読書する日々と備忘録

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早川書房の国内作家作品オススメ26選

ライトノベル読者にもオススメ! 対象作約190点の小説が半額となる「国内作家セール」開催中!

https://www.hayakawabooks.com/n/nbd267fe219cf

現在、早川書房による上記企画がスタートし、主要電子書籍ストアで国内作家セールとして190点が50%OFF(半額)となっています(12月25日まで)

「基本読書」さんがさっそくオススメ記事を作られていましたが、見たら自分のオススメしたい本とはあまり被っていなかったので、自分の方でも記事を作ってみることにしました。今回セール対象作品としては17シリーズ、それと今回セール対象外でしたが、それ以外のオススメ9作品についてもついでにおまけで最後に掲載します。

 

【セール対象のオススメ17シリーズ】

1.「君を愛したひとりの僕へ 」「僕が愛したすべての君へ 」

どちらから読んで印象的な読後感が残る一緒に読みたい対になる2冊

 並行世界間が実証された世界。両親の離婚を経て父親と暮らす少年・日高暦が、父の勤務する虚質科学研究所で佐藤栞という少女に出会う物語。親同士が離婚した研究者という共通点から、共に過ごすうちにほのかな恋心を育んできた暦と栞。全てを一変させるきっかけとなった親同士の再婚話と二人を襲った悲劇。諦めきれずに彼女を取り戻すために生きることを決意した暦の執念は凄まじいと感じましたが、そんな彼に寄り添うように支え続けた同僚の研究者・和音の献身ぶりにも思うところが多かったです。同時刊行のどちらを先に読むのかは悩ましいですね。

 並行世界間が実証された世界。両親の離婚を経て母親と暮らす高崎暦が、地元の進学校で85番目の世界から移動してきたというクラスメイト・瀧川和音と出会う物語。入学時の因縁をきっかけに運命的な出会いを果たした、暦と和音の一見腐れ縁のようにも思える関係。同時刊行作品の出来事との関連性を織り交ぜつつ、並行世界が実在する世界ならではの問題に悩まされながらも、それを力を合わせて乗り越えてゆく二人はとても幸せだったんだろうなと思わせるものがありました。二つ読んで比べてみるといろいろ思うところが出てきてとても面白かったです。

2.花を追え――仕立屋・琥珀と着物の迷宮 (ハヤカワ文庫JA)

花を追え――仕立屋・琥珀と着物の迷宮 (ハヤカワ文庫JA)

花を追え――仕立屋・琥珀と着物の迷宮 (ハヤカワ文庫JA)

 

仙台の夏の夕暮れ。篠笛教室に通う着物が苦手な女子高生・八重はふとしたことから着流し姿の仕立屋・宝紀琥珀と出会い、着物にやたらと詳しい琥珀とともに着物にまつわる様々な謎に挑む着物ミステリ。着物を愛する有能な仕立屋・琥珀と女子高生・八重を結んだ5円の縁。モテモテな美青年なのに10歳も違う女子高生相手にその琥珀のプレゼントやアプローチはどうなの?と苦笑いもしましたが、事件を共に解決してゆく中で浮かんでくる琥珀と八重の過去は複雑に絡まっていて、二転三転するドキドキな展開を粋な感じにまとめてくれた素敵な物語ですね。現在3巻まで刊行。※セールは2巻まで

3.夏の王国で目覚めない (ハヤカワ文庫JA)

夏の王国で目覚めない (ハヤカワ文庫JA)

夏の王国で目覚めない (ハヤカワ文庫JA)

 

 再婚の父に新しい母と弟。私だけが家族になりきれていない女子高生の美咲。そんな彼女が熱中する作家・三島加深のミステリツアーに招待され、家を出て三日間のツアーに飛び込むひと夏のクローズドサークル。「謎を解けば加深の未発表作を贈る」と誘われて集まり、不可解な消失や死体でお互い疑心暗鬼になってゆく参加者たち。解き明かされてゆく謎は未発表作に込められた真意にも繋がっていて、彼らと共に過ごしたとても印象的なひと夏の体験が、きちんと今の自分と向き合ってそれぞれの新しい一歩を踏み出す勇気へと繋がってゆく素敵な物語でした。

