読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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1月に読んだ本 #読書メーターより

1月は正月休みに直後の三連休があって序盤はあまり読めなかったですが、終わってみればそれなりの冊数に。どうしても読みたい本が多くなると物理的に一度に全部読めるわけではないので難しいところではあります。久しぶりの続巻だった「ちどり亭にようこそ」を始め、続巻も安定して楽しめたシリーズが多かったです。新作はオススメで改めてということで。

 

1月の読書メーター
読んだ本の数:98
読んだページ数:25102
ナイス数:5633

拝啓、最果ての勇者様へ ~竜王の姫とめぐる旅~ (角川スニーカー文庫)拝啓、最果ての勇者様へ ~竜王の姫とめぐる旅~ (角川スニーカー文庫)感想
人と魔族の戦争が終結し四年。勇者になりそこなったポストマンのアルノスと人里で傷ついた竜王の娘エリヤが出会い、共に旅するトラベルファンタジー。くすぶった想いを抱えている最期の勇者候補と平和を夢見る魔族の少女。配達の旅で出会う魔族の孤児院を営む元勇者、エルフの騎士とオークの恋路といった様々な出会いと、絆を深めてお互いの存在が大きくなってゆく二人。人の魔族の融和という理想にすぐには変わらない現実がある一方で、これからの変化を信じたいと思う希望もあって、誰かのために奔走する二人の結末が印象に残る素敵な物語でした。
読了日:01月31日 著者:三萩 せんや
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)感想
5年片想いした上司の後藤さんにバッサリ振られたサラリーマンの吉田。ヤケ酒の帰り道に路上で家出女子高生・沙優を発見し、なし崩し的に同居生活が始まる日常ラブコメディ。自分を大切にしないことを叱る吉田の優しさに戸惑う沙優と、彼女の存在が自分の中で少しずつ大きくなってゆくことを自覚する吉田。そんな何事にも真摯に向き合う彼の変化が気になる後藤さんと後輩の三島柚葉。周囲に振り回されてはいても根幹はブレない、相手を大切にしようとする吉田のありようが素敵で、何とも複雑な関係ですが今後の展開がとても楽しみなシリーズですね。
読了日:01月31日 著者:しめさば
<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 6.<月世の会> (HJ文庫)<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 6.<月世の会> (HJ文庫)感想
大学始業を間近に控えて、思いっきり遊ぶことを決めたレイ。しかし【女教皇】扶桑月夜の退屈しのぎで王国最大の宗教クラン<月世の会>に拉致されてしまう第五弾。時間を持て余している人たちの感覚は独特だなあと苦笑いでしたけど、今回明らかになったスターリング兄弟のリアルな環境もまたいろんな意味で破格ですね。大学生活が早くも詰んでそうな状況で新たに出会ったお人がまた大物w しかもまた別の大物に目をつけられたりと、レイも何かの引き寄せ体質としか言いようがないというか。自らが抱える複雑な想いを自覚したネメシスの進化に期待。
読了日:01月31日 著者:海道左近
最強魔法師の隠遁計画 5 (HJ文庫)最強魔法師の隠遁計画 5 (HJ文庫)感想
各国の思惑を秘めた魔法師の雛が技を競う「親善魔法大会」がついに開幕。世界最強の正体を隠したまま、あくまで学生としてアルスが大会に参加する第五弾。事情があるとはいえ、1位が学内の予選会とか今更感もある展開には苦笑いでしたけど、事情を知るヒロイン・シエルが増えたり、アリスが新しい得物を手にしたりで始まった大会。ライバル視する存在が現れてもさすがに能力的には同年代で突出してそうな予感しかなくて、大会でのアルス無双よりはヒロインたちとのやりとりや各国を巡る事情辺りで面白くなるような要素を期待したいところですかね。
読了日:01月30日 著者:イズシロ
Re:ゼロから始める異世界生活 短編集3 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活 短編集3 (MF文庫J)感想
ロズワール邸を訪れる流浪の天才料理人を迎えたり、魔獣騒動事件の裏側でペトラの心が揺れ動いたり、屋敷の機能を維持するレムの忙しく幸福な時間や王選候補者たちの知られざる時間に迫った過去短編集第三弾。レムがまた眠りにつく前のスバルの女装姿、少しばかり(?)行きすぎな感もちょっとあったレムのストーカーじみた戦慄のスバルやラムに向けた愛情、そして王選候補のアナスタシア・プリシラの過去のエピソード。本編ほどの命を賭けるような戦いメインではなくて、過去エピソードとして振り返ると、それぞれなるほどなと感じる短編集でした。
読了日:01月30日 著者:長月 達平
Re:ゼロから始める異世界生活15 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活15 (MF文庫J)感想
