読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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2017年下半期注目のオススメ新作ライトノベル恋愛・青春小説25選

年内最後のスニーカー文庫を待っていたのでこのタイミングになってしまいましたが、2017年下半期注目のオススメ新作企画の最後はライトノベル恋愛・青春小説編です。上半期でも気になる作品の多かったスニーカー文庫に加えファミ通文庫が復活、ラノベ文庫のらしい作品、電撃文庫やMF文庫Jあたりでもいい作品が出てくるようになってきました。来年も今年と同じくらいいい作品が出てくれることを期待します。

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

 

  人間関係に焦燥を募らせる優等生香衣。サッカー部のエースで香衣が気になる隆生。香衣に一目惚れした不良・龍輝。付かず離れずの距離で香衣の友人を演じるセリカ。それぞれの視点から綴られる出会いと別れの物語。中学時代一緒に勉強して同じ高校に合格したのに、いつの間にか距離ができてしまった香衣と隆生。その関係を起点に描かれてゆく読んでいる方がもどかしくなるような青春群像劇は、前作とはまたガラリと違う読みやすさと繊細さが感じられて、こういう作品も書けるのかとビックリしました。こういう王道の青春小説をまた読んでみたいです。

親しい君との見知らぬ記憶 (ファミ通文庫)

親しい君との見知らぬ記憶 (ファミ通文庫)

 

 見知らぬ少女たちと出会い共に過ごした夢の記憶。ごくありふれた高校生活を送っていた幸成が初めて訪れた場所にふと既視感を覚え、そこで彼と夢の記憶を共有する少女・優羽子と出会う物語。夢で起きた出来事を確かめ合い一緒に出かけるようになってゆく二人。全てが順調に思えていたある日、突然昏睡状況に陥ってしまう優羽子。そこから一つのメールをきっかけに動き出す展開は、二人が共有する夢の記憶の解明にも繋がっていて、二人が出会いの始まりは夢でも、そこから積み上げてきた思い出が再び歩み始めた彼らの力になってゆく素敵な物語でした。

人なき世界を、魔女と京都へ。 (ファミ通文庫)

人なき世界を、魔女と京都へ。 (ファミ通文庫)

 

 授業中のうたた寝から目を覚ますと、街にも家にも人が消えた世界に取り残されていた四条陸太郎。世界を元に戻すため、もう一人だけ残っていた「魔女」とあだ名される同級生の士道花織と二人、原付で京都に向かう短い旅の物語。不機嫌で周りに命令ばかりしている花織とオタクな陸太郎の二人旅。道中一緒に様々なことを経験し、お互いを理解するうちに少しずつ変わってゆく関係と、旅の終わりに明らかになった二人だけの世界の真実。劇的だったのに何ともしまらないその後には苦笑いでしたけど、相変わらずな二人らしい結末がとても素敵な物語でした。

キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った (ファミ通文庫)

キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った (ファミ通文庫)

 

  小学校時代の多重人格ごっこという二人だけの秘密を共有する一色華の実と高校で再会した、三人の人格を抱えて生きる市川櫻介。秘密を唯一知る彼女との再会が二人を変えてゆく青春小説。別人のように人気者になっていた彼女から再び持ちかけられた多重人格ごっこ。急速に距離を縮めていく二人のやりとりがとても甘酸っぱくて幸せそうなのに、時折垣間見えてしまう彼女の想い。再会した彼女が乗り越えてきたこれまでとその宿命には切なくなりましたが、だからこそ櫻介と彼女が幸せになってゆくこれからを読みたいと思いました。続巻期待しています。 

平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

 

 五年前にベンチャー企業社長である母を亡くした平浦一慶。残されたトランスジェンダーの姉、オタクで引き籠りの妹、コミュ障でフリーターの父とともに過ごす日々が描かれる青春小説。何でも自分でできてしまうがゆえに高校にもろくに通わず、アプリ開発に精を出す日々を送る一慶。過去の苦い経験から周囲に無関心でしたけど、誤解されて窮地に陥った時でも彼のことを気にかけてくれる人たちがいて、不器用な交流の中にもたくさん気づけたことがあって、彼だけでなく周囲もまたその影響を受けて成長してゆく展開は、とても心に響くものがありました。

