読書する日々と備忘録

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2018年10月に読んだ本 #読書メーターより

 

10月はわりとコンスタントに読めて、コミックを除いても66冊とまずまずの冊数を読めましたが、それでもなぜか終わってみれば積読が増えていたとかいう謎の事態に頭を抱えています。新刊ない時期に積読消化しないとますます積み上がりそうです(いやほんと笑い事じゃないですね)

 

続巻を待っていたHJ文庫「常敗将軍、また敗れる」、ガガガ文庫「ピンポンラバー」、角川ホラー文庫の「ホーンテッド・キャンパス」など、どちらかというと追いかけている続巻が中心でしたが、今月もぐっとくる本が多くてなかなか充実していました。新作オススメはまた別途おすすめで紹介します。

 

10月の読書メーター
読んだ本の数:97
読んだページ数:25606
ナイス数:5342

女衒屋グエン (星海社FICTIONS)女衒屋グエン (星海社FICTIONS)感想
とある花街のとある一角。妓館『太白楼』を舞台に春をひさいで生きている妓女たちそれぞれの人生と、都から届いた一通の文が妓館の運命を揺るがしていく物語。ワケありの冴えない女買いの男・虞淵と下働きの醜い少女・翡を物語の軸に据えて、旦那に売られた女や、兄が科挙を受ける学費のために売られた少女たちのこれまでの人生と葛藤が描かれていて、たくましく生きてきた矜持を失わない彼女たちのありようと、これまでの流れを踏まえて虞淵と複雑な過去に繋がってゆく最後の展開にはぐっと来るものがありますね。一琳のその後の話も印象的でした。
読了日:10月31日 著者:日向 夏
毒舌少女のために帰宅部辞めました (角川スニーカー文庫)毒舌少女のために帰宅部辞めました (角川スニーカー文庫)感想
帰宅部生活を謳歌していた高校生・榊木彗が、美人教師の赤草先生から問題児・日羽アリナの毒舌を更生しろと命じられて放課後一緒に過ごす日々が始まる青春小説。毒舌で周囲を寄せ付けないアリナとそれをさらっと受け流す彗が、放課後に二人で一緒に彼女のコミュ力向上のため部活動や生徒会を手伝う日々。第一印象は最悪だった二人のやりとりが少しずつ変わってゆく中、アリナが密かに抱えている事情が明らかになる転機もあったりで、まだまだこれからな彼らの距離感がこれからどう変わってゆくのか、これは続巻に期待したくなる新シリーズですね。 
読了日:10月31日 著者:水埜 アテルイ
猫と狸と恋する歌舞伎町 (新潮文庫nex)猫と狸と恋する歌舞伎町 (新潮文庫nex)感想
男子大学生のふりをして気ままに生きるオスの三毛猫・谷中千歳は恋に落ちた。ドーナツ屋さんの女の子・愛宕椿に正体を明かせず悩む千歳が、実は彼女が歌舞伎町の任侠団体の組長の娘であることを知る青春小説。娘と別れさせた組長に衝撃的な事実を知らされて、嫌々ながらも仕事の依頼を引き受けた千歳が直面する何とも世知辛い現実。けれど複雑な思いを抱く千歳とは対照的に、椿は思っていたよりもずっと自分の幸せを追求することに貪欲でしたたかで、巻き込まれたけれどこれはこれで悪くないのかな?と思わなくもない結末に少し救われました(苦笑)
読了日:10月31日 著者:額賀 澪
常敗将軍、また敗れる 2 (HJ文庫)常敗将軍、また敗れる 2 (HJ文庫)感想
決して勝てなかった異母姉・リィスと再会したティナ。彼女やシャルナ、アイザッシュを付き従えて旅する常敗将軍ダーカスが、サウロン砦を巡るアイゼル王国の内紛に巻き込まれてゆく第二弾。未だ大きいリィスとの実力差に焦燥を募らせてゆくティナと、要衝サウロン砦防衛の傭兵として雇われたダーカスたち。今回はティナの因縁との決着もポイントでしたけど、思わぬ形で暗転するギリギリな状況の連続でも、最後まで諦めず最善を模索し続けるダーカスの戦いぶりには今回もぐっと来るものがあって、今度はどんな戦いが待っているのか次巻も楽しみです。
読了日:10月30日 著者:北条新九郎
ナイツ&マジック 9 (ヒーロー文庫)ナイツ&マジック 9 (ヒーロー文庫)感想
ボキューズ大森海での騒乱を終え、巨人族と共に王都に帰還した銀鳳騎士団。巨人族や第一次森伐遠征軍の末裔の存在によって王国も新たな時代へ踏み出してゆく第九弾。行方不明になったと思ったら、とんでもないものを持ち帰ってくるあたりエルのお騒がせっぷりは相変わらずですが、銀鳳騎士団が新体制に移行するのはなるべくしてなったというか、それにしてもあのエルがついに結婚しちゃいましたか。音沙汰なかったクシェペルカ組も新たな展開に向けていろいろ巻き込まれていたりで、これにエルが絡んだらまたひと騒動必至ですね(苦笑)続巻に期待。
読了日:10月30日 著者:天酒之瓢
レッドスワンの飛翔 赤羽高校サッカー部 (メディアワークス文庫)レッドスワンの飛翔 赤羽高校サッカー部 (メディアワークス文庫)感想
個性豊かな新一年生を加えインターハイ出場を目指して新戦術を浸透させていく舞原世怜奈。高校三年生になった高槻優雅は一時的にコーチの任から外れ、二年振りの公式戦復活を目指す第四弾。ここから年度も変わって新章開始で、三年生が抜けて個性の強い一年生たちが加わって、チームのバランスや課題もだいぶ変わった波乱含みのスタートでしたけど、さらに大会直前で思わぬ試練が発生するのがレッドスワンですよね。実質ワンタッチで強烈なインパクトを残して美味しいところを持っていく優雅は、本人に自覚がないからタチが悪い(苦笑)続巻も期待。
読了日:10月29日 著者:綾崎 隼
農村ガール! (メディアワークス文庫)農村ガール! (メディアワークス文庫)感想
営業として月見食品に就職した華の勤務先は秋田の山奥にある営業所。赴任初日に熊に襲われた華が偶然職場の上司に救われ、仕事では思ってもみなかった獣害駆除を任されるお仕事小説。農村ガールというより契約農家のお仕事もお手伝いしつつ害獣駆除をお仕事とする展開はちょっと新鮮でしたけど、実際に猟銃を撃つとなると実際に従事するまでの手続きはいろいろ煩雑なんですね。最悪の出会いから始まった上司との関係の変化や、体育会系思考の都会人・華が手痛い失敗をしながらもそれを乗り越えて成長してゆく姿が描かれていてなかなか良かったです。
読了日:10月29日 著者:上野 遊
契約結婚ってありですか2 結婚式は誰のもの? (富士見L文庫)契約結婚ってありですか2 結婚式は誰のもの? (富士見L文庫)感想
