日々奮闘する女子高生・池野彗花。彼女が隣の席の不良として恐れられる庭上蓮のマンガ家になる夢を知り、一緒に住んで応援する青春小説。意外な一面を知って自分の家を密かに作業場として提供する彗花と、戸惑いつつも彗花の協力を受け入れるようになっていく蓮。双子を交えたやりとりは微笑ましくて、不器用で頑固な二人だからこそぶつかったりすれ違いもありましたけど、絶望に直面しても夢を諦めたくない蓮、彼女を信じて夢を応援したい彗花の真っ直ぐな想いがとても眩しい素敵な物語でした。
読了日:06月09日 著者:世津路 章
めぐり逢いサンドイッチめぐり逢いサンドイッチ感想
大阪の靱公園そばにあるサンドイッチの専門店『ピクニック・バスケット』で働くおっとりした姉笹子としっかり者の笹子の姉妹。店を訪れる人達の迷える人々の心を、絶品サンドイッチが癒やす優しくも愛おしい物語。対照的な姉妹に、子供のころの記憶に苦しむOLや父の再婚に悩む少女、そして常連客の小野寺さんやパン職人の川端さんのエピソードも交えつつ、笹ちゃんが訪れた人たちの想いに寄り添うようなサンドイッチを作り上げてゆく展開で、関わる人たちの様々な想いに触れ、過去エピソードも絡めて絆を深めてゆく姉妹の関係がとても素敵でした。
読了日:06月10日 著者:谷 瑞恵
弥栄の烏 (文春文庫)弥栄の烏 (文春文庫)感想
地震に襲われ山内崩壊が危惧される状況で、山神に仕えるよう命じられる若宮。山神の呪いが明らかになってゆき、人喰い猿との最終決戦も近づく第六弾。荒ぶる山神に対する無力感を痛感する一方で、八咫烏生き残りの方策を模索する中で山神との関係に希望を見出す若宮。とはいえ事態はすでに動き始めていて、そこで雪哉の非常とも言える策がもたらした長年の因縁の決着はほろ苦く、希望の光も垣間見えた結末ではありましたけど、生き残ったものたちがこれからどう生きていくのか、ここからどんな未来に繋がっているのか、第二部に期待ということで。
読了日:06月11日 著者:阿部 智里
横浜ヴァイオリン工房のホームズ2 (メディアワークス文庫)横浜ヴァイオリン工房のホームズ2 (メディアワークス文庫)感想
元天才ヴァイオリニストで「絶対音感」で様々な音から謎を解く名探偵・響子と助手の広大に、同級生からいわくつきの楽器の相談を持ち込まれる第二弾。所有者に不幸をもたらすナポレオンも所有した呪いのヴァイオリンの正体、中華街の二胡の名手に依頼された駆け落ちした息子の捜索、戻ってきてしまうヴァイオリンがもたらした再会。二人で謎解きに挑むエピソードを重ねてゆく中で、独特の感性で広大を振り回す響子さんと、すっかり助手っぽいポジジョンに収まった広大の関係もいい感じに馴染みつつあって、二人の今後も気になるところではあります。
読了日:06月11日 著者:上津 レイ
暁花薬殿物語 第二巻 (富士見L文庫)暁花薬殿物語 第二巻 (富士見L文庫)感想
目を覚ますと正妃になっていて高まる世継ぎへの期待もどこ吹く風の暁下姫。しかし、都に鬼が出現したと報告が入り、相次いで村が消えたという噂が広がる第二弾。自由に動けるようになるため、帝に髪を切ってもらい小坊主姿で修行をすることになった暁下姫。四貴族の後宮に入った姫や帝に対する扱いがいろいろ露呈して、鬼が暗躍する不穏な状況の中で暁下姫は現実を突きつけられる展開でしたが、それでも周囲に頼れる人がいる彼女よりも、この状況で信頼できる味方も武官もほとんどいない帝は立ち位置的にかなり危ういのでは…続刊が気になりますね。
読了日:06月12日 著者:佐々木 禎子
農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)感想
派遣切りに遭い、同棲相手からも突然別れを告げられ失意のどん底の水沢久美子、三十二歳の春。TV番組の「農業女子特集」を見て運命を感じ、一念発起田舎に引っ越し農業大学へ入学することを決意する物語。頼れる実家もない状況で同棲相手と別れると、こんな不安定な境遇になってしまうのかと痛感させられる展開でしたが、やはり地縁のないところで女ひとり就農するのも言うほど簡単ではないですよね…。知り合った友人たちのしたたかな行動力が印象的でしたけど、周囲の助けもあって久美子にもどうにか希望が見えてくる展開に救われる思いでした。
読了日:06月12日 著者:垣谷美雨
マチのお気楽料理教室マチのお気楽料理教室感想
