読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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こじらせた青春を描いたライトノベル15選

ここしばらく仕事が死ぬほど忙しかったり、それでいて読みたい本がおおかったりで、全然企画を作れていませんでしたが、ここから前代未聞のGW10連休ということで、これはこれで今までとは違う意味で多忙な日々が待っていそうです(白目 とはいえこのままだとGW明け以降も多忙な日々が見えているので、とりあえずGW向けに企画を一本作っておこうと思いました。

 

ではなぜこの企画を作ろうと思ったのか。昨今チョロいヒロインの作品も結構増えてきていますが、あえて言いましょう。自分は「こじらせた主人公/めんどうくさいヒロインが大好き」だからです。まあそれも行き過ぎるとうぜえ…(苦笑)となったりするので程度問題はあるわけなんですが、こういう作品がもっとたくさん出てほしい、他の人にも読んでほしいと思い、独断と偏見で15作品選びました。濃い作品もなぜかヒロインが学生でない作品もあったりしますが、その辺はそういうものだということでご容赦下さいw

 

1.継母の連れ子が元カノだった (角川スニーカー文庫)

 中学生の時に恋人となり些細なことですれ違い、卒業を機に別れた伊理戸水斗と綾井結女。そんな二人が高校入学を機に再婚した親の再婚相手の連れ子として同居する青春ラブコメディ。思ってもみなかった形での最悪の再会と些細なことで衝突する二人。終わったはずなのにふとした拍子に思い出す黒歴史に赤面し、素直になれないけれど何だかんだ言いながらお互いの存在を気にかけていたり再評価したり。恋愛ROM専やぐいぐい介入してくる友人たちに振り回されつつ、再び少しずつ育まれてゆく二人の関係がどう変わってゆくのか楽しみなシリーズ。現在2巻まで刊行。

2.友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

 

青春の一切を非効率とする俺・大星明照が目指す伯父の会社への就職。ウザい親友の妹・彩羽に絡まれつつ、就職の条件として提示された幼馴染従妹・真白の偽彼氏役に挑む青春ラブコメディ。学校では存在感皆無の生活を送る明照と、彼に絡み部屋に入り浸る親友の妹・彩羽、最悪の再会から険悪な雰囲気の真白。親友を含めた周囲の登場人物にはそれぞれ抱える事情があって、陰キャラに甘んじる明照が仲間のためなら頑張る姿を見ると、彼らに慕われているのも納得ですね。気になる関係に投げ込まれた波紋で物語がどう動くのか、今後に期待大の新シリーズ。

3.虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん (オーバーラップ文庫)

虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.1 (オーバーラップ文庫)

虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.1 (オーバーラップ文庫)

 

たまたま虐殺スペックな女子高生・赤三月朝火の自殺を阻止した低スペックの九木野瀬伊吹。翌朝、朝火から脅迫されて『人生の攻略本作り』を手伝わされる青春小説。容姿端麗の人気者で多才な朝火の素の性格はわりとあれで、低スペックと言われる九木野瀬は屈折した現実主義の努力家。まずは周囲に妬まれて孤立する下級生・黒花(彼女もいい性格w)が直面する困難の克服に協力する展開でしたが、何だかんだでわりといいコンビっぷりを見せた二人はそれぞれ事情を抱えているようで、その関係が今後どう変わってゆくのか続巻に期待大の新シリーズです。現在2巻まで刊行。

4.ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか? (GA文庫)

電車で痴漢に遭っていた女子高生・織原姫を助け、そんな彼女に惹かれてゆく男子高校生・桃田薫。しかし好きになったJKの正体はアラサーのOLだったという年の差ラブコメディ。高校生と一回り近く年上のアラサーという組み合わせはいろいろ考えてしまいますが、懐かしいあるあるネタでたびたび世代間ギャップに凹みながらも、天然で素の反応が可愛くて破壊力抜群の姫と、その魅力にドキドキしながら真摯に向き合おうとする不器用なモモの距離感がとても良かったですね。いろいろ前途多難な二人がどうなってゆくのか期待のシリーズ。現在3巻まで刊行。

5.きれいな黒髪の高階さん(無職)と付き合うことになった (GA文庫)

