読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

2018年下半期注目のオススメ新作ライト文芸37選

ライトノベル恋愛・青春小説編」「ライトノベルファンタジー編」に続く2018年下半期注目のオススメ新作企画第三弾は「ライト文芸編」です。

下半期もそれなりに読んでオススメしたい作品も多く、とりあえずベスト10とその他オススメ作品ということでレーベル別に27作品選んでいます。レーベルも増えてゆく中でセレクトも難しくなってきていますが、そんな作品選びの参考になれば幸いです。 上半期版もありますのでこちらも併せてご参照下さい。

上半期版はこちら↓


 

 【2018年下半期注目のオススメ新作ライト文芸ベスト10】

1.私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

 

突如失踪した人気小説家・遥川悠真。調査を進めるうちに彼の小説を愛した少女・幕居梓の存在が明らかになってゆく物語。追い詰められて絶望していた梓を偶然救ってくれた遥川。奇妙な共生関係を結んだ二人のささやかな癒やしと、小説を書けなくなってゆく遥川。何とかしたいという思い、魔が差した行為が二人の関係を決定的に変えていって、何とかしようとすればするほどすれ違って、垣間見えたいくつもの想い、ありえたかもしれない可能性が何とも切なかったですが、それでも真っ直ぐで不器用で優しかった二人らしい結末だったのかなと思いました。

2.アオハル・ポイント (メディアワークス文庫)

頭を殴られてその人を評価するポイントが頭上に見えるようになってしまった高校生・青木。それをひた隠して無難に生きてきた彼が、クラスで浮いている少女・春日と出会って変わってゆく青春小説。憧れの成瀬との関係に自信を持てずにいる一方で、好きな人と釣り合う存在になるべく変わってゆく春日に対する認識が少しずつ確実に変わってゆく青木。不安で空回りしてしまう彼らの行動は痛々しくて、それでも理不尽な目に遭う大切な人のために一生懸命で、遠回りしながらも素直に向き合えるようになった等身大な彼らのありようはとても心に響きました。

3.また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)

また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)

また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)

 

小学校三年生の頃、遠い未来に時間を超えたことがある仙台の大学生・支倉爽太。未来で出会った年上の五鈴を忘れられずアルバイトに明け暮れる爽太が、過去から来た人にあったことがあるという八宮和希と出会うもうひとつの物語。前作から数年後の世界で、忘れられない人との再会を渇望する爽太と和希の出会いあって、彼と向かった采岐島で再会した面々が懐かしくて。ふとしたきっかけからたどり着いた意外な真実に、それでも覚悟を決めて向き合う爽太のひたむきな想いには心打たれるものがあって、諦めなかった彼らの今後を応援したくなりました。

関連作品:「どこよりも遠い場所にいる君へ」(集英社オレンジ文庫)

4.あの日、恋に落ちなかった君と結婚を (メゾン文庫)

あの日、恋に落ちなかった君と結婚を (メゾン文庫)

あの日、恋に落ちなかった君と結婚を (メゾン文庫)

 

結婚を考えていた恋人に振られ、将来に不安を抱く持田麻衣。地元に帰ることを決めた麻衣が偶然高校のときのクラスメイト今井優人に再会、「恋のない結婚」を現実的に考えはじめる物語。高校時代の30歳になってもお互い独身だったら結婚しようという今井との冗談めいた約束。かつてお互いの恋を協力する関係だった二人の共同生活はしっくり来る部分もイライラする部分もあったりで、そんな二人が一つ一つ乗り越えて迎えたラストにはじんわり来るものがあって、積み重ねていったエピソードが見事に繋がってゆくとても素敵な物語だったと思いました。

5.聞こえない君の歌声を、僕だけが知っている。 (メディアワークス文庫)