ツアーコンダクターとして15年間国内外を旅してきて、義母の介護のために退職した常磐万智。旅先で料理について学んだ経験を生かし、義母の死去後自宅で料理教室を営むお料理小説。「どんどろけ飯」「トンテキ」「冷や汁」「ジンギスカン」「チキン南蛮」など、こじんまりとした料理教室で作られる郷土料理の数々と、参加する生徒たちの家族を絡めたエピソードがなかなか興味深かったですが、同時に物語の中で少しずつ明らかになってゆく常盤家の今に至るまでがなかなか複雑で、それを踏まえて物語を見返すと奥が深いな…と改めて唸らされました。
読了日:06月13日 著者:秋川 滝美
お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)感想
藤宮周が一人暮らしするマンションの隣室に住む学校で一番の美少女・椎名真昼。特に関わり合いのなかった彼女とふとしたきっかけから交流が始まる青春小説。雨の中ずぶ濡れの彼女に貸した傘をきかっけに、自堕落な一人暮らしを送る周を見かねて食事を作り部屋を掃除し、何かと世話を焼く真昼。自分だけが知るクールで毒舌な彼女と過ごす日々に少しずつ心境が変化してく周と、家の事情を抱えていそうな彼女との関係がどうなるのか。現時点ではまだまだこれからですけど、もどかしい甘酸っぱい展開を期待できそうで今後が楽しみな新シリーズですね。 
読了日:06月13日 著者:佐伯さん
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか15 (GA文庫)ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか15 (GA文庫)感想
深層の決死行を乗り越えて、地上の帰還を果たしたベル達。冒険の成果でそれぞれが成長を果たし、過去のエピソードが綴られる第十五弾。ヘスティア・ファミリアそれぞれの過去エピソードも交えつつ、各自が成長を遂げる描写ではリリの浮かれっぷりが微笑ましいですね。そして何とも残念な結果に終わったヴォルフ…(苦笑)ベルの前ではポンコツエルフと成り果ててしまう(のに自覚してなさそうな)リューが可愛すぎて、春姫もまた健気に頑張っていて、気になるエピローグだったアイズと、ヒロインたちとの今後もいろいろ気になるところではあります。
読了日:06月13日 著者:大森 藤ノ
天才王子の赤字国家再生術4~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)天才王子の赤字国家再生術4~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)感想
新皇帝を決めるため皇子三人による会談が持たれることになったアースワルド帝国。ロウェルミナからミールタース市に招待され、ウェインの代理で妹姫フラーニャ王女が出席する第四弾。ニニムとともに帝国に向かい、最初は戸惑いながらも逞しく成長していくフラーニャ。重度なシスコンのウェインが妹を放っておくわけもなくて、思わぬ事態に巻き込まれてゆくお約束展開でしたが、今回は状況が目まぐるしく変わる中でのそれぞれの駆け引きが興味深かったですね。各方面から執着されて大変なウェインが次はどんな騒動に巻き込まれるのか続巻に期待です。
読了日:06月13日 著者:鳥羽 徹
紅霞後宮物語 第十幕 (富士見L文庫)紅霞後宮物語 第十幕 (富士見L文庫)感想
皇族・琮尚書の引退で新たに茹王が復帰。あわせて彼の長女も後宮に入るはずが後宮に入る前に亡くなり、代わりに腹違いの妹・仙娥が妃嬪としてやってくる第十弾。病弱の姉を支えた妹という第一印象からは思ってもみなかった急展開。小玉親衛隊状態だった後宮が、正論で殴ってくる茹昭儀や徐麗丹のような人物の登場によって否応なしに変化の時を迎えて、小玉たちも対応が難しいところですね。並行して進むエピソードもこれからどう絡んでくるのか、せっかくヒゲが生えたのに違うところで各方面から評価がだだ下がりな文林の動向も気になるところです。
読了日:06月14日 著者:雪村花菜
ワールドエンドクロニクル2 君がセカイを裏切る前に (GA文庫)ワールドエンドクロニクル2 君がセカイを裏切る前に (GA文庫)感想