白いしっぽと私の日常 (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)

白いしっぽと私の日常 (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)

 

 犬神筋に生まれながらも霊力の低い白瀬さんの側にいる、白いしっぽだけしか見えない白い犬神・雪尾。そんな彼女と雪尾、不思議なものが見える高階くんの日常を描いたショートストーリー集。雪尾に救ってもらったことがある年下の高階くんと、図書館で働く白瀬さんの白い犬神を通じた出会い。高階くんもそういう筋の人なのかな?気になってはいてもお友達の域を出ないもどかしい距離感があって、白瀬さんの初恋相手や姉妹との邂逅もあったりで、そんな二人の想いと犬神とのささやかなやりとりが素敵な物語でした。続巻出たらまた読んでみたいですね。

青春デバッガーと恋する妄想 #拡散中 (電撃文庫)

青春デバッガーと恋する妄想 #拡散中 (電撃文庫)

 

  ARの技術が進化したアキバ特区でオタクの歩夢が偶然出くわしたスクールカースト最上位の同級生衣更着アマタ。歩夢がアマタに近づいた時、特区のAR空間に重篤な異変が発生してしまう青春小説。特区のバグ解消のためもあってオタショップバイト仲間の腹黒ロリっ子瑠璃や金髪コスプレ女ノエルの悩みに一緒に向き合ってゆく歩夢に突きつけられた、アマタの意外な正体と自身の過去の苦い思い出。失敗を悔いていたからこそ今があって、特区や歩夢に救われた人たちがいて、悩める不器用な登場人物たちの成長とほのかな想いを応援したくなる物語でした。

幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

 

 幼い頃に約束を交わしながら疎遠になってしまった可愛い幼馴染の灯里。青春の呪いを掛けられた幼馴染を救うため平凡な喜一郎が一緒に数々の青春の試練に挑む青春ラブコメディ。くしゃみをすると一定期間ものに触れなくなる呪いを受けた灯里と、彼女のために気後れしていた経緯を乗り越え勇気を出した喜一郎。試練とはいってもやってることはただのバカップル体験で(苦笑)一緒に行動する中で積み重なってゆく想いと、過去の誤解と約束もうまく絡めていい感じに盛り上がってゆく展開はとても良かったです。最後の流れは続巻を期待していいですよね?

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き! (HJ文庫)

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き! (HJ文庫)

 

 高校入学から数ヶ月。長らく片思いをしていた幼馴染の杉崎小春に告白して見事玉砕した大貫悟郎。両思いなのに付き合えない、一途過ぎる少年と本当は彼のことが大好きな少女の青春大暴走ラブコメ。自宅に帰るといつもいて、一緒に過ごす時間も長いのになぜか告白を断り、あまつさえ彼女を作れとまで無茶振りする小春。いい感じにしか思えないのに付き合えない二人が再会した、もう一人の幼馴染という転機。大好きであるがゆえにすれ違ってしまった二人の想いが切な過ぎて、これはもう最後まで見届けるしかないじゃないですか。早めの続刊待ってます。

絶対彼女作らせるガール! (MF文庫J)

絶対彼女作らせるガール! (MF文庫J)

 

  目立たず冴えない自称幽霊の大地は、憧れの生徒会長・獅子神玲花の雑務を手伝うために生徒会室に通う日々。ある日偶然必勝の女神・白星絵馬の秘密に触れ、絵馬が大地の恋愛を全力応援し始める青春ラブコメ。絵馬に巻き込まれた彼女の友人・猪熊みりあと鷹見エレナに指導を受けて始まる大地のモテ改革。天然で暴走気味の絵馬が抱える秘密と、知ってしまった玲花の想い。いかにもありそうな揺れる心情を繊細に描きつつ、テンポが良く進む展開はぐいぐい読ませるパワーもあって、なかなか面白いラブコメになってきたと思いました。これは続巻に期待。 