真面目で誠実な玲司に徐々に惹かれつつあった咲が契約結婚をして早数か月。そんな二人に玲司の義父が早急に結婚式をするよう勧めてくる第二弾。今度は玲司サイドの物語ということで、お互い少しずつ惹かれてゆく二人が直面した、一方的に意に染まない盛大な披露宴を勧めてくる玲司の義父の存在。これまでの長年の経緯もあってさらにこじれてもおかしくなかった父子関係でしたが、咲の前向きな姿勢がいい感じに作用して義両親との関係も二人の関係もだいぶ前進しましたね。いい感じにまとまった結婚式でしたけど続編あるならまた読んでみたいですね。
読了日:10月28日 著者:紅原 香
プリンセス刑事 (文春文庫)プリンセス刑事 (文春文庫)感想
女王が国を統べる日本というパラレルワールドを舞台に、王位継承権を持つキャリアとして着任した王女・日奈子が新人刑事とコンビを組んで「ヴァンパイア」の連続殺人事件に挑む警察小説。最初は一般人としての感覚や刑事としての経験に乏しい日奈子とコンビを組むことになって振り回されていた所轄の若手刑事・直斗が、彼女の事件解決に対する強い意志に感化されて協力するようになってゆく展開で、日奈子の強い信念と彼女を応援する多くの人に支えられながらの事件解決でしたけど、このコンビが活躍する物語の続きをまた読んでみたいと思いました。
読了日:10月28日 著者:喜多 喜久
真実は間取り図の中に 半間建築社の欠陥ファイル (角川文庫)真実は間取り図の中に 半間建築社の欠陥ファイル (角川文庫)感想
亡き父と同じ大工になった環奈がようやく就職した半間建築社。けれど建物に関する謎ばかりが持ち込まれ、建築士の半間とともに建物にまつわる謎を解き明かす建築ミステリ。謎の増改築を繰り返す老婦人、巨人の幽霊が出る旅館、古い公衆トイレを彼氏と言い張る女子高生、恩師の新居に込められた想いなど、欠陥案件というより建物絡みの謎といった印象で、最後で明らかになってゆく環奈父の過去と建築社設立の経緯を知って怠惰なだけに見えていた半間の印象は少し変わったものの、普段のぐうたら生活自体はこれからもあまり変わらなそうですね(苦笑)
読了日:10月27日 著者:皆藤 黒助
遊牧少女を花嫁に (PASH! ブックス)遊牧少女を花嫁に (PASH! ブックス)感想
借金代わりに叔父に売られそうになっていた羊飼いの少女・アユを救った調停者一族ユルドゥスの青年・リュザール。ワケありな彼女を見かねて一族の遊牧地に連れ帰って始まる二人の新婚物語。故郷で虐げられ何もかも失い希望を見出せなかったアユと、周囲の勘違いをきっかけに彼女を意識するようになってゆくリュザール。風習の違う環境で気遣ってくれる彼や家族に彼女も美味しい料理を振る舞って、お互い少しずつ絆を育んで想いを積み重ね大切な存在へと変わってゆく展開がとてもいいですね。二人がこれからどんな夫婦になってゆくのか続巻にも期待。
読了日:10月26日 著者:江本 マシメサ
理想の彼女と不健全なつきあい方 (ファミ通文庫)理想の彼女と不健全なつきあい方 (ファミ通文庫)感想
大学一年の春、幼馴染の春菜に誘われ郷土史研究会のコンパに参加した陸生。そこで出会った海音寺美優がネットで話題のコスプレイヤー「μ」であることに気付き、二人で秘密の契約を結ぶラブコメディ。趣味をひた隠す美優のためにサークル旅行中のイベント参加を陰ながらサポートしたり、活動に反対する彼女の姉を説得するべく奔走する中で育まれてゆく二人の信頼関係がいいですね。そんな二人の距離感にやきもきする春菜を絡めたラブコメ模様はメインではなかったのか、これからなのか気になるところですが、この続きをまた読みたいと思いました。 
読了日:10月26日 著者:瑞智士記
外資のオキテ (角川文庫)外資のオキテ (角川文庫)感想
英語を使う仕事に憧れて一念発起して会社を辞め、語学留学を決行した貴美子。帰国後直面する現実と、悪戦苦闘の転職活動の末に何とか決まった米系企業で外資での一歩を歩み始めるリアルお仕事成長物語。帰国してみれば外資系企業では語学留学は留学と認められない現実。キャリアアップを目指し派遣社員として外資系企業で働き始めた貴美子が経験してゆく様々な仕事には充実感も翻弄されることもあって、外資系に対する周囲のイメージとのギャップもあったりで、外資系企業の勤務が長い著者の経験を活かしたリアルな描写がとても印象的な一冊でした。
読了日:10月26日 著者:泉 ハナ
前略、初恋の彼女が生き返りました。 (メディアワークス文庫)前略、初恋の彼女が生き返りました。 (メディアワークス文庫)感想
大学三年生になった自分の前に突然現れた、高校生のときに交通事故で死んだはずの片思いの少女・皇カノン。やり残したことがあるという彼女とともに過ごす数日の同棲生活を描く青春小説。ようやく死を受け入れたばかりのタイミングで現れた片思いだった彼女と再会し、共に過ごすうちに変わってゆく心境。藤二とカノンの二人に宏が加わって、三人で一緒に過ごすようになった高校時代、少しずつ変わっていったその関係。甘酸っぱくほろ苦い彼らの繊細な三角関係が巧みな構図で描かれていて、彼女の想いが未来へと繋げてゆくほんのり切ない物語でした。
読了日:10月25日 著者:天沢 夏月
アオハル・ポイント (メディアワークス文庫)アオハル・ポイント (メディアワークス文庫)感想
頭を殴られてその人を評価するポイントが頭上に見えるようになってしまった高校生・青木。それをひた隠して無難に生きてきた彼が、クラスで浮いている少女・春日と出会って変わってゆく青春小説。憧れの成瀬との関係に自信を持てずにいる一方で、好きな人と釣り合う存在になるべく変わってゆく春日に対する認識が少しずつ確実に変わってゆく青木。不安で空回りしてしまう彼らの行動は痛々しくて、それでも理不尽な目に遭う大切な人のために一生懸命で、遠回りしながらも素直に向き合えるようになった等身大な彼らのありようはとても心に響きました。
読了日:10月25日 著者:佐野 徹夜
どらごんコンチェルト! 1 (オーバーラップ文庫)どらごんコンチェルト! 1 (オーバーラップ文庫)感想
コンクールで前代未聞の失敗を犯してしまい、失意の底で意識を失い異世界で目覚めた遊佐響也。そんな響也を助けたトランペットの演奏者の少女フィリーネのために、竜楽師試験に合格するために手助けをする異世界音楽ファンタジー。18世紀の神聖ローマ帝国っぽい、でもいろいろ細かいところが違う異世界。教会の妨害を受けながらも、才能に溢れるフィリーネとの出会いでお互い刺激し合い、支えてくれる少女たちもいたりで危機を乗り越え、自分らしさを取り戻してゆく展開はなかなか良かったですね。著者さんらしさ溢れる作品で続刊にも期待ですね。
読了日:10月25日 著者:遊歩新夢
神話伝説の英雄の異世界譚 11 (オーバーラップ文庫)神話伝説の英雄の異世界譚 11 (オーバーラップ文庫)感想