魔神復活の危機を食い止め、リィンを殺さずに済む道を探すクロウ。王家からの依頼で封印されていた魔神の遺骸を破壊しようとするも、遺骸から救国の英雄イオンが復活する第二弾。魔神の討滅を目指すイオンの元に結集する各国。そんな彼を怪しみ真意を探るため独自に動き始めるクロウとリィン。幼馴染も意外な形で絡んできましたが、三百年前の真実に加えて二人を巡る事実も判明して、でも彼女の幸せを一番に考えるのがクロウらしいですね。過去の因縁を精算した世界で迎えた結末は、粋な計らいもあってなかなか良かったと思いました。次回作も期待。
読了日:06月14日 著者:霜野おつかい
最弱無敗の神装機竜《バハムート》18 (GA文庫)最弱無敗の神装機竜《バハムート》18 (GA文庫)感想
「聖蝕」と一体化したラフィによる世界崩壊の足音が間近に迫る中、記憶を失っていたかつての仲間たちがルクスという道標の下へ集い、極限の死闘が『古代の森』で展開される第十八弾。世界改変の呪縛に囚われたままのリーシャ、ルクスを信じたクルルシファーたちと自動人形たちの死闘、一度は敗れながらも偽っていた自分の本当に気持ちに気づきリーシャと対峙するルクス。そして立ちはだかるラフィ。物語の終わりは見えてきましたが、残るはフギルとの決着と…これまでルクスを支えてきたヒロインたちがどうなるかですね、やはり気になります(苦笑)
読了日:06月15日 著者:明月 千里
星降る島のフットボーラー星降る島のフットボーラー感想
実況の倉敷さんによる初小説。大西洋に浮かぶ七つの島による天の川リーグに加盟するエストレージャFC。世界に羽ばたく翼を目指すハルが一癖も二癖もある仲間たちとともに、列島リーグの未来を救うために立ち向かうフットボール小説。スコルピウスのオーナー・アルゴルによる八百長を使ったリーグの支配を阻止するため、真っ向勝負を挑むことになったエストレージャ。ダーティーなプレイで選手を削られたり脅されたりしながらも、強力な助っ人や熱い応援を得て、チーム一丸となって苦しい試合をひっくり返してみせる展開はなかなか面白かったです。
読了日:06月16日 著者:倉敷 保雄
姑の遺品整理は、迷惑です姑の遺品整理は、迷惑です感想
姑が亡くなり、住んでいたマンションを処分することになった嫁の望登子。業者に頼むと高くつくからと、自分で遺品整理をしようと奮闘する物語。生前あまり仲良くなかった記憶しかない姑の遺品整理。捨てられなくて溜まっていった膨大な遺品を孤軍奮闘で何とかしようとするのはさすがに厳しいものがありますよね…。でも整理を進める中で姑の意外な一面も明らかになっていって、比較対象だった母も他の人からみたらアレな一面もあって、直面したからこそわかったこともあったのかな。こういう時こそ人の繋がりが大事なのかなとしみじみと思いました。
読了日:06月16日 著者:垣谷 美雨
御徒町カグヤナイツ御徒町カグヤナイツ感想
仲間とともに青春を無防備に過ごしていた中学生・ヒロトの前に現れた一人の少女。特別な絆で結ばれたヒロトと3人のワケありな少年たちが月の王国の女王の娘を自称するノゾミを護るため「御徒町カグヤナイツ」を結成する青春小説。ヤクザの息子ケイゴ、中国人の頭脳派・ソン・器用なカトウといったワケありな仲間たちのままならない問題を一緒になって解決しつつ、仲間となって共感し羨望の眼差しを向けるノゾミとの甘酸っぱい恋と現実に直面する展開で、中学生の彼らができる精一杯で件名に向き合ったその真摯な姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:06月17日 著者:浅原 ナオト
猟犬の國 (角川文庫)猟犬の國 (角川文庫)感想
便宜上「イトウ家」と呼ばれる日本の誇る情報機関。日本人でもないのに不本意ながら猟犬になった男が、情報と軽武装を頼りに、国内外の邪魔者を排除するスパイ小説。あの「イトウさん」は組織名だったの?とか思わなくもなかったですが、スパイとしての大阪での日常を過ごす偽日系人の経歴を持つ男が、警察庁から出向してきた新人・幸恵に情け容赦のない環境を「アウトロー!」とか散々に罵られながら、コンビを組んでスパイとして新人教育していくゆるい展開がなかなか面白かったです。もしかしてあの人なんですかね(苦笑)とりあえず続巻も期待。
読了日:06月17日 著者:芝村 裕吏
千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)感想
