読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

2019年5月に読んだ新作おすすめ本

5月は全体で見ると前半がグダグダになりすぎて消化不良感な印象なんですが、新作に関して言えば、各レーベルとも見ただけでああこれは読まないといけないな…と思った今後に期待の作品が目白押しな一ヶ月でした(だからこそ読んでる既刊シリーズとの兼ね合いをどうするかとても悩ましかったわけですがw)。

 

ラノベは各レーベル受賞作も投入してきたりで、読む人の好みからズレてさえいなければどれ読んでもハイクオリティでハズレはないです。でもその中であえて一冊挙げろと言われたらスニーカー文庫の「葡萄大陸物語」を挙げます。これはほんとよく金賞に選んだなとスニーカー文庫をちょっと見直しました。あとガガガ文庫の「クラスメイトが使い魔になりまして」もテーマ的に最初どうかなと思ったんですが読んでみたら文句なしに面白くて、これもまた期待度の高い作品です。

 

ライト文芸オレンジ文庫が今月何でこんなに刊行点数多いんだよと内心思いながら頑張って読んだんですが、消化が追いつかず読みきれませんでした(苦笑)でもどれもオススメです(今読んでる「ホテルクラシカル猫番館」も)。他との兼ね合いで一般文庫はあまり読めなかったんですが、「ネガレアリテの悪魔」は角川文庫らしい美術×キャラ文芸がいい感じに噛み合った一冊ですね。

 

単行本は「探偵はぼっちじゃない」の他、松井玲奈さんが意外に良くてビックリしました(苦笑)岩井圭也さん、三上延さんあたりも期待にそぐわないクオリティで、つまるところ5月は新作に恵まれてました。毎月こんな感じだったらいいなと思いつつ、そうなったらそうなったで大変なのは間違いないので難しいところですね。

 

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)

 

第24回スニーカー大賞<金賞>

様々な種族がひしめき合う小国ランタン。流浪の少年メルがランタン王に語学を買われ政略結婚を控える豹人族の姫シャルネの教育係に抜擢、なりゆきで次期王に任命され敗戦必至の戦いに挑むファンタジー。常に優しいメルに惹かれてゆく奔放な姫君・シャルネ。婚姻が最悪の形で破談となった巻き添えで亡国の危機に陥ったランタン。シャルネと並び立つ弱小国王として仲間の助力を得て異なる種族の力を糾合し、熱い想いと知略を尽くして大軍に立ち向かいつつ、巧みな心理戦で勝利を手繰り寄せる展開にはぐっと来るものがありました。続編も期待してます。

聖剣学院の魔剣使い (MF文庫J)

聖剣学院の魔剣使い (MF文庫J)

 

来たるべき決戦に備え自らを封印した魔王レオニス。しかし1000年の時を超えて目覚めた時には10歳の少年の姿で、聖剣学院に所属する少女・リーセリアに保護される学園ソードファンタジー。魔族も魔術もなく、聖剣を武器に未知なる敵・ヴォイドと戦う1000年後の世界。聖剣を発現できなかったりと訳ありなお姉さんたちの部隊に所属し、彼女たちのありように少しずつ感化されて、ヴォイドとの戦いに身を投じてゆく展開には安定感があって面白かったです。ヒロインたちとの関係に1000年前の因縁もあって、今後に期待の新シリーズですね。 

長大な壁で外界を拒絶した人間の国イエール。不治の病で壁外に追放された第三王子シュウが、壁外で生きる異形の民モール族の王女ミサキと出会うファンタジー。急速に工業化が進むイエールの陰で犠牲になっているフロンティアの存在。シュウがミサキに連れられてたどり着いた新天地と病の真実。運命に翻弄されながらも人間とモール族の共生を目指して、ふたつの種族の間に横たわる大きな壁を破壊すべく、仲間とともに毅然と立ち向かう二人の姿にはぐっと来るものがありました。物語としてはまだまだこれからですが、今後に期待大の新シリーズですね。

クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

 