4.プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

 

有機素子コンピュータによる会話プログラムの共同研究者を失い何も手につかなくなった南雲助教と、列車に轢かれて亡くなった元恋人の会話を再現しようとする学部生の佐伯衣理奈。そんな前に進めない二人が巡り合う連作短編集。会話プログラムとのやりとりを交えつつ繰り広げられる、共同研究者、契約社員、元恋人、そして南雲と衣理奈のエピソード。概念自体はやや難解でしたが、理系らしい合理思考と割り切れない情念のせめぎ合いの中で変化してゆく不器用な人間模様はとても優しくて、そんな彼らが迎えた結末はなかなか心に響くものがありました。

5.誰も死なないミステリーを君に (ハヤカワ文庫JA)

誰も死なないミステリーを君に (ハヤカワ文庫JA)

誰も死なないミステリーを君に (ハヤカワ文庫JA)

 

自殺、他殺、事故死など寿命以外の死が見える志緒と屋上で出会った佐藤。彼女が悲しまぬよう死を回避させる協力をするようになってゆく君とぼくの物語。親の所業によって居場所をなくしていたミステリ好きの佐藤が、志緒が気づいた死の予兆を誰も死なないミステリに変えるべく頭を働かせる展開で、やろうとしていることの宿命でミステリとしてはやや締まらない感もありましたが、解き明かされる墜死事件の謎と回収されてゆく伏線によってひとつの物語として再構成されて、悔やんでいたひとたちの救いに繋がってゆくとても優しい素敵な結末でした。

6.御社のデータが流出しています (ハヤカワ文庫JA)

企業の容易には解決できない表沙汰にできない危機的なセキュリティ問題。解決を依頼された82歳のセキュリティ・コンサルタント吹鳴寺籐子が、社内のネットワークを走査する連作ミステリ。個人情報漏洩や企業内情報漏洩、偽ウィルスソフト詐欺やCOBOLレガシーシステムといった昨今よくあるトラブルをテーマに、犯罪者たちのセキュリティの意外な穴を突いてくる手法や、それを合法非合法な手段で追い詰めてゆく籐子の攻防は意外な展開で面白かったです。まあ確かに企業は問題起きたからといって何でも公表してるわけではないですよね(遠い目)

7.裏世界ピクニック (ハヤカワ文庫JA)

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)

 

裏側で「くねくね」を目にして死にかけていた時、仁科鳥子と運命的な出会いを果たした女子大生の紙越空魚。危険と隣合わせで謎だらけの裏世界に二人で足を踏み入れる怪異探検サバイバル。研究とお金稼ぎを目的とする空魚と、姿を消した大切な人を探すために非日常へと足を踏み入れる鳥子。始まりと出会いはやや唐突にも思えましたが、成り行きから何となくコンビを組んだ感もあった二人に絆めいたものが生まれて、相手のために奔走する展開は悪くなかったですね。タイトルにあるようなピクニックとはとても言えない怖いテイストでしたが(苦笑)現在3巻まで刊行。※セールは2巻まで
8.そいねドリーマー

そいねドリーマー

そいねドリーマー

 

不眠症により眠ることができない女子高生・帆影沙耶が出会ったどんな相手でも眠らせられる金春ひつじ。先輩の藍染蘭に適性を見出された沙耶が〈スリープウォーカー〉として人の精神に取り憑く睡獣と戦う添い寝ドリームSFノベル。4人の仲間と睡獣狩りすすめていたはずが、いつの間にか暗雲漂うようになってゆく展開は、夢の中では恋人なのに現実ではぎくしゃくしているひつじとの眠れない/眠らせてしまう二人の不器用な関係性がポイントになっていて、ふわっとした雰囲気の物語はまさにそれを描くために作られたということなんでしょうね。