動画サイト上に投稿され社会現象となった音声がないまま歌う「無声少女」。突然なぜか世界でただ一人、無声少女の歌声が聞こえるようになってしまった大学生・永瀬が彼女の歌詞をヒントに彼女を探そうとする物語。永瀬が歌詞を手がかりに調べてゆく無声少女の行方。たどり着いた先で巡り会った少女・サクヤ。二人で無音少女を調べ始めたことは彼らにとっても転機で、ようやく発見した無音少女の切なる願いと永瀬の決断には悲しくもなりましたが、それでも真っ直ぐに訴えかけてくる想いには揺さぶられて、エピローグにはぐっとくるものがありました。

6.終わらない夏のハローグッバイ (講談社タイガ)

終わらない夏のハローグッバイ (講談社タイガ)

終わらない夏のハローグッバイ (講談社タイガ)

 

あらゆる感覚を五感に再現する端末・サードアイを手に入れたことで装いを変えた世界。そのきっかけとなりながらも二年前から眠り続ける幼馴染・結日を救うため、日々原周が仲間とともに立ち上がるひと夏の物語。サードアイの開発者で鍵を握る結日の姉・沙月の存在と、計画に手を貸す同級生・先崎との邂逅。打開する方法を模索するうちに見出したひとつの真相。立ち位置が変わっても何かを引き起こす彼女と、そんな彼女のために奔走する周という二人の関係は変わらなくて、可能性を信じて諦めず何度でもチャレンジし続ける周を応援したくなりました。

7.ミウ -skeleton in the closet- (講談社タイガ)

ミウ -skeleton in the closet- (講談社タイガ)
 

就職を前にした何も変わらない灰色の日々。実家に戻り中学時代の卒業文集を開いた池境千弦が気になる作文を発見し、元同級生のその後を追い始めた数日後、接触してきた別の元同級生が謎の死を遂げるミステリ。元同級生・田中美奈子の自殺の真相を探るうちに起きた転落死事件と、縁が繋がって再会したかつての同級生で作家のミユ。千弦だけが分かるように発信されていたミユからのメッセージ。新米編集者と作家による探偵役コンビが真相に迫るたびに意味合いが変わる構図の変化は鮮烈で、秘密を積み重ねてゆく二人が迎えた結末はとても印象的でした。

8.きみがその群青、蹴散らすならば (集英社オレンジ文庫)

容姿端麗で成績優秀、非の打ちどころがないのに人と距離を置く月島桜子。苦悩から奇怪な秘密を抱えた彼女が原因を知る転校生・水瀬和葉と出会う青春幻怪鬼譚。桜子と同様に密かに抱える苦悩から鏡に写った自分にツノが生えはじめた、成績上位の美少年・周防紫生、クラス女子の一軍グループでいることに必死な土田知香、ムードメーカー的存在の門倉翔平。彼女たちが和葉と協力して元凶たる鬼を探す展開で、狭い世界で逃げ場もなく追い詰められてゆく彼らには仲間がいて、葛藤を抱えながらも支え合い絶望を乗り越える姿はぐっと来るものがありました。

9.誰にも言えない (集英社オレンジ文庫)

誰にも言えない (集英社オレンジ文庫)

誰にも言えない (集英社オレンジ文庫)

 

旧財閥で日本有数のセレブ一族の家に生まれた女子大生の葵。大好きな3人の女友達を誘い避暑地に遊びに来ていた彼女たちが、「誰にも打ち明けていない秘密の話」を順番に打ち明けてゆくサイコホラー。招待した葵の友人でモデルの結衣、美人小説家の莉子、有望なアスリートのひまりという目を引く美女たちが明かしてゆく、誰も知らなかった彼女たちの秘密。それぞれの打ち明け話の中で垣間見える彼女たちの生々しい悪意と、真相を明かしながらも平然としている彼女たちには戦慄しましたが、その先にあった思わぬ展開と迎えた結末には驚かされました。

10.隣の席の佐藤さん (一二三文庫)

隣の席の佐藤さん (一二三文庫)

隣の席の佐藤さん (一二三文庫)

 