ロズワール邸でついに激突するエルザとガーフィール。頼れる援軍に仇敵を任せ、時を同じくしてエミリアは『試練』に臨み、スバルはようやくベアトリスと、待ち望んだ再会の場面へ到達する第十五弾。それぞれの戦いに向き合うエミリアとスバル、彼らを支えて共に戦う仲間たち、そして閉じこもっていたベアトリスを心に響いたスバルの言葉。彼らのそれぞれのありように大きな転機を迎えることになった今回は、他陣営より出遅れ気味だった王選に向けた体制再構築という意味でも大きな一歩となりそうですね。まだまだ不穏の芽はありますけど今後に期待。
読了日:01月29日 著者:長月 達平
働き方の問題地図 ~「で、どこから変える?」旧態依然の職場の常識働き方の問題地図 ~「で、どこから変える?」旧態依然の職場の常識感想
急増する留学生、人手不足の問題、家族との関係、子育て、通勤といった今の働き方について問題提起をした一冊。これまでシリーズとしてなかなか興味深く読んできましたが、今回は働き方について、管理職のあり方や意識改革、労働時間にとらわれない評価制度、テレワークの推進などが提案されていました。ただ現状の問題点や考え方としてはなるほどと思ったものの、それから程遠いギャップがある現状でどうやっていけば導入できそうか、そのために何が必要なのか、もう少し具体的なアプローチがあると良かったかなと感じました。シリーズ続巻も期待。
読了日:01月29日 著者:沢渡 あまね,奥山 睦
「本を売る」という仕事: 書店を歩く「本を売る」という仕事: 書店を歩く感想
消え行く街の書店やそれを支えてきた中堅取次の破綻、店を畳んだ人の声や街の本屋の挑戦、新しい書店の形や震災で喪われた書店のその後をインタビューした一冊。利幅が少ない中での雑誌やコミックの落ち込み、大型書店出店といった難しい状況の中でどう現状と向き合うのか。現状はなかなか難しくてこれだという正解はないのかもしれないですが、取り組んでいる書店人の本を読者に届けたいという思いや、阿刀田高氏を館長に迎えた山梨県立図書館や初の市営書店である八戸BCといった試み、登場した書店の試行錯誤や創意工夫を感じられた内容でした。
読了日:01月28日 著者:長岡 義幸
雪があたたかいなんていままで知らなかった (オレンジ文庫)雪があたたかいなんていままで知らなかった (オレンジ文庫)感想
地元の名士の生まれながら、幽霊が見えることで周囲から孤立する澤村千尋の前に現れた赤いマフラーの幽霊少女。協力してくれたクラスメイトの岩木君やリンたちと共に、記憶を失っている彼女の過去を探し始める青春ミステリー。過去のトラウマから逡巡しながらも始まった身元捜索。それぞれ苦い過去が明らかになってゆく岩木とリン、そして本家の魔王的存在・従兄の義孝。その過程で少しずつ広がって変わってゆく周囲との関係と、いろいろ過去や事実が少しずつ繋がってゆく構成はとても上手くて、切ないけれどぐっと来るものがある素敵な物語でした。
読了日:01月27日 著者:美城 圭
春は冬の夢を見る (ファミ通文庫)春は冬の夢を見る (ファミ通文庫)感想
一日先を夢で体験できる能力を持ち、危機を回避しながら一人で生きてきた春先孝太郎。そんな彼が同級生・冬芽木実につきまとわれるようになり、回避できない彼女との距離がどんんどん縮まってゆく青春小説。頑なだった孝太郎の傍にいるのが当たり前になっていった木実と共有された秘密。それから不穏な状況に巻き込まれてゆく二人と明らかになってゆく過去の因縁、見えてくる悪意。大切な人と共にあるため、過去の呪縛を解消するために決然と立ち向かう姿はカッコ良かったのに、肝心なところでどこか締まらない二人の関係がとても素敵な物語でした。
読了日:01月26日 著者:中野雅博
チョコレート・セレブレーション (メディアワークス文庫)チョコレート・セレブレーション (メディアワークス文庫)感想
たくさんの誤解と混乱を招いたバレンタインからめでたく凶悪面の純情リーマン・龍生と付き合うことになった千紗。喧嘩もなく順調な交際で次第に龍生との結婚を意識する千紗が、なかなか進展しない状況にやきもきする第二弾。千紗の想いを信じきれない龍生に慎重論を説くちゃっかりした妹と意気投合したと思ったら、まさかの龍生・浮気疑惑が発覚。千紗の両親にご挨拶して、ウェディングドレスも試着したのにすれ違ってしまう不器用で臆病な二人の勘違い展開には苦笑いでしたけど、末永く幸せになって欲しいと思える素敵な結末でした。次回作も期待。
読了日:01月26日 著者:星奏 なつめ
ちどり亭にようこそ3 ~今朝もどこかでサンドイッチを~ (メディアワークス文庫)ちどり亭にようこそ3 ~今朝もどこかでサンドイッチを~ (メディアワークス文庫)感想
店主・花柚の幼馴染との結婚に、将来的にバイトの彗太が店を継ぎたいと申し出たことで、当面の閉店危機を乗り越えた仕出し弁当屋「ちどり亭」。その後の物語が描かれる第三弾。幼馴染・永谷さんやそのご両親とのエピソード、お店を継ぐと決意した彗太に新しくできた友人、そして失踪していた花柚の兄との再会。相変わらず凛とした可愛らしい花柚さんと美味しい料理の描写がいい感じですが、お兄さんの失踪はその後の状況を考えると周囲も一言物申したくなりますよね(苦笑)美津彦の真意や意外な一面が垣間見えた短編も良かったです。次回作も期待。
読了日:01月25日 著者:十三 湊
電脳格技メガフィストガールズ (ダッシュエックス文庫)電脳格技メガフィストガールズ (ダッシュエックス文庫)感想