9.【θ/シータ】 11番ホームの妖精: 鏡仕掛けの乙女たち (ハヤカワ文庫JA)

鏡状門開発で世界が数時間で結ばれる鉄道網が実用化された時代。東京駅上空に浮かぶ幻の第11番ホームに勤務する少女TBの物語。11番ホームを訪れる人たちとTB、仲間の義経・AIを交えたやりとりを中心とした物語で構成されていますが、話の中で徐々に明らかになっていくTBの乗り越えた過去があり、その上で彼女の前向きな姿勢や行動を見ると、周囲の人がその人柄に感化されていくのも納得ですね。ベースとしては明るいテイストではないですけれど、最後は悪くない読後感のお話が多かったです。現在2巻まで刊行。
10.最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

 

会いに来る新世代のアイドルを描いた「最後にして最初のアイドル」ガチャに取り憑かれたフレンズたちが宇宙創世の真理へ驀進する「エヴォリューションがーるず」異能の声優たちが銀河を大暴れする「暗黒声優」の三編が収録された作品集。何か凄いらしい…とは聞いてましたが、オタクの心を掴むキーワードのはずが全く別の何かに成り果てていて、一方でSFとしては壮大なスケールの物語だったりで、そんなギャップがこの本を読む前提としてあるために、その強烈なインパクトをどう評価すればいいのかちょっとよく分からなくなった一冊でした(苦笑)
11.SF飯 宇宙港デルタ3の食料事 (ハヤカワ文庫JA)

 機械知性により過保護過ぎるほど守られた宇宙世界。中央星域の商家を勘当されたお人好しな若旦那マルスが、辺境の宇宙港でかつての奉公人・祖父の食堂〈このみ屋〉を再開させようと頑張る少女コノミと再会する物語。宇宙グルメを期待して読むと、計算され過ぎた調整食や厳しい辺境の食糧事情に面食らいますが、どんどん厄介事に巻き込まれてゆく若旦那に、バイタリティあふれるコノミや若旦那の妹、異星人まで絡むカオスな展開には勢いがあって、あれ?と思うようなところも散見されますが、荒削りながらもなかなか面白いものを読めたと思いました。現在2巻まで刊行。

12.ウェイプスウィード ヨルの惑星 (ハヤカワ文庫 JA セ 2-3)

ミドリムシの変異体・エルグレナが生態環境を支配し、海面上昇により地表の大半を水に覆われた25世紀の地球。その調査に宇宙コロニーからやってきた研究者ケンガセンが、島嶼部で暮らす巫女ヨルと出逢う近未来SF。彼女と出会い数奇な運命に巻き込まれてゆくケンガセン。SF的な設定や立ち位置でガラリと変わる倫理観や考え方なども興味深かったですが、研究バカだった彼が価値観の違いに戸惑いながら交渉したり政治に振り回されたりしながら、人類が迎える新たな局面と、そんな中で育まれてきた二人の絆を感じる結末はなかなか良かったですね。

13.星を墜とすボクに降る、ましろの雨 (ハヤカワ文庫JA)

星を墜とすボクに降る、ましろの雨 (ハヤカワ文庫JA)
 

人造の眼球と巨砲トニトゥルスで、地球圏に迫る星々を軌道庭園から撃ち墜とす子どもたちの一人である霧原。寡黙な担当整備工の神条の傍らにいることに満足していた彼女が、自らの無慈悲な宿命に直面する小さな恋の物語。突然現れた神条の元妻を名乗るハヤトの存在、そして空前の規模の流星群が飛来する中でようやく不器用な想いを自覚し、自分がどうあるべきか戸惑ってしまう霧原。最期までスナイパーであるべきか、気付いてしまった想いに向き合うべきか、心揺れた先にあった衝撃の結末でしたけど、これもまたひとつの愛の形なのかもしれませんね。

15.know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)

 