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

 

 高校入学を機に「主役理論」を掲げ夢の一人暮らしを勝ち取った我喜屋未那。彼が隣に住むクラスメイトで、バイト先も趣味嗜好も同じなのに真逆の「脇役哲学」を掲げる少女・友利叶と遭遇する青春小説。運命的出会いなのに相容れない天敵な二人が部屋の壁を壊してしまったことで始まる疑似同棲生活。脇役哲学がややしっくり来なかった感はありますけど、暑苦しくてやる気が空回る未那とやる気がないデキる女なのに振り回される叶が繰り広げる、いがみ合いながらも息の合ったやり取りが楽しかったです。現在2巻まで刊行。

あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた (MF文庫J)

あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた (MF文庫J)

 

 美人で優等生だけど高圧的で毒舌の生徒会長・氷室涼葉。そんな彼女に想いを寄せる副会長・田島愛斗が、ある日彼女の本当の気持ちが聞こえるようになってしまう捻れ系青春ラブコメ。愛斗にダダ漏れになってしまう涼葉の毒舌に隠された可愛らしい本音。これは楽勝と思ったら両想いなのに涼葉のあまのじゃくっぷりは斜め上過ぎて、何でそうなるのかツッコミを入れたくなる悪循環の連続で、それでもブレなかった二人の想いと遠回りしながらも踏み出したその一歩に、深い安堵というか生温かく見守りたくなりました。続刊あるならまた読んでみたいですね。

僕と君だけに聖夜は来ない (角川スニーカー文庫)

僕と君だけに聖夜は来ない (角川スニーカー文庫)

 

 12月24日夜。高校生・理一は片想いの相手なつみから告白された直後に目の前で彼女が命を落とし、2日前に戻るループに閉じ込められてしまう物語。なつみを救おうと奔走するのに、その告白をトリガーに彼女を失い続ける絶望に打ちのめされてゆく理一。心を折られた彼の前に現れた謎の少女リンカが語るループの正体。終わらない悲劇の解消にはそれしか方法がなかったのか、つい考えてしまう残酷な結末でしたけど、それでも変わらないなつみへの想いを抱える理一がここから二人の未来にどう希望を見出してゆくのか、続巻に期待したいところですね。

ラノベ作家になりたくて震える。 (電撃文庫)

ラノベ作家になりたくて震える。 (電撃文庫)

 

  ラノベ作家志望の高校生・冬野藍介は自分の作品が何者かに盗作され新人賞を受賞したことを知る。ショックを受ける藍介がクラスメイトの睡蓮から衝撃的な告白を受け二人で続編を書き始める青春小説。元天才子役かつ幼馴染で苦手な存在の睡蓮。そんな彼女から告げられた受賞作の真実から始まった二人の続巻執筆作業。もやもやを抱えたままでは上手くいかないのは当然で、けれど失ってから初めて分かる想いもあって。すれ違う展開がどうにももどかしかったですが、乗り越えた二人がこれからどんな物語を紡いでいくのかまた続きを読みたいと思いました。

リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)

リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)

 

  覇権にこだわるオタクたちについていけず、リア充のやりとりもまた面倒くさいと感じてしまう中途半端な荒川亮太が、公園である事件に遭遇しいろいろ巻き込まれてゆく青春小説。いかにもリア充っぽいメグと、自らがかつて決別したオタ仲間の一人だと思っていた奈々子がそれぞれ抱える密かな想い。一見対極に思えるオタクとリア充を突き詰めてゆくと、避けられないのはそのどうにも面倒な窮屈さで、それでも居場所を大切にしたい彼女たちの切実な想いに応えてみせた亮太の解決法には苦笑いでしたが、こういうのもありかなと思えた興味深い物語でした。 

陰キャになりたい陽乃森さん Step1 (電撃文庫)

陰キャになりたい陽乃森さん Step1 (電撃文庫)

 