統一王を喪った六ツ国でついに対峙したリズと比呂。一方、グランツ北方を守護する精霊壁を化物の軍勢が襲撃、南方では「名無し」こと媛巫女ストライアが暗躍する窮地に、長く行方が知れずにいた女傑・ヴァイス大将軍がついに参陣する第十一弾。六ツ国を掌握すべく動き出したルシア、北方を守護する精霊壁の崩壊、南方の媛巫女ストライア、そしてレベリング王国のクラウディアと、様々な過去が明らかになる中で帝国を巡る状況はなかなか厳しいですけど、目指す方向は同じでも行く道が異なるリズと比呂の今後や、ヴァイス大将軍の活躍にも期待ですね。
読了日:10月24日 著者:
ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語 (角川ホラー文庫)ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語 (角川ホラー文庫)感想
こよみとベストカップルとして紹介された雑誌が話題になる中、森司が再会した苦い思い出を持つ中学時代の恩師。リア充なイベント花火大会でオカ研メンバーたちと百物語をする第十四弾。周囲も認めつつある絶好の機会なのに、挙動や妄想まで似た者同士な二人の何とももどかしい進展しそうでしない感w だけど百物語やミニチュア工作、能面などに絡む悪意の事件に巻き込まれる中、森司はきちんと筋を通したりピンチにはこよみをしっかり守るカッコよさがあって、今回の結末にも苦笑いなんですが、これはこれで二人らしい関係なのかなとも思えました。
読了日:10月24日 著者:櫛木 理宇
わが家は祇園の拝み屋さん9 星の導きと今昔の都 (角川文庫)わが家は祇園の拝み屋さん9 星の導きと今昔の都 (角川文庫)感想
関東本部から助っ人に呼ばれた澪人と一緒に、夏休みの間だけ東京の実家へ帰ることにした小春。一方、チーム『OGM』は和人をリーダー代理に立てて、京都の結界の挨拶回りをすることになる第九弾。今回は澪人と小春が東京へ、二人抜きのOGM+和人チームが京都で活動することになりましたけど、倒れた師匠が営む和菓子屋に戻った宗次朗や、澪人と小春、和人を加えたOGMチームの面々も奮闘する過程で、それぞれにいろいろな転機へ繋がる印象的な出来事があったりで、次巻以降でそれらがどんな形に変わってゆくのか新たな楽しみが増えましたね。
読了日:10月24日 著者:望月 麻衣
現実主義勇者の王国再建記VIII (オーバーラップ文庫)現実主義勇者の王国再建記VIII (オーバーラップ文庫)感想
大量発生した魔物が押し寄せる魔浪により窮地に陥った東方諸国連合。帝国の女皇マリアから東方諸国連合への援軍派遣要請を受けたソーマが、かつて公国から放逐されたロロアの兄でもあるユリウスと再会する第八弾。過去の因縁を乗り越えて始まったラスタニア王国救援作戦。ソーマを翻弄するやりたい放題なエクセルには苦笑いでしたけど、心境もすっかり変わったユリウスとの距離感や、后候補たちや臣下たちとのソーマの関係や周囲に生まれつつある関係もなかなかいい感じで、また別の国に向かう新展開では新たな出会いもありそうですね。続巻に期待。
読了日:10月23日 著者:どぜう丸
鍵のかかった部屋 5つの密室 (新潮文庫nex)鍵のかかった部屋 5つの密室 (新潮文庫nex)感想
本来ネタバレ厳禁の作中トリックを先に公開してミステリを書くという難題に、5人の犯人が鍵をかけて隠した5つの「秘密」を解き明かす競作アンソロジー似鳥鶏、友井羊、彩瀬まる、芦沢央、島田荘司が同じお題で特色あるミステリを展開してゆく連作短編集で、ミステリ研に提示された密室盗難、大叔母が遺した密室の謎、突然別れを告げた春の正体、薄着の女の密室トリック、サンタクロースの密室トリックと、著者さんたちの遊び心が感じられたり、解明された過去の思い出や真摯な想いにぐっと来たりする作品ばかりで十分に楽しむことができました。
読了日:10月23日 著者:似鳥 鶏,友井 羊,彩瀬 まる,芦沢 央,島田 荘司
僕は僕の書いた小説を知らない (双葉文庫)僕は僕の書いた小説を知らない (双葉文庫)感想
交通事故で一日ごとに記憶がリセットされ、新しいことを覚えられないという症状を抱えている小説家の岸本アキラ。そんな状況で不安と戦い葛藤しながら小説を書き進めるアキラの物語。毎朝自分が書いた引き継ぎを読みながら、試行錯誤して小説を書き続けるアキラとカフェで働く翼との出会い。サッパリした彼女とのやりとりが刺激になり書き上げていく小説に込められていった思い。まさかの急展開にはもどかしくなりましたけど、それでも諦めなかったアキラの挑戦と、失われていた間の出来事が次第に明らかになってゆく結末はとても良かったですね。 
読了日:10月23日 著者:喜友名 トト
友情だねって感動してよ友情だねって感動してよ感想
願いを叶えてくれる青木神社を軸に据えて三人の男女が紡ぐ崩壊と再生の軌跡を描く6つの連作短編集。三人の幼馴染の複雑な距離感、幼馴染の女の子が同級生をいじめる理由、巫女のバイトをする女子高生と友人を巡る三角関係、彼の言いなりだった彼女が惹かれた男、留年大学生と別れた彼女への思い、彼女と付き合い始めた彼が気になる同級生と、三角関係の優越感と卑屈な思いが入り交じる不安定な距離感が描かれていて、大切な存在を失いたくないという想いが生々しくて、切なくほろ苦いけれどそれだけでは終わらない読後感はなかなか良かったですね。
読了日:10月22日 著者:小嶋 陽太郎
はたらく魔王さま!19 (電撃文庫)はたらく魔王さま!19 (電撃文庫)感想
マグロナルドを辞め受験に専念する千穂のもとに掛かってきた鈴乃からの電話。異世界の危機に何も関与できない魔王はこのままでいいのか自問自答し、アシエスに謎の体調不良が発生する第十九弾。受験に手中できず悩む千穂でしたけど、切迫した状況がそれを許さなかったようで(苦笑)鈴乃の行動が真奥のヘタレっぷりを露呈させることになって、どうにもならない状況を打開すべく協力者を増やす策がこれまた斜め上で(あれで皆よく納得してくれましたよね…)、大一番に向けて一気に話が動いてきましたけど、千穂の存在感がまた大きくなりそうですね。
読了日:10月21日 著者:和ヶ原 聡司
デート・ア・ライブ アンコール8 (ファンタジア文庫)デート・ア・ライブ アンコール8 (ファンタジア文庫)感想
七罪との教師生活、圧政をしく黒十香との対決、編集長琴里と精霊作家たちとの校了作業、六喰との芸者遊び……ありえたかもしれない精霊の少女たちの可能性を描く外伝第八弾。今回はこうきたか的な変則的なシチュエーションで精霊たちに振り回される士道が描かれていましたが、いじられる七罪や暴走役の美九・折紙・二亜たちをうまくアクセントに使いつつの展開で、禁断の精霊<ドッペルシドー>士織まで再臨させるとは(苦笑)六喰や真那、狂三の可愛い一面もあったりで、こういう趣向のコメディ展開も精霊たちの魅力が活きてほんと楽しいですよね。