 電子葉の接続が義務付けられてるような高度情報化社会を舞台に、全ての情報を手に入れることができる少女知ルを恩師に託された連レルが、約束を果たすまでの四日間を共に過ごすお話。小説ではありますが「知っている」ということの定義が変わった世界で、では「知る」ということがどういうことか、文中で語られる考察はとても興味深く読めました。知ることを突き詰めていくと、最終的に死とは何かに行き着くというのはなるほどと思いましたが、最後の言葉から示唆されるように、この世界ではそれすらも乗り越えてしまったということなんでしょうね。

17.虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

 

母の死や仕事での悲惨な現場から、生死や意思、自由といったことを漠然と考えるアメリカ特殊部隊に所属する主人公が、後進地域での虐殺に関わる一人の男を追ううちに、その恋人に執着していくお話。この作品に描かれたグロテスクなテクノロジーの進歩は、何ら人類の悩みを解決するものではなく、文中に語られる思索もまた非常に興味深いものでしたが、赦しを与えてくれると思っていた存在を喪い、アメリカもまた虐殺が他人事ではなくなって、それでも淡々と生きていく主人公が非常に印象的でした。機会があったら他の作品も読んでみようと思います。

18.「リライト」「リビジョン」「リアクト」「リライブ」

まとめて読みたいシリーズ四部作

リライト (ハヤカワ文庫JA)

リライト (ハヤカワ文庫JA)

 

300年後の未来で見つけた本を探すために、タイムリープで現代にやってきた保彦を救うため、10年後の未来に跳ぶ女子高生美雪のボーイ・ミーツ・ガール。。。というような単純なお話ではありませんでした(苦笑)2002年の美雪視点と、1992年の過去視点が交互にあって、過去視点は登場人物が変わるのに、なぜか話が繋がって進行していて、どういうことなのか読んでいて頭がグルグルしました。膨大な時間と手間を掛けた壮大な辻褄合わせも、一人の復讐から破綻する。理解しながら読むのにちょっと時間かかりましたけど、面白かったです。

リビジョン (ハヤカワ文庫JA)

リビジョン (ハヤカワ文庫JA)

 

シリーズ第二弾。手鏡で未来を視ることのできる霞が、息子が死ぬ未来を視てしまい、その死を回避させようと改竄に挑むお話。霞が視た未来を元に回避しようとしても、結果的にあるべき姿に戻すべく、辻褄合わせであるべきものがなかったり、変わってしまう。過去や未来の自分との駆け引きも混乱に拍車を掛けていましたが、前作の保彦とヤスヒコの邂逅が決定的な齟齬を生じさせることに。ヤスヒコ誕生自体があってはならないような終わり方でしたが、結果的に生き残ったヤスヒコがどうなるか、どうやって先に繋げていくのか、ちょっと気になりました。

リアクト (ハヤカワ文庫JA)

リアクト (ハヤカワ文庫JA)

 

失踪した科学者を追うために3000年からきたタイムパトロールの少女ホタルと、義姉予定の坂口霞を認識できない穂足。2人のホタルとの話からリライトとリビジョンが発生した状況を推察した友恵が、保彦らの計画の杜撰さを見抜き、迷いながらも2人のホタルとともにリライトを成立させるべく動くというお話でした。視点が変わるとその意味合いも全く変わるんですね。複数の物語が同時進行し、発生した事象から状況検証したり、成立させる条件設定といった部分は相変わらず複雑でしたが、広げた話を最後どうまとめあげるのか期待したいと思います。

リライブ (ハヤカワ文庫JA)

リライブ (ハヤカワ文庫JA)

 

何度も同じ条件のもとで転生し続けてきた女・小霧。そんな彼女の結婚式にこれまでの関係者たちが招待されて行われた、祝辞に寄せた一連の出来事の謎解き。シリーズ完結。小霧が転生し続ける理由、どうやって一連の出来事が繋がっていくのか、一人の男が決着を付けるためになしてきたことを明かした一大解答編でした。ただでさえ難解だった各巻の話をまとめていくカオスな種明かしを読むと、自分がどこまで理解できたのかという新たな謎が生まれてしまいそうです(苦笑)これを読む時には既刊をさらっとおさらいしてから読むことをオススメします。