サークルも幽霊部員と化して暇を持て余し気味だった京都の大学二年生・日之出。再起を期して潜り込んだ新歓コンパでミステリアスな年上ニートの高階さんと出会う青春小説。高階さんが言った「付き合って欲しい」の真意を確かめられないまま、ゆるゆるとした日々を共に過ごすうちに少しずつ心境が変わってゆく日之出。サークル仲間の祭利や彼が家庭教師を務めるJK彩乃も絡めた人間模様にはこれまで育まれてきた確かな関係があって、彼女たちとのドキドキ展開が恋愛に直結しなくても、これはこれで悪くない大学生活なのかなとか思ったりしました。全2巻。

6.やがてはるか空をつなぐ (ファミ通文庫)

やがてはるか空をつなぐ (ファミ通文庫)

やがてはるか空をつなぐ (ファミ通文庫)

 

高校の物理部でバルーン実験に勤しむロケットオタクの青桐七海、プログラマー山花俊、天真爛漫な後輩・町田佐奈。実験の当日、彼らが近くの高校に通う赤森遙と出会う青春小説。ロケットを打ち上げることに執着する七海が抱える悔恨、遙がロケットを打ち上げたい理由、そして後輩・佐奈や七海の予備校の友人・柊、そして俊のそれぞれの想い。それぞれに悔やみきれない苦い過去があって、ままならない複雑な事情も交錯する狂おしいまでの真摯な想いがあって。それでも彼らが勇気を出してぶつかりあった先にあった結末にはぐっと来るものがありました。

7.恋してるひまがあるならガチャ回せ! (電撃文庫)

バイト代を全てスマホゲーに突っ込んでしまうガチャだけが生き甲斐の留年寸前大学生・遠野が、旧華族出身のガチお嬢様で廃課金ゲーマーの薗村紗雪と邂逅する廃課金ラブコメ。拗らせ過ぎて言動がキモい遠野と、そこまで突き抜けてないだけで負けず嫌いの廃課金ゲーマーな紗雪。一見まともに見える友人の樋沢も違う意味で残念なお人で、ラブコメよりもひたすらスマホゲーとガチャに突っ走る彼らの呆れ果てたやり取りには苦笑いでしたけど、だからこそ覚悟した遠野が見せた矜持とそのブレない熱い想いは良かったですし、二人のその後が気になりますね。

8.青春失格男と、ビタースイートキャット。 (ファンタジア文庫)

桜の木から落ちてきた宮村花恋と運命的な出会いを果たした野田進。なのにそんな幸せを実感できない彼の前に、エキセントリックな孤高の天才児・西條理々が現れる青春小説。進を青春不感症と指摘し、楽園追放計画に誘う西條との恋心とは呼べない背徳的な関係。一方で真っ直ぐないい子だとは思うものの、なぜか心動かない花恋との関係。不器用にしか生きられない彼らの最低の選択が皮肉にもその心境に変化をもたらしたりで、これから三人の関係がどのように変わってゆくのか、読む人を選びそうな作品ですが自分はその結末を読んでみたいと思いました。

9.友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)

友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)

友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)

 

妙なこだわりで高校で友達ができない新藤大輔に、存在感のないクラスメイト澄田が持ちかけてきた困ったときに助け合う「友達いらない同盟」そんな同盟から始まる二人の物語。それぞれが複雑な家庭事情を抱えてはいるけれど、一見同じようでいてまるで対照的な新藤と澄田。グループから浮いた城ヶ崎も加わって三人で楽しそうに見えたのに、なぜか澄田が距離を置くようになってゆく危機的状況でしたが、本音で引き留めようとする新藤の提案はかなり無茶苦茶でしたね(苦笑)このレーベルでたまに出てくる不思議な魅力のある物語です。全2巻。

10.幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

 

幼い頃に約束を交わしながら疎遠になってしまった可愛い幼馴染の灯里。青春の呪いを掛けられた幼馴染を救うため平凡な喜一郎が一緒に数々の青春の試練に挑む青春ラブコメディ。くしゃみをすると一定期間ものに触れなくなる呪いを受けた灯里と、彼女のために気後れしていた経緯を乗り越え勇気を出した喜一郎。試練とはいってもやってることはただのバカップル体験で(苦笑)一緒に行動する中で積み重なってゆく想いと、過去の誤解と約束もうまく絡めていい感じに盛り上がってゆく展開はとても良かったです。現在2巻まで刊行。

