読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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好みは分かれそうだけど自分は好きなラノベ恋愛小説18選

自分はオススメ本を紹介しようと考えた時、基本的な考え方としてこれだと自信を持ってオススメできる本をセレクトすることが多いんですが、一方で評価かがわりと割れていたり反応が芳しくなかったタイトルは、どうしても好みが分かれそうなので何となく外してしまうことが多いです。

 

そこで今回はライトノベル恋愛小説のうち、そんな評価が割れたり、あまり反応がなかった中でも自分がいいなと思っていたタイトルを中心に18点選びました。一部これは恋愛小説?と思うものも含まれていますが、こういう時にでも入れないとたぶん紹介する機会がないと思ってあえて入れたものなので、その辺は人間関係の機微を楽しむ物語と思って読んでいただければ幸いです。

視ル視ルうちに好きになる (電撃文庫)

視ル視ルうちに好きになる (電撃文庫)

 

 「未来」が視える早苗と「生命」が視える洋平。二人が少し変わった運命の出会いを果たし、相談者の事件を解決していくお話。辛かった過去を乗り越えて未来と向きあおうとしている早苗と、そんな早苗を大切に思っている洋平には、困難にもお互いを信じられる関係があって、あんなにも近いのに埋められない距離があって。それでも洋平への想いを迷わない早苗の強さと、応えようとする洋平の切ない関係が、あまりにも自分の好みにどストライク過ぎてとても素晴らしかったです。

このラブリードールは俺の妹ですか? (電撃文庫)

このラブリードールは俺の妹ですか? (電撃文庫)

 

 複雑な家庭環境もあって引きこもり気味になり、妹みさらへの恋心をひた隠しにしながら二人でゲーム三昧の生活を送っていた高校生杳一郎が、逃走した兄の代わりに映画製作に巻き込まれていく物語。映画に使用する妹そっくりの人形や個性的なキャラは登場しますが、お話自体はわりとまっすぐな青春モノで、現実逃避気味だった杳一郎がトラブル続きの映画製作や、きちんと話し合えないまま関係者のアプローチを受けているらしい妹への想いに逡巡しながらも、周囲の後押しも得てきちんと向き合っていく姿勢には好感。読後感の爽やかなストーリーでした。

機動執事 ―とある軍事ロボットの再就職― (電撃文庫)
 

  お嬢様リーゼの初恋は元軍事ロボットの執事ベル。少女漫画大好きな親友フローラにも煽られ懸命にアプローチするのに、その気持ちに気付かないベルに心配されるすれ違いの日々。上官だったリーゼの父に娘を託され、背景を知らないままロボット軍縮を目指し狙われる彼女というシリアスなストーリーながら、周囲にはバレバレなのにベルが朴念仁ですれ違うドタバタラブコメが楽しかったです。お互い大切に思う気持ちはあるのに、それが伝わらないのはもどかしい(苦笑)依然として不穏な状況は続きますが、禁断の恋の行方がどうなるか次巻に期待したい一冊。

黄昏街の殺さない暗殺者 (電撃文庫)

黄昏街の殺さない暗殺者 (電撃文庫)

 

 相棒を殺した仇を追う手負いの暗殺者レヴンが、貴族文化であるおいしいお菓子を庶民にも広めようとする貴族令嬢のカーミリアに助けられ、傍にいて誰も殺すなという奇妙な依頼を受ける物語。これまで全く別の生き方をしてきた二人が出会い、クッキー馬鹿で真っ直ぐなリアの美味しいクッキーを食べてみんなに幸せになって欲しいと願う想いに徐々に影響を受けてゆくレヴン。困難に直面しても最後まで諦めず奔走する彼らの姿にはどこか心に響くものがありました。読んでいるとクッキーが食べたくなる物語ですね。

アルカナ・ナラティブ (ファミ通文庫)

アルカナ・ナラティブ (ファミ通文庫)

 

 天才詐欺師だった過去を悔いる少年・翔馬は高校入学初日に「Ⅰ」の痣が浮かび、同じように痣を持つ少女・周防と出会う物語。『アルカナ使い』と呼ばれる能力者達がいる高校で、過去のトラウマから男性恐怖症の美少女・周防はたびたび危険に晒され、そんな彼女を放っておけなくて自らが傷つくことも厭わずに身体を張って守り通そうとする翔馬。自分が辛くて苦しい時に、不器用だけれど真っ直ぐな大切に想ってくれる気持ちを感じて、癒やされ育まれてゆく二人の関係の緩やかな変化が強く心に響きました。二人の行く末がとても気になるので次巻に期待。

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 (ファミ通文庫)

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 (ファミ通文庫)

 