クラス委員に指名されたトップカーストの千歳朔。担任から引きこもり生徒の更生を頼まれ、自信回復の手伝いをする青春小説。仲間の協力も得ながらあの手この手で引きこもりの健太を引っ張り出してみせた朔。そんな彼が魅力的な仲間やヒロインたちに信頼されるのも、周囲の期待に真摯に向き合い、大切なもののため誰かのために奔走することを惜しまないからで、テンプレートなリア充論を論破してみせる彼が、時折垣間見せる本音や葛藤がとても印象的でした。彼の恋愛模様やワケありの過去も気になりますし、続巻が楽しみな期待の新シリーズですね。 
読了日:06月17日 著者:裕夢
リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)感想
塵禍で文明が一度滅び、砂塵を異能力に変換できる「砂塵能力者」が力を持つ近未来。因縁の復讐相手・スマイリーを追うチューミーが、利害の一致から一時的に粛清官に協力し、ワケありの粛清官・シルヴィとコンビを組む近未来SF復讐譚。特殊な事情を抱えていたシルヴィと出会い、最初は反発しながらも徐々に育まれていく相棒としての信頼感。テンポよく進む中でスマイリーと追う二人を巡る因縁も明らかになって、何度も葛藤と絶望に直面する異端のバディが待ち望んだ宿敵との対峙と決着、確かな絆が垣間見えた結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:06月18日 著者:呂暇 郁夫
本屋のワラシさま (ハヤカワ文庫JA)本屋のワラシさま (ハヤカワ文庫JA)感想
過去のある事件がきっかけで本が読めなくなってしまった元書店員の啓。入院した伯父の代わりに書店で働くことになった彼が、店内で動き出す座敷童子人形に遭遇するマチナカ書店物語。突然動き出して書店繁盛の教育的指導を繰り返すワラシに振り回されたり、お花屋ののばらさんが気になりながら、伯父を慕って訪れるお客さんの本を巡る悩みをワラシと一緒に解き明かしてゆく展開で、不器用なりに取り組むその積み重ねが頑なだった啓の心境を少しずつ変えていって、苦い過去にも向き合って新たな一歩へと繋がってゆくとても優しくて素敵な物語でした。
読了日:06月18日 著者:霜月りつ
君の××を消してあげるよ君の××を消してあげるよ感想
高校受験を控え、地元テレビ局によるコンクール密着取材を聞いてバトン部の退部を申し出た幸。誰にも言えない辛い秘密を抱える彼女が、同級生のクラゲと出会う青春ミステリ。父の再婚で家に居心地の悪さを感じ、学校でも親友と仲違いしてすっかり居場所を失ってしまった幸。そんな状況でふとした共感から同級生・クラゲの復讐に幸が協力する展開で、中学生の計画がそうそう思い通りに行くわけもないですが、自分の力ではままならない窮屈な絶望の中で、だからこそ自分の居場所があること、秘密を共有できる存在の貴重さを改めて痛感する物語でした。
読了日:06月19日 著者:悠木 シュン
麦本三歩の好きなもの麦本三歩の好きなもの感想
大学図書館勤務の20代女子、麦本三歩のなにげなく愛おしい日々を描いた日常小説。優しい先輩や怖い先輩、おかしい先輩などに囲まれながら、気になることを見つけたり、ミスしても懲りずにマイペースな日々を送る三歩。単純で天然だけどだけど何も考えていないわけではなくて、時には苦悩したり誰かのために奔走したり、変わった行動に走って先輩たちをドン引きさせたり、物語としては特に大きな山や谷があるわけではないですが、そんな日々を送るよくも悪くも真っ直ぐでお茶目な彼女が、先輩たちに可愛がられるのも何か分かるような気がしました。
読了日:06月20日 著者:住野 よる
アサシンズプライド10 暗殺教師と水鏡双姫 (ファンタジア文庫)アサシンズプライド10 暗殺教師と水鏡双姫 (ファンタジア文庫)感想
未だ混乱が続く中、聖フリーデスウィーデに貴族純血思想の理事長が就任。公爵家令嬢を利用して貴族階級を揺るがそうと目論むレイボルト財団の社長クローバーを調査するクーファに、騎士団からエリーゼ暗殺の司令が下る第十弾。統制が取れていない状況下で極端な思想に走る輩が台頭すると、狙われるのは公爵家なのに侍クラスのメリダや象徴たる聖騎士クラスのエリーゼになるわけで、でも逆境でこそメリダエリーゼの二人の絆や、彼女たちのために奔走するクーファとの信頼関係が光りますね。覚悟を決めたクーファや彼女たちのここからの逆襲に期待。