地味でパッとしない佐藤さんと隣の席になった山口くん。隣の席で交流を積み重ねながら、二人の心境が少しずつ変化してゆく青春小説。始めは鈍くさいけど素直な佐藤さんに調子が狂いイライラしていたのに、いつの間にか彼女が気になってゆく山口くん。だからといってすんなり上手くいくわけでもなくて、ままならない状況でどう接するのがいいのか懸命に考える山口くんが微笑ましいですね。いろいろ遅れがちな彼女を気にかけて寄り添う山口くんの姿勢はカッコよくて、周囲にもバレバレで生温かく見守る二人のその後がまた読んでみたいと思いました。

 

 以下はオススメ作品紹介紹介ということで。

----

11.猫と狸と恋する歌舞伎町(新潮文庫nex)

猫と狸と恋する歌舞伎町 (新潮文庫nex)

猫と狸と恋する歌舞伎町 (新潮文庫nex)

 

 男子大学生のふりをして気ままに生きるオスの三毛猫・谷中千歳は恋に落ちた。ドーナツ屋さんの女の子・愛宕椿に正体を明かせず悩む千歳が、実は彼女が歌舞伎町の任侠団体の組長の娘であることを知る青春小説。娘と別れさせた組長に衝撃的な事実を知らされて、嫌々ながらも仕事の依頼を引き受けた千歳が直面する何とも世知辛い現実。けれど複雑な思いを抱く千歳とは対照的に、椿は思っていたよりもずっと自分の幸せを追求することに貪欲でしたたかで、巻き込まれたけれどこれはこれで悪くないのかな?と思わなくもない結末に少し救われました(苦笑)

12.朝比奈うさぎの謎解き錬愛術 (新潮文庫nex)

朝比奈うさぎの謎解き錬愛術 (新潮文庫)

朝比奈うさぎの謎解き錬愛術 (新潮文庫)

 

 父の跡を継いだもののぱっとしない探偵の迅人。彼のことが好き過ぎるストーカー美少女・朝比奈うさぎが、事件に巻き込まれがちな迅人を救うため謎を解いてゆく連作短編集。行く先々で殺人事件に巻き込まれて、なぜか容疑者扱いされてしまう迅人と、愛を証明しながら事件を解決してしまううさぎ。迅人のことしか考えていないうさぎがなぜ論理的に解決できるのか謎ですが、うさぎの重過ぎる愛を戸惑いながらも何だかんだで受け入れつつある迅人はいいコンビで、二人を見守る姉を交えたやりとりも面白かったです。続巻あるならまた読んでみたいですね。

13.昭和少女探偵團 (新潮文庫nex)

昭和少女探偵團 (新潮文庫)

昭和少女探偵團 (新潮文庫)

 

 和洋折衷文化が花開く昭和6年。帝都の女学校に通う花村茜と級友たちに怪文書が届き。疑われた親友を庇う茜が謎めいた才女・夏我目潮や謎めいた才女・夏我目潮とともに少女探偵團を結成するレトロ青春ミステリ。怪文書の正体、ドッペルベンゲル遭遇の真相、そして級友の元婚約者が失踪した事情。のんびりとした茜の呼びかけで結成された少女探偵團が周囲で起きる事件を解決してゆく展開で、たびたびの視点変更が読んでいて多少混乱に繋がった感はありますが、登場人物たちもキャラが立っていて、のんびりとしたレトロな雰囲気を楽しめた一冊でした。

14.レトロゲームファクトリー (新潮文庫nex)

レトロゲームファクトリー (新潮文庫nex)

レトロゲームファクトリー (新潮文庫nex)

 

過去のゲームを移植するレトロゲームファクトリー社長・灰江田とプログラマー・コギーの元に伝説のUGOコレクション復活依頼が持ち込まれ、横取りを狙う大手企業を抑え封印ゲーム復活に奔走するお仕事小説。古巣の橘に騙されたコギーを救った灰江田。懐かしいレトロゲームを取り上げながら、手段を選ばない橘の様々な揺さぶりに振り回されつつ開発者の過去の因縁を探りながら、ゲーム愛と家族愛のために動く灰江田の想いが周囲を動かし、力を合わせて開発者の真意を見出しゲームに愛がない橘の企みを乗り越えてみせる展開はなかなか熱かったです。