学校に馴染めず授業をサボってゲーセンに入り浸っていた小野木が迷い込んだ立ち入り禁止の特別棟。学園中のあこがれの的であるお嬢様たちの「電脳格技研究会」で格闘ゲームにのめり込んでいく電脳格技青春小説。ゲーセンへ入り浸って目を付けられた彼の格ゲー好きの美少女たちに振り回される日々の始まり。安心の典型的杉井主人公にヒロイン、そして付き合わされるうちに変わっていく格闘ゲームへの思いと紡がれてゆく絆、そして大切な居場所を賭けた熱い戦いはなかなか良かったです。ヒロインたちとの関係はこれからですし、続巻あるといいですね。
読了日:01月25日 著者:杉井 光
わが家は祇園の拝み屋さん7 つながる想いと蛍火の誓い (角川文庫)わが家は祇園の拝み屋さん7 つながる想いと蛍火の誓い (角川文庫)感想
京都に張られた護りの結界の補強に向け、準備合宿をすることになった小春たち対策チーム。澪人たちは身近に怪しい影を感じめ結界を張り直しを急ぐ中、祈祷に臨む直前、和人の前に怪しい影が忍び寄る第七弾。自らの想いに向き合おうと覚悟を決めたことで戸惑いを払拭した小春と澪人。一回目の結界の張り直しで活性化したモノたちの蠢動。難局にチームだけでなくみんなで力を合わせて立ち向かう展開、いろいろなことがあるべきところに落ち着いた結末は上手くまとまったなと思いましたけど、物語としてはまだまだ続くようで安心しました。続巻も期待。
読了日:01月25日 著者:望月 麻衣
星を墜とすボクに降る、ましろの雨 (ハヤカワ文庫JA)星を墜とすボクに降る、ましろの雨 (ハヤカワ文庫JA)感想
人造の眼球と巨砲トニトゥルスで、地球圏に迫る星々を軌道庭園から撃ち墜とす子どもたちの一人である霧原。寡黙な担当整備工の神条の傍らにいることに満足していた彼女が、自らの無慈悲な宿命に直面する小さな恋の物語。突然現れた神条の元妻を名乗るハヤトの存在、そして空前の規模の流星群が飛来する中でようやく不器用な想いを自覚し、自分がどうあるべきか戸惑ってしまう霧原。最期までスナイパーであるべきか、気付いてしまった想いに向き合うべきか、心揺れた先にあった衝撃の結末でしたけど、これもまたひとつの愛の形なのかもしれませんね。
読了日:01月24日 著者:藍内 友紀
([こ]6-1)おとめの流儀。 (ポプラ文庫)([こ]6-1)おとめの流儀。 (ポプラ文庫)感想
中学1年生になったさと子が入部したのは、部員不足で廃部の危機にさらされたなぎなた部。何とか廃部を回避したさと子たちに部長の朝子さんから部の目標が「剣道部を倒す」であることを告げられる青春小説。最初はどうにも掴みどころのない朝子さんを筆頭に、同級生の仲間たちにも振り回されがちだったさと子。そして打倒目標に掲げられた剣道部員たちと朝子さんの因縁。部員たちはそれぞれに戦うための理由があって、思うようにいかないこともたくさんある中で、それでも向き合って何とか乗り越えようと奮闘する姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月24日 著者:小嶋 陽太郎
神話伝説の英雄の異世界譚 9 (オーバーラップ文庫)神話伝説の英雄の異世界譚 9 (オーバーラップ文庫)感想
度重なる戦火に焼かれ、六ツ国に支配されるに至った悲劇の地フェルゼン。喪われた王家唯一の生き残りスカアハは盟友であるリズと共にいよいよフェルゼン奪還に臨み、黒辰王も思惑から協力する第九弾。少しずつ変化しつつある黒辰王と周囲との関係や状況の変化と、フェルゼン奪還に参戦する者たちのそれぞれの決意。リズと黒辰王のそれぞれが思うところは離れてはいてもブレなくて、いろいろ影響が垣間見えてきた千年前の物語が今後のポイントになってきそうですが、密かに構築されてゆく関係が今後の展開にどう影響してくるのか続巻が楽しみですね。
読了日:01月23日 著者:
俺もおまえもちょろすぎないか (MF文庫J)俺もおまえもちょろすぎないか (MF文庫J)感想
少しでもいいと思ったらすぐに告白してしまう高校生星井出功成。そんな彼がどんなことでも真正面から受け止めてしまう真面目な中学生初鹿野つぶらと出会い、お付き合いすることになるラブコメ。いちいちきちんと向き合ってくれるつぶらにどんどん惚れてゆく功成と、彼の想いに戸惑いながらも応えようとするつぶら。それぞれの行動原理には理由があって、惹かれてゆくがゆえに向き合わざるをえない本質的な問題もあって、少し引っかかるところもありましたが、誠実に向き合う不器用な二人の甘い物語として見るとなかなかぐっと来るものがありました。
読了日:01月23日 著者:保住 圭
コバルト文庫40年カタログ コバルト文庫創刊40年公式記録コバルト文庫40年カタログ コバルト文庫創刊40年公式記録感想
構成としては佐藤愛子インタビュー、桑原水菜×今野緒雪若木未生×須賀しのぶ、日向章一郎×みずき健の対談、コバルト文庫40年史、作家別シリーズ紹介、歴代の受賞作家、読者サービスあれこれ、コバルト文庫全リストなど。彩流社の「コバルト文庫で辿る少女小説変遷史」とはまた違った切り口のアプローチで、刊行している集英社ならではの視点もあったり、コバルト以外で今も作家さんとして作品を発表している方も結構いるんですね。若木未生桑原水菜、日向章一郎あたりの世代は一番読んでいたので、巻頭の対談は読んでいて懐かしかったです。
読了日:01月23日 著者:烏兎沼 佳代
恋愛至上都市の双騎士 (ファンタジア文庫)恋愛至上都市の双騎士 (ファンタジア文庫)感想