 


【おまけ】セール対象外のオススメの作品

今回セール対象外のオススメ作品についてもついでに挙げておきます。
1.黒豚姫の神隠し (ハヤカワ文庫JA)※セール対象外

黒豚姫の神隠し (ハヤカワ文庫JA)

黒豚姫の神隠し (ハヤカワ文庫JA)

 

黒豚の悪神伝説が言い伝えられている宇嘉見島。その古臭い慣習も閉鎖的な環境も大嫌いな中学生ヨナのクラスに、東京から美少女・波多野清子が転校してくるひと夏の異世界譚。清子の美声を聞いて彼女を主演に『オズの魔法使い』の映画を取りたいとアプローチするヨナ。そんな彼だけでなくクラスの皆からも距離を置く清子が隠す秘密。ヨナたちのお陰で本来の姿を見せるようになった清子はとてもいい子で、だからこそ明かされた真相には切ない気持ちにもなりましたけど、彼女が笑って過ごせるようになった結末にはとても心温かい気持ちになりました。

2.ノノノ・ワールドエンド (ハヤカワ文庫JA)※セール対象外

ノノノ・ワールドエンド (ハヤカワ文庫JA)

ノノノ・ワールドエンド (ハヤカワ文庫JA)

 

 暴力を振るう義父と受け入れるだけの母、いいことのない毎日が続き絶望する中学生ノノ。しかし突如白い霧に包まれた街から人々は消え、逃げ出した先で白衣の少女・加連と出会うガール・ミーツ・ガール。義父から逃げ出したノノと、現象に関わりながらとある目的のために組織から逃げ出してきた飛び級の天才少女・加連。偶然から出会った不器用な二人でしたけど、近づく終末を前にきちんと心残りを解決したい加連と行動を共にするうちに深まる絆と、お互いのためにという想いが感じられる切なく優しい物語でした。
3.イマジナリ・フレンド (ハヤカワ文庫JA)※セール対象外

イマジナリ・フレンド (ハヤカワ文庫JA)

イマジナリ・フレンド (ハヤカワ文庫JA)

 

リアルではぼっちでも空想の友達「イマジナリ・フレンド」の美少女・ノンノンと楽しい日々を過ごす大学生やまじ。現状に小さな不安を感じた彼女が、似たような人々が集まるカンパニーへと彼を誘う物語。カンパニーで二人が知ったイマジナリ・フレンドとの様々なありようと、大人になると別れを迎える空想の友達との関係。大学では相変わらずキモい行動で周囲から浮きがちなやまじにも、その関係を大切にしてくれる人たちができて、絶対に失いたくない関係を取り戻そうと奔走した結末には、これもまたひとつのありようだと思える納得感がありました。
4.火曜新聞クラブ―泉杜毬見台の探偵― (ハヤカワ文庫JA)※セール対象外

火曜新聞クラブ―泉杜毬見台の探偵― (ハヤカワ文庫JA)

火曜新聞クラブ―泉杜毬見台の探偵― (ハヤカワ文庫JA)

 

新聞クラブを立ち上げた高1の植里礼菜と幡東美鳥。創刊1面トップに「2階建て駐輪場が着工する」を据えたものの計画が頓挫し、記事の差し替えを迫られる状況で、遭遇した殺人事件を銀髪の男子高生・御簾真冬とともに解決するミステリ。ミス・マープルを意識した舞台設定になっているようで、まず動機ありきの推理はもう少し人の動かし方に妥当性が欲しかった箇所がありましたけど、校内で起きた数学講師殺人事件に挑むミステリアスな探偵役・御簾真冬にはなかなか存在感があって、新聞クラブと御簾の探偵ミステリをまた読んでみたいと思いました。
5.ヤキトリ (ハヤカワ文庫JA)※セール対象外