 誰もが気になる存在感がありながら、周囲から隔絶された存在だった黒崎麻由。そんな彼女の世界が些細な会話から一歩踏み出してくれた黒井をきっかけに変わっていく物語。これまで周囲と交流のなかった麻由が、周囲の支えもあって緩やかでも確実に変わってゆく世界。黒崎麻由を縛り付けているものの存在に賛否両論ありますが、こういう落ち着いた雰囲気の物語もまたとてもいいと思いました。現在2巻まで刊行。

 クラスメイトの浦上彰人に恋する、地下鉄好きなちょっと変わった女の子一色佐奈。そんな彼女が彼と幼馴染万里花が共有する秘密に引き込まれ、関わるうちに親密になっていく物語。とある事件をきっかけに再構築されて、一見変わらないように見えて決定的に変わってしまった三人の関係。新事実が判明するたびにその構図が変化していきますが、閉塞感を打開しようとあがいた結果、近くて遠い存在になってしまった彼らの関係に、勇気を持って踏み出した一歩と、その原因も絡めて再出発の兆しを見出すあたりが著者さんらしくて、わりと好みの物語でした。

キズナの姫と生徒会騎士団 (角川スニーカー文庫)

キズナの姫と生徒会騎士団 (角川スニーカー文庫)

 

 異世界で姫を守る近衛騎士だったユウリが現代日本に転生。他の仲間や姫と再会し生徒会長になった姫とともに生徒会を結成する物語。再会した仲間たちは姫を意識しながらもこちらでの生活に楽しみを見出し、姫も記憶がない状態。そんな中で姫と幼馴染ポジションのユウリが思った以上に近い位置にいる彼女に恋心を抱いていく初々しさがとてもいいですね。堅物で鈍感なのに中二病扱いの美少年ユウリは格好のいじられキャラでしたが、対する姫の反応がまたとても繊細で、お互いの不器用な心の揺らぎがとてもよく表現されていると思いました。続編に期待。

俺の教室にハルヒはいない (角川スニーカー文庫)

俺の教室にハルヒはいない (角川スニーカー文庫)

 

 学園モノアレルギーな高校生の主人公ユウが、最近は疎遠だった声優を真剣に目指す幼馴染のカスガと再び話すようになったり、ふとしたきっかけで知り合ったアニメ脚本家マコトさんにアイドル声優アスカを紹介してもらったり。登場する女の子たちの繊細な心理描写や人間関係の変化、淡々としていて自分の行動の結果に無自覚なユウの何気ない言動の積み重ねが、ひとつの物語に繋がってゆく感じがとても印象的です。全4巻。

 近未来的な世界で、続発する電脳ウイルスを使った事件に挑むサイバー警察もの。そういった設定がやや難解な印象を受けますが、実際には人間関係に不器用なエリート隊長伊江村と、彼女に学生時代から惹かれながら、アタックもできず、諦めることもできず、他の女に走って同期に「ブス製造機」とか言われる御崎の初々しい関係性がメインに据えられていた感。ライバルもいたりで、勇気を出した告白で始まってすらいなかった二人の関係が今後どう変わっていくのか、そんな部分を楽しみに読みたい物語です。全3巻

 東京のはるか南に位置する咲留間島。夏の間に画家として納得できる作品を描けなければ、筆を折ってこの島に骨を埋めようと覚悟して絵を描く森公一朗が、ミステリアスな雰囲気を持つ志穂さんと出会うひと夏の物語。なぜこのような場所にいるのか、いかにも訳ありに見える志穂さんと、島にやってきた志穂の妹・紫杏たちと交流しながら絵が完成に近づいていく一方、疑惑を深めていく公一朗が見つけてしまったモノの真実。できることなら二人がもっと違う形で出会うことができれば良かったですが、これはこれでこの物語らしい優しい結末だと思いました。

飽くなき欲の秘蹟(サクラメント) (ガガガ文庫)

飽くなき欲の秘蹟(サクラメント) (ガガガ文庫)

 

  強い願いから生まれる異能を取り扱う秘蹟商会でバイトする高校生・世杉見識と雇い主ゆおさん、そんな彼が商売に繋がる異能力保有者たちを探す過程で出会った少女たちの物語。異能転売というテーマで見ると平凡ですが、登場する可愛い少女たちは皆何がしかの鬱屈を抱えた弱者。彼女たちと関わるうちにその本質を見極めていく見識は突き放した物言いをするものの、自らもまた恵まれない境遇であるがゆえに、彼女たちが前を向いて生きていくのに何が必要かよく分かるんですね。何を見るかで評価が分かれそうですが、そういう人間関係の機微を楽しみたい物語です。2巻まで刊行。

紙透トオルの汚れなき世界 (講談社ラノベ文庫)