15.拝啓 彼方からあなたへ (集英社オレンジ文庫)

拝啓 彼方からあなたへ (集英社オレンジ文庫)

拝啓 彼方からあなたへ (集英社オレンジ文庫)

 

 「自分が死んだらこの手紙を投函してほしい」と中学時代の親友・響子に託されていた手紙雑貨店「おたより庵」店主・詩穂。人づてに彼女の死を知った詩穂が手紙を開封し、その過去にまつわる事件を解き明かしてゆく物語。響子に託された手紙の違和感と周囲で起きる怪文書事件、苦手に感じていた常連客の城山に対する心境の変化と再会した元カレの執着。大人しく見える印象から周囲に振り回されがちだった詩穂でしたけど、それでも彼女には譲れないものや大切にしているものがあって、誠実に向き合う彼女らしさが導いた結末はなかなか良かったですね。

16.威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)

威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)

威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)

 

その出自から瑞燕国で虐げられる尹族の少女・玉瑛。皇帝が発した「尹族国外追放」の勅命により屋敷を追われ命を失った彼女が、謀反を起こして虐げられる原因となった皇帝の愛妾・柳雪媛として目覚める中華幻想復讐譚。未来を変えるため柳雪媛として過去をやり直すことになった玉瑛と、その護衛役に任命された生真面目な若き武人・王青嘉の因縁の出会い。お互いの真意を知らずに反発し合っていたはずの二人がいつの間にか奇妙な縁で紡がれていって、二人だけにしか分からない何とも複雑な感情を育んでゆくこの主従の絆に期待したい新シリーズですね。

17.京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)

京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)

京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)

 

東京のめまぐるしい生活に馴染めず祖母の暮らす京都・伏見の蓮見神社に引っ越してきた女子高生のひろ。幼馴染で造り酒屋の息子・拓己にも再会した彼女に不思議な声が届くあやかし物語。拓己や以前彼女と約束を交わした白蛇「シロ」に見守られながら、少しずつ新しい生活に馴染んでゆくひろ。「水神の加護」「小野小町の恋」「桃亭の恋模様」「雷神の子」と様々なあやかし絡みの事件に関わってゆく展開に、それにひろと拓己の繊細な距離感だったり、ひろを気にかけるシロの存在もいい感じに絡んでいて、続刊あるようなら是非また読んでみたいですね。

18.要・調査事項です!: ななほし銀行監査部コトリ班の困惑 (集英社オレンジ文庫)

要・調査事項です!: ななほし銀行監査部コトリ班の困惑 (集英社オレンジ文庫)

要・調査事項です!: ななほし銀行監査部コトリ班の困惑 (集英社オレンジ文庫)

 

顧客をクレーマー化させてしまったことを気に病み、辞職を考えていた入行一年目の小林髙。そんな彼が二年目の年度初めに支店から本部の監査部の個人取引担当―通称コトリ班へ異動するお仕事小説。外貨の偽札や通帳のトラブルといった要調査案件に、上司の矢岳に見守られつつ、きれいだが愛想のない多岐川千咲とコンビを組んで調査する構図で、関係なさそうだった事件が繋がっていって、高の着目や人間関係が事件解決のヒントになったり、少しずつ距離感も変わってきた多岐川千咲とのコンビがこれから面白くなりそうですね。これは続巻読みたいです。

19.法律は嘘とお金の味方です。 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 (集英社オレンジ文庫)

法律は嘘とお金の味方です。 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 (集英社オレンジ文庫)
 

敏腕だがお金に汚い弁護士・吾妻正義の孫つぐみは、嘘をついている人の顔が歪んで見える特殊能力を持つ女子高生。幼馴染の検察官・汐見草司もたびたび巻き込んで持ち込まれる案件を解決してゆく物語。相続放棄を迫られた後妻、詐欺師扱いされた投資コンサルタントDQNネームを改名したい女子高生、隣人から引っ越しを迫られる犯罪者の息子といった何とも複雑な事件に正義もまた濃い存在で、ワケありの過去を抱えた登場人物たちそれぞれの物語、そして複雑にこじれていたつぐみと草司の今後も気になりますし、またこの続きを読めたらいいですね。