魔王を倒した最強の双騎士・勇也と藍葉が任務で送り込まれた世界は、恋愛感情が生む力が強さに変わる『恋愛至上都市』。魔王討伐を期待される彼らは戦うためにやむなくイチャイチャに挑戦するバトルファンタジー。勇也の心にある魔族に殺された夕日先輩の存在。そんな勇也を知るからこそなかなか素直になれない藍葉の複雑な思い。シリアスな物語がベースにあるのに、イチャイチャを駆使する戦い方や突っ込まれ担当・華恋の存在もあったりででどうにもしまらないなと苦笑いでしたが、テンポ良く進む最後まで諦めない戦いぶりはなかなか良かったです。
読了日:01月22日 著者:篠宮 夕
皇華走狗伝 星無き少年と宿命の覇王 (宝島社文庫)皇華走狗伝 星無き少年と宿命の覇王 (宝島社文庫)感想
中華平原に名を馳せる強国・禍国。十八年前、「覇王」の宿星を持って生まれた皇子・戰と、人扱いされず書庫に引き篭もる少年・真が出会ったことで運命が変わってゆく中華ファンタジー。兵部尚書である父の側室腹として生まれたがゆえに戸籍を持たなかった真が、皇子・戰と出会ったことで得た転機。生い立ちが影響してか多くを望まず怠惰になりがちな真が、それでも戰のため、訳ありの幼き妻・薔姫のために智謀を活かして自らの奔走し窮地を打開していく展開は、登場人物たちもよく動いてテンポも良くなかなか面白かったです。続巻も期待しています。
読了日:01月22日 著者:喜多村 やすは
そして僕等の初恋に会いに行く (角川文庫)そして僕等の初恋に会いに行く (角川文庫)感想
社会人生活に疲れていた雄也に、突然かかってきた中学校時代の同級生からの電話。そこから文化祭で所在不明になっていた未完のプライベート映画を探し始め、過去の恋の告白や自身の青春と向き合ってゆく物語。好きな相手へ告白を撮影した甘酸っぱい恋の記憶。離れ離れになった友人たちのその後、そして大好きだったあの子の今…。歳月の経過という残酷な現実にはほろ苦さも伴いましたけど、向き合ったからこそ触れることができた様々な想いもあって、そんな経験を経た雄也が忘れられない大切なものを取り戻しに行く結末は心に響くものがありました。
読了日:01月22日 著者:西田 俊也
お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか (ファンタジア文庫)お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか (ファンタジア文庫)感想
街を守っている魔光少女が隣の席の庄川さんであることを知ってしまった平地くん。熱烈ファンの彼が超絶うっかりさんの彼女の正体がバレないよう奮闘することを決意するラブコメ。不器用なコミュ障な二人がお互い勘違いしたことから、なぜか始まってしまった二人のお付き合い(?)周囲も勘違いをこじらせながら二人のラブコメ展開を加速させていて、純情一途な庄川さんをフォローすべく奔走する平地くんの奮闘ぶりはカッコ良かったですが、劇的なのに決定的に噛み合っていない二人の関係がどうやって本物になっていくのか、続巻で読みたいですね。 
読了日:01月21日 著者:はむばね
ゲーマーズ!9 雨野景太と青春スキルリセット (ファンタジア文庫)ゲーマーズ!9 雨野景太と青春スキルリセット (ファンタジア文庫)感想
新年。クリスマスの一件を経て、これまで以上に互いを意識してしまう雨野と千秋。天道はこの恋愛レースに、期限を設定することを提案する第九弾。意識はしていても雨野の気持ちはハッキリしてるんだからそれでいいんじゃないの?とは思わなくもないけど、個々の思うところが語られるのは興味深いです。そういうところにまた劇薬が投入されるあたりがまた…雨野もずいぶん落ち着いてきたなあと思ってたけど、わりとこういう本筋とあんまり関係ないところで巻き込まれて無駄に自分でハードル上げちゃうあたりは相変わらずですね(苦笑)時間に期待。 
読了日:01月20日 著者:葵 せきな
鳥籠の家 (創元推理文庫)鳥籠の家 (創元推理文庫)感想
豪商天鵺家の跡継ぎ・鷹丸の遊び相手として迎え入れられた少女・茜。そこは謎めいたしきたりの数々、鳥女と呼ばれる守り神がいる奇妙な屋敷で、屋敷の背後の黒い森にいる怨霊と対峙することになる物語。鷹丸と仲良くなっていく茜と、天鵺家に固執する家族たちの奇妙な関係。鷹丸の乳母・静江の思惑と天鵺家の事情に巻き込まれてゆく茜。不気味なものや忌まわしい儀式が当たり前な天鵺家の雰囲気が、物語をダークな色合いの濃いものにしていますが、長らく続く一族を縛る負の鎖を断ち切るために茜と鷹丸が黒い森へ向かう展開はなかなか良かったです。
読了日:01月19日 著者:廣嶋 玲子
背中、押してやろうか?背中、押してやろうか?感想
一年近くも不登校を続けていた中学生・久佐井繭子の久しぶりの登校。それをきっかけに事故なのか分からない同級生の死、親友の不登校に連鎖するように突如一平へのいじめが始まる青春ミステリ。久しぶりの登校なのに周囲からいじめられても反応が薄い繭子。そんな彼女を不思議に思う一平に対し、裏サイトへのひとつの投稿から突如始まったいじめ。ままならない状況で不気味な連鎖を止められないまま、明らかになってゆく過去と終わらない絶望があって、本人も自覚がなかったその全ての始まりとされた些細なきっかけがもたらした結末に戦慄しました。
読了日:01月19日 著者:悠木 シュン