読了日:06月20日 著者:天城ケイ
公女殿下の家庭教師3 魔法革命で迷える聖女を導きます (ファンタジア文庫)公女殿下の家庭教師3 魔法革命で迷える聖女を導きます (ファンタジア文庫)感想
アレンの指導で魔法士として急成長を遂げたティナたち。一方でティナの姉・ステラはすっかり自信を喪失してしまい、アレンは両公爵家による合同商社立ち上げの責任者という大役を任される第三弾。両公爵家がアレンを極限までフル活用とか思わなくもない展開ですが、それでも甘えてくる教え子たちや妹、腐れ縁さんに後輩、恩師までフォローしつつ、頑張りやさんのステラを立ち直らせて、商売に才能を見せるフェリシアまで見出して、そんなアレンさんの虜になってしまうヒロインがまた増えました(仕方ない)この物語がどこに向かうのか続巻に期待。
読了日:06月20日 著者:七野りく
ゆきうさぎのお品書き 白雪姫の焼きりんご (集英社オレンジ文庫)ゆきうさぎのお品書き 白雪姫の焼きりんご (集英社オレンジ文庫)感想
就職活動をはじめて3カ月、縁あって私立女子高から内定をもらうことができた碧。ゆきうさぎでの店主・大樹との穏やかな日々が戻ってきたある日、老舗旅館の女将で大樹の祖母・葉月が訪ねてくる第七弾。鎌倉への紅葉狩り、誕生日プレゼントの交換とか、碧と大樹が一緒に過ごす時間が増えてゆくのをほほえましい想いで読めましたが、都筑さんのエピソードとかタマちゃんたちの関係も良かったですし、何より思わぬところから繋がっての祖母・葉月のゆきうさぎ訪問は、自分も一緒になってハラハラしちゃいました(苦笑)これは続巻も期待の展開ですね。
読了日:06月21日 著者:小湊 悠貴
破滅の刑死者 内閣情報調査室「特務捜査」部門CIRO-S (メディアワークス文庫)破滅の刑死者 内閣情報調査室「特務捜査」部門CIRO-S (メディアワークス文庫)感想
ある怪事件と同時に消えた国家機密ファイル。事件当夜現場で目撃された大学生・戻橋トウヤと「特務捜査」部門CIRO-Sに配属された新米捜査官・雙ヶ岡珠子が二人で協力して事件とファイルの捜査にあたるサスペンスミステリ。示唆される特殊能力の存在と、自らを賭けることを厭わない危ういトウヤの狂気、彼を放っておけず一緒に捜査する珠子。特殊能力を持つ相手に大胆な駆け引きで勝負を挑み続けるトウヤと、正義感の強い珠子がなかなかいい感じのコンビで、彼らが挑むヒリヒリするような勝負の先にあった意外な結末がまた印象的な物語でした。
読了日:06月21日 著者:吹井 賢
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編 (宝島社文庫)響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編 (宝島社文庫)感想
久美子を部長に新体制でスタートした北宇治高校吹奏楽部。新入部員や転入生のユーフォニアム奏者・真由の入部で波乱が巻き起こる状況で、悲願の「全国大会金賞」を目指す第十四弾。これまでとやり方を変えてきた滝先生だったり、メンバーやソロ選出を巡る部内の微妙な空気感があったりで、ほんといろんな子がいるんですね。久美子自身もいろいろ葛藤を抱えていたりもしましたが先輩の助言や仲間の助けも得たりで、それぞれが逃げずに向き合って乗り越えて得た最後の結果にはぐっと来るものがありました。最後のエピローグまでほんと良かったです。 
読了日:06月22日 著者:武田 綾乃
現実主義勇者の王国再建記X (オーバーラップ文庫)現実主義勇者の王国再建記X (オーバーラップ文庫)感想
東方諸国連合から帰還したソーマが迎える暫定国王から真の国王になるための戴冠式。ソーマと婚約者たちの婚礼の儀に合わせて臣下にも結婚式を挙げるよう勧める第十弾。暫定国王になってからいろいろあり過ぎて長かった感もありましたけど、すっかり家族になった婚約者それぞれとも仲良しでようやくという感じですかね。合わせてポンチョやハルバート、ルドウィンやクーたち、なかなかくっつかなかったカップルたちの結婚にいたるエピソードもじっくりと描かれていてお腹いっぱいになりました(苦笑)番外編のエリシャのエピソードも良かったです。 
読了日:06月23日 著者:どぜう丸
後宮天后物語 ~絡まる想いにご決着!~ (ビーズログ文庫)後宮天后物語 ~絡まる想いにご決着!~ (ビーズログ文庫)感想