20.ガーデン・オブ・フェアリーテイル 造園家と緑を枯らす少女 (集英社オレンジ文庫)

花や草木に触れると枯れてしまう呪われた手を持つ撫子。父の死後、19歳になった撫子は知らぬ間に自分が結婚していたことを知り、結婚相手・花織が住む新潟へ赴く幻想ミステリ。妖精に纏わる厄介事を解決している人嫌いの造園家の花織。粘り強く徐々に心を通わせてゆく中で直面する30歳になったら死ぬという花織の呪い。ふんわりとした雰囲気の中で呪いにどう向き合うかという葛藤が描かれますが、それでも真っ直ぐな撫子の想いが花織の孤独な心を揺り動かすようになってゆく展開と、そんな二人が迎えたその結末はなかなか良かったと思いました。

21.七不思議のつくりかた (集英社オレンジ文庫)

七不思議のつくりかた (集英社オレンジ文庫)

七不思議のつくりかた (集英社オレンジ文庫)

 

五歳で両親を亡くしたことから幽霊に会えると噂の高校へ進学した高戸。そこで同じ部の綾乃先輩に出会い恋をしたことから運命が変わってゆく、とある高校の七不思議にまつわる青春小説。両親に会いたいがゆえにその高校に入学した彼が、幼馴染の彼氏を亡くした綾乃先輩に寄り添ううちに抱くようになる切なる願い。話す骨格標本、プールの田中さんといった七不思議に絡めて描かれるもうひとつの切ない物語があって、展開的にやや分かりづらい部分もありましたが、絶望的な状況の中でも光明を見出そうとする最後の約束にはぐっと来るものがありました。

22.花嫁レンタル、いかがですか: よろず派遣株式会社 (集英社オレンジ文庫)

花嫁レンタル、いかがですか?: よろず派遣株式会社 (集英社オレンジ文庫)

花嫁レンタル、いかがですか?: よろず派遣株式会社 (集英社オレンジ文庫)

 

早世した有名女優の娘として目立たぬようひっそり生きようとした鵜崎真尋25歳。セクハラに遭い会社を辞めた真尋が少し変わった人材派遣会社の社長杉埜と出会い、挙式直前に逃げた花嫁の身代わりを依頼される物語。自己評価は低いけどお節介でメイクで地味にも美人にもなれる真尋が、同僚の灰谷とも関わり合いつつこなしてゆく花嫁の身代わり、女子会のために見栄を張るOLの後輩役、亡くなった娘の代わりに両親と食べ歩きなど、登場人物たちのエピソードも交えながら進んでいく展開はなかなか良かったです。続編あるならまた読んでみたいですね。

23.逆転ホームランの数式 転落の元エリートと弱小野球部が起こす奇跡 (メディアワークス文庫)

仕事にのめり込んで家族に愛想を尽かされた元エリート社員の八雲。野球少年の息子と元妻に再び認めてもらうため、野球経験なしの身から初戦敗退の秋上高校野球部の監督に就任し、転落の元エリートと弱小野球部が奇跡を起こす物語。最初は気持ちも分からず最悪だった部員たちとの出会い。そこから彼らと向き合いながら進めていった、データに基づく合理的な練習と意識改革。興味深い練習に八雲や部員たちの葛藤やそれぞれの想いもあったりで、八雲の息子もいる横道学院との練習試合で果たしたひとつの決着にはなかなかぐっと来るものがありました。

24.放課後、君は優しい嘘をつく。 (メディアワークス文庫)

放課後、君は優しい嘘をつく。 (メディアワークス文庫)

放課後、君は優しい嘘をつく。 (メディアワークス文庫)

 