 地球人類は国籍の区別なく商連と呼ばれる異星の民の隷属階級に落ちた未来世界。閉塞した日本から抜け出すため、アキラは募兵官の調理師パプキンの誘いで商連の惑星機動歩兵―通称ヤキトリに志願する近未来ファンタジー。国籍も違う癖の強いメンバー四人と実験ユニットK-321に配属され、火星に向かうアキラ。その過程で嫌というほど思い知らされるヤキトリの過酷な待遇。どれだけ屈辱的な扱いを受けたり凹まされても反骨心を失わないアキラたちには凄いなと感心しきりでしたが、だからこそ見出した活路が変革の兆しになるか続巻に期待。現在2巻まで刊行。
6.楽園追放―Expelled from Paradise― (ハヤカワ文庫JA)※セール対象外

楽園追放―Expelled from Paradise― (ハヤカワ文庫JA)

楽園追放―Expelled from Paradise― (ハヤカワ文庫JA)

 

水島精二監督、虚淵玄脚本による映画の公式ノベライズ版。映画未視聴。人類の多くがデータとなって電脳世界ディーヴァで暮らしている世界。保安要員アンジェラが地球に降り立ち、地上捜査員ディンゴとともにハッキングを仕掛けてきたフロンティアセッターの謎を追う物語。映画に準拠した構成とのことですが、ビジュアルで見たら映えそうな描写が多く映画版が見てみたくなりますね。クリスティアンがアンジェラとの良い比較対象となっていて、ページ数が少ない割に物語をうまくまとめていると思いましたが、もう少しボリュームあっても良かったかも?
7.楽園追放2.0 楽園残響 ―Godspeed You― (ハヤカワ文庫JA)※セール対象外

捜査官アンジェラの助けで外宇宙に旅だったフロンティアセッターに対して、アンジェラ自身の複製体が下級市民の少年少女三人とともに追撃を命じられる公式続編小説。本人に成り代わることを目論みながら、徐々に保安局の判断に疑問を感じるようになっていくアンジェラの複製体。そしてジェネシスアーク号への移住を目論むユーリとライカ、ブラウンの三人の関係。持たざる彼女らが複雑な生々しい嫉妬や葛藤を抱えながらも助けるためにと奮闘し、それをアンジェラが助ける展開には盛り上がりましたね。スピンオフとしてなかなか楽しめた後日談でした。
8.血と霧1 常闇の王子 (ハヤカワ文庫JA)※セール対象外

血と霧1 常闇の王子 (ハヤカワ文庫JA)

血と霧1 常闇の王子 (ハヤカワ文庫JA)

 

血の価値を決める階級制度に支配された巻き貝状の都市国家ライコス。その最下層にある唯一の酒場『霧笛』で探索業を営むロイスのもとに、少年ルークの捜索依頼が持ち込まれる物語。いかにもいわくありげなルークの素性と依頼者たち。自身も複雑な過去を抱え、何だかんだ言いながらもルークのために奔走するロイス。下層特有のハードボイルドっぽい雰囲気ながらロイスを取り巻く人間関係はわりとウエットで、明らかになってゆく複雑な背後関係が面倒と分かっていても関わってゆくロイスの不器用さがとても好みでした。2巻まで刊行。

9.忘られのリメメント※セール対象外

忘られのリメメント

忘られのリメメント

 

擬憶素子「MEM」を額に張るだけで、他者の記憶を擬憶体験できるようになった近未来。「憶え手」である歌手・宵野深菜が、リギウス社CEOの迫間影巌から脱法MEMの調査を依頼されるSFサスペンス。調べてゆく上で浮かび上がる深菜の生い立ちに深く関わる稀代の殺人鬼・朝来野と模倣犯の存在、そして殺されてしまった同居人・三崎真白。記憶を追体験できるという技術を物語のベースに据え、虚実織り交ぜた体験をしながら朝来野の行方を追ううちに特異だった自らのありようとも向き合い、しっかりと決着をつける展開はなかなか良かったですね。

 

以上です。気になる本があったらぜひ読んでみて下さい。