11.平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

 

五年前にベンチャー企業社長である母を亡くした平浦一慶。残されたトランスジェンダーの姉、オタクで引き籠りの妹、コミュ障でフリーターの父とともに過ごす日々が描かれる青春小説。何でも自分でできてしまうがゆえに高校にもろくに通わず、アプリ開発に精を出す日々を送る一慶。過去の苦い経験から周囲に無関心でしたけど、誤解されて窮地に陥った時でも彼のことを気にかけてくれる人たちがいて、不器用な交流の中にもたくさん気づけたことがあって、彼だけでなく周囲もまたその影響を受けて成長してゆく展開は、とても心に響くものがありました。

12.スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)

スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)

スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)

 
 

同級生の八坂幸喜真に触発された女装男子の天野翔が、彼のプロデュースで女装に目覚めたメアリーと共に女装アイドルを目指す青春小説。病院にいる「あの子」のために女装アイドルを目指すことになった天野翔視点と、丸井宴花との出会いから人生が変わってゆく広瀬怜視点の二つの物語が交錯する展開はぐいぐい読ませるだけの勢いがあって、物語を牽引する目をそらせない八坂の圧倒的な存在感と、「あの子」への献身的で不器用な熱い思いがその心を揺さぶって、伏線を回収して収束してゆく物語が見せてくれたその結末にはぐっと来るものがありました。

13.オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)

オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)

オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)

 

無表情・無感情で人と関わろうとせず、そこかしこに絵を書き散らす芸術科の天才・小海澤有紗。変人扱いの彼女を気にかける雪斗が関わってゆくうちに、彼女が抱える秘密に巻き込まれてゆく青春小説。コミュ障なオミサワさんと些細なやり取りを重ね交流を深めてゆく地道な努力が微笑ましくて、文字通り次元が違う秘密を知っても彼女を理解し共にあろうとする雪斗。大切だからこそ苦悩するオミサワさんでしたけど、彼女の想いを垣間見た雪斗と相変わらず難しい境遇でも確実に変わりつつある彼女が迎えた素敵な結末には、ついニヤニヤしてしまいました。

14.こんな僕が荒川さんに告白ろうなんて、おこがましくてできません。 (講談社ラノベ文庫)

こんな僕が荒川さんに告白ろうなんて、おこがましくてできません。 (講談社ラノベ文庫)

こんな僕が荒川さんに告白ろうなんて、おこがましくてできません。 (講談社ラノベ文庫)

 

成績優秀だがクズを自認する浅井悠馬が偶然クラス演劇主役を演じることになり、幼馴染の明日香とともにクラスの中心に君臨する荒川唯のグループに巻き込まれてゆく青春ラブコメディ。行動をともにする機会が増えてゆく唯の見た目とは全然違う純真さとひたむきさ。少しずつ惹かれてゆく悠馬が知ってしまった唯のらしくない秘密。何ともほろ苦い気持ちを抱えながら、それでも彼女のために奮闘する悠馬の姿は心に響きましたが、だからといって頑張れば報われるとは限らないのが現実で、そんな迷える彼らの行く末が気になります。現在2巻まで刊行。

15.リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)

リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)

リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)

 

覇権にこだわるオタクたちについていけず、リア充のやりとりもまた面倒くさいと感じてしまう中途半端な荒川亮太が、公園である事件に遭遇しいろいろ巻き込まれてゆく青春小説。いかにもリア充っぽいメグと、自らがかつて決別したオタ仲間の一人だと思っていた奈々子がそれぞれ抱える密かな想い。一見対極に思えるオタクとリア充を突き詰めてゆくと、避けられないのはそのどうにも面倒な窮屈さで、それでも居場所を大切にしたい彼女たちの切実な想いに応えてみせた亮太の解決法には苦笑いでしたが、こういうのもありかなと思えた興味深い物語でした。現在2巻まで刊行。

 

以上です。気になる作品があったら是非読んでみて下さい。