読了日:10月21日 著者:橘 公司
ゲーマーズ!11 ゲーマーズと初恋マルチエンド (ファンタジア文庫)ゲーマーズ!11 ゲーマーズと初恋マルチエンド (ファンタジア文庫)感想
まさかの強奪で頭が真っ白になってしまった三人。そこからの花憐、千秋、景太それぞれの葛藤と決心が描かれる第十一弾。決まりかけていた流れをいったんぶっ壊した千秋の決断でしたけど、そこから暴走して周囲も巻き込んで斜め上の決断に向かっていくあたりが花憐さんらしいというか、千秋も千秋でらしい見せ場があって、ラスボス役・真音さんの存在感をいろんな意味でうまく使いながら終わりに向かってゆく展開の中、ひとつひとつの想いの決着を丁寧に描いてゆきながら迎えた告白にはぐっと来るものがありました。次巻最高のラスト期待しています。
読了日:10月20日 著者:葵 せきな
威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)感想
その出自から瑞燕国で虐げられる尹族の少女・玉瑛。皇帝が発した「尹族国外追放」の勅命により屋敷を追われ命を失った彼女が、謀反を起こして虐げられる原因となった皇帝の愛妾・柳雪媛として目覚める中華幻想復讐譚。未来を変えるため柳雪媛として過去をやり直すことになった玉瑛と、その護衛役に任命された生真面目な若き武人・王青嘉の因縁の出会い。お互いの真意を知らずに反発し合っていたはずの二人がいつの間にか奇妙な縁で紡がれていって、二人だけにしか分からない何とも複雑な感情を育んでゆくこの主従の絆に期待したい新シリーズですね。
読了日:10月19日 著者:白洲 梓
また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)感想
小学校三年生の頃、遠い未来に時間を超えたことがある仙台の大学生・支倉爽太。未来で出会った年上の五鈴を忘れられずアルバイトに明け暮れる爽太が、過去から来た人にあったことがあるという八宮和希と出会うもうひとつの物語。前作から数年後の世界で、忘れられない人との再会を渇望する爽太と和希の出会いあって、彼と向かった采岐島で再会した面々が懐かしくて。ふとしたきっかけからたどり着いた意外な真実に、それでも覚悟を決めて向き合う爽太のひたむきな想いには心打たれるものがあって、諦めなかった彼らの今後を応援したくなりました。 
読了日:10月19日 著者:阿部 暁子
黒川さんに悪役は似合わない (ガガガ文庫)黒川さんに悪役は似合わない (ガガガ文庫)感想
規律か自由か。生徒会長候補2人の校則戦争になぜか巻き込まれた新入生・倫太郎。劣勢の黒川さんに状況を覆すべく悪役としてマッチポンプ役を依頼される学園ラブコメディ。うっかり悪役となることを承諾させられた倫太郎の奮闘と、なのにアドリブに弱くてマッチポンプが空振りに終わる黒川さん。そんな状況に倫太郎を心配する葉月や勘違いした赤峰たちを絡めてゆく展開で、真面目な倫太郎に悪役を演じさせる無理筋感が生徒会長選の行方やラブコメ的にもあまり報われていなくて、それを物語の軸に据えた難しさが最後まで響いてしまった印象でした。 
読了日:10月18日 著者:ハマ カズシ
ピンポンラバー (2) (ガガガ文庫)ピンポンラバー (2) (ガガガ文庫)感想
卓越学園ランキング一位の男・獅子堂煉が海外遠征から凱旋。その練習パートナーとしてなぜか沙月が選ばれ、複雑な想いを抱く瑠璃と翔星が卓球カフェで中国卓球界の新星「夢幻の天女」メイリンと出会う第二弾。弱くなったと強者から自分のありようを否定されて揺らいでしまった瑠璃の選択。メイリンたちによって仕組まれた対決に果たしてこれでいいのかと悩む翔星。今回も強敵を相手にボロボロになりながら、大切なもののために熱く戦う展開にはぐっと来るものがあって、そんないがみ合い認め合う二人の物語は今回も面白かったです。また続巻に期待。
読了日:10月18日 著者:谷山 走太
弱キャラ友崎くん Lv.6.5 (ガガガ文庫)弱キャラ友崎くん Lv.6.5 (ガガガ文庫)感想
中学時代の葵や菊池さんのエピソード、優鈴の恋バナとその後、そして周囲の変化を目の当たりにして自らを振り返るみみみの複雑な想いが綴られてゆく短編集第6.5弾。中学時代でもあんなんだったのかと驚かされる葵のエピや友崎との買い物テスト、菊池さんの中学時代にあった変化の兆し、優鈴のエピに加えてやや多めにページが割かれたみみみの変わってゆく意識と、いろいろ深い短編エピソードだなあと思って読んでいたら、破壊力あるラストで最後にキュンキュンさせられました(苦笑)先に繋がる短編の数々に否が応でも続巻の期待が高まります。 
読了日:10月17日 著者:屋久 ユウキ
Bの戦場 5 さいたま新都心ブライダル課の変革 (集英社オレンジ文庫)Bの戦場 5 さいたま新都心ブライダル課の変革 (集英社オレンジ文庫)感想
半分騙されたような形で、ついに久世課長と付き合うことになってしまった香澄。絶好調で距離を詰めてくる久世課長は戸惑う状況で、職場の状況ががどんどん変わってゆく第五弾。相変わらずな久世課長との関係は少しずつ前進する一方で、仕事は久世課長が奮闘したこともあって新たなチャレンジが次々と増えてゆくなかなか大変な展開でしたけど、状況が変わっても今の仕事の本質を見失わなかった香澄の奮闘ぶりが光りましたね。看病エピソードなどもあって戸惑ってはいても少しずつ課長とも向き合うようになって、変わってゆく二人の関係も楽しみです。
読了日:10月17日 著者:ゆきた 志旗
ウォルテニア戦記X (HJ NOVELS)ウォルテニア戦記X (HJ NOVELS)感想
御子柴亮真の働きによって、オルトメアと三王国連合軍との戦いは終結に向かい、亮真はザルーダ国王・ユリアヌス1世と有力なパイプを作りつつ、しばらくぶりにウォルテニア半島へと帰還を果たしたその後が描かれる第十弾。亮真の扱いに思い悩むローゼリア王国首脳陣だったり、浩一郎により明らかになってゆく組織の内幕だったりが明らかになった状況解説回でしたけど、ユリアヌスに示唆されて亮真もようやく組織の存在を認識したことが、今後の方針に少なからず影響していきそうですかね。飛鳥は全然登場していなかったですけど無事なんでしょうか。
読了日:10月17日 著者:保利亮太
櫻子さんの足下には死体が埋まっている キムンカムイの花嫁 (角川文庫)櫻子さんの足下には死体が埋まっている キムンカムイの花嫁 (角川文庫)感想