3年前の飛行機事故により両親を亡くし、足も不自由になったことで引きこもりになった少年・古賀春一。彼を連れ出すべくクラス委員を名乗る同級生の彩楓が通い、彼を支える二人と交流を深めてゆく青春小説。春一を引っ張り出すために週2日は古賀家を訪れ、ツルさん・藤野さんとも馴染んでお茶会をするようになった彩楓と彼女を拒む春一。それでも粘り強く通いながら春一の意識を少しずつ変えていった彼女が抱える秘密。春一が知った事故での真実は彼女との運命を感じさせて、きちんと向き合えた二人を祝福したくなる微笑ましくも素敵な物語でした。

25.学校の屋上から君とあの歌を贈ろう (メディアワークス文庫)

学校の屋上から君とあの歌を贈ろう (メディアワークス文庫)

学校の屋上から君とあの歌を贈ろう (メディアワークス文庫)

 

中学時代に仲間とうまく行かずにバンドを辞め、鬱々とした気分のまま高校に入学した恭一。そんな彼を軽音楽部に勧誘するギターを背負った少女・ちとせと出会う青春小説。恭一のドラムへの想いを見抜いたちとせ、そして恭一に寄り添う幼馴染・萌子の運命の出会い。同じように共鳴した生徒会所属の伊吹のために彼らが奔走したことで直面した事態。大切な仲間のために、目標の文化祭でのライブを実現するために様々な課題に直面しながらも、協力し合い仲間を募りながら方法を探り、それを乗り越えてゆくその熱い想いにはぐっとくるものがありました。

26.前略、初恋の彼女が生き返りました。 (メディアワークス文庫)

前略、初恋の彼女が生き返りました。 (メディアワークス文庫)

前略、初恋の彼女が生き返りました。 (メディアワークス文庫)

 

大学三年生になった自分の前に突然現れた、高校生のときに交通事故で死んだはずの片思いの少女・皇カノン。やり残したことがあるという彼女とともに過ごす数日の同棲生活を描く青春小説。ようやく死を受け入れたばかりのタイミングで現れた片思いだった彼女と再会し、共に過ごすうちに変わってゆく心境。藤二とカノンの二人に宏が加わって、三人で一緒に過ごすようになった高校時代、少しずつ変わっていったその関係。甘酸っぱくほろ苦い彼らの繊細な三角関係が巧みな構図で描かれていて、彼女の想いが未来へと繋げてゆくほんのり切ない物語でした。

27.農村ガール! (メディアワークス文庫)

農村ガール! (メディアワークス文庫)

農村ガール! (メディアワークス文庫)

 

営業として月見食品に就職した華の勤務先は秋田の山奥にある営業所。赴任初日に熊に襲われた華が偶然職場の上司に救われ、仕事では思ってもみなかった獣害駆除を任されるお仕事小説。農村ガールというより契約農家のお仕事もお手伝いしつつ害獣駆除をお仕事とする展開はちょっと新鮮でしたけど、実際に猟銃を撃つとなると実際に従事するまでの手続きはいろいろ煩雑なんですね。最悪の出会いから始まった上司との関係の変化や、体育会系思考の都会人・華が手痛い失敗をしながらもそれを乗り越えて成長してゆく姿が描かれていてなかなか良かったです。

関連作品:「ななもりやま動物園の奇跡」(メディアワークス文庫)

28.成巌寺せんねん食堂 おいしい料理と食えないお坊さん (メディアワークス文庫)

長年勤めた小さな会社を退職した千束。実家からの電話で慌てて北陸の実家に戻った彼女が、名刹・成巌寺と実家の三百年以上続く精進料理屋「せんねん食堂」を巡る騒動に巻き込まれ、イケメン僧侶の幼馴染・清道&隆道兄弟と再会する物語。妥当な提案をろくに話すら聞かずにこじらせてゆく展開は田舎あるある話ですが、実家に居場所がなくなったと感じていた千束と、地域を盛り上げるために手を尽くす深謀遠慮な幼馴染・隆道もまたいろいろ複雑にこじらせていて、地域再興を二人で盛り上げていけるのか、二人の関係もどうなるのか続刊に期待ですね。