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員I」本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員I」感想
約二年間の眠りから目覚め、周囲の大きな変化に不安を感じるローゼマイン。しかし休む間もなく貴族になるための学校「貴族院」へ入学する第四部第一弾。状況把握とリハビリをこなしつつ入学のための準備と側近選び、そして貴族院への入学。領地の地位向上も期待されての学校生活は、本が読みたいだけで目立ちたいわけではないのに、結果的に周囲に印象づけてしまうあたりがマインらしいですね(苦笑)新たに選ばれた側近たちとのやりとりも興味深かったですけど、一方で従姉やら王子といった不穏な動きもあったりで続刊でどんな展開になるのか期待。
読了日:01月18日 著者:香月美夜
やがて恋するヴィヴィ・レイン 5 (ガガガ文庫)やがて恋するヴィヴィ・レイン 5 (ガガガ文庫)感想
フェニアを取り戻すためにすさまじい勢いで帝国へ向け進撃するルカ。「災厄の魔王」と呼ばれ世界そのものを敵に回すルカに、共和国の第二執政カミーユは反旗を翻すことを決断する第五弾。帝国との対決に向けて脇目も振らずに邁進するがゆえに敵が増えてゆくルカと、限られた生命を生きるアステル、そして諦めず自らの戦いを始めたファニア。ままならない状況に何とも切ないエピソード、そして迎えた必然の結末ではありましたけど、こういう期待を裏切らない匙加減が絶妙ですね。意外な正体の判明から物語も転機を迎えて、続巻が早く読みたいです。 
読了日:01月18日 著者:犬村 小六
アンティーク弁天堂の内緒話 (幻冬舎文庫)アンティーク弁天堂の内緒話 (幻冬舎文庫)感想
進学のため京都・下鴨神社近くの寮で暮らすことになった女子高生・紫乃。琵琶湖の弁財天から哲学の道にある骨董店・弁天堂へ行くよう促され、そこで不思議な力を持つ店長・洸介と出会う物語。弁天堂でアルバイトをすることになった紫乃が遭遇する清水焼の茶碗や茶の木人形、チャームブレスレットといった不思議な謎と、おばあちゃん譲りの力でそれを解くのんびりした風なのにわりと抜け目ない店長の洸介。謎を解き明かして込められた大切な思いを知り、意外に積極的な店長に対する想いも少しずつ変わってゆく紫乃の今後が楽しみですね。続巻に期待。
読了日:01月17日 著者:仲町 六絵
ウォルテニア戦記VIII (HJ NOVELS)ウォルテニア戦記VIII (HJ NOVELS)感想
終わりが見通せないままのオルトメア帝国軍と三王国連合軍の戦い。侵攻の勢いこそ止めたもののジリ貧の状況を打開すべく御子柴亮真が動き出す第八弾。三国の複雑な思惑をうまく汲み取った亮真の提案と、食えない北方の大国・エルネスグーラの女王グリンディエナとの交渉。今後にどう繋がってゆくのかとても気になる二人の邂逅でしたけど、苦境に陥った場数が違うエレナやエクレシアといった女傑たちを相手にすると、シャルディナもさすがに分が悪いですね(苦笑)近況が紹介された飛鳥ともそろそろ繋がりが出てくるのか、その辺りも続刊に期待です。
読了日:01月17日 著者:保利亮太
京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ (角川文庫)京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ (角川文庫)感想
京都大学の散歩サークルに加入し、謎解きが大好きな理系女子・青河に惹かれた新入生の遠近。彼女の好む謎を求めるうちに、謎を持つ人しかたどり着けないという不思議なバーのバーテンダー・蒼馬美希と出会う京都不思議ミステリ。四つ葉のクローバータクシー、鴨川の川床、京都水族館祇園祭と京都らしさに絡めた謎と、謎解きを助ける「三号館」とそこで語られるカクテルのうんちく、なかなか進展しない恋の行方。だんだん謎めいた美希さんに比重がシフトしたようにも思えた展開でしたけど、その後どうなったか気になるので続編に期待したいですね。
読了日:01月16日 著者:円居 挽
魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate (GA文庫)魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate (GA文庫)感想
英雄に選ばれなかった少年・ウィズと運命に振り回される少女・アローン。そんな二人が出会いアローンの護衛役として遠い彼女の故郷を目指すファンタジー。神から英雄として選ばれた幼馴染に力不足でついていけず離脱せざるをえなかったウィズと、秘密を抱え家族のもとに帰ろうとするアローン。お互いへの共感と自分が一緒にいることへのためらいでせめぎ合う不器用な二人が、それぞれ過酷な運命に直面しつつも逃げずに懸命に向き合う姿にはぐっと来るものがありました。覚悟を決めた英雄の裏で二人がどういう物語が紡いでゆくのか続巻に期待ですね。
読了日:01月16日 著者:西乃 リョウ
騙し絵の牙騙し絵の牙感想