正太郎と櫻子さんたちはばあやさんの故郷であるぬかびら源泉郷に旅行に行くことに。しかし湖の近くで若い女性の遺体を見つけてしまう第十四弾。相変わらず出かけた先でお約束のように死体に遭遇してしまう二人には苦笑いですけど、その死の真相を追いながら、自分の将来を見据えてゆく中で彼女の存在の大きさを実感したりで、櫻子さんという特異な存在の危うさと、正太郎がいろいろこじらせている状況が改めて浮き彫りになった感がありますね。お互いの今後を気にかけてはいるものの、ここからどういう方向に向かうのか気になるところではあります。
読了日:10月17日 著者:太田 紫織
ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)感想
セミプロの舞台役者だった神坂隆一が、姉・京子の紹介で来る人の望みを叶える魔法のような店『ビストロ三軒亭』でギャルソンとして働くことになるグルメミステリ。奇妙な客の荷物と残した料理の謎、仲違いを解決した七面鳥の栗詰め、チーズたっぷりな試食会にやってきた三人の大食い魔女の事情、シェフが作れないキッシュに隠された秘密。若きオーナーシェフ・伊勢が作る料理はとても美味しそうで、隆一をサポートしながら悩めるお客様に真摯に寄り添う個性豊かな先輩ギャルソンたちがいて、隆一の成長も最後の話のその後もまた読んでみたいですね。
読了日:10月17日 著者:斎藤 千輪
さくら花店 毒物図鑑 夏の悪夢 (小学館文庫キャラブン!)さくら花店 毒物図鑑 夏の悪夢 (小学館文庫キャラブン!)感想
雪乃と同じ能力を持つ住み込みのバイト・ヒロも加わり、花たちの願いを受けて人助けをしている雪乃と、人嫌いでぶっきらぼう樹木医の将吾郎が植物にまつわる事件と心の闇を解き明かす第二弾。ストーカーじみた雪乃に根負けした将吾郎さんの過去エピソード、店員・茜さんのその後どうなったのかいろいろ想像してしまう意味深な過去話や、幼馴染を巡る姉妹のすれ違いがなかなか興味深い描写だったりもしましたが、周囲の変な大人たちに振り回されたり、不器用なのに無鉄砲に突っ込むヒロにはこれからもめげずに強く生きて欲しいと思いました(苦笑)
読了日:10月16日 著者:宮野 美嘉
マダラ: 死を呼ぶ悪魔のアプリ (集英社文庫)マダラ: 死を呼ぶ悪魔のアプリ (集英社文庫)感想
三人の大学生が互いに殺し合う不可解な事件から始まり、世界中に急速に拡散してゆく不可解な殺人事件や自殺の数々。その原因となった殺人アプリ「マダラ」が作られた経緯と、それを追う人々のことを綴る近未来サスペンス。人を殺さずにはいられなくなるアプリを開いてしまった人たちが引き起こす凄惨な事件と、アプリの存在に気付き対策を講じようとする人たちの奮闘と悲劇が描かれる物語でしたが、そう簡単には止められないアプリによって世界がすっかり変容しても、少しずつでも希望を見いだせる可能性を提示した結末には救われる思いがしました。
読了日:10月16日 著者:喜多 喜久
三度目の少女 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)三度目の少女 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)感想
原因不明のトラウマによって他者を否定できない大学生・関口藍が、ゼミの担当教授に前世の記憶を持つ中学一年生の伊藤杏寿を紹介され、彼女の記憶を巡る謎を追うミステリ。前世・前々世の記憶を持つ杏寿が、教授の紹介で藍と前世の木綿子の生家を訪れて直面した当主・昌一の毒殺事件。運命に導かれるように出会った彼らが疑問を解消しつつ真相に迫る展開は、昔殺された木綿子の事件の真相も追う関係上消去法寄りのアプローチになりましたが、意外な急展開によって過去から解き放たれて、事件を解き明かしてゆく杏寿らの推理はなかなか良かったです。
読了日:10月15日 著者:宮ヶ瀬 水
ペットシッターちいさなあしあとペットシッターちいさなあしあと感想
ペットの死の瞬間を正確に予知し、最期を看取る不思議なペットシッター「ちいさなあしあと」。岩手県盛岡市にあるこの特異な会社の社長・陽太の視点で描かれる「みとりし」のもうひとつの物語。動物の言葉が分かる薫と同様に、同じ事故に遭遇してにおいで生き物の死期が分かるようになってしまった陽太の難儀な人生。それはもう淡々としてしまうのも無理はないなと思いましたけど、そんな彼が天職を見出して、そこで薫と再会できたことでお互い救われる部分もいろいろあったんだろうなと感じられて、二人のその後がまた読んでみたいと思いました。 
読了日:10月15日 著者:髙森 美由紀
永遠についての証明永遠についての証明感想
特別推薦生として協和大学の数学科にやってきた瞭司と熊沢、そして佐那。眩いばかりの数学的才能で周囲の人生を変えていった瞭司の運命の出会いと失意、彼の遺した研究ノートから熊沢がその想いに再び向き合う物語。仲間と得た成果に希望を見出す瞭司と、突出した成果がそれぞれが別の道を選ぶきっかけとなってしまう皮肉。瞭司と仲間たちのすれ違いは残念でしたが、彼が遺した研究ノートに見出した可能性が、形は変わっても失われていなかったそれぞれの想いを再び繋げていって、それが新たな希望を紡いでゆく展開にはぐっと来るものがありました。
読了日:10月14日 著者:岩井 圭也
紅霞後宮物語 第零幕 三、二人の過誤 (富士見L文庫)紅霞後宮物語 第零幕 三、二人の過誤 (富士見L文庫)感想
異動、昇進、出征と目まぐるしく変化していく小玉の環境。さらに兄の死、初恋の人との再会もある中で、良好な関係になりつつあった小玉と文林に予想外の事故が起こる第零幕第三弾。帝姫の妥当な護衛役がいなかったとかでどんどん多忙になってゆく小玉と、上司と部下としてはいい関係になりつつあった文林の事故。タイミングが悪かったというか、当時の二人の性格からしてどうにもならなかったようにも思いますが、そもそも左遷の経緯からしてあれで文林からしたらますます拗らせちゃうよなあと納得のエピソードでした。小玉さんが男前すぎる(苦笑)
読了日:10月13日 著者:雪村花菜
かくりよの宿飯 九 あやかしお宿のお弁当をあなたに。 (富士見L文庫)かくりよの宿飯 九 あやかしお宿のお弁当をあなたに。 (富士見L文庫)感想
黄金童子に導かれ文門の地へ辿り着いた葵とついに再会した大旦那。二人が八葉夜行会までの束の間の時を共に過ごす間、大旦那が葵に過去を語ってゆく第九弾。葵にお弁当と引き換えに真実を一つずつ語ることを提案した大旦那。最後の戦いを前に大旦那と葵のらしい関係も垣間見えるほっと一息ついた雰囲気の中、反之介と羽多子との関係も絡めて描かれるエピソード。大旦那の生い立ちに加えて二人の過去も明かされたりで、見えかけていた答えを大旦那に伝えられない葵がもどかしかったですけど、だからこそ二人で何とか苦難を乗り越えてほしいですね。
読了日:10月12日 著者:友麻碧