  圧倒的存在感で陽キャラの頂点に君臨する陽乃森さん。そんな彼女がとある事情から陰キャラの鹿家野たちに陰キャラになれるよう協力を依頼する青春ラブコメ。彼女の事情を知って意識や常識の違いに戸惑いつつも協力する鹿家野たちに突きつけられる、いい子だけど何をしても陽キャラ感がにじみ出てしまう陽乃森さんを変える無理ゲー感。それでも楽しそうなラブコメエピソードからの急展開には驚きましたけど、一緒に行動することでお互い大切なことを知り、そのために奔走する姿は良かったですね。最後まで破壊力あった陽乃森さんはやはり破格でしたw

嫌われエースの数奇な恋路 (電撃文庫)

嫌われエースの数奇な恋路 (電撃文庫)

 

  前年甲子園予選決勝まで残った結果、爆発的に増加した女子マネ志望者。決勝戦敗北のA級戦犯で今は男子マネとなった「嫌われエース」押井数奇と門前払いされる中で一人だけ残った強者・蓮尾凜が織りなす青春小説。難しい状況であえて男子マネとして部に残った数奇と、彼に因縁があるらしく何かと張り合う凜。少しずつ変わってゆく状況と諦めない不器用な数奇の頑張りがあるからこそ、ままならない現実にはもどかしい気持ちにもなりましたが、そこからの彼の頑張りと葛藤もまた青春の1ページで、これはこれで良かったのかなと思える青春物語でした。 

真面目系クズくんと、真面目にクズやってるクズちゃん #クズ活 (講談社ラノベ文庫)

真面目系クズくんと、真面目にクズやってるクズちゃん #クズ活 (講談社ラノベ文庫)

 

 クラスの立ち位置を気にする真面目系クズの八卜が、性格の悪い黒内に絶対見られたくない場面を見られ、それをネタに八卜の潜在的クズを開花させるべく一緒にクズ活することを強要される青春小説。二人がクズ活を続ける過程で関わってゆく聖人君子のような白庭さんと、幼馴染なのに学校では交流が断絶しているトップカーストの鈴堂。黒内によって次々と本性が暴かれてゆく一方、相反する複雑な想いや距離感に戸惑う心理描写は繊細で、らしさを自覚してゆく八卜と彼女たちの関係が描かれた今回も期待を裏切らない著者さんらしい怪作でした(褒め言葉) 

こんな僕が荒川さんに告白ろうなんて、おこがましくてできません。 (講談社ラノベ文庫)
 

  成績優秀だがクズを自認する浅井悠馬が偶然クラス演劇主役を演じることになり、幼馴染の明日香とともにクラスの中心に君臨する荒川唯のグループに巻き込まれてゆく青春ラブコメディ。行動をともにする機会が増えてゆく唯の見た目とは全然違う純真さとひたむきさ。少しずつ惹かれてゆく悠馬が知ってしまった唯のらしくない秘密。何ともほろ苦い気持ちを抱えながら、それでも彼女のために奮闘する悠馬の姿は心に響きましたが、だからといって頑張れば報われるとは限らないのが現実で、そんな迷える彼らの行く末を続巻でまた読んでみたいと思いました。 

二周目の僕は君と恋をする (ファミ通文庫)

二周目の僕は君と恋をする (ファミ通文庫)

 

  高三の夏に突如消失した片想いの相手・茉莉。辛い現実を受け止められないまま二十歳の誕生日を迎えた崇希が、消失を回避すべく二人が出会った二年前の春からやり直すタイムリープ青春小説。近くで眺めるだけだった過去を反省し、積極的に茉莉と距離を縮め真相に近づこうとする崇希。幸せな日々に時折訪れる不安な兆候の一方で、明らかになってゆく意外な過去。不安に揺れる二人の初々しい距離感はもどかしくて、容易には覆らない未来に難しさも感じましたけど、再会して絆を育んでいった今の二人ならきっとそれを乗り越えてくれると信じたいですね。

いつかのクリスマスの日、きみは時の果てに消えて (ファミ通文庫)