第13回小学館ライトノベル大賞<ガガガ賞&審査員特別賞>※ダブル受賞

異世界の魔人召喚に失敗したクラスメイトの美少女・藤原千影。不可抗力で彼女を使い魔にしてしまった落ちこぼれ魔術師・芦屋想太の主従関係を描く魔法学園ラブコメ。千影と融合した皇女で想太に執着する強力な異世界の魔人ソフィア。不本意な同居生活を始めた二人のツンデレ気味なテンポの良い掛け合いには確かな積み重ねがあって、自分を救ってくれた千影を取り戻すために想太が立ち上がり、千影が魔人相手に見事決着をつけてみせる展開にはぐっと来ました。過去の因縁を抱える主従関係がこれからどうなるのか、続巻にも期待大の新シリーズですね。

第31回ファンタジア大賞<審査員特別賞>

リア充を呪い密かに不満を「ディスノート」に書き込んでいた陰キャラ廻裏メグルが、ラップ好きの陽キャラ美少女・燦心に秘密を知られ一緒にラップを始める青春ラブコメディ。ディスるのとラップに共通点あるのか…と思いながら読み始めましたが、二人が積み重ねてゆくラップを通じたやりとりには自分の好みを超えた妙にクセになる何かがあって、燦心にわだかまりを抱える陽菜を加えたラブコメ展開、そしてメグルをきっかけにラップの戦いを通じて二人が絆を取り戻してゆく展開にはぐっと来るものがありました。続巻あるならまた読んでみたいです。 

家に帰るとカノジョが必ずナニかしています (GA文庫)

家に帰るとカノジョが必ずナニかしています (GA文庫)

 

お一人様生活を謳歌する泉ヶ丘颯人の元に父との契約で「レンタル家族」としてやってきた美少女・朱莉。彼女との出会いから日々に変化してゆく青春ラブコメディ。山で自給自足生活する父親が謎な存在でしたが、家族を演じ時折変態っぽい一面を垣間見せる朱莉、なぜか構ってくるリア充女子・戸祭のWヒロイン、ストーカー気味な朱莉の妹・雫や行き過ぎた婚活女教師まで絡めたドタバタコメディは楽しかったですが、いろいろ詰め込み過ぎたのか肝心の朱莉が謎めいていた理由が明かされないままだったのは残念。続刊以降の展開で明らかになるんですかね。

 

 

大学デビューし損ねた「猫の町」谷中に住む女子大生・紬。故郷から送られてくる大量の野菜を持て余し、こっそり捨てようとして謎の英国人セドリックと出会う物語。コミュ障で趣味の手芸に生きがいを見出していた紬にとって転機となった。「びんづめカフェ」を営むセドリックとの出会い。彼の血の繋がらない息子・武流の家庭教師として関わる過程でいろいろ交流も増えていきましたけど、過去の複雑な事情が明らかになっていったあの親子との関係や距離感がここからどのように変わってゆくのか、これからの展開がちょっと気になる新シリーズですね。 

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

 

兜にある命石を砕いて勝敗を競う戦闘競技会が国々の命運を決する世界。優秀な騎士を輩出する村で弓しか扱えず周囲にバカにされてきた少女・ニナを、地方競技会を見たという騎士リヒトが騎士団へ勧誘するファンタジー。優秀な兄の片目を事故で失わせてしまい、自身も非力で自信喪失気味なニナの弓に希望を見出したリヒト。勧誘先がまさかの国家騎士団で最初は怯えて逃げ出しそうになりながらも、自分を認めてくれた大切な人たちのため「赤い猛禽」に立ち向かう構図はとても分かりやすいですが、最後まで期待にしっかり応えてくれた素敵な物語でした。

群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

 

引っ越しや進学などで三年ごとに友達が入れ替わってきた三年周期の呪い。高校で映画好きの仲間を得た朝宮陽が、卒業しても友人三人との縁が切れないように、仲間たちで自分たちの映画を撮ろうと思い立つ青春小説。一念発起で仲間に提案した陽に、密かに声優を目指すお嬢様ミーコ、活動的で型破りなナツ、脚本を書くいおり。映画好きという共通項以外は性格も映画の好みもバラバラな少女たち四人が、映画製作に取り組んでいく中で葛藤したり衝突しながら、成長して絆を深めてゆく展開はなかなか良かったですね。結末もまた痛快で素敵な物語でした。 