京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)感想
東京のめまぐるしい生活に馴染めず祖母の暮らす京都・伏見の蓮見神社に引っ越してきた女子高生のひろ。幼馴染で造り酒屋の息子・拓己にも再会した彼女に不思議な声が届くあやかし物語。拓己や以前彼女と約束を交わした白蛇「シロ」に見守られながら、少しずつ新しい生活に馴染んでゆくひろ。「水神の加護」「小野小町の恋」「桃亭の恋模様」「雷神の子」と様々なあやかし絡みの事件に関わってゆく展開に、それにひろと拓己の繊細な距離感だったり、ひろを気にかけるシロの存在もいい感じに絡んでいて、続刊あるようなら是非また読んでみたいですね。
読了日:10月12日 著者:相川 真
ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?2~たまらなく愛おしく、とにかく尊い~ (GA文庫)ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?2~たまらなく愛おしく、とにかく尊い~ (GA文庫)感想
喧嘩したりドキドキしたりと12歳差というギャップにも負けず絆を深めていくモモと織原さん。そんなモモに隣のクラスの同級生・咲が告白する第二弾。初々しい学生みたいな二人の距離感とか、27歳とはとても思えないド天然ぶりが炸裂する姫爆弾に、新キャラ姫の姉・妃さんとか周囲がたびたび巻き込まれる展開にはもうニヤニヤしまくりですが、この組み合わせでは咲の告白みたいなのがあると年上彼女はいろいろ考えてしまうわけで、難しいあれこれにいろんな意味できちんと向き合うモモがカッコ良かったです。友人たちの恋模様も気になりますね。 
読了日:10月12日 著者:望 公太
辺境貴族、未来の歴史書で成り上がる ~イリスガルド興国記~ (GA文庫)辺境貴族、未来の歴史書で成り上がる ~イリスガルド興国記~ (GA文庫)感想
辺境の貧乏領地を治める若き領主アルトが偶然召還した刻の精霊クロノ。彼女と半強制的に契約を結び未来を書きかえることのできる歴史書を手に入れたアルトが、楽に暮らしたいという夢を叶えるため動き出す歴史ファンタジー。歴史書には書いても実現不可能なことは消えてしまう制約がある中、思いとは裏腹に様々な試行錯誤が必要な状況で着実な手を打てる才幹がアルトにあって、緊張感のある展開に幼馴染エレナや王女といったヒロインを絡めてゆくストーリーは面白かったです。ここからどこまで盛り上げていけるか今後に期待大の新シリーズですね。 
読了日:10月11日 著者:三門 鉄狼
ゴブリンスレイヤー8 (GA文庫)ゴブリンスレイヤー8 (GA文庫)感想
辺境の街のギルドにやってきた大司教・剣の乙女がゴブリンスレイヤーたち一党に王都までの護衛を依頼。一方、王都では霊峰に天より火石が落ちてきたことで、災厄の兆しが囁かれる第八弾。ゴブスレさんに会えてすっかりウキウキしている剣の乙女の姿が微笑ましかったですが、王妹の出来心から発生した事件は様々な想いや思惑が複雑に絡み合っていて、えらく大変な思いをしたはずなのにそれをゴブリン退治で終わらせてしまうゴブスレさんの大切に思っていることが垣間見えたり、女神官もまた思うところがあったりしたなかなか興味深いエピードでした。
読了日:10月11日 著者:蝸牛 くも
ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌2 (電撃文庫)ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌2 (電撃文庫)感想
ビブリアファイトを戦い抜いて部室廃止は免れ、新学年へと進級した響平とこぐち。新部員の早紀も加わるも相変わらずの日々を送る彼らが、聖桜女学園のお嬢様・天塚のどかたちとビブリアファイト三番勝負をすることになる第二弾。他校と対決という形で再び発生するビブリオファイト。いろいろな関わりが増えてゆく中ですれ違う不器用な二人をもどかしく感じたりもしましたが、試行錯誤しながらビブリオファイトで魅力的な本を紹介しつつ、熱い想いをぶつける響平の姿に青春だなあとしみじみ思いました(苦笑)篠川姉妹もいい感じに効いてましたね。
読了日:10月11日 著者:峰守 ひろかず
86―エイティシックス―Ep.5 ―死よ、驕るなかれ― (電撃文庫)86―エイティシックス―Ep.5 ―死よ、驕るなかれ― (電撃文庫)感想
シンが聴いた〈レギオン〉開発者・ゼレーネと思しき呼び声。レーナたち『第86機動打撃群』は白い斥候型が目撃されたというロア=グレキア連合王国へと向かい共闘する第五弾。連合王国もまた王族・ヴィーカ指揮の下なかなかアレな方法で戦っていて、それがエイティシックスたちのありようを彼らに突きつけることになる皮肉な展開でしたけど、そんな中でもヴィーカとレルヒェの関係には少しばかり救いを感じなくもなかったというか。周囲にはもはや公認状態な迷えるレーナさんの新装備には作家さんの熱い想いが感じられました(苦笑)続巻に期待。
読了日:10月10日 著者:安里 アサト
魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画(1) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画(1) (電撃文庫)感想
西暦二〇九四年の春。暗殺を生業とする少女・榛有希は、その現場を中学生・司波達也に目撃されてしまい、目撃者の彼を消そうと動き出すスピンオフ小説。よりよって見られたのが司波達也というのも相手が悪かったというか(苦笑)苦悩しながらも筋を通すことを諦めない有希と、そんな彼女の立ちはだかった達也を信奉するヤミこと黒羽文哉。裏の世界に生きる二人の邂逅と躍動感ある戦いの一方で、それぞれが垣間見せる年相応な一面もあって。だからこそ二人の対決が迎えた結末にはほっとさせられましたが、ここからどんな展開になるのか続巻も期待。 
読了日:10月10日 著者:佐島 勤
青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない (電撃文庫)青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない (電撃文庫)感想
三月に入って、三学期も残り1ヶ月。いよいよ迎えた麻衣の卒業式当日。七里ヶ浜の海岸で麻衣を待っていた咲太の目の前に、子役時代の麻衣にそっくりな小学生が現れる第二部第二弾。翔子さんとのことを乗り越えて、ついに花楓と向き合うことを決心した母親との感動の再会。そんな中で咲太が気づいてしまった残酷な現実と再び直面する思春期症候群。咲太に優しい理想の世界を提示されても、支えてくれる麻衣さんの存在があって、きちんと現実に向き合おうとする咲太がカッコ良かったです。それにしても大学生編に突入する次巻の展開が気になりますね。