大手出版社で雑誌編集長を務める速水。上司の相沢から自身の雑誌の廃刊を匂わされたことをきっかけに、組織の思惑に翻弄されながらも懸命に抗う物語。作中では出版業界の厳しい状況が端的に描かれていて、部下や上司に振り回され大規模リストラや社内他誌の廃刊に直面したり、さらには家庭不和まで顕在化して、どんどん追い詰められてゆく速水。一方で出版界の新たな可能性の模索もあって、絶望しか見えなかった先にあった思わぬ展開には驚かされましたが、一見輝ける未来を手にしたかに見えた彼が直面する何とも皮肉な結末がとても効いていました。
読了日:01月15日 著者:塩田 武士
宝石吐きのおんなのこ7~追憶に沈む学び舎~ (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)宝石吐きのおんなのこ7~追憶に沈む学び舎~ (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)感想
体験学校に参加するためにヴィーアルトン市を訪れたクリューがエルキュール宝石学校で新しい友人と出会い、一方スプートニクは臨時アルバイトと訪問者に振り回される新章第二弾。体験学校入学を勧めてくれたクルーロル宝石商会長夫妻との出会い。学校で出会った似たような境遇の友人リーエ、そして学校で垣間見える新しい可能性。クリューの将来の選択が気になる展開でしたけど、一方のスプートニクさんはどうにも災難続きで、意外な因縁から望まずとも魔法使いの物語に巻き込まれてゆくことになりそうですね。一体何が起こっているのか続巻に期待。
読了日:01月15日 著者:なみあと
RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴感想
深行視点で描かれる鳳城学園高等部入学前のエピソードなど3つの短編と、宗田真響の視点で描かれる冬休み明けに鈴原泉水子の変化に気付くその後の物語。完結してもう続編が読めないと思っていたのでとても楽しみでしたが、これまで泉水子視点だった物語が深行や真響の視点で描かれる展開は登場人物たちの印象も少し変わってなかなか新鮮でしたね。真響もまた泉水子とは違った意味で存在感のある女の子で、彼女の悩ましい現状に対する思いが繊細に綴られた今回のエピソードを読んで、またこの物語の続きを読んでみたいという思いを新たにしました。 
読了日:01月14日 著者:荻原 規子
おすすめ文庫王国2018おすすめ文庫王国2018感想
基本的に自分の読むものとは傾向が違うので、紹介されていた本の既読自体はわりと少なめ。ですが取り上げている本やそれが推されている理由にはなるほどなと思えるものが多くて、選者の方々の選考視点から書かれたレビューや「書店員匿名座談会」「目録読書のススメ」「解説書き方講座」といった企画読み物も面白くて、2017年を振り返りつつ押さえるべきところをうまく押さえているという点でとても興味深く読みました。こういうところのライトノベルのベストテンを読むとその定義についていろいろ考えてしまいますが、セレクト自体は納得です。
読了日:01月13日 著者: 
高2にタイムリープした俺が、当時好きだった先生に告った結果 (GA文庫)高2にタイムリープした俺が、当時好きだった先生に告った結果 (GA文庫)感想
アラサー社畜な日々を送っていた誠治がある朝目覚めると高2の春にタイムリープしていて、当時好きだった先生・柊木ちゃんに告白して見事付き合うことになるラブコメディ。中身はアラサーで意外と冷静な誠治とは対照的に、読んでいる読者の方がおいおい教師がそれで大丈夫なの?とつい心配したくなる、危機感が希薄で天然な柊木ちゃんの愛情表現。それにシスコンの妹らも絡めて次々と甘いエピソードが積み重ねられてゆく展開は糖分過多気味でしたが、タイムリープは確実に未来に影響を与えていて、それが始まった原因あたりも気になるところですね。
読了日:01月13日 著者:ケンノジ
りゅうおうのおしごと! 7 (GA文庫)りゅうおうのおしごと! 7 (GA文庫)感想
清滝一門の祝賀会で清滝師匠から叩きつけられた言葉に衝撃を受けた八一。昇級目指して破竹の進撃を続ける八一たちと、将棋への熱をも失いかけて降格危機にある清滝らそれぞれの戦いが描かれる第七弾。今回JSたちに負けじとぐいぐい前に出る...はずがいつのまにか攻め込まれているチョロイン銀子さんには驚かされましたが、それ以上に新旧対決で運命に抗うべく奮闘する清滝師匠や、八一に大切なことを教えてくれた蔵王九段たちの熱い戦いぶりとその何とも複雑な結末、一門の暖かな心の絆にはぐっと来るものがありました。続巻も期待しています。
読了日:01月12日 著者:白鳥 士郎
算額タイムトンネル (講談社タイガ)算額タイムトンネル (講談社タイガ)感想
数学にのめり込む女子高生・真鍋波瑠が手にした神社の宝物殿に眠る絵馬「算額」。幕末の和算を学ぶ者たちが奉納した算額に浮かび上がる和算の定理の謎から、謎の出題者との算法をめぐる往復書簡が始まる物語。算数オリンピック日本代表を目指すも不仲の両親や思わせぶりな先輩に振り回される波瑠と、動乱の幕末に和算を志す実明の算額を通じた交流。その繋がりはお互いの人生に少なからず影響を与えましたけど、波瑠が意外な形で迎えることになった新展開と、彼女に託された伝言を巡るあれこれがどういった意味を持つのか、続巻に期待したいですね。
読了日:01月12日 著者:向井 湘吾
ジンカン 宮内庁神祇鑑定人・九鬼隗一郎 (講談社タイガ)ジンカン 宮内庁神祇鑑定人・九鬼隗一郎 (講談社タイガ)感想