幼い頃から他人には見えないものが見えて人間関係を上手く築けず、勤め先の倒産で引き籠もっていた瀬山冬。家賃も払えず追い詰められた彼が、謎めいた資産家・羽塔花澄に死者の霊がいる家に住んで、死の瞬間を報告する仕事を押しつけられる物語。巻き込まれた冬が出会う刺殺された若い女の霊、やたらと腰の低い30代女性の霊、母親を探す少女の霊、空き家に住む四人以上の霊。依頼人の花澄たちもまた謎めいていますが、何だかんだでお人好しな冬と接するうちに変化してゆく霊たちとの関係もなかなかいい感じで、続巻あるならまた読んでみたいです。

さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

 

事故の後遺症から記憶を忘却することができなくなり、過去の出来事を何度も追体験してしまう新川慧が、職場の同僚となった日野山空良と運命の出会いを果たす物語。記憶の再生をコントロールする術を見つけ出し、必死に日々をやり過ごしていた慧。彼女に突然告白し付き合うことになった空良がもたらしてくれた幸せな二人の日々と彼が抱えていた秘密。この人と思える存在だからこそ抱いてしまう複雑な想いがあって、その不在を痛感すればするほど相手の存在を意識せずにはいられなくて、そんな不器用で分かち難い運命の恋の結末はとても印象的でした。

告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

 

駅のホームで「人が恋に落ちた瞬間が視える」女子高生・明花と出会ったアラサーリーマン・星川。告白至上主義の明花に振り回されながら他人の恋愛事情に関わってゆく物語。海外転勤を決めた女上司、幼馴染のお兄ちゃんの結婚を受け入れられない明花の親友、悪女と名高い受付嬢の真相、そして明花が告白に異常にこだわる理由。お人好しでおせっかいゆえに周囲の女性の恋愛話に振り回されがちな星川でしたが、その奔走が関わった人たちの新たな一歩を切り出すきっかけにも繋がっていて、過去を乗り越えた二人の今後を応援したくなる素敵な物語でした。

流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

 

父を火事で亡くしたトラウマから、亡くなる瞬間の情景が「予知夢」として見える能力を得てしまった女子高生みちる。予知夢に見た従兄の一美を助けようと介入した結果、被害者が変わってしまう学園青春ミステリ。殺された同級生・渡辺と交流があった不登校の穂香、そして人気者のサッカー部員・浜坂との因縁も解き明かしてゆくみちると一美。新事実が明らかになるたびに印象が二転三転して、やりすぎなければ…と思う積み重ねが招いた惨劇の真相はほろ苦かったですが、自分の能力にきちんと向き合うようになってゆくみちるの姿が印象的な物語でした。

突然、一人暮らしの大学院生・久瀬学のもとを訪ねてきたかつての親友・信治。彼から一方的にワケありの五歳の息子・タケルを預けられる物語。かつて共に過ごした小夜子を巡る三角関係に悔恨を抱えたままの学と、自宅で匿うことになったタケル、そして学に想いを寄せる女子高生・真美との運命的な出会い。利発なタケルを中心とした微笑ましいやりとりや、明かされてゆくほろ苦い過去の真相、そして過去から今に繋がる因縁の決着の先には変わらない真摯な想いがあって、運命に導かれるように紡がれた縁が未来に繋がってゆく結末が印象的な物語でした。

流星の消える日まで (小学館文庫キャラブン!)

流星の消える日まで (小学館文庫キャラブン!)