29.顔の見えない僕と嘘つきな君の恋 (講談社タイガ)

顔の見えない僕と嘘つきな君の恋 (講談社タイガ)

顔の見えない僕と嘘つきな君の恋 (講談社タイガ)

 

事故のために人の顔を識別できなくなった夏目達也。占い師に「君は運命の女性と出会う。ただし四回」と言われ、半信半疑だった彼がたびたび運命的な恋に巡り合う物語。人には言えない特殊な体質と家族を持ち人生を諦めかけていた達也が、閉塞感のある状況で運命的な出会いを果たした鈴木和花との出会いと別れ。そこから最悪な状況から逃れるため、葉子のために懸命にあがく達也が巡り合う運命の恋は思わぬところで繋がっていて、そこからさらに踏み込んでくる展開は大切な人を想う真摯な想いに溢れていて、とても著者さんらしい作品だと思いました。

30.異セカイ系 (講談社タイガ)

異セカイ系 (講談社タイガ)

異セカイ系 (講談社タイガ)

 

小説投稿サイトでトップ10にランクインし、「死にたい」と思うことで、自分の書いた小説世界に入れることに気がついた名倉編。自分が作った世界を守るため、投稿作家たちと試行錯誤してゆく物語。小説の中の世界とあちらの世界を行き来しながら、現実でも異世界でも全員が幸せになる方法を探そうとする編。作中の登場人物に対する愛があって、自らの意思を表明するようになってゆく作中人物もそんな作家に対する愛が溢れていて。だんだん訳がわからなくなりながらも、みんなで幸せになろうとする展開は予定調和でしたけどなかなか面白かったです。

31.死神憑きの浮世堂 (小学館文庫キャラブン!)

死神憑きの浮世堂 (小学館文庫キャラブン!)

死神憑きの浮世堂 (小学館文庫キャラブン!)

 

死神に殺された幼い弟を忘れられずにいる人形修理工房「浮世堂」を営む城戸利市。ある日、死神が顔見知りの少女を襲う現場に遭遇したことで、再び運命が動き出す物語。周囲が理不尽に死んだ弟の存在を忘れてゆく中でただ一人覚えていた利市。彼が運命に導かれたように大正時代に殺人を犯した華族のお嬢様や、死後に望まぬ形で生き返った死神の一族の少女との出会い。彼女たちが抱える過去も明らかになっていって、複雑な絡み合う状況にどう決着をつけるべきか、最後まで葛藤し続けた利市が迎えたいかにも彼らしい結末には救われるものがありました。現在2巻まで刊行。

32.僕の耳に響く君の小説 (小学館文庫キャラブン!)

僕の耳に響く君の小説 (小学館文庫キャラブン!)

僕の耳に響く君の小説 (小学館文庫キャラブン!)

 

27歳で死んでしまった女性作家の冬月朧。彼女と大学時代に文芸部の同期だった朔太郎が、ある日朧が死んだ日に会いたがっていたカフェに足を運んで、朧そっくりの少女と出会う物語。創作から遠ざかり公務員となっていた朔太郎が出会った朧そっくりの少女・光。大好きだった創作を通じて知り合い切磋琢磨するかけがえのない存在となりながらも、創作がもたらした残酷な結果によってすれ違ってしまう朔太郎と朧の関係は何とも切なかったですが、光と白い猫の存在をきっかけに再び紡がれゆく不器用で一途な二人の想いにはぐっと来るものがありました。

33.図書室の神様たち (小学館文庫キャラブン!)

図書室の神様たち (小学館文庫キャラブン!)

図書室の神様たち (小学館文庫キャラブン!)