就職活動に失敗した夏芽勇作が出会った呪いを招く特殊文化財を専門とする、神祇鑑定人・九鬼隗一郎。相棒となった二人が奇怪な謎を解いてゆく物語。魔術に傾倒した詩人・イェイツの日本刀、キプロスの死の女神像、豊臣秀吉が愛した月の小面。多くを語らない謎めいた九鬼によって明かされてゆく勇作が隠していた秘密と、勇作の力を上手く使って問題を解決してゆく九鬼。魔術や曰くある骨董品を絡めたオカルティックな内容で、登場人物たちもまたミステリアスで存在感がありましたし、彼らの関係がどう変わってゆくのか、続巻に期待のシリーズですね。
読了日:01月11日 著者:三田 誠
アンハッピー・ウエディング 結婚の神様 (PHP文芸文庫)アンハッピー・ウエディング 結婚の神様 (PHP文芸文庫)感想
幼馴染の史郎を一方的に恋慕い、彼との結婚を夢見る会社員の咲希。そんな彼女が妹の紹介で結婚資金を稼ぐために副業で結婚式の「サクラ」のバイトとして働く物語。同じサクラの百合香とともに臨む憧れの結婚式場で次々と起こる略奪婚、歳の差婚、毒親といったワケアリ結婚式の数々。長年の片想いでずっと近くにいるのに、なかなか見えてこない史郎ことシロの本音。これでもかとばかりに結婚の現実が突きつけられて、頻発するトラブルからひとつの構図が見えてきて、それでも結婚に憧れる咲希の真っ直ぐな想いとその結末は心に響くものがありました。
読了日:01月11日 著者:櫛木 理宇
陰キャになりたい陽乃森さん Step2 (電撃文庫)陰キャになりたい陽乃森さん Step2 (電撃文庫)感想
陽乃森さんの変貌事件の解決後、「陰キャ部」に陽キャ化希望の波が到来。協力を拒否した鹿家野に対抗し、陽乃森理瀬が強力すぎる仲間を呼び寄せて陽キャ化を推進する第二弾。陽キャに憧れる後輩因幡と幼馴染透子と、彼女たちの陽キャ化に協力する六曜&庄司コンビ、それでいいのかと葛藤する鹿家野。六曜をげっそりさせた因幡の迷走には苦笑いでしたけど、一方で透子の変貌ぶりに対する鹿家野の困惑に関しては庄司さんに同感。変わるもの変わらないものがある中で、今回いろいろ思う所ありそうだった理瀬を絡めた今後の展開が気になるところですね。
読了日:01月11日 著者:岬 鷺宮
はたらく魔王さま!18 (電撃文庫)はたらく魔王さま!18 (電撃文庫)感想
マクドナルド幡ヶ谷駅前店がいろいろ転機を迎える一方で、新事実も発覚し天界の危機に対処する準備として、五大陸各国の調整に芦屋や鈴乃たちが奔走する第十八弾。いずれこういう時期が来るとは思っていた幡ヶ谷駅前店の変化でしたけど、並行していろいろな案件に対していろいろな分析や考察も行われていたりで、特に第三者的存在の梨香から見た現状の分析にはなるほどなと目からウロコでしたね。未来はまだわかないと感じながらもそれぞれが一歩を踏み出して、クライマックスへ向けてこれからどうなってゆくのかなーといろいろ気になる一冊でした。
読了日:01月10日 著者:和ヶ原 聡司
ゼロの戦術師 (電撃文庫)ゼロの戦術師 (電撃文庫)感想
突然人類に発現した刻印によって才能の優劣が決まる世界。特級戦術師の父の血を引きながら刻印を持たない軍学校の落ちこぼれ・エルヴィンが優秀な幼馴染・アーデルハイトと共に極秘任務に就くファンタジー。輝く白い髪の不思議な力を持つ少女ネージュとの運命的な出会いと、同じく彼女を求めるヴァルハラ帝国の思惑。様々な出会いと想いが交錯する中、追跡から逃れようとする三人の逃避行でエルヴィンの計略が冴え渡って、王都を守るため三人がそれぞれの形で奮闘する展開とその結末はなかなか良かったです。新展開になりそうな続巻にも期待ですね。
読了日:01月10日 著者:紺野 天龍
ストライク・ザ・ブラッド APPEND1 人形師の遺産 (電撃文庫)ストライク・ザ・ブラッド APPEND1 人形師の遺産 (電撃文庫)感想
古城に命を救われた人工生命実験体アスタルテ。が手に入れた第四真祖の魔力を狙い、彼女の生みの親である人形師ザカリーとその最高傑作である殺人人形スワニルダの脅威が動き出すシリーズ番外編。本編よりは少し前の時系列が舞台で、アスタルテを巡る人形師とスワニルダのエピソード、知らぬまま邂逅した那月ちゃんと煌坂の激突、そしてスワニルダ暴走を止めるため雪菜たち魔法少女に変装して戦う話など一連の短編が収録されていて、雪菜の意外な一面もいろいろ見れたりしてこれはこれでなかなか楽しかったです。番外編の続編もあるようなので期待。
読了日:01月10日 著者:三雲 岳斗
賭博師は祈らない(3) (電撃文庫)賭博師は祈らない(3) (電撃文庫)感想
負傷も癒えて、エディスとフィリーも道連れに賭博温泉街バースにやってきたラザルスとリーラ。そこで賭博を司る儀典長と副儀典長による熾烈な権力争いに巻き込まれてゆく第三弾。父に言いなりのジュリアナと奴隷のリーラ、リーラを助け出したラザルスに共感しウェブスターに挑むナッシュ。似て非なる対照的な構図があって、リーラに奴隷であることを強制しないと告げたことで、自らの今後を少しずつ模索し始めたリーラと、自分のありようの変化を自覚してしまったラザルスの関係や距離感が今後どのように変わるのか、俄然楽しみになってきましたね。
読了日:01月09日 著者:周藤 蓮
ビギナーズ・ドラッグビギナーズ・ドラッグ感想