決死の告白でようやく想いを通わせた雛花と志紅。だが、仮死状態だった兄・黒煉の体に志紅に宿っていた男神・伏羲が戻ってしまう第四弾。兄を救うため雛花が瀕死の志紅とともに禁城を脱出、丹朱から解決の糸口を探ろうとする展開でしたけど、まさにラストまで駆け抜けたというか文字通り怒涛の展開でしたね…でも千年前の因縁も、黒煉のことも二人の仲もきちんといい感じに収まった結末には何かほっとしましたね。最後まで相変わらずな二人に周囲の反応も苦笑いでしたけど、だからこそ最後の最後でようやく素直になれた様子が可愛らしく思えました。
読了日:06月23日 著者:夕鷺 かのう
ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)感想
低迷が続く藤見屋百貨店吉祥寺店が再生をかけて食品フロアのリニューアルに乗り出し、食べるの大好きぽっちゃり女子・日向子が企画立案に立候補、高級志向のエリート上司・四ノ宮相手に挑むお仕事小説。B級グルメの企画をことごとく却下し本物の味を教えると言い出した四ノ宮。そんな対立の構図から境遇は違えど食に対する熱い想いで共感して、企画に邁進していく中でお互い助け合えるようないい関係に変わってゆく展開はいいですね。二人の距離感はまだまだこれからですけど相手を意識し始めてはいるようで、続きがあるならまた読んでみたいです。
読了日:06月24日 著者:紅原 香
高校事変 (角川文庫)高校事変 (角川文庫)感想
平成最大のテロ事件を起こし死刑になった男の次女・優莉結衣。彼女が転入した武蔵小杉高校を総理大臣が極秘訪問することになり、学校が突如武装勢力に占拠に巻き込まれてしまうエンタメ小説。こういう状況に遭遇するのは偶然でも、なにかあるたびにその関与を疑われてしまう境遇というのはなかなか厳しい…とはいえ武装勢力を相手に先生や他の生徒たちがパニックに陥る中、冷静に状況を見極めて判断し活路を見出してゆく結衣の行動力は際立っていました。そんな結衣がこれからも普通の女子高生でいられるのか、続巻が気になるところではあります。 
読了日:06月24日 著者:松岡 圭祐
明るい夜に出かけて (新潮文庫)明るい夜に出かけて (新潮文庫)感想
あるトラブルがきっかけで大学を休学し、実家を離れて期間限定の自立を始めた富山。人に言えない葛藤や臆病な自分に自信喪失気味だった彼が、バイトするコンビニで印象的な人たちと出会う青春小説。バイトリーダーの鹿沢や同級生の氷川、同じラジオ番組のヘビーリスナーの女子高生・佐古田たちと出会い、繋がっていくことで少しずつ変わってゆくその心境。誰しも不器用な一面があって、上手くいくことばかりでもなくて、けれどそんな彼らとの関わりから生まれる様々な出来事が、前へ進むきっかけに繋がってゆく展開にはぐっと来るものがありました。
読了日:06月25日 著者:佐藤 多佳子
逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)感想
13歳で心臓移植を受けたホズミ。それから自分が女の子になる夢を見るようになった彼が、明るく快活で幸せそうな彼女に恋をする奇跡の物語。移植された心臓の持ち主・葵花の記憶を夢で見るようになったホズミが抱く決して出会うことのない報われない恋心。ふとしたきっかけから知る彼女の背景。心臓を介しての二人だけの交流は微笑ましくて、そんな積み重ねがあったからこそ感じた違和感があって。大切な人を救うために最後まで諦めなかった彼の奔走と、彼女の強い想いによって新たに紡がれてゆくこの物語の結末にはぐっと来るものがありました。 
読了日:06月25日 著者:青海野 灰
ケーキ王子の名推理 4 (新潮文庫nex)ケーキ王子の名推理 4 (新潮文庫nex)感想
コンクール優勝の副賞としてパリへ研修旅行に行くことになった二人。そこで颯人の最大のライバル、若き天才料理人ルイ・デシャンと出会い、複雑な心境を抱えたまま文化祭に突入する第四弾。二人での楽しいパリ旅行から一転、ルイ・デシャンとの出会いによって焦燥を募らせる颯人と、文化祭で未羽の前に再び現れる漣。少しずつ意識するようになっていった未羽も戸惑いはあったでしょうけど、颯人もまた心穏やかではいられない状況の連続で、読んでる方もドキドキしちゃいますね(苦笑)素敵な結末を迎えた二人のこれからに期待せずにはいられません!