読了日:10月10日 著者:鴨志田 一
茉莉花官吏伝 四 良禽、茘枝を択んで棲む (ビーズログ文庫)茉莉花官吏伝 四 良禽、茘枝を択んで棲む (ビーズログ文庫)感想
暁月の無理難題に見事応え宰相候補の海成との結婚という引き抜き計画に巻き込まれる茉莉花。戦を回避したい彼女は意見書を提出するものの、それに満足しない暁月に破り捨てられてしまう第四弾。内乱をいかに皆が納得する形で終わらせるかが問われた今回。迷いさえ払拭すれば実効性の高い策を次々と打ち、貪欲に最善の形で終結させてしまう彼女の活躍は確かに突き抜けていましたね。今回赤奏国編もいい感じにまとまりましたけど、相変わらず珀陽は茉莉花に思わせぶりなセリフすら言うのに、それでいてまたもや難題を突きつけますか。また続巻に期待。
読了日:10月09日 著者:石田 リンネ
茉莉花官吏伝 三 月下賢人、堂に垂せず (ビーズログ文庫)茉莉花官吏伝 三 月下賢人、堂に垂せず (ビーズログ文庫)感想
皇帝・珀陽に文官の高みを目指す宣言をした茉莉花。その決意を受け、珀陽が皇帝位を巡る内乱の危険性をいまだに残す赤奏国に赴任を命じる第三弾。茉莉花への期待の表れとはいえこれまた無茶振りするなあと思った今回の展開でしたけど、国が二分されて様々なものが足りない状況にある赤奏国で、今の彼女に足りないものが何なのか問われる中、結果オーライとはいえ随分とまた我が身を省みない無茶をしましたね(苦笑)海成とはなかなかいいコンビでしたけど、これだけ実力を見せれば暁月も手放したくなくなるのは当然で、ここからどうなるのかですね。
読了日:10月09日 著者:石田 リンネ
青少年のための小説入門 (単行本)青少年のための小説入門 (単行本)感想
中学2年だった一真が万引きを強要された現場でヤンキーの登と出会い、幼い頃から自由に読み書きができなかった彼と共に小説家を目指す青春小説。文字を読むのには苦労する登が一真に小説の朗読をしてもらって、彼が頭の中に湧き出すストーリーを一真が小説にする日々。そして一真が出会った少女・かすみとのほのかな恋。二人で多くの印象的な作品を読みながらコンビで小説家を目指すべく試行錯誤を続ける二人が、作家になってから少しずつ歯車が狂ってゆく展開はもどかしくて、けれどそんな彼らのままならない青春にはぐっと来るものがありました。
読了日:10月08日 著者:久保寺 健彦
とっておきのおやつ。: 5つのおやつアンソロジー (集英社オレンジ文庫)とっておきのおやつ。: 5つのおやつアンソロジー (集英社オレンジ文庫)感想
青木祐子「レンタルフレンド」、阿部暁子「たぬきとキツネと恋のたい焼き」、久賀理世「明日のおもひでフレンチトースト」、小湊悠貴「悪友と誓いのアラモード」、椹野道流「おじさんと俺」とおやつをテーマに5人の著者が綴る短編集。いずれも最近の著作は追いかけている作家さんたちですが、読んでみるとそれぞれの著者さんらしさがあって、でも久賀理世さんの現代ものは読んだのもしかして初めてでしたかね?父がいきなり脱サラしてたいやき屋を始めてしまった娘の悲哀と出会いを描いた「たぬきとキツネと恋のたい焼き」が個人的には好きでした。
読了日:10月08日 著者:青木 祐子,阿部 暁子,久賀 理世,小湊 悠貴,椹野 道流
マイ・フーリッシュ・ハート (河出文庫)マイ・フーリッシュ・ハート (河出文庫)感想
パワハラ&激務のせいで仕事中に倒れた広告代理店で働く25歳の井川優子。超変わり者の精神科医・小畑に振り回されたりと散々な彼女が、日本人初のメジャーリーガー・マッシー村上を巡る摩訶不思議なエピソードと出会う物語。周囲からこれでいいのかという状況を押し付けられるストレスに苦しめられていた優子。人生のどん底と思えるような最悪の状況から、マッシー村上のエピソードを知るうちにその心境も変わっていって、前向きに一歩を踏み出してゆく展開はなかなか良かったですね。巻末の村上雅則氏のインタビューもなかなか興味深かったです。
読了日:10月08日 著者:秦 建日子
桜花妃料理帖 二 (富士見L文庫)桜花妃料理帖 二 (富士見L文庫)感想
玉葉が宮廷料理人見習いとの二足の草鞋生活にも慣れてきた頃、宮廷の食料庫が荒らされる事件が発生。そこで国王・紫苑にそっくりな杜鵑に遭遇する第二弾。料理のために料理長の兄に師事したり鈍感な玉葉は相変わらず料理バカな感じでしたけど、一方で周囲の人たちを守ろうとしたり、有力豪族の藤従事官に保護されていた弟・杜鵑の存在に心揺れる紫苑のために頑張る姿もあって、そんな彼女に支えられて紫苑もまた国王らしい毅然とした姿を見せるようになったりで、なかなかいい感じになってきましたね。次で最終巻とのことですが楽しみにしています。
読了日:10月07日 著者:佐藤 三
氷室冴子: 没後10年記念特集 私たちが愛した永遠の青春小説作家 (文藝別冊)氷室冴子: 没後10年記念特集 私たちが愛した永遠の青春小説作家 (文藝別冊)感想
氷室冴子さんが亡くなられてから10年。過去インタビューや彼女の関係者たちの寄稿文などから様々な視点で明かされる氷室冴子特集。「なんて素敵にジャパネスク」や「海がきこえる」など、読書傾向に間違いなく多大な影響を与えた作品を書かれてきた氷室冴子さんは自分の中では間違いなく大きな存在で、皆さんの語られる彼女はわりと豪快で周囲に慕われる存在だったんですね。実際には著作数自体わりと少ないんだなというのはやや意外な感もありましたが、読んでいて何となくじんわりと来るものがあって、彼女の作品をまた読んでみたくなりました。
読了日:10月06日 著者:氷室冴子,新井素子,飯田晴子,伊藤亜由美,榎木洋子,榎村寛之,荻原規子,菊地秀行,木村朗子,久美沙織,近藤勝也,嵯峨景子,須賀しのぶ,菅原弘文,高殿円,田中二郎,俵万智,辻村深月,ひかわ玲子,藤田和子,堀井さや夏,三浦佑之,三村美衣,群ようこ,山内直実,柚木麻子,夢枕獏
君と放課後リスタート (文春文庫 せ 13-1)君と放課後リスタート (文春文庫 せ 13-1)感想
とある高校の「理想の三組」と呼ばれたクラスで、全員突然記憶喪失となる事態が発生。そんな状態で発生する謎に叉桜澄と九瀬永一の学級委員コンビが挑み解き明かしてゆく学園ミステリ。完全にリセットされた状態からスマホに残された情報などをもとに再構築されていく人間関係の機微があって、空気が読めない真っ直ぐな叉桜と彼女を危ういと感じつつも目が離せない九瀬の背景もまた複雑で、様々な人間模様を目の当たりにしてゆく二人の関係がどう変わってゆくか、そして未だ記憶喪失の原因も判明していなかったりで続刊が楽しみな新シリーズですね。