中堅製薬会社で事務職を勤める水田恵輔が祖父が入居する老人ホームで出会った車椅子の女性・滝宮千夏。一目惚れした彼女が難病に侵されていることを知り、自らリーダーとなって新規創薬テーマ募集に応募する創薬小説。同期研究員・理沙を巻き込み準備を始めた恵輔の変化とその前に次々と立ちはだかる困難、進行する千夏の病魔。携わる研究員たちそれぞれにも抱える背景があって、前に進むために時には衝突も辞さず悩みながらも、そのひたむきな熱い気持ちが周囲を動かし創薬に向けた流れを作ってゆく展開とその結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:01月09日 著者:喜多 喜久
ツノハズ・ホーム賃貸二課におまかせをツノハズ・ホーム賃貸二課におまかせを感想
新宿に本社を構える不動産仲介業者ツノハズ・ホームを舞台に、営業成績が伸びない澤村と美人でトップセールスを誇る神崎くららがパートナーを組んで不動産絡みの問題を解決してゆくミステリ。お人好しで仕事を押し付けられてばかりの澤村と、そんな彼をうまく使いつつ二人が関わる物件や顧客のおかしな謎を解決してゆく神崎。ストーリーとしては不動産絡みの人と人との関わりがポイントになっていて、最初は一方的だった二人の関係が、澤村の成長によって少しずついい感じに変化してゆく展開はなかなか良かったです。今後が気になるので続編も期待。
読了日:01月07日 著者:内山 純
ずっとあなたが好きでした (文春文庫)ずっとあなたが好きでした (文春文庫)感想
バイト先の女子高生との淡い恋、転校してきた美少女へのときめき、年上劇団員との溺れるような日々、集団自殺の一歩手前で抱いた恋心、そして人生の夕暮れ時の穏やかな想いが綴られてゆく恋愛小説集。年齢や状況もバラバラな恋の行方と意外な結末。最初は普通の恋愛小説ではあまりない展開で新鮮だなあと思いつつ読んでましたが、途中から読んでいてうん?となって、だんだんその違和感に気づいて、最後でやられた!となりました。一気読みするには分厚いですが、その分手応えを感じた一冊で巻末の解説も必見。それにしても懲りてないな~(苦笑) 
読了日:01月06日 著者:歌野 晶午
身元不明 特殊殺人対策官 箱崎ひかり (講談社文庫)身元不明 特殊殺人対策官 箱崎ひかり (講談社文庫)感想
オリンピックで激変した東京湾岸での連続殺人事件と国を覆す陰謀。定年間近の無気力巡査部長・浦安圭吾に、若き異色のキャリア警視・箱崎ひかりとコンビを組む警察小説。東京湾岸地域の東京メトロ新線が新たな発展をもたらしている近未来のリアルな描写はとても興味深くて、そこに虚構を織り込んだ世界観は緻密であるがゆえにやや冗長な感は否めなかったですが、提示されたその可能性と難事件を解決するコンビの意外な結末はなかなか面白かったです。ここから繋がっているらしい「R.E.D」の世界にどう繋がってゆくのかちょっと気になりますね。
読了日:01月05日 著者:古野 まほろ
スケートボーイズ (実業之日本社文庫)スケートボーイズ (実業之日本社文庫)感想
一年ぶりに怪我から復帰し大学四年の全日本選手権を最後の舞台と定め、仲間と切磋琢磨の日々を送る伏見和馬。大学スポーツ新聞記者・井手将人は取材を通じ選手たちやスケートに魅せられていく青春小説。就職を目前にした難しい時期に、トップには届かない選手が決断した出遅れ気味な怪我からの復帰。かつての仲間やコーチ、家族に恋愛といった人間関係を絡めたシビアな現実があって、それでも向き合うべきものやそれを見守る人たちがいて、後悔のないようにやりきろうと奮闘する姿には、スポットライトが当たらなくてもぐっと来るものがありました。
読了日:01月03日 著者:碧野 圭
ヒトリコ (小学館文庫)ヒトリコ (小学館文庫)感想
小学5年生の時、金魚を殺した濡れ衣を着せられ、みんなには加わらない「ヒトリコ」として生きていく決心をした深作日都子。すっかり変わってしまった彼女の高校に、その事件のきっかけを作った冬希が入学してくる青春小説。好きだった日都子の変貌ぶりに心痛める明仁、そんな二人を見ていろいろ拗らせてゆく大都の関係。当事者たちにはどうにもならなくなっていたところで帰ってきた冬希の存在が少しずつ彼らの関係を変えてゆく展開は、これまで抱えてきたほろ苦い思いは容易には変わらなくても、乗り越えた先の未来を予感させる素敵な物語でした。
読了日:01月02日 著者:額賀 澪
(P[あ]8-4)君の嘘と、やさしい死神 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[あ]8-4)君の嘘と、やさしい死神 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
幼少期のトラウマで嫌だと言えず周囲にいいように使われていたモモこと百瀬太郎と同級生・美園玲の運命的な出会い。百瀬は強引に文化祭の準備を手伝わされる羽目になり、彼女の計画を実行するため一緒に奔走する青春小説。強情でやりたいことに向けひたすら突き進む不器用な美園の秘めた想い。そんな彼女を手伝ううちに少しずつつ変わってゆくモモのありよう。甘酸っぱい距離感が育まれつつあった二人の過酷な展開には切なくなりましたけど、向き合い続けた二人の思い出は記録に残さなかったからこそ鮮明で、その読後感は心に響くものがありました。
読了日:01月01日 著者:青谷 真未

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