読了日:06月25日 著者:七月 隆文
マージナル・オペレーション改 07 (星海社FICTIONS)マージナル・オペレーション改 07 (星海社FICTIONS)感想
米中二大国の対立は直接的な衝突へと向かい、朝鮮半島情勢が膠着化する中、中国は政治的空白地帯となったミャンマー・シャン州を支配下に収めるべく、さらなる大軍を繰り出す第七弾。近未来の戦争はこう変わっていくのかと思いながら、まめたんの運用と驚異的な戦果を読んでましたけど、これはアラタが凄すぎるだけなんですかね(苦笑)なし崩し的に米軍海兵隊との共同作戦に突入する状況で、この戦いをどう終わらせるのか、子どもたちとの傭兵家業に終わりはあるのか、相変わらずヒロインの気持ちに鈍いアラタだったり、いろいろ気になりますね。 
読了日:06月26日 著者:芝村 裕吏,しずま よしのり
茉莉花官吏伝 六 水は方円の器を満たす (ビーズログ文庫)茉莉花官吏伝 六 水は方円の器を満たす (ビーズログ文庫)感想
白楼国と隣接するシル・キタン国からの侵攻の可能性に気づいた州牧補佐の茉莉花。仲間として距離が縮まっていた御史台の翔景や大虎とともに、侵攻を阻止するべく動き出す第六弾。今ある状況を分析して運も味方につけつつシル・キタン国の侵攻撃退の手立てを講じてゆく茉莉花。人と協力することを覚えた彼女の今回の大戦果にその成長を感じましたけど、凄まじい功績のはずなのになかなか素直に認められない状況をうまく誘導していった珀陽も、流石にあれは冷静でいられなかったですかね…仕方ないw 茉莉花さんの真意が気になるところではあります。
読了日:06月26日 著者:石田 リンネ
悪魔の孤独と水銀糖の少女II (電撃文庫)悪魔の孤独と水銀糖の少女II (電撃文庫)感想
呪われた島から旅立ち逃亡の日々を送る孤独の悪魔を背負う男ヨクサルと死霊術師の孫娘シュガーリア。二人は人ならざる有翼種の血を引く子供・ビーノと出会う第二弾。帝国の謀略が蠢く砂漠の街・バフハに潜入した二人。ヨクサルは自分の罪と過去に直面することになり、ビーノの激情がシュガーリアの身を焦がす展開でしたけど、そんな熱い想いをぶつけられたからこそ皮肉にも自覚した揺るぎない想いがあって、捕らわれたヨクサルもかえがえのないものがあると気付かされて、そんな二人の絆がとても良かったです。続刊あるならまた読んでみたいですね。
読了日:06月27日 著者:紅玉 いづき
外資の流儀 生き残る会社の秘密 (講談社現代新書)外資の流儀 生き残る会社の秘密 (講談社現代新書)感想
マクドナルド・ディスニー・ケンタッキーと外資系で45年働いた著者が経験を元に語る日本企業が強くなる「8つの方程式」。外資系企業やアメリカの合理的な判断を紹介しつつ、外資の勝利の方程式、効率的な判断と生産性、日本の生産性が低い原因、今後日本に起こる変化、効果的な転職の方法を語った一冊で、なるほどなと思う部分もところどころありましたが、異なる文化圏の発想をそのまま導入すればいいというほど単純なものでもないですね、やっぱり。でもこういう違う視点や考え方があることを知るのは、大切なことなのかなとは実感しました。 
読了日:06月27日 著者:中澤 一雄
恋愛カルテット リトルプリンセスの恋愛相談 (ファミ通文庫)恋愛カルテット リトルプリンセスの恋愛相談 (ファミ通文庫)感想
母親との縁で隣に引っ越してきたリトルプリンセス・天城姫那。そんな彼女の恋を成就させるため、八神一冴は彼女が心を寄せているという柿内淳也のことを調べはじめる青春学園ブコメディ。自らの想いに真っ直ぐで応援したくなる姫那と彼女の想い人・淳也、淳也の幼馴染で一冴の想い人でもある凛々菜の4人を軸に、それぞれ事情を抱える彼らの恋模様が描かれる展開のようですね。今回は一途な姫那を軸としたストーリーがなかなか良かったですけど、謎めいた部分も多いもうひとりのヒロイン・凛々菜がもたらす急展開には期待せずにいられませんね。 
読了日:06月27日 著者:箕崎准