紙透トオルの汚れなき世界 (講談社ラノベ文庫)

 

 夢を叶えてくれる「夢の木」と超能者「継人」が密かに存在する世界。やさぐれたくなるような出来事に立て続けに遭遇した里谷リトが、差別と偏見に満ちた世界を変えようとする少女・紙透トオルと出会う物語。トオルら変革委員会の意図を阻止しようとする生徒会に巻き込まれたリトという構図、好きな女の子・小夜子への想いとトオルを救いたいと思う気持ちで揺れるリトを中心に描かれる人間模様は、やや錯綜気味ながらも相手を想う気持ちが感じられて、最後は良かったなと思える結末でした。次巻も構想あるようなので今後の展開に期待する1冊。

 最強の殺し屋とされる高校生・志摩一式が、運び屋として受け取った鞄の中で眠っていた自らを吸血鬼「真祖」の娘と称する杏樹と出会う物語。杏樹や舞香先輩と有希のW幼馴染など、魅力的なヒロインたちがイラストともマッチしてよく動いているのが特徴で、エピソードの取捨選択や整理、物語を読ませるテンポやメリハリにはやや課題が残るものの、そういったものが大分改善された2巻で、転機を迎えるたびに大きく形を変えていく物語の構図の変化はなかなか興味深いです。2巻まで刊行。

ハロー・ワールド ――Hello World―― (講談社ラノベ文庫)

ハロー・ワールド ――Hello World―― (講談社ラノベ文庫)

 

 一人暮らしの高校生・朋生が、クリスマスイブのバイト帰りに、行き倒れの銀髪少女と出逢うお話。民間軍事企業の施設から逃げてきた、世間知らずな天才少女麗奈との拙いながらも微笑ましい生活。そして組織を裏切った麗奈の姉・純と三人で、「家族旅行」という名の思い出作りの逃避行。冬休みを舞台とした物語は、設定の斬新さこそなかったものの、それぞれの思いがうまく描写されていると思いました。ふゆの春秋さんのイラストも物語の落ち着いた雰囲気によく合っています。2巻まで刊行。

二線級ラブストーリー (講談社ラノベ文庫)

二線級ラブストーリー (講談社ラノベ文庫)

 

  生徒会副会長の松尾家之助が片思いする書記の月本紗姫は、親友で会長の一ノ瀬秋にぞっこん。しかし秋の秘密を知ったことから話がややこしいことになっていく物語。斜め上の展開が続くうちにそれぞれが相手に寄せる尋常ならぬ思いも明らかになっていって、自分本位に手段を選ばず突き進んで泥沼にもなりますが、自分の思いや向けられた想いにきちんと向き合うことで見えてくることもありますね。紆余曲折の末に収まるべきところに収まった奇妙な三角関係。あくまで思いを貫こうとする三人のありようが、とても印象的な物語でした。

RELIC 遺存種博物論 (講談社ラノベ文庫)

RELIC 遺存種博物論 (講談社ラノベ文庫)

 

 「天狗」の末裔・山峰大央が助けた空から降ってきた少女・円は、祖父たちが決めた許嫁にして遺存種「魔女」の最後の一人だった。許嫁設定にベタな運命的出会いで最初から好感度高めのヒロインな一方、主人公の大央がなかなかの強者ながら受け身な感じでしたが、話が動き出してからはイチャイチャしながら、お互い足りないところを補いあうようないいコンビぶりで問題解決、何かうまくいって良かったですねみたいな(苦笑)主人公キャラのせいか、イラストの影響なのか若干もさっとした印象もありますが、なぜかつい読んでしまう不思議な味わいがありました。2巻まで刊行。

サービス&バトラー (講談社ラノベ文庫)

サービス&バトラー (講談社ラノベ文庫)

 

 スポーツ特待生なのに肘を痛めてテニスを断念、高額な学費を払えずに退学しようとしていた主人公が、ひょんなことからお嬢様に執事兼テニスコーチとして雇われ、負けたら廃部という第二テニス部の危機に立ち向かうお話。シリアスな雰囲気に耐えられない主人公は、すぐにヒロインたちにセクハラ発言したりもするんですが、それでいて真面目にスポーツものっぽい熱い展開もあったりで、展開としてはベタながら、不思議と熱くテンポの良いライトなテイストに仕上がっています。全3巻。

 

以上です。いい観点かなと思って記事を作りましたが、実際にセレクトしてみたらカテゴライズが思っていた以上に難しくてかなり難儀しました。結果的にラノベ文庫からのセレクトが多くなりましたが、読んでみたら面白いタイトルもわりと多いレーベルなのかなとは感じています。興味を持ったタイトルがあったら是非読んでみてください。

 

ではまた。