いつかのクリスマスの日、きみは時の果てに消えて (ファミ通文庫)

 

  五年前の大災害をきっかけに、不思議生物ニムエが体内に棲んでいる悠太。同じようにニムエを飼っていた同級生恵と出会い、二人で過去の大災厄回避と亡くなった恵の幼馴染・玖瑠美の救出を目指す物語。ニムエをきっかけに急速に距離を縮める二人の微笑ましい関係。ニムエを使い過去に戻る方法を発見して始まった計画の成果と思ってもみなかった大きな代償。それまでの展開を考えると悠太に突きつけられた運命の選択肢はあまりにも絶望的なものでしたけど、それでも諦めなかった彼らの機転と覚悟で乗り越え再構築されてゆく結末はとても良かったです。

語り部は悪魔と本を編む (ファミ通文庫)

語り部は悪魔と本を編む (ファミ通文庫)

 

  バイト先で素敵な女性絵美瑠と運命的に出会い交際することになった拾い上げ作家の中村雄一。しかも彼女が新担当編集であることが発覚、デビューを目指す二人の前に悪魔のような編集長が立ちはだかる恋と戦いの物語。作家と担当という立場の違いが生まれ、複雑になってゆく二人の関係。お互い乗り越えるべき課題を抱え、編集長に厳しい指摘を突きつけられ選択に苦悩する想像以上にビターな展開でしたが、だからこそすれ違いかけた二人が向き合いぶつかりあったことで見えてきた光明と、初々しさの残る二人の恋の行方にはぐっと来るものがありました。 

タイムシフト 君と見た海、君がいた空 (ダッシュエックス文庫)

タイムシフト 君と見た海、君がいた空 (ダッシュエックス文庫)

 

  壊れつつある世界で印象的な出会いを果たした少女・八神リノと、偶然同じ家に同居することになった少年・七尾レキ。彼らが世界の崩壊を食い止めるため立ち上がる青春SF小説。不具合が顕在化した世界でカムナギという異常体質に蝕まれているレキたち。それでも親友のユウキやアザミに妹ミナたちも交えた青春な日々を過ごす中で起きた事件。初々しいやり取りが甘酸っぱい不器用な二人が直面する真実と運命はどこまでも残酷で、絶望的な状況でも諦めなかった彼らの強い思いがどのような結末に繋がってゆくのか、続きをまた読んでみたいと思いました。

君との恋は、画面の中で (オーバーラップ文庫)

君との恋は、画面の中で (オーバーラップ文庫)

 

  過去のトラウマを抱える高校生・優弥がSNSだけで繋がりを持つ自称JKタカネさん。彼女とのやり取りを楽しみに日々生きていた優弥が、まさかのリアルで彼女と遭遇してしまう青春小説。コミュ障な優弥が友人の紹介で出会った可愛い高宮さん。タカネさんとリアルな高宮さんを同一視できず大混乱する優弥と、そんな彼相手に粘り強く頑張る高宮さんの間で育まれてゆく何とも複雑な関係。健気な高宮さんのエピソードが明らかになってゆくたびにもどかしさが募る展開でしたけど、遠回りしながらもあるべきところに落ち着いた結末にはホッとしました。  

君と夏と、約束と。 (GA文庫)

君と夏と、約束と。 (GA文庫)

 

 恋人になった直後に7年前に突如として消失した葉月。失意の日常を送りながら大学生になったヒナタ。そんな彼の元に消え去った当時のままの14歳の姿で突如彼女が出現する青春小説。同級生だった2人が7年間のズレを抱えて再会し、気持ちを通わせ合ううちに気づいてゆくお互いの「昔の記憶」の差異。ヒナタを慕うバイト先の訳あり後輩少女・喜野も交えた三人の距離感は何とも複雑で、それぞれの決意には新たな未来も予感させましたけど、だからこそ物語が結末を迎えたと思った後にさらっと提示されたエピローグには、少しばかり驚かされました。

 

  上半期のまとめ記事はこちら↓

2017年下半期オススメ企画