子守り男子の日向くんは帰宅が早い。2 (角川スニーカー文庫)子守り男子の日向くんは帰宅が早い。2 (角川スニーカー文庫)感想
5歳の妹・蕾の面倒を見る新垣日向の夏休み。クラスの陽キャ女子・唯や悠里に誘われてキャンプや花火大会とイベントで大忙しの日々を送る第二弾。真っ直ぐに家に帰宅していた日向が、夏休みに妹の蕾や後輩の日和と一緒に参加したキャンプや花火大会。そんな彼に関わり続けてくれた友人たちの存在も大きかったですけど、第三者で人に大切にされ自由に生きてきた霧子との印象的な出会いは、この物語の大きなターニングポイントになりそうですね。新たな一歩を踏み出した日向がここからどう変わってゆくのか、続巻の展開が俄然楽しみになってきました。
読了日:06月28日 著者:双葉三葉
理系な彼女の誘惑がポンコツかわいい (角川スニーカー文庫)理系な彼女の誘惑がポンコツかわいい (角川スニーカー文庫)感想
セレブの子息令嬢が通う私立瑛銘学院。外部編入ながら学院首席の久遠寺梓と、名家のお嬢様で数学の天才・弥勒院由槻が学院の特権を賭け相手に告白させる恋愛ゲームに挑む学園ラブコメディ。容姿端麗で数学の天才だけど生活力皆無で本末転倒な理論に陥るポンコツかわいい由槻。ちゃっかりした由槻の付き人・彩霞や常識人の楓音もゲームに巻き込まれて、真面目にやればやるほどどんどんズレていって、でも素直になれない由槻が時々見せるハッとするような破壊力が凄い(苦笑)いやもう二人のバカバカしい攻防をいつまでも眺めていたいと思いました。 
読了日:06月28日 著者:長田 信織
未完結ラブコメと運命的な運命論 (講談社ラノベ文庫)未完結ラブコメと運命的な運命論 (講談社ラノベ文庫)感想
「もっと運命的な恋がしたいから」と彼女にフラれた高校生・砂川凍弥。そんな彼の前に謎の空飛ぶプリンが現れるラブコメディ。異なる世界線から来たラブコメのヒロインを攻略できなければ死ぬ?典型的なヒロイン・ミリカたちとベタな運命的出会いを果たし、ミッションに挑む中でヒロインたちと一緒に過ごし、その真摯な想い触れてゆく中で徐々に変わってゆく凍弥の心境。要所で登場するたびにその印象を変えてゆく元カノの存在も効いていて、突きつけられた究極のミッションに葛藤しながら向き合った結末には久しぶりにレーベルらしさを感じました。
読了日:06月28日 著者:ゆうび なぎ
お隣さんな教え子と甘い○○ (講談社ラノベ文庫)お隣さんな教え子と甘い○○ (講談社ラノベ文庫)感想
夢に挫折し高校の調理科でパティシエ講師を務める新見。四年前に印象的な出会いを果たし新入生として入学した理事長の孫娘である四宮蒼梨花が特別授業を求めて奮闘する年の差学園ラブコメディ。サラリーマン講師と化していた新見と、約束を胸に師事すべくひたすら努力してきた蒼梨花。お隣に引っ越してきた一人暮らしというベタな設定に、新見も一目置く天才妹弟子エイプリルを絡めたやりとりは楽しくて、力の差を痛感する強敵相手でも今持てる力で挑んでゆく、そんな真っ直ぐで熱い想いに周囲も心動かされる展開にはぐっと来るものがありました。 
読了日:06月29日 著者:望月 唯一
道然寺さんの双子探偵 揺れる少年 (朝日文庫)道然寺さんの双子探偵 揺れる少年 (朝日文庫)感想
福岡の夕筑市にある寺院・道然寺で暮らす中学3年生のランとレン。熊本地震に直面し、その被害から逃れてきた少年を巡る事件に2人が関わってゆく第二弾。今回は震災の被害によって引っ越してきた少年と、震災によって母親が精神を病んでしまった少年の複雑な関係に、ランとレンが関わってゆく様子が描かれていましたけど、こういう繊細な問題はどうすれば正解という話でもないだけになかなか難しいものがありますね…。でもそれでも考え続けてフォローしていく姿勢も大事なんでしょうし、合間に描かれたみずきの恋愛模様もちょっと気になりました。
読了日:06月30日 著者:岡崎 琢磨

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