 

とある本を探す女子高生の爽風が、学校の裏庭に建つ古い図書室で同じ学年らしいが全く顔を知らない生徒・笹木誠と出会い、様々なことが少しずつ変わってゆく青春小説。不仲の両親が頻繁に喧嘩し帰りたくない居心地の悪い家、無視されたままのクラスメイト、孤立するのに爽風と一線を引く親友、そして図書室でたびたび出会い重ねてゆく謎めいた誠とのやりとり。そこから見て見ぬふりを止め一歩を踏み出した爽風には逆風もありましたけど、それでも諦めずに手を伸ばして向き合おうとする彼女の頑張りが引き寄せた結末にはぐっと来るものがありました。

34.原之内菊子の憂鬱なインタビュー (小学館文庫キャラブン!)

崖っぷち編プロ「三巴企画」の戸部社長と桐谷が弁当屋で見出した原之内菊子。その顔を見た者は自分語りが止まらなくなってしまう特殊能力を活かして、インタビューとして働くお仕事小説。引き出される本音ダダ漏れのインタビューに悪戦苦闘しながらも可能性を感じる桐谷と、自らも苦悩しながらそこに居場所を見出してゆく菊子。苦い過去を積み重ねてきた彼女が特殊能力によってもたらされた事態の重さに逃げ出して、それでもそんな彼女が必要だと追いかけてきた二人や周囲の人たちに認められ、乗り越えてゆく優しい結末はなかなか良かったですね。

35.折紙堂来客帖 折り紙の思ひ出、紐解きます。 (富士見L文庫)

折紙堂来客帖 折り紙の思ひ出、紐解きます。 (富士見L文庫)

折紙堂来客帖 折り紙の思ひ出、紐解きます。 (富士見L文庫)

 

祖父と2人暮らしの高校生・漱也はあやかしの世との狭間「茜辺原」に迷い込んで青い瞳の少女・蒼生と出会い、彼女が店主としてあやかしと人の問題を解決する「折紙堂」で働き始める現代和風ファンタジー。先生が恩を感じる女性、入院していた少女に折紙を教えてくれた女性、おばあちゃんが持っていた鍵、そして迎えに来た漱也の母親の想い。お人好しな漱也が知人のために蒼生の力も借りて、折紙絡みの謎を解いていく展開はなかなか良かったですね。少しずつ漱也の過去も明らかになりましたが、蒼生はまだ謎も多くて続巻あるなら読んでみたいです。

36.華仙公主夜話 その麗人、後宮の闇を討つ (富士見L文庫)

華仙公主夜話 その麗人、後宮の闇を討つ (富士見L文庫)

華仙公主夜話 その麗人、後宮の闇を討つ (富士見L文庫)

 

仙人の力を借りて建国した伝説を持つ基照国。先帝の落とし胤と噂の酒楼の女主・明花のもとに、滅亡寸前の国と幼い次期皇帝・紫旗を守るため次期宰相の李伯慶が訪ねてくる中華ファンタジー。紫旗を取り巻く不穏な状況とそれを打開するために動く伯慶、可愛い紫旗を助けたいという思いからその誘いに乗る明花。テンポの良いストーリーに紫旗のためという利害の一致で相棒となった腕力頼み公主とケチな伯慶が、言い争いながらも相手のことを認め合うようになってゆくサッパリした関係もなかなか良かったですね。続刊あるようならまた読んでみたいです。

37.暁花薬殿物語 (富士見L文庫)

暁花薬殿物語 (富士見L文庫)

暁花薬殿物語 (富士見L文庫)

 

薬師を目指していたはずが代役で急遽入内することになってしまった暁下姫こと千古。大貴族出身4人の后候補が揃う宮廷でうまく抜け出すことばかり考えていた彼女が、帝と出会い少しずつ変わってゆく平安宮廷風ファンタジー。幼馴染や乳母たちと共に後宮入りすることになったお転婆で快活な千古が巻き起こす数々の騒動。宮廷内で味方もなく孤立する案外似た者同士だった帝との意外な出会い。そんな彼女が周囲に支えられつつらしさを発揮し、帝とも前向きに向き合うようになってゆく展開はなかなか良かったです。続巻あるならまた読んでみたいですね。

 

以上です。「一般文庫編」「単行本編」も何とか年内に更新したいと思います。