 

東京で自分の店をオープンさせる夢を抱きながらも、夢破れて仕事を辞めて実家がある田舎町へ戻ってきたあずみ。数年ぶりの地元に到着早々、彼女の幼馴染・太一とばったり再会する物語。SNS上での出来事が原因で仕事を失い素直になれないあずみと、仲違いから未だ距離感が分からない太一との再会。ようやく取り戻せたかけがえのない関係、そして帰省した日から毎晩見る不安な夢があって、不安な彼女を支えて背中を押してくれる太一の優しさと、そんな彼の想いにきちんと向き合おうとする二人の想いが運命を変えてゆく展開はなかなか良かったです。

新宿もののけ図書館利用案内 (メゾン文庫)

新宿もののけ図書館利用案内 (メゾン文庫)

 

予算減で非常勤司書契約を切られた末花詞織。見つけた再就職先は新宿・舟町の住宅街にひっそりと佇む深夜営業の「新宿本姫図書館」。人間でないものばかりが訪れる妖怪専用図書館で館長代理のカイルとともに図書館を変えてゆく物語。最初はいろんな意味で未整備の勝手が違う図書館運営に戸惑いながらも、今まで得た知識を活かしてカイルとともに図書館をより良くすべく、化け猫や化け狐などの新宿由来の妖怪を相手に奮闘する詞織。実は意外に図太い彼女とカイルは組み合わせとしてはなかなかいいコンビですよね。続刊あるならまた読んでみたいです。

赤レンガの御庭番 (講談社タイガ)

赤レンガの御庭番 (講談社タイガ)

 

将軍直属の「御庭番」を務めた家で育った米国帰りの探偵・入江明彦。横濱を舞台に犯罪コンサルタント組織『灯台』と対峙する明治浪漫ミステリ。助手の少年・文弥に世話を焼かれつつ暮らす明彦が出会った訳ありの美青年・ミツ。彼らが遭遇する不老不死の霊薬、皇太子の切手、港の青年の行方、そして灯台の首領の意外な正体。著者さんらしい雰囲気描写に加えて、頭脳明晰で容姿端麗な明彦と有能な文哉、訳ありのミツたちのやりとりも軽妙でなかなか楽しめました。「灯台」を巡る事件は今巻で決着のようですが、続きがあるならまた読んでみたいですね。

 

 

ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)

ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)

 

第4回角川文庫キャラクター小説大賞<大賞>

19世紀末、ロンドンの画廊で展示されたルーベンス未発表の真作。その絵に目を奪われたエディスが「贋作」と断言する美貌の青年・サミュエルと運命の出会いを果たすファンタジー。訳ありな貴族の娘・エディスと、絵より現れた異形の怪物から彼女を救ったサミュエル。ジョン・ラスキンヴィクトリア女王など実在の人物も絡めつつ、サミュエルと宿敵・ブラウンの贋作に宿る怪物を巡る戦いを描く展開でしたけど、虚構も織り交ぜながら展開されるストーリーはなかなか面白かったですね。未だ謎多きサミュエルとエディスの物語をまた読んでみたいです。

レゾンデートル (実業之日本社文庫)

レゾンデートル (実業之日本社文庫)

 

末期癌を宣告され絶望の日々を送る医師・岬雄貴。ある日、不良から暴行を受けた岬が、偶然連続殺人鬼「切り裂きジャック」、そしてトラブルに巻き込まれていた少女・沙耶と邂逅し運命が回り始める物語。雄貴の存在を知って事件に巻き込んでいくジャック、そんな日々の中で出会った沙耶との奇妙な同居生活で少しずつ心境が変わってゆく雄貴。最初は視点の切り替わりが少し多いかなと感じましたけど、読めば読むほどテンポも良くなっていって、いくつもの事件・人物が繋がってゆく終盤の展開は流石で、切なくもぐっと来る結末もなかなか良かったです。

 

探偵はぼっちじゃない

探偵はぼっちじゃない

 

理事長の息子という立場を持てあましながらも「よき教師」であろうと日々奮闘する新任教師の原口。受験生として屈託多き日々を送る中学3年生の緑川光毅。二人の視点から進むミステリ。やる気のない教師に見えていた同僚教師・石坂の意外な姿を知る原口。未来に希望を感じられない光毅と同級生の星野の出会い。それに光毅の作中作も絡めてそれぞれ進でゆくストーリーが、自殺サイトに自校の生徒がいることをきっかけに繋がってゆく展開とその結末はなかなか良かったです。中3の夏休み時に書いたデビュー作とのことで、今後に期待の作家さんですね。