読了日:10月06日 著者:瀬川 コウ
お節介な放課後 (御出学園帰宅部の献身) (創元推理文庫)お節介な放課後 (御出学園帰宅部の献身) (創元推理文庫)感想
通学路で奉仕活動をするのが決まりになっている御出学園の帰宅部員。お人好しで周囲の人たちを助けて結束を強めてゆくB班の活躍に、帰宅部員・相川タツヤの視点も加わる第二弾。B班それぞれの個性もよりくっきり出てきて、周囲で起こる不思議なネットオークションやバレンタインイベントに甘くないチョコレート事件。仲間内にも友情や恋に絡めた複雑な想いがあって、事件を解明してゆくうちにほろ苦い事実が判明してもそれだけでは終わらなくて、また今回第三者的視点が入って二巻目にしてより面白くなってきたように感じました。続巻にも期待。 
読了日:10月05日 著者:阿藤 玲
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?6 (ファンタジア文庫)通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?6 (ファンタジア文庫)感想
ゴブリン討伐クエストではゴブリンに料理を、学園では、臨時教師としてお母さんの素晴らしさを教える頼れるお母さん・大好真々子が親子の悩みを解決する「お母さん屋」を開く第六弾。何というかお母さん愛で種族を問わず籠絡していく真々子さんの存在感に、ヒロイン役になるはずの女の子たちが霞んでしまう展開にはもはや苦笑いですが、ついにはNPCに恋するプレイヤーの結婚まで認められたり、真人に恋するNPCが出てきたり、その辺が今後の展開にどう影響してくるかですね。というか冒険を続けていて現実世界の方は問題出てこないんですかね。
読了日:10月04日 著者:井中 だちま
君の思い出が消えたとしても (宝島社文庫)君の思い出が消えたとしても (宝島社文庫)感想
理解されづらい持病を抱え、仕事もうまく行かず自暴自棄になりかけていた遠藤が出会う思い出コーディネーターの月尾。彼女と過ごす一ヶ月間が描かれる物語。月尾から指摘されるあと一ヶ月の寿命と、思い出を寿命に変えられるという話。そんな遠藤が彼女と共に過去の思い出の悔いを解消していったり、楽しい日々を過ごしていゆくなかでの心境の変化。だからこそ分かりやすい存在に思わせて、意外と謎めいた部分も多い彼女の正体や、抱える秘密が焦点になってゆく展開でしたが、思わぬ真実にもあくまで可能性を信じた二人が迎えた結末は印象的でした。
読了日:10月03日 著者:才羽 楽
太秦荘ダイアリー (双葉文庫)太秦荘ダイアリー (双葉文庫)感想
京都の高校に通う太秦萌、小野ミサ、松賀咲の3人の元に一通のハガキが届き、運命の再会を果たした3人が10年前に『太秦荘』で起きた"事件"の秘密に迫るミステリ。京都市交通局のキャラクターを小説化したもののようですが、お話としては十年ぶりに再会した彼女たちが、記憶を失うきっかけとなった太秦荘の離れの火事の真相を解き明かす展開で、今回は登場人物たちの魅力を描きながら紹介し、関係者たちそれぞれとの邂逅や、今後の展開に向けた布石がメインというところですかね。続巻も決まっているようなのでまた読んでみたいと思いました。 
読了日:10月03日 著者:望月 麻衣
俺はアリスを救わないことに決めた (講談社ラノベ文庫)俺はアリスを救わないことに決めた (講談社ラノベ文庫)感想
かつて孤独の淵で悪魔的魅力を持つ少女・有栖に救われ、遊び飽きたおもちゃのように捨てられた立川誠が、忘れられない彼女への複雑な想いに壊れてゆく物語。奔放で誠をいいように振り回し一方的に主導権を握る有栖との関係。彼女を憎み復讐を誓う一方で手に入らない彼女を渇望して壊れてゆく誠、そんな彼が出会った良くも悪くも正直で誠を諦めない少女・りる。どちらのヒロインもベクトルが違うだけで振り回されそうな予感しかしませんが、基本的にその三角関係が軸になりそうな展開の中、抗いがたい有栖との関係にどう決着をつけるのか続巻に期待。
読了日:10月02日 著者:清水 苺
白翼のポラリス2 (講談社ラノベ文庫)白翼のポラリス2 (講談社ラノベ文庫)感想
ヴェセル・バトー会戦終結の立役者となったスワローのシエルと王女のステラ。会戦時に垣間見た自走する船とボレアスの情報を集めるべく奔走する二人の元に、ボレアス軍人と名乗るシエルの父・アカーシャから依頼が届く第二弾。父の依頼に同行する整備士の幼馴染・ジニーに、父から託されたボレアスの王女・シュリ。ヴェセルも無関係ではいられないボアレスの政変に巻き込まれてゆく展開でしたが、つかの間の四人の交流がもたらしたそれぞれの想いと、自分の役割を自覚し難局をどうにか打開すべく立ち向かう彼らの姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:10月02日 著者:阿部 藍樹
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術11 (講談社ラノベ文庫)異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術11 (講談社ラノベ文庫)感想
とうとうリフェリア王と面会したディアヴロたち。南方を脅かす魔物退治を依頼され、獣人族と知り合いになったり、レムの故郷で彼女の叔母に出会ったりする第十一弾。何とも後ろめたい思いで指輪をすりかえるべく二人と再会したディアブロでしたけど、叔母さんとの一件もいろんな意味で危うかったりで、因果応報というかなるべくしてなった結末というか(苦笑)意外な才能を見せたレムの複雑な想いに、相変わらずコミュ障対応で向き合ったディアブロはそろそろ何とかしないと感もありますが、今回の対応で王国側との関係がやや難しくなりそうですね。
読了日:10月01日 著者:むらさき ゆきや
王とサーカス (創元推理文庫)王とサーカス (創元推理文庫)感想
新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智が、編集者から海外旅行特集の協力を頼まれて事前調査のためネパールに向かい、そこで国王をはじめとする王族殺害事件が勃発し巻き込まれてゆく物語。今回は取材先のネパールで非常事態に巻き込まれる状況で、混乱のさなかで関係者の死体に直面する万智。わりとスケールの大きな話になるのかと思ったら、同時期に起きた死を取り上げるか否か、というジャーナリズムの本質を迷える彼女自身が問われる展開で、ほろ苦い真実に対して自分なりに真摯に向き合おうとする彼女らしい決断がとても印象に残った結末でした。 
読了日:10月01日 著者:米澤 穂信