カモフラージュ

カモフラージュ

 

不倫相手と夜にホテルで食べるお弁当、夜に帰ると増えているお父さんたちの真相、メイドになりたい一心で上京したいとうちゃんの不安、昔の記憶に起因する桃に関するフェティズム、YouTuber三人組が配信中に起こした事件、半年前に振られたアラサーの心の傷などを描いた連作短編集で、最初は話題先行の小説なのかと思いながら読み始めましたが、ままならない状況に葛藤する登場人物たちの繊細な描写には光るものがあって、個人的にはわりと好みな作風でした。最後の「拭っても、拭っても」がいいですね。また書くようなら読んでみたいです。

夏の陰

夏の陰

 

15年前、警官を射殺した末に自殺した犯罪者の息子・倉内岳と、殺された警官の息子・辰野和馬。そんな二人が剣道を通じて再会してしまい、複雑な想いを募らせてゆく物語。世間から背を向け、公式戦にもほとんど出場したことがなかった岳と、因縁の京都県警で思いを燻らせていた和馬。岳が恩師のために一度だけ出場した全日本剣道選手権の京都予選で二人が激突する展開で、明らかになってゆく事実やエピローグが事件の印象を少し変えたりもしますが、それでもこういう過去や抱えてきた思いは消えないし、そうそう割り切れるもんでもないですよね。 

同潤会代官山アパートメント

同潤会代官山アパートメント

 

関東大震災で最愛の妹を喪った八重は、妹の婚約者だった竹井と結婚。昭和と共に誕生してその終焉と共に解体された同潤会代官山アパートを舞台に繰り広げられてゆく家族の物語。最初は最新式の住居にも新しい夫にも上手く馴染めなかった八重と夫・竹井、娘・恵子とその夫・俊平、孫の浩太と進、浩太の娘・千夏と、世代を超えて綴られてゆく物語には、それぞれが積み重ねてきた年月があって、物語に登場する人たちも時代も確実に変わってゆく様子が描かれている一方で、それでも変わらない大切なものがあるんだなと改めて実感させてくれた物語でした。

スガリさんの感想文はいつだって斜め上 (5分シリーズ+)

スガリさんの感想文はいつだって斜め上 (5分シリーズ+)

 

美人だけれどちょっと変わった女子高生・スガリさんが、気の弱い男性家庭科教師・直山を顧問に据えて、読書感想部を立ち上げようと奮闘する青春ミステリ。『こころ』『手袋を買いに』といった名作に対して、斬新な解釈をぶっ込んでくるミステリアスなスガリさんと、そんな彼女に振り回されっぱなしの直山先生。けれどその斜め上な感想文が、直山が遭遇する事件解決のヒントになっていたりで面白かったです。スガリさんの過去は少し明らかになりましたけど、面白そうな直山の同居の彼女は未登場で、二人の遭遇は今後の展開に期待ということで。

幻の彼女

幻の彼女

 

ドッグシッターの風太に届いた一通の訃報。以前交際していた美咲の若過ぎる死に驚いた彼が、他の別れた恋人たちもことごとく消息がつかめないことに気づくミステリ。まるで存在しなかったかのように、一切の痕跡が消えてしまっていた三人の元恋人たち。追えば追うほど謎も深まる展開で、友人の雪枝、裕一郎とともに調べていた風太がやがてたどり着いた真相は、振り返ってみればいくつか示唆されていた箇所はあってもこの結末は予想できなかったです。それでも終わってみれば納得感があったのは、物語の着地点が上手かったということなんでしょうね。

 

6月は5月の反動で一般文庫(というか角川文庫)の新作が増えそうです…5月に結構気になる文庫の新刊出てたんですよ...読むもの多すぎて全然手を出せてなかったorz